太陽光発電シニア

太陽光発電一筋、40年をはるかに過ぎたが何時までも興味のつきない厄介なものに関わってしまった。

業界探訪

2019-06-04 08:13:45 | 仕事に関すること

昨日は業界団体の年1回の総会(会員による社員総会)があった。総会の後には懇親会が催され、リタイアして4年になるが有難いことに懇親会への招待状が届く。立食パーティ形式で年金暮らしの身にはとんでもないご馳走が並ぶのも楽しみの一つである。こう書くと食い意地が張っていると思われるが同じくリタイアした人や現役一線でバリバリに活躍している顔馴染みに会えることは年に何回も無い楽しい時間である。それでも年々知り合いは減り新しい人が増えてくるが自然の流れで仕方のないことである。かって新入社員で迎えた者が定年前後になっていたり時の流れも感じずにはいられない。歳(年齢)は追いついてくるものだ。新しい人も色々紹介されこの2,3年は明確に事業プレーヤーが変わってきているように思った。かってはセル。モジュールメーカーが主役であったが脇役になりつつある。しかも重要な脇役は外資系の会社が占めている。かって業界を牽引してきた国内セル・

モジュールメーカーは新しいビジネス分野を切り開こうとして模索しているが、残念ながらこれはという分野はまだ見つかっていない。異分野を統合したビジネス(セクターカップリング)の必要性も叫ばれて数年になるが1+1が3や4になるビジネスは簡単には見つからない。下手すると1×1になってしまう。一見面白そうな取り組みがあってもそれは既存のルールや法制度の合間を縫うようなビジネスで一過性のニッチなものと言わざるを得ない。どのようなビジネスであれキーコンポーネントは太陽光発電システムであり、得られる財は電気という汎用品である。画期的な付加価値は存在しない。また太陽光故ビジネスには弱点が存在する。それは規模の問題である。例えば100万KWの原発と同等の電力量を得るには1MWの太陽光プラントが5000基以上(利用率をそれぞれ70%と13%として)必要である。これだけの設備を1社が保有することはまず考えられない。アグリゲーターの登場が期待されたがまだ本格的なところはない。役所の人の来賓挨拶でも新ビジネスを創造して自立をと盛んに言うがまずはビジネス規模(売上や利益)をどう設定していくかが問題である。一方で太陽光発電システムのコストダウンが図られればというがコストダウン=ビジネスとして自立も幻想である。例えシステムが0円(ただ)であっても無償の出力抑制があってはリスクが大き過ぎる。さらに託送料金は最低限稼がなければならない。

では全く出口が無いかというと過去にそのヒントはある。国の関与である。FITをやったから後は民間に委ねる、コストダウンを図って新しいビジネスモデルで自立して欲しいというのは如何にも乱暴な議論である。ビジネスが未成熟で結果として消滅しても仕方がないとは言えない。ことはエネルギーの問題で冷蔵庫やTVのような家電品の普及のようには行くまい。エネルギーセキュリティや環境の点から再エネの普及拡大は待ったなしである。一方、電気料金や税という国民負担だけで市場を作るというのも異常な姿である。過去のヒントというのは、建設国債を利用した社会インフラとしての整備、これはビジネスの世界では考えにくい長期での回収になるがコストダウンもある程度進み赤字になることはない。次は円借款などによるODAの活用である。世界には電気そのものが必要な国や地域は沢山ある。これらを安定したベースロードとして残りをポストFITの新規ビジネス領域とすることで規模と安定性は確保できる。問題はその按分であるが三方一両損(得)くらいでスタートしたらどうだろう。ビジネスは市場に任せるというのではあまりに知恵がない。放任するのではなく、任せられないと判断したら国は関与を強めるべきである。エネルギー分野では過去にもヒントがあるだろう。