前回ネタにしたフォリナーの新作『Can't Slow Down』だが、結構売れているらしい。アマゾンで見てると、在庫あり→1点在庫あり、注文はお早めに→3日から5日後に出荷→在庫あり→注文はお早めに→3日から5日後に出荷、と在庫状況が目まぐるしく変化しており、順調に注文が来ている様子が窺える。そのアマゾンのランキングでも、一時は70位(ロック部門)になっていた。実に喜ばしいことである。このまま売れ続けて欲しい。まだ買ってない人は、是非ポチッとどうぞ(笑)
さて、今月のレコード・コレクター誌(以下レココレ)だが、なんと特集はガンズ&ローゼズである。久々の来日に合わせたのだろうか。
ガンズの1st『アペタイト・フォー・ディストラクション』が出たのは1987年だそうで、もう22年(!)も前のことになる。当時、友人に話題のニューバンドってことで、聴かせて貰ったけど、特にいいとも思わず、興味も持たなかった。が、このアルバムは売れまくり、ガンズはアルバム1枚でトップバンドにのし上がった。以降の活躍というか、お騒がせぶりは皆さんご存知の通り。去年の今頃、ほぼ14年ぶりという新作を発表して話題を集めていたのも、記憶に新しい。アルバム制作に14億円かかった、なんてホントかよ?って感じだったけど(笑)
レココレが特集するアーティストの基準というのは、最初のレコードを出してから15年以上経過していること、という話を聞いたことがある。その線でいくなら、ガンズも1stから20年以上経過しているのだから、立派に条件を満たしている訳で、レココレのネタになっても不思議ではないのだが、1stからこれまでの間に発表したアルバムが、最新の『チャイニーズ・デモクラシー』を含めても6枚、というのは、レココレで特集するには、ちと少ないのではないか? デビューから30年でアルバム5枚、というボストンより遥かにマシだけど(笑) ちなみに、ボストンはまだレココレのネタにはなってないけど、この先特集される可能性は少ないと思う。ま、せめて、レココレで特集するなら、“デビューから15年以上或いはアルバム10枚以上”を、最低基準にして貰いたいものだ。
レココレ今月号は、メインの特集がガンズで、その次がストーン・ローゼズの元メンバーへのインタビューである。なんでも、ストーン・ローゼズの1st『石と薔薇』が発売されてから今年で20周年なのだそうで、20周年記念盤が出たらしい。今回のインタビューも、それに合わせてのものだ。それにしても、ガンズ&ローゼズだけでなくストーン・ローゼズまで20年とは...痛切に時の流れを感じてしまうのである(笑) どうでもいいことだが、名盤との誉れ高い『石と薔薇』、僕は聴いたことない。
レココレによると、ガンズ&ローゼズは「カッコよく華やかで衝動的で、危険な香りのするロックバンド」であり、「本当の意味でロックバンドらしいバンド」であり、「最後のロックバンド」なのだそうな。分かるような気もする。70年代には、ああいうバンドって有名無名問わずゴロゴロしていたような気がするが、近頃では見かけなくなった。ガンズみたいなスタイルは、今では流行らないのもかもしれない。ガンズはほとんど聴いてないけど、ガンズみたいなバンドが少ない、という現況は悲しいものがある。
「危険な香り」というのも、なんとなく分かる。10代初めの頃、僕にとってロックという音楽は、興味はあるんだけど、反面近寄りがたいものでもあった。なにかこう、若造が興味本位で触れてはいけないような感じがしていたのである。ハマるとヤバいぞ、みたいな(笑) それこそ、かつてのロックが持つ「危険な香り」というものだったのではなかろうか。それは、ビートルズやクイーンより、ローリング・ストーンズ、デビッド・ボウイ、ピンク・フロイド、といったあたりに強く感じた。暗いとか重いとか、サイケっぽいサウンドとか、なんとなく不穏とか、そんなイメージである。ロックを聴き始めた頃、階段をひとつ上ったような、一種の誇らしさみたいなものや、禁断の果実を食べてしまったかのような、もう後戻りは出来ないぞ、みたいなものを感じた覚えもある。あれこれと聴いてるうちに、そんな感覚は麻痺してしまったけど(笑)、今でも『ベガーズ・バンケット』『レット・イット・ブリード』の頃のストーンズ、初期のボウイやフロイドを聴くと、そんな感覚が甦ることもある。ガンズが、決してこういったバンドたちと同傾向とは思わないが(モット・ザ・フープルとか初期のエアロスミスの方が、ガンズに近いと思う)、ガキの頃の僕が持っていた「ロック=危険な音楽」というイメージを、体現していたのは確かだ。もし、僕が10歳くらいの頃にガンズを聴いていたら、いけないと思いつつ、その「危険な香り」に惹かれていたのかもしれない。
僕は、どちらかというと、昔も今も、「危険な」ロックよりエンタテインメント性の強いのが好きなのだが、「危険なロック」を体現するバンドは、やはり必要だと思う。単に、見た目や素行だけじゃない、「危険な」バンド。近寄っちゃいけない、だけど惹かれていくのは何故?みたいな(笑) それこそロックの本質であり、魅力でもあると思うからだ。ロックというのは、本来ガキのものではない。自らを律することの出来る大人が聴いてこそふさわしい。だからこそ、ガキはロックに憧れたのだろう。
ヤクやって早死にするのがロックだ、と言ってる訳ではないので、勘違いしないように(笑)