河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

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1072- バボラーク 下野 読響 2010.9.18

2010-09-22 00:10:00 | インポート

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2010年9月18日(土)6:00pm
サントリーホール
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ヒンデミット 歌劇「本日のニュース」序曲
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シュトラウス メタモルフォーゼン
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シュトラウス ホルン協奏曲第2番
 ホルン、ラデク・バボラーク
(アンコール)
ブラームス トランペットのためのエチュード
バボラーク編 アルペンファンタジー
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ヒンデミット ウェーバーの主題による交響的変容
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下野竜也 指揮
読売日本交響楽団
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この指揮者は今日初めて観聴きする。かなり名の売れた指揮者だが今までただ単に聴く機会がなかっただけ。読響のサブスクリプションを買えば当然いつかは聴くことになるわけだ。あまり上背がないが棒自体は明快で指示も的確。音楽の表情も同じような感じ。クリアな音楽が響き渡る。
シュトラウス2曲をヒンデミット2曲で挟んだ本格的ドイツものプログラムだ。
<下野プロデュース・ヒンデミット・プログラムⅤ>と言った副題のあるコンサートのようだ。本人がヒンデミットの連続公演を意欲的に行っているのだろう。最近このような副題の演奏会が多いが基本的には努力して意識的に無視している。目障り耳障りなのだ。マーラーイヤーとかならまだしも、奇天烈なものが多すぎる。
この日のプロデュースものはどうだろう。ヒンデミットプログラムと言ってもウエイトは明らかにシュトラウスの2曲にかかっている。ましてソリストがバボラーク。これがなんでヒンデミット・プログラムなんだろう?とにかくプログラムにはいっていればいいのかしら。6台のテレビカメラと客席頭上にまでおよぶ収録マイクで録りまくり、あとでヒンデミットだけつなげてシリーズものにして売り出すのだろうか。それならそれで計画的でよろしい。しかし演奏会のプログラム・ビルディンクというのは体験の共同化作業と考えると決して踏み外してはいけないもの。今日のプログラムでは偶然かどうか最高のビルディングになってしまっただけということなのだろうか?どちらでも良し。プログラム、演奏ともに最高の出来ではあった。サブタイトルは関係なかったのは確かな事実ではあった。
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バボラークは何度も聴いているし連発のSACDもそろえてあるので大体のところはわかる。高低音色に変化がないのが素晴らしい。リサイタルも素晴らしいもので、いつぞや渋谷の塔レコか今はなきHMVどちらだったか忘れたがデモで吹きまくりのときは近すぎてちょっと乾いたようなサウンドのような気配もあったが腕の唸り具合はすごかった。
この日のシュトラウスの2番は並ではない難しさだと思うが粒立ちの良い音が平然と過ぎ行く。本当にポロポロやってしまう楽器なのかと疑いたくもなる。最高の演奏でした。
アンコール2本。バッハの無伴奏でもやってほしかったが、長すぎる。とにかく拍手喝采。
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前半2曲目のメタモルフォーゼンも快演だった。23の独奏弦楽器の為の習作なんですけれど、エロイカの葬送行進曲に秘められた思いを強く感じさせる曲ではある。音色の変化は望むべくもないのは言わずもがなではあるし、プレイヤーと聴衆に強い集中力を要求する曲で一度解き放たれてしまうともうのめりこむ機会を見つけるのは困難に近い。
下野は冒頭の葬送のアンサンブルのまとめあげと推移に気を使っておりポイントと心得ているのだろう。そのあとはそれこそ解き放たれたように快速に近いテンポで突き進む。音色の変化のなさをこのような快速のテンポで切り抜けたあたり一つの解のような気もする。それでも結構長い。長すぎるかもしれない。曲自体が。
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サンドイッチにしたヒンデミットの曲の一曲目の方。こちらは即物的のみの曲とでも言いたくなるようなウエットな部分の欠片もないドライフラワーのような曲だ。わざとこのように作っている。ならばそれが魅力。乾いたお皿に小ポーションのかわき物を置いたような感じで曲はすすむ。
最後の曲のもう一方のメタモルフォーゼンはオーケストラという楽器にとって一番幸福な時代の作品だろう。技巧と音量の両方で迫ってくる。ウェーバーからジャジーなリズムまでいろいろと駆使した変化、彩の飽きもしない果てしもない増音増量の曲。トロンボーンを派手に鳴らし切るのは指揮者の指示。それでも前方の弦一同負けじとこちらも音を出し切る。オーケストラの醍醐味ここに極まれり。
下野の棒だと何故かこのヒンデミットが妙に明るくなる。ブラバンのブラスアンサンブルの拡大版みたいな錯覚に陥るような個所も多少ある。これだけ明快なテンポと切れ味、意識して指揮者のものに違いない。このように明るいウェーバー・メタモルフォーゼンは聴いたことがない。健康的すぎるかもしれない。別の解釈はあって当然。この指揮者の今後が楽しみだ。
おわり

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