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貧しい人が増え、賃金低迷から抜け出せない日本 - 安倍・菅の最低賃金引き上げは矢張り大失敗だった

2022-08-08 | いとすぎから見るこの社会-格差の拡大
賢明な人々が予想していたように、最低賃金引き上げは失敗に終わりつつある。
まず、最低賃金適用の労働者が急激に増加して全体の1割を超えており、
或る研究によると2007年(全体の5%弱)の三倍に迫っている。

そして依然として日本経済の低成長(主要国で最悪レヴェル)・消費低迷は変わらず、
何より「安倍の失われた7年」とそれ以降の実質賃金マイナスも不変
である。
最低賃金引き上げは明白な失敗だったという結論になるのは確実であろう。

実際、与党に対し「贔屓の引き倒し」が目に余る産経新聞ですら
安倍・菅の政権下で延々と低成長が続き、企業の生産性も低迷している事実を認めている。

日本の制度的欠陥に無知なデービッド・アトキンソンは
配偶者控除や第3号の歪みを温存し、企業間競争がユルいまま
最低賃金だけで生産性が改善するかのような机上の空論を唱えていたが、
どうやら氏の生涯に残る黒歴史になりそうである。(因果応報だが)

最近、真相を伝えたのは恐らくWBSだけである。
パート労働者は税・社会保険料負担の増加を嫌って就労抑制を強化、
時給上昇に対して労働時間を寧ろ減らしている
と伝えられている。

▽ 日本の貧困問題の主因は、社会保障が高齢層向けに異常に偏り現役世代には手薄なため

『中間層消滅』(駒村康平,KADOKAWA/角川マガジンズ)


依然として、当ウェブログが何度も警告してきた通りの憂慮すべき状況である。。

「当ウェブログは原理主義的な反格差・格差是正派を批判し、
 互いに助け合わず他人にカネを出させようとする低所得層にも責任の一端があること、
 また、日本が元々平等を好まない、格差肯定の社会である事実を指摘した」

「多くの日本人には非常に悪い癖があり、立場や状況が変わると主張も180度変わる。
 かつて佐藤俊樹・東大教授がいみじくも指摘したように
 「勝てば自分のおかげ、負ければ社会の責任にしたい」のである」

「私立大よりも国公立大の方が格差が大きい。
 つまり高所得者の方が多額の税金を利用して高等教育を受けているということだ」

「もしこれが本当であれば、国公立大学の学費を親の所得によって決めるか、
 所得税を数%引き上げて給付型奨学金に充当する政策が必要である」

「他人に責任転嫁する低所得層にも格差拡大を助長する要因がある。
 反格差論の一層の退潮と再度の経済格差拡大は不可避であり、
 派遣問題のような「火薬庫」が必ずや肥大して炸裂するであろう」

「反貧困運動の通弊として「経済リテラシーがない」
 「根本問題を糊塗した責任転嫁が多い」ことが挙げられるが、
 大学奨学金批判もお決まりのコースを辿りつつあるようだ」

「奨学金批判でも、大竹文雄・阪大教授が何年も前に指摘した
 「弱者と既得権層の政治同盟」が生じつつある」

「何故なら、奨学金批判の先鋒が私立大学の教員で、
 公費投入によって利益を得る集団の一員だからだ」

「日本の私立大学は、人口減と文科省の失政でこれから確実に消滅・破綻が増える。
 今ですら生徒の集まらない大学の教員が募集に駆り出されてふうふう言っている状況だ。
 公費を投入して貰わないと大学職員は厚待遇を失い、路頭に迷う可能性が高い」

「更に、官公労がこの奨学金批判を取り上げるのは「自爆」行為に近い。
 正規公務員が実質的に大企業並みの待遇であるのは公然の事実であり、
 非正規公務員と比較すると「差別」としか言いようのないフリンジベネフィットを得ている。
 一般国民から見れば限りなく特権層に近い」

「官公労が、利権化している退職金の税控除を大幅縮小して、
 給付型奨学金に予算移転して欲しいと主張するのなら素晴らしいが、
 断言してもいい。彼らはそうしない。行動するとしても言い訳程度で終わる」

「当ウェブログは給付奨学金の必要性は認めるが、
 公費濫用を避けるため成績や成果へのコミットが絶対に必要と考える」

「就職パワーが弱い文系大学院に進んで奨学金を借りるといった、
 費用対効果の著しく低い事例には非常に危機感を覚える。
 直接雇用を生み出す資格関連への給付の方が遥かにましである」

「また、大内教授は「自分の子どもさえ良ければ」以上の大問題である、
 致命的な「福祉給付ばかり求めるシルバー民主主義」を理解していない」

「しかも医療でも教育でも、日本は格差に肯定的な社会である。この事実は動からない。
 今の日本は一部の高齢層に異常に資産が偏在しており、彼らは教育にカネを出さない」

「日本人は転落した弱者に冷淡だ。自分の家族をより優先する傾向が非常に強い。
 弛緩した独善的な「上から目線」の奨学金批判では、この「岩盤」はびくともしないであろう」

「武蔵大学の千田有紀教授がYahooニュース個人で熱く語っているので、
 新時代の旗手登場かと思って期待したら、全然違っていた」

「寧ろ、カッとなって言い争いをしているだけなので、失望させられた次第だ。
 ロジックとしても従来のリベラル或いは反貧困派と同じで、重大な論点が抜けている」

「何故か日本のリベラル或いは反貧困派は
 自分達の論が正義で誰か悪役が弱者を苦しめているかのように語り、
 他者に責任転嫁してばかりいる」

「おまけに、彼らが称揚する北欧や独仏が逆進的な重税である事実を黙殺し、
 負担に触れず恩恵だけを強調して幻想を植え付ける始末だ」

「日本は民主主義国であり、「我々有権者」が今の社会のあり方を決めたのだ。
 税負担を嫌がり、我が子にだけ教育投資を行い、他人の窮状を見ないふりをした。
 巨額の公的債務は子孫にツケ回しして、負担してもいない多額の年金給付と医療給付を受け取っている。
 この社会の未来ではなく、豊かな高齢層を更に豊かにするために借金を増やしている」

