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最低賃金大幅引き上げは「毒薬」、反貧困派やリベラルの欺瞞を証明-フィンランドの失敗でBI信者にも痛撃

2018-09-04 | いとすぎから見るこの社会-格差の拡大
最低賃金の引き上げは、経済が成長し社会が豊かになっていれば当然必要なものだ。
しかし、日本の場合は密室会議で安倍の注文通りの幅の引き上げで、
権力へのみっともない媚び諂いになっている。

それを喜ぶB層有権者も「朝三暮四の猿」と全く同じで、
自分が安倍から嘲笑され、小銭と引き換えに投票するだろうと
見下されているのにも全く気付かない始末である。

折しも、政治主導で急激に最低賃金を引き上げた韓国では
中小経営者から非難囂々で寧ろ経済を低迷させ雇用を減らしかねない情勢だ。

何らかの疾患や障害で働けない場合を除き、貧困の根本的な原因は、二つしかない。
労働市場における評価が低く低賃金の職にしか就けないこと、
そして根本的には社会保障制度による再分配の多寡である。

そもそも、高負担高福祉社会でなければ必然的に貧困は緩和されない。
日本は(貧困層を含め)負担増を物凄く嫌がるので、社会保障には期待薄だ。

つまり日本では労働市場での不利をどうにか補わないといけないのだが、
最低賃金は「手段の一つ」でしかなく、寧ろ逆効果になりかねない。

例えば最低賃金が10%上がっても経営側としては労働時間を10%削れば負担は増えない。
外食産業がよくやるように「客が来なければすぐバイトを帰らせる」という対処になる。

最低賃金に関連する限られた範囲ではなく、より多くの労働者に影響を与え
所得も消費も税収も力強く増やすのは「給付付き税額控除」なのである。
最低賃金だと経営者に払わせる仕組みだから効果が削がれるが、
給付付き税額控除ならば予算投入が必要な代わりに確実に該当する層に支払われる。

最低賃金引き上げは韓国で逆効果になりつつあるが、
フィンランドではベーシックインカムの政策実験がOECDも認める失敗に終わり、
イギリスではBIをより就業重視にしたユニバーサル・クレジットの欠点が明らかになりつつある。

結局、就労を強制するスウェーデン型のフレキシキュリティに勝る制度がないと、
韓国・フィンランド・イギリスでの事例によって改めて確認されたことになる。

日本の欺瞞的なリベラルや反貧困派は自らが負担する決意もなく
ただバラ撒きを要求するという悪しき通弊を持っているが、
その自家撞着を改めない限り、安倍のような口だけ政治家に騙され続けることになろう。

▽ 日本は低所得者ほど再分配に賛成する、「負担は嫌」という利己主義で吝嗇な富裕層と瓜二つ

『新・日本の階級社会』(橋本健二,講談社)


当ウェブログが何度も警告してきた通りの憂慮すべき状況である。

「当ウェブログは原理主義的な反格差・格差是正派を批判し、
 互いに助け合わず他人にカネを出させようとする低所得層にも責任の一端があること、
 また、日本が元々平等を好まない、格差肯定の社会である事実を指摘した」

「多くの日本人には非常に悪い癖があり、立場や状況が変わると主張も180度変わる。
 かつて佐藤俊樹・東大教授がいみじくも指摘したように
 「勝てば自分のおかげ、負ければ社会の責任にしたい」のである」

「私立大よりも国公立大の方が格差が大きい。
 つまり高所得者の方が多額の税金を利用して高等教育を受けているということだ」

「もしこれが本当であれば、国公立大学の学費を親の所得によって決めるか、
 所得税を数%引き上げて給付型奨学金に充当する政策が必要である」

「他人に責任転嫁する低所得層にも格差拡大を助長する要因がある。
 反格差論の一層の退潮と再度の経済格差拡大は不可避であり、
 派遣問題のような「火薬庫」が必ずや肥大して炸裂するであろう」

