共 結 来 縁 ~ あるヴァイオリン&ヴィオラ講師の戯言 ~

山川異域、風月同天、寄諸仏子、共結来縁…山川の域異れど、風月は同天にあり、諸仏の縁に寄りたる者、来たれる縁を共に結ばむ

オペラ鑑賞記 《ナブッコ》編

2012年04月30日 17時45分43秒 | 音楽
《エルナーニ》を観ていたら何だか無性に観たくなって、ちょっと迷いましたが、やっぱりもう1本オペラを観ちゃいました。同じくヴェルディの3作目のオペラ《ナブッコ》です。ナブッコとは、古代世界史にも出てくるバビロニア王ネブカドネザルの別称です。またしてもストーリー的なものはウィキペディア他を御覧頂くべく、割愛致します。

私が持っているDVDは1979年、パリ・オペラ座での公演を収録したものです。
(ニホンモニター DLVC-1027)


ナブッコ…シェリル・ミルンズ

アビカイッレ…グレース・バンブリー

ザッカーリア…ルッジェーロ・ライモンディ

イズマエーレ…カルロ・コスタ

フェネーナ…ヴィオリカ・コルテス

アブダッロ…ロベール・デュメ

パリ・オペラ座管弦楽団・合唱団

指揮…ネッロ・サンティ

演出…ヘンリー・ロンス

衣装…ベーニ・モントレソー


はっきり言って、画像も音質もよくありません。じゃ何で買ったのかと言えば、とにかくメインキャストが豪華だからです。

タイトルロールのミルンズは、圧倒的な声量と卓越した演技力を合わせ持つ、私が好きなバリトンの一人です。この公演では全盛期のミルンズが全開で、愛憎入り交じった複雑なナブッコの内面を全身で表しています。特に第4幕のシェーナとアリア《生きているようだ~ヘブライの主よ、祭壇も神殿も》では、感極まった表情のナブッコ王の姿を見せてくれます。

ザッカーリア役のライモンディはイタリア人バス歌手の重鎮として、実は主役のナブッコ以上に登場回数の多いザッカーリアを好演しています。第2幕の《レヴィ人よ、聖典をこちらへ~預言者を稲妻で打たれた我等が主神よ》では、深い響きでの祈りの歌を聴かせてくれます。

そして何より、この役の歌手がショボいとどうにもならないと言っても過言ではないアビカイッレは、名メゾソプラノ、グレース・バンブリーです。この演出は特に衣装が豪華なのですが、その衣装に負けない華やかさと絶対的存在感で、ナブッコ王と奴隷の女との間に産まれたという屈折した身の上を憎みつつもその感情を内に秘めて、あくまでも王の娘としての気品高い女将軍を見事に歌いあげてくれています。

イタリアオペラ界の重鎮ネッロ・サンティの指揮は爽快で、ともすると長大な印象を持ってしまいがちなこのオペラを、コンサートレパートリーとしても有名な序曲から明快に聴かせてくれます。

そして、何でこのオペラが観たくなったかと言うと、『イタリア第2の国歌』としても名高い第3幕の合唱曲《行け我が思いよ、黄金の翼に乗って》を聞くためです。《エルナーニ》の合唱を聴いていて、何だか無性にこの曲が聴きたくなりました。

この曲はソプラノからバスまで、男女全員でのユニゾン(一斉唱)で始まります。あらゆる人が同じキーで歌える曲を作るというのは、実は大変なことです。そのことと、歌詞の中にある

『おお、あんなにも美しく、そして失われた我が故郷!』

という一文が、初演当時オーストリアの統治下にあって鬱憤の溜まっていたイタリア国民の心に響き渡り、遂には『イタリア第2の国歌』と呼ばれるまでに至ったのです。因みにこの曲は、2006年のトリノ五輪の閉会式でも歌われました。

今日は感動的なヴェルディ初期の作品を2本も堪能しました。これから近所のスーパーで1/4ボトルのイタリアワインでも買って来て、この余韻に浸りたいと思いま~す(*^O^*)。
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オペラ鑑賞記 《エルナーニ》編

2012年04月30日 14時28分11秒 | 音楽
さて、今日はまた健全に引きこもろうと思います。

今日もヴェルディを選んでみました。ただ、今日は悲劇です。彼の5作目のオペラ《エルナーニ》です。例によってストーリー的なものはウィキペディア他でチェックして下さい。

それほどDVDは出ていないと思いますが、私が選んだのは1982年 ミラノ・スカラ座の公演を収録したものです。
(ワーナー・ミュージック・ジャパン WPBSー90094)


