2009- わが祖国、ビエロフラーヴェク、チェコ・フィル、2015.11.4
2015年11月4日(水) 7:00pm NHKホール
スメタナ わが祖国 16′12′10′12′13+14′
(enocre)
ドヴォルザーク スラブ舞曲Op72 第1番 4′
イルジー・ビエロフラーヴェク 指揮 チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
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2年前の来日のときと随分と顔の雰囲気が変わったように感じたビエロフラーヴェク。
指揮者の心のイメージがそのままプレイヤー全員に伝わった様な演奏で、ありきたりの言葉とは言えもはや枯れた演奏というしかない。指揮者の炎の核がまるで気張らず自在に表現される、こうなると指揮技術と言ったことよりそれらの積み重ねが自然にオーケストラに伝播し作用し、そのまま表現される。生きた音楽が今生まれるそのような気持ちにもなってくる。普通のコンサートではあまり感じたことが無いもので、チェコ・フィルの来日公演でかつて聴いた同曲演奏、マーカル、クーベリック、彼らの演奏も素晴らしかったが、この日のビエロフラーヴェクの演奏と言うのは晩年のノイマンが名演奏のCDを連発していた頃のことを思いだす。枯れた演奏と言う言葉以外見つからない。本当に気張らないもので、プレイヤーへの音楽の浸透が凄い。
プレイヤーの心に作用する指揮、オーケストラの心に作用する指揮。
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1曲目の高い城、巨大な演奏でした。もはやこの1曲だけで前述の内容全てを感じた。このオーケストラ独特のせせらぎのような透明な流れ、1本の弦の音を感じさせつつそれが束ねられたような全弦の響きを感じさせてくれる。小川の中になびく草花のような具合のユラユラとした微妙に分解された響きは変わらずに聴ける。指揮者とプレイヤーの心より奏でられた音楽、音楽そのほうが感動に打ち震えているような鳴り具合だ。演奏するほうは飽くまでも演奏に没するのみ、自分たちが感動してはいけない。そこらへん見事というしかない。とにかく、行ったことが無いところに連れて行ってもらいました。素晴らしく大きな演奏。
曲は進むにつれスメタナの耳は聞こえなくなっている。この1曲目の巨大さが5曲6曲目にも欲しいところだが、そのようなことはもはや言うまい。
心の奥底にずっと残る演奏でした。
おわり