「反貧困運動の通弊として「経済リテラシーがない」
 「根本問題を糊塗した責任転嫁が多い」ことが挙げられるが、
 大学奨学金批判もお決まりのコースを辿りつつあるようだ」

「奨学金批判でも、大竹文雄・阪大教授が何年も前に指摘した
 「弱者と既得権層の政治同盟」が生じつつある」

「何故なら、奨学金批判の先鋒が私立大学の教員で、
 公費投入によって利益を得る集団の一員だからだ」

「日本の私立大学は、人口減と文科省の失政でこれから確実に消滅・破綻が増える。
 今ですら生徒の集まらない大学の教員が募集に駆り出されてふうふう言っている状況だ。
 公費を投入して貰わないと大学職員は厚待遇を失い、路頭に迷う可能性が高い」

「更に、官公労がこの奨学金批判を取り上げるのは「自爆」行為に近い。
 正規公務員が実質的に大企業並みの待遇であるのは公然の事実であり、
 非正規公務員と比較すると「差別」としか言いようのないフリンジベネフィットを得ている。
 一般国民から見れば限りなく特権層に近い」

「官公労が、利権化している退職金の税控除を大幅縮小して、
 給付型奨学金に予算移転して欲しいと主張するのなら素晴らしいが、
 断言してもいい。彼らはそうしない。行動するとしても言い訳程度で終わる」

「当ウェブログは給付奨学金の必要性は認めるが、
 公費濫用を避けるため成績や成果へのコミットが絶対に必要と考える」

「就職パワーが弱い文系大学院に進んで奨学金を借りるといった、
 費用対効果の著しく低い事例には非常に危機感を覚える。
 直接雇用を生み出す資格関連への給付の方が遥かにましである」

「また、大内教授は「自分の子どもさえ良ければ」以上の大問題である、
 致命的な「福祉給付ばかり求めるシルバー民主主義」を理解していない」

「しかも医療でも教育でも、日本は格差に肯定的な社会である。この事実は動からない。
 今の日本は一部の高齢層に異常に資産が偏在しており、彼らは教育にカネを出さない」

「日本人は転落した弱者に冷淡だ。自分の家族をより優先する傾向が非常に強い。
 弛緩した独善的な「上から目線」の奨学金批判では、この「岩盤」はびくともしないであろう」

「武蔵大学の千田有紀教授がYahooニュース個人で熱く語っているので、
 新時代の旗手登場かと思って期待したら、全然違っていた」

「寧ろ、カッとなって言い争いをしているだけなので、失望させられた次第だ。
 ロジックとしても従来のリベラル或いは反貧困派と同じで、重大な論点が抜けている」

「何故か日本のリベラル或いは反貧困派は
 自分達の論が正義で誰か悪役が弱者を苦しめているかのように語り、
 他者に責任転嫁してばかりいる」

「おまけに、彼らが称揚する北欧や独仏が逆進的な重税である事実を黙殺し、
 負担に触れず恩恵だけを強調して幻想を植え付ける始末だ」

「日本は民主主義国であり、「我々有権者」が今の社会のあり方を決めたのだ。
 税負担を嫌がり、我が子にだけ教育投資を行い、他人の窮状を見ないふりをした。
 巨額の公的債務は子孫にツケ回しして、負担してもいない多額の年金給付と医療給付を受け取っている。
 この社会の未来ではなく、豊かな高齢層を更に豊かにするために借金を増やしている」

「だから、ただ日本の奨学金を批判するだけの論者は偽善者である。
 真に有権者としての責務を理解しているなら、
 「私達がより多く納税するから、給付奨学金を増やして欲しい」
 「豊かな高齢者への公費投入をせず、若者の教育に使って欲しい」
 と主張しなければならない。そうでなければモラルハザードになる」

「まず、「ヨーロッパの多くの国」は日本より租税負担率・国民負担率ともに重いので、
 千田教授は(恐らく年間で100万円以上は可処分所得が下がるだろうが)
 「私達に課税して教育予算を増やして欲しい」と主張すべきであろう」

