2018年1月6日(土) 2:00-4:20pm 東京芸術劇場
J.シュトラウスⅡ こうもり、序曲 9
J.シュトラウスⅡ 南国のバラ 7
ラヴェル 亡き王女のためのパヴァーヌ 7
ヴィエニャフスキ 華麗なるポロネーズ第1番op.4 6
ヴァイオリン、三浦文彰
デュカス 魔法使いの弟子 12
Int
オッフェンバック 天国と地獄、序曲 10
サン=サーンス サムソンとデリラ、バッカナール 8
ワックスマン カルメン幻想曲 10
ヴァイオリン、三浦文彰
J.シュトラウスⅡ トリッチ・トラッチ・ポルカ 2
J.シュトラウスⅡ 雷鳴と電光 3
J.シュトラウスⅡ 美しく青きドナウ 9
(encore)
服部隆之 真田丸、メインテーマ 2
ヴァイオリン、三浦文彰
J.シュトラウスⅠ ラデッキー行進曲 2
シルヴァン・カンブルラン 指揮 読売日本交響楽団
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こうもりから始まったニューイヤーコンサート。序奏の後のトロンボーン3本のハモり、アクセントは頭の1回こっきり。あとはピアニシモで滑らかに均質に奏でられるもので、どぎつさやドロドロ感が皆無。粋で品があってなによりもわざとらしさが無い。作為は無くてカンブルランのタクトとはこういうものなんだろうという説得力が大きい、納得のパフォーム(トロンボーンへのこだわりではないでしょ)。ここだけでなくこのあとも色々と出し入れが自然に湧く。中間部のワルツ、ナチュラル。弦の遠近彫りは充実した垂直的な深さだし、まぁ、弦主体ですね。なによりもパーカッションセクションの鳴りが他セクと同等であり、弦、ブラスと同じようにアンサンブルをしている。これなら、アンサンブルとは周りのインストゥルメントを聴いてプレイすることなり、が全く完全に理解できるものだ。パーカスアンサンブルは秀逸な抑制コントロールの美学で奏でられていました。五月蠅くないないパーカスは完全に溶け込んでいる。
ということで、これがカンブルランの自然体フレンチスタイルだろうなぁと、すーっと腑に落ちるところ満載な演奏。いつのまにか新年の賑やかさは忘れ去り、味な演奏に舌鼓。
ずっとこんな感じで進む。手ごたえ十分、充実感溢れる演奏。
ウィットに富んだ流れるような南国のバラ。
雰囲気的に、もう、自然にフランスものを聴きたくなったところでラヴェル。ホルン1本の線は厳しいものがあって指揮者はさらなる高みを望んでいるとは思うけれども、際どいラインをコクのある演奏に変えていく。カンブルラン・マジックなのだろう。分解された線が進むにつれて絡まっていくその様が美しい。
ここでヴァイオリン独奏がはいったヴィエニャフスキ。三浦さんの弾きがいい。切れ味鋭く膨らみがある。水銀の粒を見ているようだ。美しい音色で奏でられる。下弦の月のようなたっぷりとした鳴りが鮮やかだ。三浦さんは何度か聴いている。今日はリラックスしていていい感じ。
フランスものに戻り魔法使いの弟子。小ピースが羅列になっていない今日のコンサート。カンブルランの棒はますます冴え、聴くほうも前のめりに本腰。もはや、微塵も聴きのがせない。さらっとしたシンフォニック。標題の中身にとらわれることなく指揮者自身の頭の中を描く。そんな感じかな。これも素敵な演奏。
もう、前半だけでおなかいっぱいの大満足。
後半は最初の3曲で一通り締めのモード。この3曲だけで30分かかるものでかなり本格的。前半プロ同様、堪能しました。カルメン幻想曲は天国と地獄の第3部からの続きですねほぼ。これも三浦さんの美演にうっとり。いいノリでしたね。
残り3曲。ここで新年モードに。カンブルランの方針は変わらないけれども選曲、並べ具合、まぁ、楽しめた。オケメンの振りつけもあったりして。
結局、今日の作曲家たち全員、フランスに引っ越したような演奏、エスプリの効いた味わいを感じさせるもの。お見事。
読響は昨年のアッシジから解放されたのか普段なら重い腰も軽みを帯びなかなか洒落たプレイ。カンブルランの意を汲む。彼が棒を振るときはだいたい素晴らしい演奏となる。さすが常任指揮者という話し。今日来て1週間も経たずに帰ってしまう常任とはわけが違う。
満席のホール。騒がしいブラボーも無くて温かい拍手が続いた新年のコンサート、堪能しました。ありがとうございました。
おわり