エルナーニ…プラシド・ドミンゴ

ドンナ・エルヴィーラ…ミレッラ・フレーニ

ドン・カルロ…レナート・ブルソン

ドン・ルイ・デ・シルヴァ…ニコライ・ギャウロフ

ヤーゴ…アルフレード・ジャコモッティ

ジョヴァンナ…ヨランダ・ミキエリ

ミラノ・スカラ座フィルハーモニー管弦楽団・合唱団

指揮…リッカルド・ムーティ

演出…ルカ・ロンコーニ

美術…フランカ・スカルチアピーノ

映像監督…プレベン・モンテル


こちらも豪華キャストです。今ではバリトンの役を歌うほどくたびれてしまっています(まあデビューはバリトンがったらしいので問題ないのかも知れませんが…)が、さすがに1982年当時、若さ溢れるエルナーニ役のドミンゴが登場します。第1幕第1場のアリア《色褪せた花の茂みの露のように》を歌いあげる場面は「カッコイイ!」の一言です。

ドンナ・エルヴィーラ役のフレーニはやっぱり可愛らしいです。エルナーニ、ドン・カルロ、シルヴァの3人から愛される役柄ですから、このくらい可愛くないと…。第1幕第2場のアリア《エルナーニ、私を奪って逃げて》から最終場面に至るまで、歌手としてピークを迎えたフレーニが美声を存分に聴かせてくれます。

ドン・カルロ役のブルソンは、《ファルスタッフ》とは全然違う(当たり前だろっ)存在感です。かつて《椿姫》のジェルモンを観たことがありますが、やっぱりヴェルディにはこういう深い声のバリトンが必要不可欠です。特に第3幕《若き日々よ》を深く歌い上げた後、神聖ローマ帝国皇帝の姿で再び登場した時の堂々たる佇まいは圧巻です。

シルヴァ役は敵ながらあくまでも貴族ですから、ただの嫌なオヤジではダメなわけですが、ギャウロフにその心配は無用です。私が初めて生で観たオペラのはヴェルディの《ドン・カルロ》で、その時にスペイン国王フィリッポ2世を歌ったのがギャウロフでした。その気品高い姿に感動しましたが、この映像でもその気品ある敵役を演じています。

そして、特に前半期のヴェルディのオペラで忘れてならないのが合唱の魅力です。ヴェルディの生きた時代、イタリアは今のような国ではなく多数の小国に分かれ、一部はオーストリアの支配下にありました(かの皇妃エリザベートもオーストリア統治下の北イタリアを訪れています)。そこから脱却して再統一と独立の気運が高まる中、ヴェルディのオペラが熱い支持を受けた要因の一つに、作品に挿入された愛国的な合唱曲の素晴らしさがありますが、この《エルナーニ》にも、第3幕でドン・カルロに反旗を翻す一党が歌う《カスティーリャの獅子よ、目を覚ませ》という男性合唱曲があります。日本ではあまり有名ではありませんが、イタリアでは高い人気を集める合唱曲の一つです。

ムーティはこの当時41歳、指揮者としてはまだ若手と言えるですが、その若さを遺憾無く発揮していて、情熱に溢れつつも、盛期イタリアオペラらしいすっきりとした音楽構築は、ムーティの面目躍如といったところでしょうか。

日本ではあまり上演されることのない演目ですが、卓越したメロディーメーカー、ヴェルディならではの音楽的魅力が満載のオペラです。
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ドヒャ~ッ?!w(゜O゜)w

2012年04月29日 19時19分37秒 | 日記
無事に表参道での仕事を終えて、新宿経由で座って帰るべく、原宿駅へ向かいました。そうしたら、神宮前の交差点に何だかものすごい人だかりの建物が!

何だろうと思ったら、先週オープンしたばかりの《TOKYU PLAZA》でした。何でも、本邦初出店のブランドを含めて、結構な数のブランドショップやカフェ等が入ったものらしいです。

今までにも、どんな新店舗を作ってどんな新ブランドを誘致しても、盛況なのは最初のうちだけ…そうやっていろんな商業施設が現れては消えていきましたが、さて、この商業施設は一体どのくらい、今の盛況ぶりを維持できますでしょうか…。
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こんなだったの?!

