中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

主治医への謝礼

2013年07月04日 | 情報
一般的に、うつ病をはじめとする精神疾患り患者は、主治医の問に正直に答えません。
さらに勤務している事業所・会社の状況を、正確かつ詳細に語れるような精神状態にありません。
主治医側からみると、特に精神科の分野においては、治療にあたって、り患者の生活がどのようなものであるか、
患者がどのような環境下で精神疾患をり患したのかをの知ることが必要になります。
一方、会社側にとっても、その主治医に会社・事業所の考え方、事業の内容、当該従業員の業務内容、職場の人間関係等を説明することは、
診断に必要な情報提供ですし、当該従業員が復職する際の主治医の判断に必要な、重要な情報提供作業でもあると云えます。

そこで、主治医と日程調整をして、会社・事業所の考え方、事業の内容、当該従業員の業務内容、職場の人間関係等を
説明することになるのですが、当然に30分から60分の時間が必要なります。
主治医は、診療時間において、会社側から説明を受けるわけですから、無料というわけにはいきません。
ここに、主治医に対して謝礼を支払う理由があるわけです。

それでは、どのくらいの額が適当なのか? 今のところ、謝礼には決まりも標準額もありません。
しかし、精神科医の先生や団体に取材しますと、謝意を示してくれればそれでいいのだ、という先生から、
はっきり言わない先生まで多様な回答がありましたが、どうやら5,000円から1万円程度という感触を得ました。
いろいろなセミナーや顧問先へのアドバイス、あるいは問い合わせに対して、30分から1時間の面談・説明に
5,000円から1万円程度の謝礼が必要ですと回答していますが、今のところ不満やトラブルはないようです。

因みに、
・主治医に事前に説明する
・主治医に謝礼を支払う
の2点については、拙著『中小企業の「うつ病」対策』で、具体的な対応として、初めて言及したものです。
それまでの参考文献や類書には、全くない対策ですので、
精神科医の先生をはじめ、多くの関係者から感謝されています。
実は、精神科医の業界では、貴重な診療時間を割いて説明を受けているのに、
会社関係者は謝意すら示さない、という不満が渦巻いていたのです。

拙著の刊行以後、上記の2点については、企業の人事労務担当や産業保健スタッフのみなさんに、相当普及してきたと感じていますが、
まだまだ、いろいろと問い合わせをいただいていますので、あらためて紹介しました。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする