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子ども食堂も宅食も貧困緩和効果はゼロに等しく、真に必要な所に届かない - お手軽だから広まった

2018-05-23 | いとすぎから見るこの社会-格差の拡大
子ども食堂がここ数年急増しており、
子供の貧困も社会問題として注目されるようになった。

しかし、一般有権者だけでなく支援者やリベラルも強固な自己欺瞞に陥り、
子供の貧困が生じる根本原因を直視していない点で病巣は深い。

これは子供の貧困でも、より広い貧困問題でも同じであるが、
子供の貧困率でも一般的な貧困率でも、日本社会が自ら問題を生んだのだ。

子供の貧困率でも一般の貧困率でも、「優等生」は北欧である。
北欧に問題が全くないとは言わないが、貧困対策は日本より遥かに充実している。
貧困率の数値を国際比較すれば明白であろう。議論の余地のない明白な事実である。

日本の国民負担率は北欧よりも遥かに低い。
(「潜在国民負担」では別だが、それは高齢層に公費をバラ撒いたせいだ)
本当の意味で実効的な貧困対策を行う方法は二つしかない。

一つは国民負担率を引き上げて貧困対策予算を増やすことであり、
もう一つは余りにも過大に出している高齢者三経費の公費分を、
富裕層に関してはばっさりカットして貧困対策に予算移転することである。

一見良心的でも、本質では欺瞞的な日本のリベラルは
決して自らの負担を増やそうと公言することはない。
常に政府や自治体のせいにして正義漢ヅラをする。
このような汚い偽善者が日本の貧困を生み出し、今も支えている「犯人」である。

NPO事務局長の調査では、文京区の宅食の経済的効果は月に僅か「3710円」だと言う。
大ブームになっている子供食堂も、対象層が固定されていない分、それ以下の効果だろう。
つまり貧困対策としての効果は「ゼロに等しい」なのである。
(助かる人は少なくないが、マクロとしてはゼロに等しい)

この事務局長も「公的な責任として政府や自治体が全力で取り組むべき」と
結局は責任転嫁して終わっており、国民自身が貧困を生み出す源である事実に目を瞑っている。
だから日本の貧困率は低迷を続けるのだし、NPOがアマチュアでしかないのだ。

以前から、日本のNPOや反貧困団体は心理学で言う「共依存」ではと見ていたが、
悪しき欺瞞が全く治らない現状を見て疑惑は膨らんだ。
自己満足のための活動など、リソースの無駄である。

▽ 日本は低所得者ほど再分配に賛成する、「負担は嫌」という利己主義でがめつい富裕層と酷似

『新・日本の階級社会』(橋本健二,講談社)


当ウェブログが懸念してきた通りの憂慮すべき状況である。

「当ウェブログは原理主義的な反格差・格差是正派を批判し、
 互いに助け合わず他人にカネを出させようとする低所得層にも責任の一端があること、
 また、日本が元々平等を好まない、格差肯定の社会である事実を指摘した」

「多くの日本人には非常に悪い癖があり、立場や状況が変わると主張も180度変わる。
 かつて佐藤俊樹・東大教授がいみじくも指摘したように
 「勝てば自分のおかげ、負ければ社会の責任にしたい」のである」

「私立大よりも国公立大の方が格差が大きい。
 つまり高所得者の方が多額の税金を利用して高等教育を受けているということだ」

「もしこれが本当であれば、国公立大学の学費を親の所得によって決めるか、
 所得税を数%引き上げて給付型奨学金に充当する政策が必要である」

「他人に責任転嫁する低所得層にも格差拡大を助長する要因がある。
 反格差論の一層の退潮と再度の経済格差拡大は不可避であり、
 派遣問題のような「火薬庫」が必ずや肥大して炸裂するであろう」

「反貧困運動の通弊として「経済リテラシーがない」
 「根本問題を糊塗した責任転嫁が多い」ことが挙げられるが、
 大学奨学金批判もお決まりのコースを辿りつつあるようだ」

「奨学金批判でも、大竹文雄・阪大教授が何年も前に指摘した
 「弱者と既得権層の政治同盟」が生じつつある」

「何故なら、奨学金批判の先鋒が私立大学の教員で、
 公費投入によって利益を得る集団の一員だからだ」

「日本の私立大学は、人口減と文科省の失政でこれから確実に消滅・破綻が増える。
 今ですら生徒の集まらない大学の教員が募集に駆り出されてふうふう言っている状況だ。
 公費を投入して貰わないと大学職員は厚待遇を失い、路頭に迷う可能性が高い」

「更に、官公労がこの奨学金批判を取り上げるのは「自爆」行為に近い。
 正規公務員が実質的に大企業並みの待遇であるのは公然の事実であり、
 非正規公務員と比較すると「差別」としか言いようのないフリンジベネフィットを得ている。
 一般国民から見れば限りなく特権層に近い」

「官公労が、利権化している退職金の税控除を大幅縮小して、
 給付型奨学金に予算移転して欲しいと主張するのなら素晴らしいが、
 断言してもいい。彼らはそうしない。行動するとしても言い訳程度で終わる」

「当ウェブログは給付奨学金の必要性は認めるが、
 公費濫用を避けるため成績や成果へのコミットが絶対に必要と考える」

「就職パワーが弱い文系大学院に進んで奨学金を借りるといった、
 費用対効果の著しく低い事例には非常に危機感を覚える。
 直接雇用を生み出す資格関連への給付の方が遥かにましである」