「だから、ただ日本の奨学金を批判するだけの論者は偽善者である。
 真に有権者としての責務を理解しているなら、
 「私達がより多く納税するから、給付奨学金を増やして欲しい」
 「豊かな高齢者への公費投入をせず、若者の教育に使って欲しい」
 と主張しなければならない。そうでなければモラルハザードになる」

「まず、「ヨーロッパの多くの国」は日本より租税負担率・国民負担率ともに重いので、
 千田教授は(恐らく年間で100万円以上は可処分所得が下がるだろうが)
 「私達に課税して教育予算を増やして欲しい」と主張すべきであろう」

「次に、教育そのものに「階層再生産の側面がある」ことを苅谷剛彦教授が指摘されているが、
 それについてはどう考えているのだろうか」

「本当に「社会的正義の観点」から語るなら、
 富裕な家庭の出身者が多いことで有名な東大の同窓生に対しては、
 「世帯収入が多ければ高額な学費を支払い、給付奨学金に充当すべき」
 と主張し、彼らを説得しなければならないのではないか」

「安倍政権が通貨切り下げで労働者を貧しくし、
 見かけだけ失業率を下げて自慢するという醜態を見せているが、
 エキタスという経済政策リテラシーの全くない集団が
 最低賃金引き上げを叫ぶのも安倍政権と同様の愚行である」

「日本よりも最低賃金の高い欧米の国々は、ほぼ例外なく日本より失業率が高いか、
 国民負担率が日本よりも重いというのが厳然たる事実である」

「最低賃金を引き上げても勤務時間が減ったらどうなるのかという
 ごく当然の発想が全くないエキタスの思考回路も問題だが、
 最低賃金さえ上がれば自分達の得になると安易に妄信することも浅慮の証拠である」

「経済政策に無知なエキタスは、先進国の貧困率をよくよく見るがいい。
 貧困率が低く、平等度の高い社会を築いた北欧は、例外なく重税である」

「先進国における低所得層は、疾病等の理由で働けないか、
 低賃金雇用しかない地域にいるか、労働市場での評価が低いかのいずれかである。
 だから、通常の経済メカニズムでは賃上げに限界がある」

「慶應大学の駒村教授は、貧困対策には増税して公費を投入するか、
 消費者がより高い価格を支払う必要があるとはっきり言明している。
 北欧は現実性のない後者の道を捨て、前者を選んだから低所得層を強力に支援できたのである」

「幻想を抱き最低賃金にばかり固執するエキタスが敗北するのは理の当然であろう。
 エキタスの政治運動は、安倍政権にたっぷり政治献金を払って利益誘導政策を求める
 経済団体の利己的行動と瓜二つである。圧力をかけて自分達の利益を求めるのだから。
 ただ、政治力の差で大企業にはたっぷり返礼、エキタスには朝三暮四の「お情け」しかないだけの話だ」

「更に、世間知らずのエキタスは、実際には自分達の取り分を減らす原因の一つである、
 労働組合とタッグを組み始めるという愚行の上塗りを重ねている」

「労組の正社員の多数派意見は、安倍政権に高額献金を上納する大企業と同じだ。
 増税を拒否し、雇用の安定を求めているのだから、全体最適を無視し自己利益ばかり追求している訳だ。
 エキタスのような非正規層を「雇用の調整弁」として利用している張本人である。
 (だから非正規への支援も安倍政権のような「口だけ」で、カネは渋って他人に払わせようとするのだ)」

「「将来の不安の払拭のための貯金」などという高所得層に有利な主張をしたり、
 「税金を下げる」などという根本的に間違った提案をしたり、
 (弁護士等の高所得層に増税してその予算で貧困対策した方がよっぽど効果がある)
 根本的に社会保障と経済政策のリテラシーのないので教育を受け直した方が良い」

「日本女性の就労率は北欧どころかドイツよりも低い。
 労組に社会保障と経済政策のリテラシーがあれば、
 「妻が働けるように配偶者控除ではなく育児関連の現物給付に転換し、収入増を図るべき」
 と主張するのが正しい。そうしたリテラシーがなく保守退嬰だから責任転嫁の主張になるのだ。
 欧州並みの給付奨学金が欲しいなら、欧州並みの重税を認めてから口を開くがいい」

「最近、文京区の「こども宅食」や渋谷区の「塾代クーポン」など
 漸く子供の貧困問題への取り組みが報じられるようになってきた」

「決して悪い話ではないのだが、残念ながら効果はごく限定的だ。
 しかも費用対効果に対し極めて鈍感なので、自己満足で終わってしまう危険性すらある」

「政策や貧困対策は善意だから良いというものではない。
 より大きな問題を軽視したり、深刻な構造問題を理解していなければ
 結局はただ「自分は良い人間だ」という姑息な言い訳に終わってしまいかねない」

「例えば川崎市の若年層対象の調査によれば現実は非常に深刻で、
 単なる経済格差だけでは済まない問題が浮き彫りになっている」

「貧困世帯は入浴の頻度が少ない、虫歯が多い(治療は低額で済むのに関わらず)、
 家事能力や家計管理能力に問題がある、片付けができない、
 家庭の問題を自覚できない、困った時にどうすれば良いのか分からない、
 何らかの疾患の影響が考えられるケースがある、等々が報告されている」

