北朝鮮に代わって今度は中国の脅威ですか。なるほど仮想敵国が無いと色んな産業が困る、憲法改正にだって影響するかも知れない。もっと現実的な問題はイージスだって戦闘機だって買わないとアメリカによる自動車への倍返しが怖い。ところで2015年で日本の原発は42基ある。2018年10月稼働中は8基、2030年エネルギーミクスでは30数基の稼働が必要である。狭い国土にまあこれだけもと思うが、別の見方をすれば、日本を迂闊にミサイル攻撃したり空爆したりすることはできない、誤って原発を直撃するかも知れない。送電インフラを叩くと福島のように冷却が出来ずメルトダウンの可能性もある。空中の漂う放射能は攻撃国にも影響を及ぼすことになる。危なくてそんあことはできない。北朝鮮も核の完全放棄といっても多分自爆用の核爆弾は最後まで隠し続けるのだろう。自爆といっても周辺への影響は計り知れない。
原発自体が核武装と言っているわけではない。それぐらい危険な施設だということだ。東京電力の原発事故裁判に勝俣元会長が被告人席に立った。他の幹部同様津波は予見できたか、その安全対策はという点が焦点で責任が問われている。裁判の行く末も気になるが、勝俣さんもまさか晩年このような席にたつことはとても予見できなかっただろう。実は勝俣さんは業界団体設立の発起人に名を連ねていた。当時の東電常務とともに企画部企画課長勝俣恒久とある。常務の秘書的役割をしていたのかも知れないが、業界団体設立には随分貢献して貰った。設立後東電は理事も出し、幹事会社として代々幹事役も引き受けて貰った。太陽電池関連の団体であるから電力会社としては利害が反するため団体が暴走しないためのお目付け役、監視役として会員になったのかも知れない。
しかし、当時は東電は太陽光にかなり積極的で社内にビジネスにならないかを検討する委員会まで立ちあげていた。団体設立の頃ペーペーとして勝俣さんを見ていたが何時も冷静沈着で非情に紳士的であった。記憶では活動について一度も異論を挟んだということはない。代々続いた後任の幹事の方々も大変優秀で熱心に団体活動を支えて頂いた。総括原価こそ電力の力の源でそれが無かったら偉そうな事は言えないですよ、などと東電の方から聞いたこともある。長く会員に留まって頂いたが福島の原発事故を契機に退会された。対外活動の自粛と経費節減が理由だった。東電という盟主なきあと、会員であった他の電力会社も理由をつけて次々退会していった。多分自ら率先して電力会社としての意見を言う立場になかったのだろう。
余談だが、この団体の設立発起人代表が私の務めていた会社のトップであったが、ある時団体の活動報告に行った時、えっあの勝俣君(君呼ばわりだった)が東電の社長かと驚かれたことがある。後に子会社の通信会社の社外取締役までお願いしたところを見ると個人的には付き合いもあったのではないかと思う。非情に保守的で権威の象徴と思われていた東電も再エネに対しては懐の深い所をずっと見せていた。系統連系にももっともオープンな対応でスムーズに行ったのは東電である。出廷する勝俣さんをニュースで見ると当たり前だが随分老けた。事故を枯れ葉に喩えるのもおかしいが、桐一葉落ちて天下の秋を知る、新芽は出ているのだろうか。