昨日は英のEU離脱是非を問う国民投票が世界中の関心となった。結果は僅差で離脱派が勝利した。まさに国を二等分する結果である。たちまち世界中の株価が大暴落し、円高は進み、報道は経済的ダメージを挙って取り上げる。まるで、英国民が最悪の判断をしたかのようである。しかし、少し考えて見ると投票というのは国民一人一人の民意(価値観)を問うものであってその結果が世界経済にどのような影響を及ぼすかを問うているわけでは無い。個々が問題に優先順位をつけて判断するものであってそれをとやかく言う権利は誰にも無い。
INとOUTが拮抗するというのは穿った見方をすればどちらに転んでも良いということになる。確かに経済的にはダメージが大きいだろうが、だからといって移民や雇用、社会保障に不満を持つ人々の感情を無視できるかというとそうはならない。2大政党が政権交代可能な状態になると、マスコミの多くは不安定さを煽る。政権奪取のために反対だけが目的という見苦しい争いも起こるだろう。しかし、より良い政策で政権を維持しようという競争も可能性はある。そうなればどちらの政権に転んでも選んだ方に損は無い。勉強もスポーツも出来ておまけに男前でクラスのことを真剣に考えるA君と札付きのワルB君が学級委員の選挙に出たとする。結果は圧倒的なものとなるだろう。結果が拮抗するのはA君と似たようなA'君のどちらかを選ぶ場合、B君と似たB'君のどちらかを選ぶ、これはクラスが2分されるがどちらに転んでも結果は似たようなものとなる。
重要な事はどちらか勝利した方が、半分は反対の人が居るという事実を重く受け止め政策を打つ(次期政権)ことだろう。これが片方に偏重するような政策を過度に急激に進めてしまうことが最も危険である。まさか常識ある大英帝国の国民がそんなことをするはずはは無いと思うが。
英国に進出している日本企業が1000社、ダメージが大きいと評論家や経営者が言う。まさか国に何らかの救済措置を求めているんでは無いでしょうね。国が強制的に進出させた訳でもなく、国民投票があることも分かっていたはず。まさか離脱は無いだろうという経営判断でしょう。経営判断の結果を国が日本経済のためと尻拭いしたのでは国民は納得が行かない。少なくとも、超低金利の金を借りてでも新しい拠点を探すこと。しかし、英国も今後海外企業を留めるあるいは誘致する手を次々打ってくるだろうからそれを期待して待つのが賢明な選択なんだろう。
やっぱりマスコミはメリットデメリット、果実とリスクをバランスよく報じることは無い。成果を強調する、不安を煽るどちらかに偏る。見えないパラレルワールドを何処まで想像できるか、物事を見る個々のリテラシーが問われる。