「ただ善意の給付で問題が改善すると考えるのは、
 かつて欧米がアフリカの貧困支援で失敗した轍を踏むに等しい。
 効果が乏しいだけでなく「援助依存」や「援助貴族」のような副作用も生じる」

「そうした世界の貧困対策の歴史を理解しているのかどうか疑わしい、
 日本国内の諸活動を傍から見ていると非常に心配になる」

「そもそも日本の社会保障が大きく歪んでいるのが諸悪の根源であり、
 根源にある予算制約による支援の乏しさを放置して何ができるのだろう?
 乏しい予算や財源なら、費用対効果を厳密に測定して
 成果を国民や支援者にアピールしなければならないことを分かっているのだろうか?
 疑問は深まるばかりだ。活動が自己目的化していないことを願うばかりだ」

「貧困対策は、特に先進国の場合は非常に問題が複雑で
 費用対効果を考慮して実際に状況改善を果たすのは容易でない」

「多くの研究者が指摘しているように費用対効果の大きいのは就学前教育だが、
 それによって全ての問題が改善する訳では決してないのだ。
 相当慎重で入念、調査と試行錯誤を繰り返さないとはかばかしい効果は出ない」

「安倍政権の失策によって日本全体が貧しくなっているので、
 貧困対策の難しさは尚更である。貧困対策の難易度は高くなっている筈だ」

「子ども食堂がここ数年急増しており、
 子供の貧困も社会問題として注目されるようになった」

「しかし、一般有権者だけでなく支援者やリベラルも強固な自己欺瞞に陥り、
 子供の貧困が生じる根本原因を直視していない点で病巣は深い」

「これは子供の貧困でも、より広い貧困問題でも同じであるが、
 子供の貧困率でも一般的な貧困率でも、日本社会が自ら問題を生んだのだ」

「子供の貧困率でも一般の貧困率でも、「優等生」は北欧である。
 北欧に問題が全くないとは言わないが、貧困対策は日本より遥かに充実している。
 貧困率の数値を国際比較すれば明白であろう。議論の余地のない明白な事実である」

「日本の国民負担率は北欧よりも遥かに低い。
 (「潜在国民負担」では別だが、それは高齢層に公費をバラ撒いたせいだ)
 本当の意味で実効的な貧困対策を行う方法は二つしかない」

「一つは国民負担率を引き上げて貧困対策予算を増やすことであり、
 もう一つは余りにも過大に出している高齢者三経費の公費分を、
 富裕層に関してはばっさりカットして貧困対策に予算移転することである」

「一見良心的でも、本質では欺瞞的な日本のリベラルは
 決して自らの負担を増やそうと公言することはない。
 常に政府や自治体のせいにして正義漢ヅラをする。
 このような汚い偽善者が日本の貧困を生み出し、今も支えている「犯人」である」

「NPO事務局長の調査では、文京区の宅食の経済的効果は月に僅か「3710円」だと言う。
 大ブームになっている子供食堂も、対象層が固定されていない分、それ以下の効果だろう。
 つまり貧困対策としての効果は「ゼロに等しい」なのである。
 (助かる人は少なくないが、マクロとしてはゼロに等しい)」

「この事務局長も「公的な責任として政府や自治体が全力で取り組むべき」と
 結局は責任転嫁して終わっており、国民自身が貧困を生み出す源である事実に目を瞑っている。
 だから日本の貧困率は低迷を続けるのだし、NPOがアマチュアでしかないのだ」

「以前から、日本のNPOや反貧困団体は心理学で言う「共依存」ではと見ていたが、
 悪しき欺瞞が全く治らない現状を見て疑惑は膨らんだ。
 自己満足のための活動など、リソースの無駄である」

「リベラルも反貧困派も、不都合な事実から目を背けているから
 世論を動かせず、貧困緩和効果も「砂粒」でしかなくなる。
 そもそも貧困対策は、予算も労力も必要で非効率的なのである」

「社会正義を振りかざして可哀想だからと続ける支援は
 同胞を哀れみ上から目線で行うものであり、決して対等な立場からの自立支援ではない。
 だから欺瞞性が常につきまとい、幅広い共感を得られないのだ」

「視野が狭く、パワーが乏しく、自己満足的で明確な数値目標を持たない。
 日本人が貧困や格差に対して冷淡な利己的態度を示す原因は、
 こうしたリベラル若しくは支援団体にパワフルで共感されるビジョンや活動が乏しいからだ。
 だから絶対必要なアドヴォカシーも貧弱なのだ」

「最低賃金の引き上げは、経済が成長し社会が豊かになっていれば当然必要なものだ。
 しかし、日本の場合は密室会議で安倍の注文通りの幅の引き上げで、
 権力へのみっともない媚び諂いになっている」

「それを喜ぶB層有権者も「朝三暮四の猿」と全く同じで、
 自分が安倍から嘲笑され、小銭と引き換えに投票するだろうと
 見下されているのにも全く気付かない始末である」

「折しも、政治主導で急激に最低賃金を引き上げた韓国では
 中小経営者から非難囂々で寧ろ経済を低迷させ雇用を減らしかねない情勢だ」

「何らかの疾患や障害で働けない場合を除き、貧困の根本的な原因は、二つしかない。
 労働市場における評価が低く低賃金の職にしか就けないこと、
 そして根本的には社会保障制度による再分配の多寡である」