「次に、教育そのものに「階層再生産の側面がある」ことを苅谷剛彦教授が指摘されているが、
 それについてはどう考えているのだろうか」

「本当に「社会的正義の観点」から語るなら、
 富裕な家庭の出身者が多いことで有名な東大の同窓生に対しては、
 「世帯収入が多ければ高額な学費を支払い、給付奨学金に充当すべき」
 と主張し、彼らを説得しなければならないのではないか」

「安倍政権が通貨切り下げで労働者を貧しくし、
 見かけだけ失業率を下げて自慢するという醜態を見せているが、
 エキタスという経済政策リテラシーの全くない集団が
 最低賃金引き上げを叫ぶのも安倍政権と同様の愚行である」

「日本よりも最低賃金の高い欧米の国々は、ほぼ例外なく日本より失業率が高いか、
 国民負担率が日本よりも重いというのが厳然たる事実である」

「最低賃金を引き上げても勤務時間が減ったらどうなるのかという
 ごく当然の発想が全くないエキタスの思考回路も問題だが、
 最低賃金さえ上がれば自分達の得になると安易に妄信することも浅慮の証拠である」

「経済政策に無知なエキタスは、先進国の貧困率をよくよく見るがいい。
 貧困率が低く、平等度の高い社会を築いた北欧は、例外なく重税である」

「先進国における低所得層は、疾病等の理由で働けないか、
 低賃金雇用しかない地域にいるか、労働市場での評価が低いかのいずれかである。
 だから、通常の経済メカニズムでは賃上げに限界がある」

「慶應大学の駒村教授は、貧困対策には増税して公費を投入するか、
 消費者がより高い価格を支払う必要があるとはっきり言明している。
 北欧は現実性のない後者の道を捨て、前者を選んだから低所得層を強力に支援できたのである」

「幻想を抱き最低賃金にばかり固執するエキタスが敗北するのは理の当然であろう。
 エキタスの政治運動は、安倍政権にたっぷり政治献金を払って利益誘導政策を求める
 経済団体の利己的行動と瓜二つである。圧力をかけて自分達の利益を求めるのだから。
 ただ、政治力の差で大企業にはたっぷり返礼、エキタスには朝三暮四の「お情け」しかないだけの話だ」

「更に、世間知らずのエキタスは、実際には自分達の取り分を減らす原因の一つである、
 労働組合とタッグを組み始めるという愚行の上塗りを重ねている」

「労組の正社員の多数派意見は、安倍政権に高額献金を上納する大企業と同じだ。
 増税を拒否し、雇用の安定を求めているのだから、全体最適を無視し自己利益ばかり追求している訳だ。
 エキタスのような非正規層を「雇用の調整弁」として利用している張本人である。
 (だから非正規への支援も安倍政権のような「口だけ」で、カネは渋って他人に払わせようとするのだ)」

「「将来の不安の払拭のための貯金」などという高所得層に有利な主張をしたり、
 「税金を下げる」などという根本的に間違った提案をしたり、
 (弁護士等の高所得層に増税してその予算で貧困対策した方がよっぽど効果がある)
 根本的に社会保障と経済政策のリテラシーのないので教育を受け直した方が良い」

「日本女性の就労率は北欧どころかドイツよりも低い。
 労組に社会保障と経済政策のリテラシーがあれば、
 「妻が働けるように配偶者控除ではなく育児関連の現物給付に転換し、収入増を図るべき」
 と主張するのが正しい。そうしたリテラシーがなく保守退嬰だから責任転嫁の主張になるのだ。
 欧州並みの給付奨学金が欲しいなら、欧州並みの重税を認めてから口を開くがいい」

「最近、文京区の「こども宅食」や渋谷区の「塾代クーポン」など
 漸く子供の貧困問題への取り組みが報じられるようになってきた」

「決して悪い話ではないのだが、残念ながら効果はごく限定的だ。
 しかも費用対効果に対し極めて鈍感なので、自己満足で終わってしまう危険性すらある」

「政策や貧困対策は善意だから良いというものではない。
 より大きな問題を軽視したり、深刻な構造問題を理解していなければ
 結局はただ「自分は良い人間だ」という姑息な言い訳に終わってしまいかねない」

