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■澁谷俊彦展 White Garden (2016年6月21日~7月3日、札幌) ※画像を追加しました。

2016年07月04日 20時53分19秒 | 展覧会の紹介-現代美術
Toshihiko Shibuya is an artist,based on Sapporo,Japan. His solo exhibition held was in To Ov Cafe,Sapporo.

 澁谷俊彦さんの近年の活躍はめざましい。

 とりわけ東南アジアなど海外での発表が毎年のようにあり、海外のメディアでも取り上げられる回数も目立って増えている。
 最近の澁谷さんの作品は、反射光を取り入れた立体やインスタレーションが中心だ。
 このうち、ことしの冬にクラークギャラリー + Shift ギャラリーで展示し、今回もト・オン・カフェのカウンターの後ろに並べた「ホワイトコレクション」シリーズは、美術館やギャラリーといった室内でも展示ができるようになっているが、今回のメインであるインスタレーションは、ほとんどの場合、屋外に展示され、北海道の厳しい自然とのコラボレーションという形での発表スタイルを取っているのである。
 今回のインスタレーションも、昨年12月からことし3月にかけて道立帯広美術館が開いた「思考するアート コトバノカタチ」展で、同館の中庭に設置したものだ。



 ところが、この冬の帯広地方は例年に比べて非常に雪が少なく、作者が意図していたような、板の裏側に塗られていたピンクや黄色が雪面に反射する光景はなかなか見られなかった。

 もちろん、筆者は、作者の計算違いを責めているのではない。
 自然は人間の意図の通りにはならない。そういう自然を征服するのではなく、共存していくことが、21世紀の人類に求められているのだから、澁谷さんのアートはすぐれて現代的なあり方を体現しているといえるのだ。

(雪が少ないのはまだいい方で、筆者はわざわざ小樽まで行って、雪に埋もれて見ることができなかったという経験を2度もしているのだ。いまとなっては、笑い話である)

 したがって、今回のように、外界の変化を受けないかたちでこのタイプのインスタレーションを発表することは、あまり多くない。
 しかし、よく観察していると、日が雲から出たり、かげったりするたびに、ト・オン・カフェの大きな窓から差し込む光線は、微妙な変化を見せる。

 
 筆者は昼に行ったのだが、夕方や夜間はまた、異なった表情を見せていたことだろう。

 澁谷さんのインスタレーションは、ホワイトキューブでの発表からますます遠ざかっていく。
 それは、ホワイトキューブが現実社会から隔絶された空間の隠喩とするならば、澁谷さんのアートは、いっそう現実社会とコミットするようなあり方を志向しているのだ―と言い換えることもできるかもしれない。


 最後に、帯広美術館での展示風景を、参考までにアップしておきます(→会期中にさっさと紹介しておけよと言われそうですが…)。



 作家本人から画像の提供を受けました。2月21日に撮影したものを追加しておきます。




2016年6月21日(火)~7月3日(日)午前10時30分~午後10時(日曜~8時)、会期中無休
(中央区南9西3 マジソンハイツ1階 ト・オン・カフェ)

http://toshihikoshibuya.com

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