「そもそも、高負担高福祉社会でなければ必然的に貧困は緩和されない。
 日本は(貧困層を含め)負担増を物凄く嫌がるので、社会保障には期待薄だ」

「つまり日本では労働市場での不利をどうにか補わないといけないのだが、
 最低賃金は「手段の一つ」でしかなく、寧ろ逆効果になりかねない」

「例えば最低賃金が10%上がっても経営側としては労働時間を10%削れば負担は増えない。
 外食産業がよくやるように「客が来なければすぐバイトを帰らせる」という対処になる」

「最低賃金に関連する限られた範囲ではなく、より多くの労働者に影響を与え
 所得も消費も税収も力強く増やすのは「給付付き税額控除」なのである。
 最低賃金だと経営者に払わせる仕組みだから効果が削がれるが、
 給付付き税額控除ならば予算投入が必要な代わりに確実に該当する層に支払われる」

「最低賃金引き上げは韓国で逆効果になりつつあるが、
 フィンランドではベーシックインカムの政策実験がOECDも認める失敗に終わり、
 イギリスではBIをより就業重視にしたユニバーサル・クレジットの欠点が明らかになりつつある」

「結局、就労を強制するスウェーデン型のフレキシキュリティに勝る制度がないと、
 韓国・フィンランド・イギリスでの事例によって改めて確認されたことになる」

「日本の欺瞞的なリベラルや反貧困派は自らが負担する決意もなく
 ただバラ撒きを要求するという悪しき通弊を持っているが、
 その自家撞着を改めない限り、安倍のような口だけ政治家に騙され続けることになろう」

「また最低賃金引き上げに固執するリベラルと反貧困派に痛撃が下された。
 自民党が選挙でのB層向けのエサと「最低賃金の一律化」を掲げようとしたが
 早くも財界から突き上げを食らっているのである」

「党の金蔓である財界が反対する政策を自民党が実行することはない。
 仮に実行するとしても汚い取引と引き換えか、国民にとっての「毒饅頭」しかない。
 (その典型的な例が実質賃金を低落させ、主要国最低の低成長となったアベノミクスだ)」

「安倍と同様に政策リテラシーが低く、安倍と同様にバラ撒きが好きなリベラルと反貧困派は、
 政策の目玉を安倍自民に強奪された上に、選挙での「毛針」にされて裏切られる運命だ。
 無残で惨めな末路だが、これも自業自得としか言いようがない」

「また、急激に最低賃金を引き上げた韓国経済の惨状を無視して、
 自民党の保身議員、口だけ議員は「生産性の向上」を口実としている」

「当ウェブログはアトキンソン氏の分析や提言を非常に高く評価してきたが、
 最低賃金の引き上げは氏の提言の中でも最も質の悪いものであり、
 実際の経済効果としては女性の就労率引き上げの方が遥かに大きいのは自明である。
 (女性労働者の多くは最低賃金以上で働いており就業率の引き上げ余地も大きいから、当然だ)」

「アトキンソン氏は、あれほどの見識と実績を持った人物なのに、
 自民のような腐敗政党と組んでしまったがために汚点を残すこととなろう。
 メガバンクの三行への集約は予見できても、自民党の没落や最低賃金引き上げの末路は予見できないのだ」

「アトキンソン氏は、日本の生産性が低い原因が女性と経営者にあると明言していたが、
 英米経済しか知らないために、公務員の多いスウェーデンが高成長である理由を全く理解していない。
 また、現役世代の一人当たりGDP成長では日本はかなり優秀である事実も理解していない」

「つまり、日本経済の成長と所得向上を妨げている壁は高齢化とジェンダーであり、
 富裕高齢層への公費給付をばっさり削減し保育の現物給付や負の所得税に移転することが
 確実に経済効果をもたらす最高の成長政策なのである」

「姑息で腐敗した安倍自民のことだから、改革は口だけ小手先で財界と裏取引に走る醜態を見せるだろう。
 一番馬鹿を見るのは、最低賃金引き上げで生活が良くなると妄想するリテラシーの低いB層である」

「更に、日本の劣等経営者を淘汰する強制力において最低賃金引き上げは下の下策だ。
 劣等経営者は法令違反や人権侵害を平気で行うから、規制強化と厳罰化が最も即効性がある。
 そしてスウェーデンのように投資庁を新設し、劣等企業はM&Aと新規参入で淘汰すべきなのだ」

「「溺れる者は藁をも攫む」という俚諺がある。周知のように、
 余りにも苦しい状況にあると効果が殆どない手段にも飛びついてしまうということだ」

「衝撃的な事件が起きて引き籠り問題がクローズアップされる中、
 引き蘢り支援団体の悲鳴にも似た声明がまさにそれに該当する」

「メディアは事実を報道しているだけなので、
 報道や偏見を批判しても全く役に立たないどころか、
 肝心の「予防策」「対策」にも全く繋がらない」

「本来は、一般社会にデータや客観的な事実を提供し
 冷静な議論を自ら作り出すことができる筈の立場なのに、
 自分達の窮状ばかり強調する「政治」に走り世論との乖離を深めている」

「困惑していたり憂慮していたりする状況はよく分かるが、
 よくよく考えて意味のある声明を出すべきではないのか」

「そもそも反貧困団体や支援団体は総じて政策リテラシーが低く、
 国民負担や公正性を度外視してバラ撒きを主張する困った通弊がある。
 これが安倍など与野党の党利党略に利用されてしまう根本的な原因である」

「社会民主主義の本場である北欧では、そもそも逆進的な重税でしかも監視社会だ。
 だからこそ貧困率が低いのだし、軽度の障碍を持っていて働くのが困難な者にも給付を行う」