「例えば川崎市の若年層対象の調査によれば現実は非常に深刻で、
 単なる経済格差だけでは済まない問題が浮き彫りになっている」

「貧困世帯は入浴の頻度が少ない、虫歯が多い(治療は低額で済むのに関わらず)、
 家事能力や家計管理能力に問題がある、片付けができない、
 家庭の問題を自覚できない、困った時にどうすれば良いのか分からない、
 何らかの疾患の影響が考えられるケースがある、等々が報告されている」

「ただ善意の給付で問題が改善すると考えるのは、
 かつて欧米がアフリカの貧困支援で失敗した轍を踏むに等しい。
 効果が乏しいだけでなく「援助依存」や「援助貴族」のような副作用も生じる」

「そうした世界の貧困対策の歴史を理解しているのかどうか疑わしい、
 日本国内の諸活動を傍から見ていると非常に心配になる」

「そもそも日本の社会保障が大きく歪んでいるのが諸悪の根源であり、
 根源にある予算制約による支援の乏しさを放置して何ができるのだろう?
 乏しい予算や財源なら、費用対効果を厳密に測定して
 成果を国民や支援者にアピールしなければならないことを分かっているのだろうか?
 疑問は深まるばかりだ。活動が自己目的化していないことを願うばかりだ」

「貧困対策は、特に先進国の場合は非常に問題が複雑で
 費用対効果を考慮して実際に状況改善を果たすのは容易でない」

「多くの研究者が指摘しているように費用対効果の大きいのは就学前教育だが、
 それによって全ての問題が改善する訳では決してないのだ。
 相当慎重で入念、調査と試行錯誤を繰り返さないとはかばかしい効果は出ない」

「安倍政権の失策によって日本全体が貧しくなっているので、
 貧困対策の難しさは尚更である。貧困対策の難易度は高くなっている筈だ」


日本のリベラルの欺瞞性は、安倍政権とよく似ていて目先しか見ない利己主義に近い。

▽ 日本の高齢層(特に男性)は他人に冷淡で自分の利得ばかり求める、事実として調査で実証された

『なぜ日本経済はうまくいかないのか』(原田泰,新潮社)


当ウェブログは「日本では研究者や識者も自己欺瞞に陥っている」と警告した。
彼らの中にはいまだに幻想に溺れて夢から覚めない者が大勢いる。


「子ども食堂がここ数年急増しており、
 子供の貧困も社会問題として注目されるようになった」

「しかし、一般有権者だけでなく支援者やリベラルも強固な自己欺瞞に陥り、
 子供の貧困が生じる根本原因を直視していない点で病巣は深い」

「これは子供の貧困でも、より広い貧困問題でも同じであるが、
 子供の貧困率でも一般的な貧困率でも、日本社会が自ら問題を生んだのだ」

「子供の貧困率でも一般の貧困率でも、「優等生」は北欧である。
 北欧に問題が全くないとは言わないが、貧困対策は日本より遥かに充実している。
 貧困率の数値を国際比較すれば明白であろう。議論の余地のない明白な事実である」

「日本の国民負担率は北欧よりも遥かに低い。
 (「潜在国民負担」では別だが、それは高齢層に公費をバラ撒いたせいだ)
 本当の意味で実効的な貧困対策を行う方法は二つしかない」

「一つは国民負担率を引き上げて貧困対策予算を増やすことであり、
 もう一つは余りにも過大に出している高齢者三経費の公費分を、
 富裕層に関してはばっさりカットして貧困対策に予算移転することである」

「一見良心的でも、本質では欺瞞的な日本のリベラルは
 決して自らの負担を増やそうと公言することはない。
 常に政府や自治体のせいにして正義漢ヅラをする。
 このような汚い偽善者が日本の貧困を生み出し、今も支えている「犯人」である」

