Toshihiko Shibuya "SNOW PALLET”
札幌在住で、モノタイプ版画から、近年は発表会場を意識した独特のインスタレーションを展開している澁谷俊彦さん。
今回のモエレ沼公園での発表は
雪を使った、しかし雪像ではないアート
という意味で、劃期的な、これまでにないタイプの作品だといえそうだ。
雪景色を題材にした絵は、これまでおびただしい作品が描かれてきたが、雪そのものを作品に取り込んだのは、美術史の中でも初めてではないかと思う。
基本スタイルはこれまでとおなじ。
円盤の下部に塗った明るい色彩が、すぐ下の白い面に反射して見える。
従来は白い板や床だったりしたものが、雪になっているのだ。
ダン・フレンヴィンみたいに、電気仕掛けで作品が発光しているのではないし、ろうそくなどが仕込まれているのでもない。
雪の上に見えているほのかな色彩は、あくまで反射光によるものだ。
そのために、クリアな色調でありながらも自己主張しすぎない、控えめなたたずまいになっているのだろう。雪のやわらかさが、適度に色の光を吸い込みつつ反射し、東洋的とでも言えそうな静けさを演出している。
繊細な光と色の作品であるだけに、ガラスのピラミッドの窓越しにしか見られなかったのが、唯一惜しまれる。
まあ、保守管理の面などを考えれば、どか雪や暖気の直撃を受けず、作品が見られたことに感謝すべきなのだろうが。
このインスタレーションは、毎冬展開されている「snow scapemoere(スノースケープモエレ)」の展示の一環。
ほかの展示については別エントリで紹介する。
時間の都合で筆者は、レクチャーやワークショップには参加できなかった。
2011年2月18日(金)~20日(日)11:00am~5:00pm(19日は~8:00pm)
モエレ沼公園ガラスのピラミッドとその周辺
□snowscape moereのサイト http://www.sapporo-park.or.jp/moere/ssm/2011/
□澁谷俊彦さんのサイトhttp://toshihikoshibuya.com/
■PLUS ONE THIS PLACE(2010年9月)
■PLUS 1 +柴橋伴夫企画 空間の触知へ-連鎖の試み 藤本和彦 澁谷俊彦(2009年8月)
■澁谷俊彦展-森の雫09- 茶室DEアート (2009年7月)
■澁谷俊彦個展-青い雫09-
■澁谷俊彦展 森の雫(2008年3月) ■つづき
■渋谷俊彦個展(07年11月)
■絵画の場合展(07年1月)
■渋谷俊彦展-瞑想の森-(06年9-10月)
■絵画の場合2005
■絵画の場合2004
■渋谷俊彦展-大地の記憶(04年)
■渋谷俊彦展-森の鼓動(03年)
■渋谷俊彦展(02年)
■二人展「交差する座標軸」(02年、画像なし)
渋谷俊彦展は心を鎮める、坐して眺める世界観のように思います。
今年も展覧会はあるのでしょうか?
ぜひ、観たいと思っています。
ただし、今回のは雪がないと難しいので、しばらく見られないかもしれないですね。来年あたり、芸森の中庭あたりでやらないかな~?
これからもよろしくお願いいたします。