「それは科学的な裏付けと高い人権意識、「受益者負担」の原則に基づいた高負担社会だから可能なのだ。
 科学的研究も怠り、モラルハザードのバラ撒きを求める日本のリベラルは「途上国」と言うべきである」

「一言で引き蘢りと言っても千差万別で多くは物理的な危険性は極めて低い。
 問題は家庭や家計に与える大打撃の方であるから自立支援が重要になる」

「個人単位の経済支援だけで何ができると言うのか、よくよく考えてから口に出すべきだ。
 試しに支援者の弁護士個人が一定額を出して効果測定してみればよい。
 このような事例は総じて費用対効果が低く、人も付けないと碌な成果に繋がらないことが多い。
 所謂「支援困難層」への支援は北欧のような高負担型か英米のような寄付型しかないのだ」

「英国からの課税に憤激して独立戦争を戦い抜いた米国では、
 兎に角にも中央政府からの干渉が大嫌いだ」
 それは北欧型の社会民主主義や平等度の高い社会を拒否し、
 今は経済成長率の低迷にも繋がっている宿痾でもあるが
 自立心が旺盛であるのも事実でコロナ禍の中でも
 「働かせろ」デモが行われたと言う」

「それに引き換え困るのは高齢化した日本で、
 可能な限り経済を動かし、コロナを抑制できるデジタルシフトを進めるよりは
 早く政府にカネ寄越せと要求ばかりするのは寒心に堪えない」

「真に困窮している飲食業や娯楽関連ならまだ分かるが、
 国民全般に貰えるものは貰っておこうという姿勢なのが気になる」

「それが露骨なのが日本の反貧困派や各種支援団体で、
 自ら所得を増やし納税者として自立するよりも、
 欧州のように連帯して社会保障で互いに支え合うよりも
 窮状を強調して政治からより多くのものを引き出そうとしてしまう」

「ところが日本の富裕層や中高所得層も自分の利得しか見ない者が意外に多く、
 似た者同士だから反目し合って社会分断に直結してしまう。。」

「悲しむべきことだが、反貧困派の害毒が若年層にも及んでいる。
 最近は納税者として恥ずべきインチキ・アナーキズムが跋扈しているらしく、
 モラルハザード全開のとんでもないバラ撒き要求を政府に行うことすら出来した!」

「当ウェブログは日本の欺瞞的なバラ撒きリベラルを厳しく批判し、
 「次元の低い安倍政権が延命してきたのは、こうした勢力の欺瞞性も一因」
 だと警告してきたが、まさにその通りの惨状である」

「しかし矢張り「天網漏らさず」の俚諺通りで、彼ら自身が
 自らの欺瞞性を立証してしまうという喜劇も起きてしまっている」

「バラ撒きリベラルの悪影響を受けている学生団体が、
 「大学生の5人の1人が退学を考えている」と公表したが
 この数値は片親世帯で収入が激減した割合(過半数である)より遥かに低く、
 困窮度において大学生の方が遥かに恵まれている事実が明確になってしまった」

「更に情けないことに、医学生に対する調査では退学を考える者が僅か7%。
 統計的にも世代間継承の多さが証明されている医学部は矢張り一般世間より豊かで、
 教育社会学が教えている通り高等教育は階層再生産・固定化に繋がる格差強化装置なのだ」

「このバラ撒き要求団体の調査で、片親世帯の方が遥かに困窮していること、
 統計的には豊かな世帯の子が多い国立大学でも無責任なバラ撒き要求があること、
 特に医学生は一般大学生の世帯の数倍は豊かであることが数値で明らかになった。
 何しろ退学検討の割合が医学生は一般大学生の3分の1以下なのだから」

「「世帯収入に関係なく学生が困窮」などというリテラシー皆無の発言も困ったもので、
 この無責任な輩が大学で碌に勉強していない証拠である。
 日本の都道府県の貧困率は大学進学率と正の相関であり、
 大学に進学していない層の困窮こそ本当に深刻なのである」

「幸い、日本社会では反貧困派と一線を画した健全な動きもある。
 福島ではバイト先を失った学生に農業で雇用を提供し、
 三鷹市では公費で配送の仕事を作り出している。
 欺瞞と利己主義と独善に満ちた反貧困派の学生は目を覚まし、
 より困窮している片親世帯のために働き、学んで弱者を支えるべきであろう」

「そして、学費負担を軽減したいなら欧州のように高負担を甘受すべきである。
 経済制度に無知で無責任な大学生は日本社会にとって害にしかならないのだから」

「コロナ禍において苦心惨憺たる思いをしている方々には
 兎も角、給付金が死活的に重要である、それには異論がない」

「但し、コロナ禍によって矢張り不都合な事実も浮き彫りになった。
 給付金の過半は死蔵され、資産や貯蓄が殖えるだけなのだ。
 言わば資金退蔵で、丁度高齢者年金が死蔵されるのと似た構造になっている」

「実際、健康保険組合は受診抑制にも関わらず重過ぎる高齢者医療の負担で
 更に赤字が拡大し、給与所得と連動して保険料収入が減ったため
 存続自体が危うくなり世代間格差の拡大が加速しそうな状況である」

「更には、給付金を消費にではなく株式投資に投入して
 資産は殖やすが消費は増やさないという日本経済にとって
 最も良くない選択肢を選ぶ者も続出していることが
 日銀の資金循環統計からも窺えるという最悪の状況だ」

「だから結論は明白で、給付金は経済低迷・資金退蔵・格差拡大に直結する。
 真に困窮している層に一時的に用いるのであれば正当化できるものの、
 給付金は寧ろ経済的には弊害が多いということになる。
 巨額の高齢者三経費を毎年蕩尽している日本が経済低迷に陥るのも道理であろう」