「NPO事務局長の調査では、文京区の宅食の経済的効果は月に僅か「3710円」だと言う。
 大ブームになっている子供食堂も、対象層が固定されていない分、それ以下の効果だろう。
 つまり貧困対策としての効果は「ゼロに等しい」なのである。
 (助かる人は少なくないが、マクロとしてはゼロに等しい)」

「この事務局長も「公的な責任として政府や自治体が全力で取り組むべき」と
 結局は責任転嫁して終わっており、国民自身が貧困を生み出す源である事実に目を瞑っている。
 だから日本の貧困率は低迷を続けるのだし、NPOがアマチュアでしかないのだ」

「以前から、日本のNPOや反貧困団体は心理学で言う「共依存」ではと見ていたが、
 悪しき欺瞞が全く治らない現状を見て疑惑は膨らんだ。
 自己満足のための活動など、リソースの無駄である」

「リベラルも反貧困派も、不都合な事実から目を背けているから
 世論を動かせず、貧困緩和効果も「砂粒」でしかなくなる。
 そもそも貧困対策は、予算も労力も必要で非効率的なのである」

「社会正義を振りかざして可哀想だからと続ける支援は
 同胞を哀れみ上から目線で行うものであり、決して対等な立場からの自立支援ではない。
 だから欺瞞性が常につきまとい、幅広い共感を得られないのだ」

「視野が狭く、パワーが乏しく、自己満足的で明確な数値目標を持たない。
 日本人が貧困や格差に対して冷淡な利己的態度を示す原因は、
 こうしたリベラル若しくは支援団体にパワフルで共感されるビジョンや活動が乏しいからだ。
 だから絶対必要なアドヴォカシーも貧弱なのだ」


次元の低い安倍政権が延命できるのも、一つにはこうした人々の欺瞞性のためだ。

 ↓ 参考

子ども食堂も宅食も貧困緩和効果はゼロに等しく、真に必要な所に届かない - お手軽だから広まった
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/0f9c7c394aca57a43c2f6a51ebc9e543

子供の貧困は生活習慣と関連、川崎市の実態調査が示す苦い真実 - お手軽ですぐ効果の出る貧困対策はない
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/888535893c0ac6def28609bf462b30ed

千田有紀教授は、欧州並みの納税をしなければ「偽善者」になりかねない - 負担なき奨学金批判は無意味
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/eacea6a60a713d786b220a40a0c6cba5

欺瞞と利益誘導に堕しつつある「奨学金批判」- まず大学職員や官公労がカネを出さなければ、単なる偽善に
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/e98ae1255b8b6ccb25658d6aa48719ee

高所得家庭の国公立大進学率が上昇、私立大学以上に大きい格差 - 再び格差軽視・拡大の時代に入った
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/720b00effe9b7fa7a169d762e4b8c6db

▽ 日本の貧困問題は、社会保障が高齢層向けに異常に偏り子供や現役世代には手薄なのが真因

『中間層消滅』(駒村康平,KADOKAWA/角川マガジンズ)


