2015年4月12日(日) 2:00pm サントリー
シェーンベルク 5つの管弦楽曲 2′5′3′2′4′
ヤナーチェク シンフォニエッタ 2′5′6′3′7′
Int
バルトーク 管弦楽のための協奏曲 10′6′7′5′9′
インゴ・メッツマッハー 指揮 新日本フィルハーモニー交響楽団
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メッツマッハーと新日フィルの組み合わせも最終局面、ミュージック・アドヴァイザーも来週で終わり。
このコンビは回を追うごとによくなってきて、練られたプログラミングもさることながら、トレーナーとしてこのオーケストラが本来備えていたレベルのスキルを彼ら自身に思い出させてくれた。引き締まった演奏は他の指揮者の場合でも感じられるようになり、本当にこのオケに寄与してきたと思います。
この日のプログラムは3本で、すべて5楽章もの。
最初のシェーンベルクはリズミカルでダイナミックでエネルギッシュ、多彩な変化。音色旋律主体の第3曲が一番ダークという不思議な印象に聴こえた。この種の曲は長さ的にはこれぐらいが限界で、現代音楽につながっていくある種の「長い曲は無理」的な発露のようなものだが、メッツは大曲然としたおもむきで本当に聴き応えがある。オーソリティとしての面目躍如といったところか。
オーケストラの響きの奥行き感に余裕があり、思い出したスキルの充実感を感じる。特に第2ヴァイオリンやベースをはじめとしてよく磨きがかかっている。
曲、演奏、指揮、このように揃うとシェーンベルクの作品は全部聴いてみたくなるものですね。
席の位置関係で指揮者と同じような角度でオルガン前の通路に陣取った13本のバンダ・サウンドを浴びることが出来るヤナーチェックの迫力と、これまた多彩なニュアンスがやたらと素晴らしすぎる。さらに、
このバンダとステージの本オケのほうのラッパセクションとのバランスが良い。指揮者目線と耳線をそのまま感じられる。
前方の席に座ると音が頭の上を通過してしまう、と言った話をよくするのですが、そうかもしれないが、このようなリアル感はここの席でのもの。
それから、直音(じかおん)を感じ取れるのはもちろんのこと、オーケストラの奥行きがよくわかりこれが結構な迫力。前に弦がいて真ん中あたりにウィンドがいて奥にブラスやパーカス、この遠近感をもろに感じ取れる。個体としてのオーケストラサウンドの神経細胞をみているような感じを味わえる。
ヤナーチェクのブラスと奇妙なウィンド、ハーモニクスの上をいく線、フルオケの醍醐味を満喫。
ヤナーチェクを前出汁にしてと言っては失礼ですけれど、後半はオケコン。
メッツの感情移入の激しさと言うより、この日のプログラムシーケンスから言って、これはコントロールからの開放な訳です。こうゆうところにも彼の練られたプログラムビルディングを感じます。
爆発的によく鳴る演奏で、エモーショナルな動きが濃い。多彩なニュアンスは前半からの流れだし、本当にストーリーテーリングを感じさせてくれる。プレイヤーも気持ちの切り替えと言うより積分していくような心持でしょうな。
バルトークの精緻な音楽がいつになく熱いものとなったパワフルな演奏で、お見事。
ありがとうございました。