2012年04月29日 18時05分45秒 | 日記
今年は明治天皇が崩御されてから100年の節目の年にあたるのだそうです。それと春の大祭とに関係して、参道には大政奉還から東京奠都、明快維新、憲法発布等様々な明治天皇の功績と、崩御から大喪、そして明治天皇を御祭神とする明治神宮を造営するまでの略歴がパネルで紹介されています。

その中に、明治神宮が造営される前の状態の写真パネルがありました。それが上の写真です。驚くまいことか、ここは本当に脆弱な針葉樹がぽつぽつと生えているただの荒れ地だったのです!今の豊かな緑を見るだに、あまりの違いに目眩すらおぼえます。

この荒れ地の状態から、100年単位の展望を持ってこの神宮の豊かな森を作り上げた先達に、改めて敬意を表さずにはいられません。
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つつじ山

2012年04月29日 17時52分03秒 | 神社仏閣
御苑の北出口近くに《つつじ山》と名付けられた一角があります。文字通り、様々な色合いのツツジが植えられています。

ただ、ここに植えられているツツジは全体的に花が小振りなものが中心になっているようです。もしかしたら昭憲皇太后のお好みだったのでしょうか。こんなところにも明治天皇にお人柄が偲ばれます。
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パワースポット

2012年04月29日 17時23分52秒 | 神社仏閣
折角御苑に来たからには、一応ここにも御挨拶を…ということで《清正井》に来てみました。

この暑い日に、やはりここだけはひんやりとした独特の空気に包まれています。その森の中で、こんこんと湧き上がる水はどこまでも澄んでいました。

私が来た時にはたいした人数がいなかったので割とスムーズに順番が回ってきたのですが、一通り写真を撮ってふと顔を上げたらとんでもない人数が並んでいて、ビックリして慌てて引き上げて来ました。
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清し苑

2012年04月29日 17時11分07秒 | 神社仏閣
折角ここまで来たので、明治神宮御苑まで足を運んでみました。ここはかつて明治天皇が昭憲皇太后のために造営した庭ということで、徹底的に美しく作りこまれた庭園が広がっています。

南池の近くのカエデとツツジです。ここのツツジは木陰に咲いているので、まだ五分咲きといったところです。その上にカエデの木が、目にも鮮やかな新緑の葉をいっぱいに広げて、午後の光をやわらかくしてくれています。
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お幸せに…

2012年04月29日 13時47分11秒 | 神社仏閣
自分でブライダルの仕事をしに来ていてすっかり忘れていましたが、そう言えば今日は大安吉日でした。だから、小一時間程滞在していた間に、この組だけではなくて4~5組くらいの嫁入り道中が目の前を行き交っていました。

今時の花嫁さんは和装でも頭を島田にしないで、成人式の時みたいに地髪をアップにして花をあしらったりしていることが多くなりましたが、この花嫁さんはちゃんと島田髷に綿帽子を被っての登場でした。やっぱり白無垢姿にはこのかたちが似合います。

山吹重ねの狩衣に紫の袴姿の神職と、白被服に丹色の袴姿の巫女に先導されて、緋傘の下を静々と進む白無垢綿帽子姿は何とも言えず優雅でした。どうぞ幸多からんことを…と、陰ながら御祈念申し上げたのでした。
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偶然

2012年04月29日 13時32分21秒 | 神社仏閣
お参りをしていたら、本殿の方から厳かな太鼓の音が響いて来ました。

何だろうと思っていたら、ちょうど夫婦楠の前の回廊の扉から嫁入り道中が出て来ました。このパワースポットを経由して行くあたり、何とも心憎い演出です。
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清し宮

2012年04月29日 13時26分37秒 | 神社仏閣
拝殿前です。ゴールデンウイーク前半ということで、かなりの人で賑わっています。

今、春の大祭中で、今日も11:00からここで舞楽奉納があったようです(画面右側中程に舞台がちょっとだけ写っています)。熊谷の仕事がなければ見に来たかった…(T_T)。

ところで明治神宮といえば昨今、神苑にある《清正井》がパワースポットとして有名ですが、以外と知られていないパワースポットが画面左側に写っている《夫婦楠》の周辺です。注め繩が渡してあるのですぐに分かると思いますが、この楠の下はちょっと空気が違っていて、木の傍にいると体がふわ~っと暖かくなってきます。感じるか感じないかは個人差があると思いますが、興味のある方は行ってみて下さい。
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信じられない…

2012年04月29日 13時06分08秒 | 神社仏閣
朝早くに熊谷まで行って、それから一気に移動して表参道へ来ました。で、表参道での仕事が始まるまでだいぶ時間が空いているので、明治神宮にお参りすることにしました。

一の鳥居をくぐると深い森が続きます。ここに来ると、この森が人の手で作り上げられた『人工の森』だということをすっかり忘れて見入ってしまいます。
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気になる…

