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■渋谷俊彦個展 (11月13日まで)

2007年10月20日 00時00分15秒 | 展覧会の紹介-現代美術
 
 この秋、札幌・円山地区の4つの会場でひらかれる「絵画の場合2007」。
 くわしくは、公式サイト(下の方にリンクはってあります)をごらんいただき、ぜひ会場にも足を運んでほしいのですが、そのトップを切って、メンバーの渋谷俊彦さんの個展が、18日に始まりました。

 冒頭の画像は、カウンターの奥のほうの席から見た景色です。
 なかなか作品をながめるのに適した場所ではないかと思います。



 なんといっても、奥の壁の大作「森の雫」が圧巻。
 無数の点が、画面を埋め尽くしています。
 39枚の正方形のパネルは、じっと見ていると、こちらが吸い込まれていきそうなほどの深みをたたえています。
 渋谷さんの目に映った森が、ここに再現されているといえるのかもしれません。しかも、エスキス独特の青い壁に映えるような色が意識的に用いられています。ほとんどは新作だそうです。
 この作品を見るなら、テーブル席のほうがいいですね。


        

 ことし1月の、アリアンス・フランセーズ札幌で開かれた「絵画の場合」展で初登場した「Twist」のシリーズ。
 「絵画の場合」のメンバーと議論するうちにインスパイアされたとおぼしき、平面とはなにかを問う作品になっています。つまり、どっちが表で、どっちが裏か、ということについて、見る人に考えさせるのです。
 表面の飛沫は、「森の雫」と類似していますが、全体のフォルムや仕上がりがスマートなあたりは渋谷さんらしいですね。

 それにしても、おなじ色の壁のはずなのに、ずいぶん青のトーンがちがってしまいました。
 カメラマンにはむずかしい会場です。


               

 ふだんはフライヤーなどを置いている、入り口近くのスペースにも、「Twist」シリーズが立てかけられています。
 おかげで、フライヤーの棚は、玄関前に押し出されてしまいました。


 昨年CAI(現代芸術研究所)でひらいた個展にも登場していた「瞑想の森」は、会場のあちこちに点在しています。
 お店がすいている時間帯を見計らって、ほかのお客さんのじゃまにならないように店内を探検するのも楽しいでしょう。

           

 これは、入り口に近い、芳名帳が置いてあるテーブルの上です。


           

 隅の丸テーブルがある一角。


           

 カウンターの後ろの窓際。
 逆光で、写真としては失敗しています。
 夜にでももう一度撮りたいと思います。


                

 カウンターの奥の、本などが置いてあるあたりにもあります。
 いずれも、側面は白。上部は赤系が基調のようで、これはいまの紅葉の季節にぴったりですね。


 渋谷さんの作品は、原始の自然がすぐ近くに残る札幌ならではのものだと思います。
 微妙な季節のうつろいをキャッチして作品に反映させる感性は、たとえば「古今和歌集」といった伝統的な季節感に相通じるものがありますが、日本のパターン化された四季の感覚とは、やはり異なるといえるでしょう。
 といって、「北国のロマン」で片づけてしまうのも、ちょっとちがうような気がします。そういうはるかなものへのあこがれとか、はるばるとしたものよりも、微細で、細やかな感覚。それが、渋谷さんの作品の底を貫いているように思うのですが…。


07年10月18日(木)-11月13日(火) 12:00-24:00(日曜・祝日-21:00)、水曜・11月6日休み
CAFE ESQUISSE(カフェ エスキス 中央区北1西23 メゾンドブーケ円山 地図D)

□「絵画の場合」公式サイト http://www5b.biglobe.ne.jp/~artnorth/kaiganobaai07.htm

□渋谷さんのサイト http://www2.odn.ne.jp/t-shibuya/

絵画の場合展(07年1月)
渋谷俊彦展-瞑想の森-(06年9-10月)
絵画の場合2005
絵画の場合2004
渋谷俊彦展-大地の記憶(04年)
渋谷俊彦展-森の鼓動(03年)
渋谷俊彦展(02年)
二人展「交差する座標軸」(02年、画像なし)


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4 コメント

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Unknown (シリウス通信管理人)
2007-10-20 19:01:04
いつもトラックバックありがとうございます。
今回はまだ見ていませんが、
「絵画の場合」も、この記事の渋谷さんの個展も
大変楽しみにしています。
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Unknown (ねむいヤナイ@北海道美術ネット)
2007-10-21 20:52:40
 トラバはこちらがかってに強制リンクをはっているようなものですから、こちらこそお礼を申し上げなければいけません。
 今後ともどんどん送らせていただきますので、よろしくおねがいします。
 良かったらシリウス通信さんも送ってください。
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Unknown (S-toshi)
2007-10-21 21:00:25
ここまで、全作品を紹介していただいたことはなかったです。ありがとうございます。
絵画の場合も始まったばかりですが、2会場とも(あとCAIとミヤシタも)よろしくお願い致します。なるべく、仕事の合間を縫って会場に顔を出せるよう努めます。
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S-toshiさんへ (ねむいヤナイ@北海道美術ネット)
2007-10-22 23:23:02
 うーん、ちょっと詳しすぎましたかね。

 この画像を見て安心せずに、みなさんには現場に足を運んでいただきたいものだと思います。

 お疲れさまでした。
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