「給付金の最大の欠点は、税収と社会保険料を補えないことだ。
 言わば企業が蛸足配当を行なっているようなもので、
 縮小均衡の負のスパイラルによる衰退に直結してしまう」

「給付金の僅か6〜30%弱しか消費されないのだから
 低所得層においても給付金の経済効果は著しく低い。
 PCR検査を何度も行って勤労や消費に勤しんで貰った方が遥かに良い」

「衆院選は、与野党が現金給付を競うという典型的な衆愚政治になりつつある。
 つい最近の教訓からすら学ぶ能力のないバラ撒き競争は末期的である」

「昨年の国民全員への10万円給付が貯蓄や金融資産に化けるだけで
 経済低迷、消費低迷は一向に変わらなかったという現実を忘れ、
 与野党は愚民大衆に迎合して日本を一層の貧困化へと突き落とそうとしている」

「中でも大恥をかいて政策リテラシーの低さを曝け出したのは
 自民党の高市で、放漫財政のバラ撒きを批判した財務次官に対して
 「大変失礼な言い方」だと罵ったが、財務次官に強く賛同した
 経済同友会代表幹事には一言も返せないというみっともなさだった」

「政策リテラシーが果てしなく低いだけにとどまらず、
 霞が関を手下扱いして睥睨する傲慢さも自ら暴露したと言えよう」

「内国債だからデフォルトしないという詭弁も呆れたもので、
 こういう無責任な政治家こそがかつての預金封鎖・新円切り替えのような
 国民を極貧に追い込む破局を招いたというのが厳然たる史実なのである」

「野党は総じて所得制限のない給付金であるから
 高所得層にもカネをバラ撒いて票を集めようとする無責任かつ
 日本を貧困化する最低の政策を打ち出しているわけであり、
 この点については抑制的な自民党はも、既に高齢層に対し
 選挙目当てのバラ撒き給付(年に30兆円規模)を行なっているから更に罪は重い」

「本当に酷いバマラキ政党ばかりで、日本の将来は真っ暗だ。
 低所得のケアワーカーへの給付付き税額控除や
 エッセンシャルワーカーへの転職支援のプログラムもない」

「これは衆愚有権者側(特に負担を嫌がる欺瞞リベラル勢力)にも原因があり、
 欧州は総じて日本よりも重税・高負担だから貧困対策ができるのであり、
 給付金よりも積極的労働市場政策の方が経済効果が高いことは
 就労と労働を強いるスウェーデン経済の高成長を見れば明白である。
 (現金給付の比率の高いフィンランドは成長率も出生率も低下している)」

「B層有権者が現金給付を求めて自ら貧困化の道を選び、
 与野党がポピュリズムに流れてB層に迎合する衆愚選挙。
 その果ては必ず日本経済の衰退、社会の劣化へと繋がるであろう」

日本のリベラルの欺瞞性は安倍と通じるものがあり、目先しか見ない利己主義と何ら変わらない。

▽ 日本は低所得者ほど再分配に賛成する、「負担は嫌」という利己主義で吝嗇な富裕層と瓜二つ

『新・日本の階級社会』(橋本健二,講談社)


当ウェブログは「日本では研究者や識者も自己欺瞞に陥っている」と警告した。
彼らの多くがいまだ幻想に溺れているからこそ、バラ撒き自公が延命できるのだ。

「衆院選で総数は少ないながら最も議席を伸ばしたのは維新で、
 見境ないバラ撒きを拒否する民意が示されたと言って良い」

「当ウェブログは公正な再分配は賛成だし歓迎するが、
 未来世代にツケを廻し資金退蔵と経済低迷をもたらす
 只のバラ撒きは大反対であり、公益の面から許せない」

「今回の野放図なバラ撒き政党のバラ撒き公約に賛成する者は、
 次世代に負債とインフレ税を残す近視眼でありとんでもない無責任だ」

「貧困支援団体の者ですら反対するのが公明党の見境ない10万円バラ撒きで、
 貧困支援でも子供支援でもなく単なる迎合と選挙目当てでしかない」

「コロナ禍で本当に困窮しているのは全国民のせいぜい5%程度で、
 別に困ってもいない18歳以下が相当数いるのが厳然たる現実である。
 特に、安定収入で有名な大学職員が一律給付を要求するなど反社会的ですらある」

「野党よりも許し難いのは公明である。
 公明の議員はコロナ対策での大失敗に重大な責任があるのだから、
 歳費を半分にカットしてもいい位なのに、バラ撒きで誤摩化そうとしている。
 しかも、女性の社会参画を推進するなら共働きは当たり前であり(貧困率の低い仏や北欧を見ろ!)、
 共働きを支援する現物給付や負の所得税こそ理の当然だ。詭弁を弄するのもいい加減にすべきだ」

「都構想やカジノ、大阪万博推進に見られるように
 維新の規制改革あるいは成長政策は明らかに質が低いが
 それでも地方政党に転落しかけた維新の議席がこれだけ伸びたのは
 公明党のようなバラ撒き拒否の民意の結果としか判断のしようがない」

「但し悲しいことに新たに自民と維新の協力という次の災厄も見えてきて、
 公明や野党のバラ撒き案を持ち上げ大騒ぎした輩は因果応報、
 肝心の経済回復は失望しか招かず、改憲の空騒ぎばかり進むことになろう」

次元の低い安倍政権が延命できた一因も、B層有権者の暗愚によるものなのである。

 ↓ 参考

ポピュリズムと党利党略の塊、公明党の10万円バラ撒き - だから国民が反感を持って維新に投票した
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/ab8e86c51ce33ffed71c08fcd9be580c

