河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

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OCNから2014/12引越。タイトルや本文が途中で切れているものがあります。

2078- リッカルド・ムーティ、東京春祭、2016.3.17

2016-03-17 23:38:48 | コンサート・オペラ

2016年3月17日(木) 7:00pm 東京芸術劇場

ヴェルディ ナブッコ、序曲   7′

ヴェルディ ナブッコ第1幕より、「祭りの晴れ着がもみくちゃに」 6′
  合唱、東京オペラシンガーズ

ヴェルディ アッティラ第1幕より、
「ローマの前で私の魂が・・あの境界の向こうで」  6′
  バス、イルダール・アブドラザコフ

ヴェルディ マクベス第3幕より、舞曲  11′

ヴェルディ 運命の力、序曲  8′

ヴェルディ 第1回十字軍のロンバルディア人 
第3幕より、「エルサレムへ、エルサレムへ」  7′
  合唱、東京オペラシンガーズ

Int

ボイト メフィストフェレ、プロローグ  30′
  バス、イルダール・アブドラザコフ
  合唱、東京オペラシンガーズ
  児童合唱、東京少年少女合唱隊
  バンダ


リッカルド・ムーティ 指揮 日伊国交樹立150周年記念オーケストラ
=東京春祭特別オーケストラ + ルイージ・ケルビーニ・ジョヴァニーレ管弦楽団


2016年東京春祭の一環、日本とイタリアの国交樹立150周年記念公演。オーケストラは、日本側は春祭用、イタリアはムーティが2004年に設立した奏者30歳以下のメンバーによるもの。大変に大きな編成です。

東京春祭特別オケ      45名  バンダ 20名
ルイージ・ケルビーニ管   40名
東京オペラシンガーズ    S 36  A 28  T 27  B 29
東京少年少女合唱隊     20名と推測

オケはプログラム前半後半でポジション入れ替えしていました。

また、この日は、リッカルド・ムーティが日本で振る150回目の公演だそうです。その記録パンフも挟んでありました。記録魔にはお宝でしょうね。


前半はオール・ヴェルディ・プログラム。
かなりのヘビー級なラインナップですね。オーケストラのみの演奏は序曲2曲と舞曲。マクベスの舞曲が殊の外、充実していました。前半では一番のロングなもの。序曲は相応な雰囲気を楽しめました。
合唱付きは2曲で、100人越えの圧力と清らかな運びが心地よい。テンポ感もよく、立ち上がりがいい、小気味いいもの。ムーティのオーケストラと合唱の境目のない見事な棒が光ります。極小さな動きでコントロールしていくさまはリハーサルの成果ですね。例の、右手に持った棒を左肩の上に後方に向けて終わる独特のエンディングもよく決まっています。
バス独唱はアッティラから1曲。大柄な人で身体全体が共鳴箱のような雰囲気。ムーティに敬意を払いながらの歌のように見えます。暗い歌、力強く聴かせてくれました。

イタリアオペラ、特にヴェルディは振りつくしていると思われるムーティの棒は、オペラを振っている時のそれぞれのシーンが頭の中にしっかりとあって、そのイメージに近づけようとする振り具合だと思います。経験とイメージ、その集大成を日々行っているのでしょう。たとえプレイヤーがイタオペゼロスタートな人たちであっても、そのゼロからのスタートのための努力をする人ですね。どのような場合でも、彼のオペラのフレージングの見事さ、特にスコア重視と言いますか、サッと切り上げるあたりは昔通りの耽溺しない棒そのままです。
見事なバトンさばきで、ちょっとした動きにプレイヤーがグワーンと反応する。オペラ振り尽くしてきた人の棒というのは、凄いもんですね。

後半のボイトのメフィストフェレのプロローグ。このオペラ、ここだけが凄い編成となる。たぶん。
バンダ・セクションは頭と中間と最後、吹きっぱなしで。派手なプロローグ。
息の長いフレーズのシーンで、指揮者はよっぽどオペラ全体のイメージ、雰囲気を頭の中に入れていないと息切れするというか、緊張感が緩んだ演奏になりかねない。だれた演奏とすぐ隣り合わせみたいなところがありますね。作曲家のイメージが膨らみ過ぎでオペラを美化しすぎたような部分。雰囲気に浸かってからでないとなかなかのめり込めないプロローグ。ムーティはこのオペラに力を入れていたはずで、まぁ、のめり込むというほどではないが、やにっこくて渋い作品を淡々と振り、ツボで大きく鳴らす。オペラの肝をわかっている。あたりまえですが。
バンダは派手、合唱も分厚い圧力で、それでいて混濁しない。ムーティがオケと合唱、シームレスな扱いで滑らか、角の立たない流れで進む。ホールに音が響き渡る。
この日の無料プラグラムには対訳リブレットがついていまして、メフィストフェレは事前に読んでおくと面白さが増しますね。
メフィストフェレのアブドラザコフは途中入場の途中退場で、ほかの部分はソロがいても掻き消えそうな派手な鳴り、オペラで音響を久しぶりに堪能させてもらいました。
ありがとうございました。
それにしてもムーティの髪の量と腰の強さ、凄いね。


東京春祭の全プログラム掲載の冊子、今年は216ページ。昨年から500円に有料化。これを買っても買わなくても当日のプログラムは別配布される。ちなみに今日のプログラムには対訳もついている。また、ムーティ150回来日記録も挟んである。ので、わりと、至れり尽くせりです。

おわり




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