2012年04月29日 08時13分11秒 | 日記
今日は仕事があるので、朝早く出かけました…(´Q`)。oO

駅へ向かうバスを待っていた時、2車線の右折車線に来た車が何らかのことでちょっとよろけたのです。瞬間、昨今の登校途上の小学生が巻き込まれた京都・亀岡や千葉の事故の映像がフラッシュバックしました。

亀岡や千葉の事故の原因は、どちらも判で押したように「ボ~っとしていた」というものでした。私は免許を取得していないので車の運転をしないのですが、そのことを差し引いても考えられないのです。人間自身では有り得ないくらいのスピードで走る『金属の塊』を操作している時に「ボ~っとしていた」だなんて…。

でも、自転車でもありますが、何でも『慣れてきた頃』が一番危ないということもあるかも知れません。自転車だと、最初はある程度真面目に運転していても、そのうち慣れてくると片手をポケットに突っ込んでみたり、最近だと携帯をいじりながら運転してみたり…で、そういう『いらんこと』をしている時に限って、歩行者や電柱にぶつかったり車と接触したりといった事故を起こしやすいものです。

今回の不幸な事故を引き起こしたのも、亀岡の無免許は論外ですが、それでもこの少年はバイクから無免許運転をしていたようですから運転歴自体は決して短くはないでしょうし、千葉の事故を起こしたのは20歳の青年…仮に彼が18歳で免許を取得したとして、ある程度運転に慣れてきた頃だったでしょう。でも、いくら『慣れてきた頃』とは言え、現場は歩道と車道の境目のない細い道で、しかも通学路だったり通学のためのバス停だったりするところであれば、尚更緊張感を持たなければならなかったことに違いはありません。

《徒然草》の中で、兼好法師が庭師の親方から「一番危ないのは高い木の上にいる時ではなく、ある程度下りてきて『もう少し』と思っている辺りだ」という話を聞いて、いたく感心するというくだりがあります。兼好法師からしてみたらず~っと身分の低い庭師の話も『プロフェッショナルの金言』と受け止めて、そこから学ぼうとしている探究心を窺わせるような話ですが、これは一連の事故にも十分に当て嵌まることではないかと思います。

かつて所属していた楽団の大先達が仰ったことの中に「『慣れ』は『馴れ』に通ず」という言葉がありました。これは、若輩がある程度現場に慣れてきた頃に探究心を失ったり研究を怠ったりしかちなことを戒めるために仰った言葉ですが、この言葉はあらゆる場面に適合する名言だと思って大切にしています。各人それぞれにそれぞれの分野で初心を忘れることなく、敬謙な気持ちと適度な緊張感をもって行動すれば、より良い世界を拡げていけるのかも知れません。自戒の念も込めつつ…。
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オペラ鑑賞記 《ファルスタッフ》編

2012年04月28日 23時50分50秒 | 音楽
今日からゴールデンウイークですね。暖かい陽気に誘われて行楽地にお出かけされたり海外に脱出されたりと、いろいろな過ごし方を満喫しておいでのこととお慶び申し上げます(祝辞かよ…)。

そんな中、ヒマだけあってお金のない私は(-_-;)、今まで何度か見た後ほったらかしにしていたオペラのDVDを見直してみよう!と思い立ちました。最初は一日に2~3本みよう…なんて思っていたのですが、さすがにオペラ鑑賞は映画鑑賞よりも集中力と体力(?)を使うので、無理をしないようにしてみました(ナンノコッチャ…)。

とりあえず最初は喜劇が観たいなと思ってチョイスしたのは、イタリアオペラの巨匠G.ヴェルディが最後に作曲したオペラ《ファルスタッフ》です。シェイクスピア作の喜劇《ウィンザーの陽気な女房たち》が基になっています。ストーリー的なものはウィキペディアを始めとして様々なサイトに載っていますので、ここでは割愛します。

いくつかDVDが発売されていますが、私が観た中で一番いいと思ったのが、1982年7月、ロンドンのコヴェント・ガーデン・ロイヤル・オペラ・ハウスの公演を収録したものです。
(ワーナー・ミュージック・ジャパン WPBS90228)