片親世帯より遥かに恵まれた大学生、特に医学生は一般の数倍は豊か - 支援団体がついうっかり実態を暴露
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/f92ca4aed9f6cf427c5308ab9cfbfb2b

最低賃金大幅引き上げは「毒薬」、反貧困派やリベラルの欺瞞を証明-フィンランドの失敗でBI信者にも痛撃
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/f209ac3d402891ce581fa882969d6b32

子ども食堂も宅食も貧困緩和効果はゼロに等しく、真に必要な所に届かない - お手軽だから広まった
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/0f9c7c394aca57a43c2f6a51ebc9e543

子供の貧困は生活習慣と関連、川崎市の実態調査が示す苦い真実 - お手軽ですぐ効果の出る貧困対策はない
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/888535893c0ac6def28609bf462b30ed

千田有紀教授は、欧州並みの納税をしなければ「偽善者」になりかねない - 負担なき奨学金批判は無意味
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/eacea6a60a713d786b220a40a0c6cba5

欺瞞と利益誘導に堕しつつある「奨学金批判」- まず大学職員や官公労がカネを出さなければ、単なる偽善に
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/e98ae1255b8b6ccb25658d6aa48719ee

高所得家庭の国公立大進学率が上昇、私立大学以上に大きい格差 - 再び格差軽視・拡大の時代に入った
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/720b00effe9b7fa7a169d762e4b8c6db

▽ 日本の高齢層は他人に冷淡で自分の利得ばかり求める、バラ撒きリベラルと酷似

『なぜ日本経済はうまくいかないのか』(原田泰,新潮社)


最低賃金 日本、欧米に比べ大きく見劣り(産経新聞)
https://www.sankei.com/article/20220726-7HJBDUHHPRPBLKCRCZBKFNB3QA/
”令和4年度最低賃金の引き上げ額をめぐり、中央最低賃金審議会の小委員会では大詰めの調整が続く。足元の全国平均時給は930円で、政府が目標に掲げる「千円」までの差がどこまで埋まるかが焦点だ。
〔中略〕
 政府は最低賃金を「早期に千円」まで上げる目標を掲げ、平成28年度以降は新型コロナウイルス禍の令和2年度を除き3%超(二十数円)の引き上げが続いてきた。ただ、現状ペースでは目標達成まで早くても3年かかる。労働側は最近の急激な物価高を踏まえ大幅な引き上げを求めており、30円の大台を初めて超えるかが今年の注目点になる。
 とはいえ、こうした日本の動きは欧米に比べ金額、引き上げ幅ともに差を付けられている。ドイツは最低賃金を7月に従来比6.4%増の10.45ユーロ(約1450円)へ引き上げ、10月にはさらに14.8%増の12ユーロまで増やす予定。米ロサンゼルス市も7月に6.9%増の16ドル(約2180円)超に引き上げた。
 長引くデフレと低成長で日本の平均賃金は約30年間ほとんど増えなかった。経済協力開発機構(OECD)の集計によると、生活実感に近い購買力平価ベース(2021年)で米国の5割強にとどまり、加盟国平均にも劣る。正規・非正規の賃金差が大きいことも課題で、非正規の処遇改善につながる最低賃金引き上げは欠かせない。
 一方、物価高に苦しむのは企業側も同じ。最低賃金引き上げはアルバイトが多い飲食や宿泊などのサービス業にしわ寄せが大きく、特に体力が弱い中小企業は経営難に陥りかねない。雇い止めやシフト削減につながれば労働者にも恩恵はなく、混乱を避けるため政府の支援策が併せて必要だ。 (田辺裕晶)”

日本で最低賃金を上げなければならない理由は確かにあるが、
そもそもその前に「平均賃金が30年間ほとんど増えていない」ことが本質であり、
(日本のマクロ経済としてはアベノミクスの効果などゼロに等しいか、寧ろマイナス)
かつ暗愚なアベクロの異常な緩和策による円下落で、ドル換算での賃金は更に悪化しているのだ!


