何度も同じ悪い夢を見る。飛行機に乗り遅れそうになる夢だ。毎回シチュエーションは違う。ホテルで帰りの荷造りをしている時にスーツケースに詰め込むものが見当たらず飛行機の出発時間が刻々と迫り遅れそうになる。空港へのタクシーに乗ったら料金稼ぎで遠回りをされてやたら時間が掛り遅れそうになる。何気なく旅程表を見たら帰りの飛行機の出発時間を間違えて覚えていて慌てて空港に行かなければならなくなった。頭の中で空港までの時間を計算したら搭乗手続きをする時間が全くないことで焦りまくりホテルで右往左往している。搭乗ゲートからバスで機体に向かう時バスを間違えて違う航空機に乗りそうになる。1日に2回異なるシチュエーションの夢を見た事もある。ああ、どうしようと焦りまくる夢である。
実際に飛行機でトラブルになったことは殆ど無い。最大焦ったものと言えば何人かでアメリカの子会社に打ち合わせに行った帰りである。それぞれ次の予定があり現地解散となった。私はシアトルに飛んでシアトルからロサンジェルスに乗り継ぎロスから日本へという帰路だった。シアトルで搭乗ゲート前で仕事も終わったのでホットしているとアナウンスの人が来てロス行きの便が整備の都合で遅れるという。ロスから日本への乗り継ぎ便は決まっていたので、間に合うかと聞くと冷たく分からないという。慌ててインフォメーションカウンターに向かい聞こうと思ったら長蛇の列である。間に合わないから確実な便は無いかと一言聞こうと思い先頭に行くと列をなしていた人から後へ並べとブーイングが起こる。当然ではある。長蛇の列の後に行く途中で場内案内係の女性を捕まえて聞いてみる。それならここシアトルからカナダの何とかという空港に飛んでそこからサンフランシスコに飛び、乗り継いでロスに行けば良いという。それでも時間はタイトだという。カナダへの出発便はゲートが違うから××番ゲートに行けという。
その前に預けたスーツケースはどうなるかと聞いたら取り出した方が良いという。何とか窓口を探して事情を説明すると、荷物は便が遅れても東京に届くから大丈夫と分かるまでは相当時間を要した。カナダ行きの便にまで遅れそうになり、シアトル空港内を走り回っても教えられたゲートNoが見当たらない。いよいよもう間に合わない、シアトル空港の近くのホテルでもとって明日仕切り直すしかない、手持ちのカードは果たして仕えるだろうかとか心配も浮かぶ。走りつかれた頃、ダメ元で清掃係のおばちゃんにゲートを聞くと電車に乗れという。空港からまた電車と思いながら教えられたところに行くと本当の駅のように見える。キップは何処で買うのだろうと思っていたら同じ方向に歩く人が大勢居たのでついて行く。キップなど不要で電車に乗れる。後で分かったのだが空港内の周回電車だった。
無事カナダ経由でサンフランシスコ、ロスへと着いた時には丁度飛行機の出発時間ジャストだった。ああもう終わったと思った時に女性の案内係がやって来て、私の名前を確認する。連絡はされていたようだ。兎に角急いでと言われほぼ全速力で構内を走り乗る予定だった飛行機に滑り込む。直後に飛行機のドアが閉じられ、乗客はコイツのために出発が遅れたのかと一斉に白い目で睨む。隣の席の中国人が何やら文句を言う。中国語だから意味が分からなかったが、俺はお前の国で色々協力をしてやっていると言いたかったが抑えた。汗は噴き出ているが兎に角乗れたという安ど感から東京までの時間は非常に短く感じた。これを世に言う、いや自称「シアトル空港ホームアローン物語り」と呼んでいる。むろん映画ホームアローンの空港でのジタバタをもじったものだ。それにしてもアメリカ人はいい。世界の何処の空港でトラブろうが英語で達者にやりとりができる。文句も言える。
ネパールの国内便で窓から翼から燃料漏れしているのを目撃したことや、北京からウランバートルに飛ぶ機内で凍死するかと思った事、北京から呼和浩特(フフホト)に飛ぶ国内便が遅れてその日はムーベンピックホテルの宿泊が用意されたが、真夜中に叩き起されて今日飛ぶことになりましたと言われ再度北京空港に行ったこと、北京では半日くらい搭乗口前のベンチで待たされ何の案内もないまま結局飛行機が飛ばなかったことなど些細なことは沢山ある。南太平洋での面白おかしい飛行機の経験は既にブログに書いたように思う。