最低賃金 首都圏は1千円目前? 中小企業は悲鳴(朝日新聞)
https://www.asahi.com/articles/ASL7T56VFL7TULFA026.html
”今年度は最低賃金を全国加重平均で26円引き上げるべきだとの目安を、厚生労働省の中央最低賃金審議会の小委員会がまとめた。引き上げ額は比較できる2002年度以降で最大で、3年連続で政権が目標とする引き上げ率3%を確保した。目安通り上がれば平均874円となり、最も低い県も750円を超えるが、より多く上がる東京都や神奈川県は来年度にも1千円を突破する。非公開の議論での大幅引き上げや地域間格差の拡大に、懸念の声も出ている。
 都道府県ごとの引き上げの目安額は、物価や所得水準などの指標をもとに分けたA~Dのランクごとに示された。Aの27円とDの23円には4円の差があり、目安通りに上がれば都市と地方の格差はさらに広がる。
 労使と学識者ら公益委員による小委委員会の審議では、大幅な引き上げを求める労働者側と引き上げに慎重な経営者側が主張を戦わせたほか、こうした地域間格差も議論になった。
〔中略〕
 だが、その公益委員が最終的に労使に示して決着につなげた案は、AとDに4円の差をつけ、結果的に安倍政権が目標とする引き上げ率「3%」に届く額だった。小委員会は「率直な意見交換に差し障りがある」との理由で非公開とされ、目安が決まった詳しい経緯は明らかになっていない。
 目安通りなら、最低賃金は3年前より全国加重平均で約80円上がる。最低賃金水準で働く人には恩恵が大きいが、日本総研の成瀬道紀・副主任研究員は、価格転嫁が難しい中小企業は事業を続けられなくなると指摘。「政府は、大企業と下請けの中小企業の取引慣行の見直しなどにも取り組む必要がある」と話す。
 非公開の審議会が3年連続で政権目標通り「3%」の引き上げで決着し、地域間格差の拡大も止まらないことで、審議のあり方を疑問視する声も出ている。
〔中略〕
 鳥取県の最低賃金審議会の元会長で、08年から同県の審議会を全面公開した藤田安一・鳥取大学名誉教授は、全国に影響の大きい中央の審議会こそ公開すべきだと主張。「議論の過程が明らかにならなければ政権の下請け機関と見られかねない」と指摘する。
 地域間格差を広げる要因となっている、都道府県のランクごとに引き上げ目安額を決める方式も、以前から課題が指摘されてきた。だが、中央最低賃金審議会は昨年、5年に一度の制度点検でランク方式は「定着している」として継続を決め、一部の自治体の区分を変える程度の見直しにとどめた。これについても藤田氏は「東京でも地方でも、最低限の生活保障という点はそれほど変わらない」として、全国一律の最低賃金にする必要性も訴える。(村上晃一、土屋亮)”




韓国大統領の支持率が急落 経済政策巡り混乱広がる(朝日新聞)
https://www.asahi.com/articles/ASL7M338ZL7MUHBI00H.html
”韓国の世論調査会社リアルメーターは19日、文在寅(ムンジェイン)大統領の7月第3週の支持率が前週から6.4ポイント下がって61.7%になったと発表した。不支持は32.3%だった。
〔中略〕
 文政権は昨年5月の就任以降、7割前後の高い支持率を維持してきた。6割前後にまで支持率が下がったのは、平昌(ピョンチャン)冬季五輪・女子アイスホッケーの南北合同チーム結成などで世論の反発を買った今年1月以来。
 文政権が14日、来年の最低賃金を10.9%増の時給8350ウォン(約835円)に引き上げると決めたことに対し、自営業者や保守層などが景気に悪影響が出るとして反発した。文大統領は16日、2020年に最低賃金を時給1万ウォンにするとした公約を撤回するなど、経済政策を巡る混乱が広がっている。(ソウル=牧野愛博)”




韓国の最低賃金835円に 10年で2倍、日本に迫る(朝日新聞)
https://www.asahi.com/articles/ASL7G3HPLL7GUHBI011.html
”韓国の最低賃金委員会は14日、来年の最低賃金を10.9%増の時給8350ウォン(約835円)に引き上げると決めた。「所得主導」の経済成長を掲げる文在寅(ムンジェイン)大統領の政策があり、日本の最低賃金(全国加重平均)の時給848円に迫る。
〔中略〕
 委員会は雇用労働省の所属機関で、雇用労働相が公示すれば来年1月から適用される。労働組合が有力支持基盤の文氏は2020年に最低賃金を時給1万ウォン(約1千円)にすると公約しており、前年の引き上げ幅は16.4%だった。韓国の10年の最低賃金は4110ウォン(約410円)で約10年で2倍となる計算だ。
 今月になって韓国銀行が今年の経済成長率の見通しを3.0%から2.9%に下方修正するなど、経済は停滞気味。経営者側は最低賃金の引き上げの凍結を主張しており、2年連続の2桁台の上昇に猛反発している。
コンビニ店主などが加盟する小商工人連合会は、決定を受け入れないとする声明を発表した。(ソウル=武田肇)”