サー・ジョン・ファルスタッフ…レナート・ブルソン

ピストーラ…ウィリアム・ウィルダーマン

バルドルフォ…フランシス・エガーソン

カイウス…ジョン・ドブソン

フォード…レオ・ヌッチ

フォード夫人アリーチェ…カーティア・リッチャレッリ

ナンネッタ…バーバラ・ヘンドリックス

フェントン…ダルマシオ・ゴンザレス

ページ夫人メグ…ブレンダ・ブーザー

クイックリー夫人…ルチア・ヴァレンティーニ=テラーニ

コヴェント・ガーデン・ロイヤル・オペラ管弦楽団・合唱団

指揮…カルロ・マリア・ジュリーニ

演出…ロナルド・エア

美術…ハイデン・グリフィン

衣装…マイケル・ステンネット

映像監督…ブライアン・ラージ

こういう喜劇的なオペラは、ともするとアメリカのドタバタテレビドラマみたいな、見た目にわかりやすく爆笑を誘おうとする演出をされてしまう危険性が高いのですが、さすがシェイクスピアの本場イギリスでの公演だけあって、キャラクターそれぞれが内に秘めた上品な毒のあるユーモアが匂いたち、思わず「プッ…(^w^)」と笑ってしまいます。ジュリーニの紡ぎ出す引き締まった音楽構築も心地よく、第1幕第2場終盤の混み合ったアンサンブルも、スッキリと聴かせてくれます。

キャストも豪華です。タイトルロール(主役歌手)のレナート・ブルソンは、お金に窮していながらも『武士は食わねど高楊枝』的な建前と貫禄たっぷりのファルスタッフを見せてくれますし、レオ・ヌッチも何とも短絡的でどことなくマヌケなフォードを可笑し味たっぷりに演じています。

女性陣も豪華です。アリーチェ役のリッチャレッリは、本当に楽しみながらファルスタッフに対してイタズラを仕掛け、娘のナンネッタ役のヘンドリックスもコケティッシュな演技でゴンザレスとの若々しいカップルを楽しんでいます。

そして秀逸なのがクイックリー夫人役のテラーニです。古い言い方で表現するなら『上流階級ならではの海千山千の年増』という貫禄に満ち溢れて、アンサンブルの中でも要的な安定感を遺憾無く発揮しています。こういう『正真正銘のアルト歌手』が、世界的にどんどん少なくなってしまっているような気がして残念です。

最終場面、コーラスを随えたキャスト全員が一列に並んで『この世は全て冗談。人は皆道化師』と含み満載の大フーガを聴かせます。それまで散々悲劇を書いていろんな役柄を死に追いやったヴェルディが人生の最後に書いたのは、ちょっぴりほろ苦くもこんなに楽しい喜劇だったことが嬉しくなります。オペラとかシェイクスピアとか聞くと難しそう…と思われるかも知れませんが、話の内容そのものは単純明快なので楽しめると思います。興味のある方は御覧になってみては如何でしょうか。
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今日の《cafe32°F》

2012年04月27日 16時16分25秒 | 日記
朝から小雨が降ったり止んだ…と思ったらそうでもなかったりという、何とも煮え切らないお天気になっております。

そんな中、今日も《cafe32°F》にお邪魔しました。今日はシフォンケーキのセットです。しかも今日は紅茶のシフォンケーキです。フワ…っと口に拡がる紅茶の香りが素敵です。嬉しいですね。

どうも、私が以前ココアのシフォンケーキをブログに載せた際「プレーンもいいけど、たまにフレーバーシフォンもあると嬉しい」みたいなことを軽~い気持ちで書いちゃったことを考慮に入れて頂いちゃったみたいなのです。

オープン当初から伺っていろいろとお話させて頂いている客の一人とは言え、思わぬところで個人の影響力があまり大きくなり過ぎるのも何だな…と思って恐縮したりもしたのでありました…f"(^_^;。

連休中も営業されているそうですので、このブログを御覧になってお店のことが気になっている方はいい機会ですから、横浜散歩を兼ねてお出かけになってみては如何でしょうか。

《cafe32°F》 ホームページ
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贅沢な練習

2012年04月26日 14時14分18秒 | 日記
今日は教室が始まる前に、来月26日のジョイントリサイタルの練習をすることになりました。しかし、ただ練習ったって面白くないので、ちょっと贅沢な場所を練習場に借りることにしました。

ここは横浜の鶴見駅の隣にあるサルビアホールという200人弱くらいの小音楽ホールです。そう、なんとホールリハーサルです。。

本当はお客さんがいっぱい入るとちょうどいい響きになるのだと思いますが、客席に誰もいないと、まるでお風呂場で弾いているみたいに響きまくってしまうので、つい気持ち良くなってきて、あたかも完璧に弾けているかのように勘違いしてしまいそうになります…ある意味キケンな練習場です(じゃ何で借りたんだよ…)。
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