最低賃金も岸田流? 安倍・菅内閣は政治主導演出も、効果は限定(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20220801/k00/00m/010/134000c.html
”2022年度の最低賃金の引き上げ幅(目安)を31円とすることが決まった。目安通りに引き上げられれば全国平均で961円となる。大幅な引き上げの決め手となったのは、ウクライナ危機などによる物価高だ。働く人、そして新型コロナウイルス禍にも苦しむ中小企業への影響は。【奥山はるな、小鍜冶孝志、石田奈津子】
 「今年は丁寧な議論が必要であることと、目安額の根拠についても納得できるものが欲しいという意見が出ていることを踏まえ、再度検討する時間が必要だ」。後藤茂之厚生労働相は7月29日の閣議後記者会見で、最低賃金の目安額が決定していない事情をこう説明した。
〔中略〕
 最低賃金の目安は例年、7月中旬~下旬に決定している。7月14日に決まった昨年は、過去最高額の引き上げにこだわった菅義偉前首相の存在が大きく影響した。コロナ下での引き上げに抵抗する経営者側の反発を抑え、異例の採決を実施。過去最大の28円引き上げを全国一律で実現させたからだ。当時を知る厚労省幹部は「前回は衆院選前で選挙も意識しており、箸の上げ下ろしまで官邸に縛られた」と振り返る。
 こうしたやり方に労使代表が反発したことに加え、昨年秋に岸田文雄政権が発足したことで、今回は様相が大きく変わった。最低賃金がテーマとなった5月20日の「新しい資本主義実現会議」で、岸田首相が「(最低賃金の)引き上げ額について、最低賃金審議会でしっかりと議論していただきたい」と述べ、首相官邸として直接的な介入を控える方針を表明した。安倍晋三元首相や菅前首相のような手法は取らず、与党や霞が関など周囲の意見を吸い上げる岸田首相らしい「ボトムアップ型」といえる。議論が長引く背景となった。
 政治主導を演出してきたのは、12年12月の第2次安倍内閣以降だ。安倍元首相は「賃金上昇による継続的な好循環の確立を図るとともに、最低賃金もこれにふさわしいものにしなくてはならない」と述べ、毎年3%程度引き上げてきた。菅前首相も首相時代の他、官房長官としても「介入」した。厚労省幹部は「最低賃金の引き上げを、賃上げの象徴としてきたのがこれまでの政権だった」と解説する。
 政治が主導せずとも、6月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く)は前年同月比で2.2%上昇し、3カ月連続で2%を超えるなど物価高で生活費の負担が増しており、労使ともに「引き上げる方針に反対しない」姿勢だった。焦点は引き上げ額で、コロナの感染拡大に加え、先の見えない物価高への影響や春闘での賃上げ水準が高かったことなどを加味し、大幅な引き上げとなった。
 引き上げの影響は年々増している。都留文科大の後藤道夫名誉教授(現代社会論)の試算によると、最低賃金の1.1倍未満で働く人は、21年時点で全労働者の12.6%で、07年の4.6%から大幅に増えた。女性や高齢者で収入が比較的低い非正規労働者が増えたことが影響しているとみられる。
 最低賃金(全国加重平均)の引き上げ額は03~12年度では計85円だったが、安倍政権発足後の13~21年度は計166円で、1年平均で比べると8.5円から18.4円に上がり、違いは如実だ。
 最低賃金の引き上げによる恩恵は多くの人に届くようになったが、全体の賃金の底上げにはつながっていない。労働者が実際に受け取った給与に物価上昇を加味した実質賃金は下落傾向が続いている。20年を100とした場合の実質賃金の指数では、1996年の116.5をピークに、13年は105.1、19年で101.2と下落傾向で、全体に波及しているとは言い難い。
 経済学者の水野和夫・法政大教授は「実質賃金は低いままで、最低賃金を引き上げてきた効果は限定的だ。政府の対応は不十分だったと言わざるを得ない」と指摘する。”

この毎日新聞報道はかなり良い。
姑息で欺瞞的な安倍・菅の官製賃上げの実態を鋭く暴いている。
但し、実質賃金だけでなく配偶者控除・第3号による就労抑制の問題も触れるべきで、
かつ根本的には負の所得税すら導入しない安倍・菅の程度の低さにも言及すべきだろう。


「官製賃上げ」の限界露呈 経営側に負担感蓄積(産経新聞)
https://www.sankei.com/article/20220801-6ECDDT46CVJR3CP7UMBZTEZL44/
”中央最低賃金審議会が1日示した令和4年度の最低賃金引き上げ額の目安は、労使間の対立で決着が8月にずれ込み、政府目標に沿った形で水準を伸ばす「官製賃上げ」の限界が露呈した。年3%程度の増額を平成28年度から繰り返してきたことで、企業に蓄積された負担感は大きい。来年度以降は円滑な引き上げを実現するためにも、企業の賃上げ余力を向上させる成長戦略が併せて必要になる。
 大阪府内のゴム製品メーカー幹部は「原材料価格の高騰で景気は本当に悪くなった。賃上げしたいのはもちろんだが、行政が決めるのではなく、企業の裁量に任せてほしい」と漏らす。
 企業は最低賃金法に基づき都道府県ごとの賃金基準を守る義務がある。日本商工会議所と東京商工会議所の調査では、最低賃金を30円引き上げた場合には65.7%の企業が経営に影響があり、主に設備投資の抑制や正社員の残業時間削減などで対応すると答えた。
〔中略〕
 政府は平成27年に策定した「1億総活躍社会」実現に向けた緊急対策で、最低賃金を毎年3%ずつ引き上げ、全国加重平均で1千円を目指すと明記。28年度以降の引き上げ幅は新型コロナウイルス禍の令和2年度を除き毎年3%台で推移しており、官製賃上げが続く。
 最低賃金引き上げの影響は、この7年間で拡大してきた。厚労省の調査では、改定後に賃上げが必要な労働者の割合は長年一桁台で推移してきたが、官製賃上げが始まった平成28年度には11.1%と二桁に乗せ、令和3年度には16.2%まで高まった。最低賃金を上回る給料を支払ってきた企業までが徐々に飲み込まれ、人件費負担の増加に苦しんでいる様子がうかがえる
 日本の賃金水準は欧米に比べて大きく見劣りしており、正規・非正規の賃金格差を改善する意味でも最低賃金を引き上げる社会的意義は大きい。だが、政府が財政支出を伴わずに賃金水準を引き上げられる最低賃金を〝便利使い〟したことで、企業の納得を得にくい構図が定着してしまった。
 経済同友会の桜田謙悟代表幹事は政府目標の1千円を目指して最低賃金を引き上げること自体は賛成だとしつつ、賃金が伸びない背景にある企業の生産性低迷について「メスを入れるべきだ」と強調する。賃上げを軌道に乗せるには、付け焼刃ではない日本経済の競争力強化策がまず必要だ。(田辺裕晶)”

この通り、産経新聞ですら安倍・菅の成長戦略が口だけで失敗に終わった事実を認めている。
愚昧な安倍・菅では、投資庁を設けて国内の劣等企業を淘汰するスウェーデンに勝てる訳がなく、
人口政策でも女性就労促進でも改革を怠って内需を縮小させた大罪も後々まで悪影響を与えるのだ。
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