ユニバーサル・クレジット、ベーシックインカムより優秀? 英での運用では課題も(NewSphere)
https://newsphere.jp/politics/20180507-2/
イギリスはこれまでの福祉手当をまとめ、一括で受給者に支払う「ユニバーサル・クレジット」の段階的導入を2010年に発表した。2017年8月時点で59万人が受給している。しかし申請から受給までの期間が長く、運営上のトラブルが多発していることなどから、多くの受給者の生活費が底を付くという事態になっている。

◆制度を簡素化、生活保護依存を正す効果も
 イギリスのユニバーサル・クレジットは、生産年齢の低所得者を対象とし、これまであった6つの給付と税額控除をまとめたものだ。働いていてもいなくても申請は可能で、旧制度では週16時間以上働くと手当を失うシステムだったが、新制度下では労働時間に制限はない。ただし収入が増えるにしたがい、給付は減額される。
 政府の狙いは制度の簡素化だ。給付の申請がシンプルになるようデザインされ、給付金も基本的に受給者の口座に直接振り込まれる。不正受給や支給ミスも減ると見られ、IT化などにより業務の効率化も期待されている。また、就労したほうが給付を受けるより利益になる仕組みで、これまでの給付依存からの脱却が見込める。制度を悪用した場合の罰則も強化されており、就労を促進する設計となっている。

◆ベーシックインカムより期待大? OECDは高評価
 社会保障給付のシステムでは、すべての国民に無条件で基本的な所得を給付する、ベーシックインカムが注目されてきた。各国で実験が行われきたが、そのひとつであるフィンランドの試験運用が今年末で終了し、延長されないことになったと報じられている。
 経済開発協力機構(OECD)のシンクタンクは、フィンランドでベーシックインカムを導入すれば、所得税をほぼ30%増やす必要があり、所得格差が増大し、貧困率が現在の11.4%から14.1%に上昇するとしている。対照的にユニバーサル・クレジットを導入すれば、貧困率は9.7%になり、給付システムにおける複雑さも軽減されるとし、イギリスのような制度を推奨している(BBC)。

◆支給まで1ヶ月以上 負債増加で生活費不足が深刻
 ところが、イギリスではユニバーサル・クレジットの受給者が増えるにつれ、様々な問題が出てきた。その一つが、申請から初回受給までの待ち時間が長いことだ。給付額は毎月受給者がいくら稼いだかによって決まるため、支払いは1ヶ月遅れることになる。行政側の作業時間も含め現在5週間待ちとなっているが、申請時に間違いなどがあれば、さらに待ち時間が長くなると言われている。支給までに生活費が足りない場合は前借りできる制度もあるが、その制度自体を知らない人も2017年時点ではいたという。
 さらに問題とされるのは、ユニバーサル・クレジットでは、以前に過払いされていた手当、前借分、滞納していた住民税や公営住宅の家賃などが、高い比率で差し引かれて支給されることだ。
ハフポストUK版によれば、何千人もの人々が負債の支払い分として、支給を40%も減らされているという。
〔中略〕
◆フードバンクも大忙し。制度の改善は必至
 英最大のフードバンク・ネットワークTrussell Trustによれば、ユニバーサル・クレジットに移行して12ヶ月以上経過した地域では、フードバンクの利用は他地域の4倍だという。支給までの長い待ち時間や行政側のお粗末な運営体制が、人々の負債の増加、体調不良、家賃の滞納などを招き、無料の食料支援への需要が高まったと同団体は見ている(ガーディアン紙)。 
 BBCによれば、制度導入に費やした費用は当初予想の何倍にもなっており、要した時間も予想よりはるかに長いという。政府の支出を監督する英監査局は、ユニバーサル・クレジットは時間の尺度が曖昧で、管理、コントロール、運営のすべてにおいて問題があったという見解を示している。〔以下略〕”




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