
藤本さんと澁谷さんの合作で、題は「garden」。
綿密な打ち合わせを重ねただけに、非常に統一感の取れた会場になっている。
現代アートで庭を造ってみたという感じだ。
大きなガラス窓で外へとつながる構成の空間だけに、日本の庭園の借景という考えにもつながるものがある。
「日本の空間の見え隠れ、みたいなものを、この空間で表現できるのではと思ったのです」
と藤本さん。

澁谷さんは、最近の個展で発表している白い正方形の台の上に、上部に青や緑の絵の具の飛沫を散らした石こうの大小の半球を配した。
藤本さんは、昨年の春に、空知管内長沼町で採取したイタドリの枯れたものを白く着彩して束ねた。
まるで森だ。
イタドリは、あるいは道外の方はなじみがないかもしれないが、北海道の原野や道端にはやたらとはびこっている雑草で、ときには背丈が3-5メートルにも成長する。そのくせ、秋になると、焼け野原のように枯れてしまうのだから、筆者は毎年「無駄なエネルギーだなあ」
と妙な感心をしているのだ。

途中で切ったイタドリ。カレンダーかなにかの紙を束ねて丸めたようにも見える。
床の上には白く塗った小石が敷かれ、こうなると、もはやどちらの作品ともいえない。まったくの合作である。
藤本さんは以前、北海道立体表現展に、黒く塗ったイタドリによる作品を出したことがある。
会場の統一感ということでは、白の方がふさわしいのだろう。おそらく夜になると、明暗の差がつきすぎてしまう。

前庭にあたる部分にも作品が置かれ、中との連続性が表現されている。
ちなみにこの画像の立体は、ドラム缶の底部を変形させたもの。

シャッタースピードは1秒。
夜になると違った光景が見られるのだろう。
都市の風景も借景には違いない。わたしたちをとりまく環境であることには変わりないのだから。
むしろ、都市の中でもわたしたちは自然を感じながら生きているということを、あらためて認識させてくれるのが、庭であり、このインスタレーションであるといえるのかもしれない。
2009年8月12日(水)-17日(月)10:00-19:00(最終日-17:00)
ギャラリー創(中央区南9西6 地図F)
・市電「山鼻9条」徒歩1分
・地下鉄南北線「中島公園」から徒歩5分
・じょうてつバス「南7西11」から徒歩7分
・中央バス「中島公園入口」から徒歩9分
(ト・オン・カフェからだと徒歩6分ほど)
□澁谷俊彦さんのサイトhttp://toshihikoshibuya.com/
■さいとうgallery企画 第15回夏まつり「星・star」展(2009年7月、画像なし)
■北海道立体表現展'08(画像なし)
■『カナコ雪造カンパニー』~除雪原風景へのオマージュ~(2008年)
■PLUS1 groove(2007年)
■北海道立体表現展(06年、画像なし)
■グループプラスワン展(2006年)
■北海道立体表現展(03年、画像なし)
■畑俊明 藤本和彦 コラボレーション展(画像なし、02年)
■地上インスタレーション計画(01年)
■北の創造者たち2001(画像なし)
=以上、藤本さんが出品
■澁谷俊彦展-森の雫09- 茶室DEアート (2009年7月)
■澁谷俊彦個展-青い雫09-
■澁谷俊彦展 森の雫(2008年3月) ■つづき
■渋谷俊彦個展(07年11月)
■絵画の場合展(07年1月)
■渋谷俊彦展-瞑想の森-(06年9-10月)
■絵画の場合2005
■絵画の場合2004
■渋谷俊彦展-大地の記憶(04年)
■渋谷俊彦展-森の鼓動(03年)
■渋谷俊彦展(02年)
■二人展「交差する座標軸」(02年、画像なし)
●PLUS 1 Groove
=8月7日(金)-16日(日)10:00-19:00、コンチネンタルギャラリー(中央区南1西11 コンチネンタルビル地下 地図C)。メンバーは前回と同じ谷口明志、千代明、田畑卓也、坂東宏哉、藤本和彦、齋藤周、ダム・ダン・ライの7氏
●PLUS 1 +柴橋伴夫企画 空間の触知へ-連鎖の試み 千代明 秋山一郎 齋藤周
=8月4日(火)-16日(日)10:30-22:00(日曜-20:00)、期間中無休
ト・オン・カフェ(中央区南9西3 マジソンハイツ)
●PLUS 1 +柴橋伴夫企画 空間の触知へ-連鎖の試み 谷口明志 坂東宏哉 大島潤也 ダム・ダン・ライ
=8月11日(火)-23日(日)10:00-19:00(最終日-17:00)、月曜休み、ギャラリーエッセ(北区北9西3 地図A)