「また、大内教授は「自分の子どもさえ良ければ」以上の大問題である、
 致命的な「福祉給付ばかり求めるシルバー民主主義」を理解していない」

「しかも医療でも教育でも、日本は格差に肯定的な社会である。この事実は動からない。
 今の日本は一部の高齢層に異常に資産が偏在しており、彼らは教育にカネを出さない」

「日本人は転落した弱者に冷淡だ。自分の家族をより優先する傾向が非常に強い。
 弛緩した独善的な「上から目線」の奨学金批判では、この「岩盤」はびくともしないであろう」

「武蔵大学の千田有紀教授がYahooニュース個人で熱く語っているので、
 新時代の旗手登場かと思って期待したら、全然違っていた」

「寧ろ、カッとなって言い争いをしているだけなので、失望させられた次第だ。
 ロジックとしても従来のリベラル或いは反貧困派と同じで、重大な論点が抜けている」

「何故か日本のリベラル或いは反貧困派は
 自分達の論が正義で誰か悪役が弱者を苦しめているかのように語り、
 他者に責任転嫁してばかりいる」

「おまけに、彼らが称揚する北欧や独仏が逆進的な重税である事実を黙殺し、
 負担に触れず恩恵だけを強調して幻想を植え付ける始末だ」

「日本は民主主義国であり、「我々有権者」が今の社会のあり方を決めたのだ。
 税負担を嫌がり、我が子にだけ教育投資を行い、他人の窮状を見ないふりをした。
 巨額の公的債務は子孫にツケ回しして、負担してもいない多額の年金給付と医療給付を受け取っている。
 この社会の未来ではなく、豊かな高齢層を更に豊かにするために借金を増やしている」

「だから、ただ日本の奨学金を批判するだけの論者は偽善者である。
 真に有権者としての責務を理解しているなら、
 「私達がより多く納税するから、給付奨学金を増やして欲しい」
 「豊かな高齢者への公費投入をせず、若者の教育に使って欲しい」
 と主張しなければならない。そうでなければモラルハザードになる」

「まず、「ヨーロッパの多くの国」は日本より租税負担率・国民負担率ともに重いので、
 千田教授は(恐らく年間で100万円以上は可処分所得が下がるだろうが)
 「私達に課税して教育予算を増やして欲しい」と主張すべきであろう」

「次に、教育そのものに「階層再生産の側面がある」ことを苅谷剛彦教授が指摘されているが、
 それについてはどう考えているのだろうか」

「本当に「社会的正義の観点」から語るなら、
 富裕な家庭の出身者が多いことで有名な東大の同窓生に対しては、
 「世帯収入が多ければ高額な学費を支払い、給付奨学金に充当すべき」
 と主張し、彼らを説得しなければならないのではないか」

「安倍政権が通貨切り下げで労働者を貧しくし、
 見かけだけ失業率を下げて自慢するという醜態を見せているが、
 エキタスという経済政策リテラシーの全くない集団が
 最低賃金引き上げを叫ぶのも安倍政権と同様の愚行である」

「日本よりも最低賃金の高い欧米の国々は、ほぼ例外なく日本より失業率が高いか、
 国民負担率が日本よりも重いというのが厳然たる事実である」

「最低賃金を引き上げても勤務時間が減ったらどうなるのかという
 ごく当然の発想が全くないエキタスの思考回路も問題だが、
 最低賃金さえ上がれば自分達の得になると安易に妄信することも浅慮の証拠である」

「経済政策に無知なエキタスは、先進国の貧困率をよくよく見るがいい。
 貧困率が低く、平等度の高い社会を築いた北欧は、例外なく重税である」

「先進国における低所得層は、疾病等の理由で働けないか、
 低賃金雇用しかない地域にいるか、労働市場での評価が低いかのいずれかである。
 だから、通常の経済メカニズムでは賃上げに限界がある」

「慶應大学の駒村教授は、貧困対策には増税して公費を投入するか、
 消費者がより高い価格を支払う必要があるとはっきり言明している。
 北欧は現実性のない後者の道を捨て、前者を選んだから低所得層を強力に支援できたのである」

「幻想を抱き最低賃金にばかり固執するエキタスが敗北するのは理の当然であろう。
 エキタスの政治運動は、安倍政権にたっぷり政治献金を払って利益誘導政策を求める
 経済団体の利己的行動と瓜二つである。圧力をかけて自分達の利益を求めるのだから。
 ただ、政治力の差で大企業にはたっぷり返礼、エキタスには朝三暮四の「お情け」しかないだけの話だ」

「更に、世間知らずのエキタスは、実際には自分達の取り分を減らす原因の一つである、
 労働組合とタッグを組み始めるという愚行の上塗りを重ねている」

「労組の正社員の多数派意見は、安倍政権に高額献金を上納する大企業と同じだ。
 増税を拒否し、雇用の安定を求めているのだから、全体最適を無視し自己利益ばかり追求している訳だ。
 エキタスのような非正規層を「雇用の調整弁」として利用している張本人である。
 (だから非正規への支援も安倍政権のような「口だけ」で、カネは渋って他人に払わせようとするのだ)」

「「将来の不安の払拭のための貯金」などという高所得層に有利な主張をしたり、
 「税金を下げる」などという根本的に間違った提案をしたり、
 (弁護士等の高所得層に増税してその予算で貧困対策した方がよっぽど効果がある)
 根本的に社会保障と経済政策のリテラシーのないので教育を受け直した方が良い」

「日本女性の就労率は北欧どころかドイツよりも低い。
 労組に社会保障と経済政策のリテラシーがあれば、
 「妻が働けるように配偶者控除ではなく育児関連の現物給付に転換し、収入増を図るべき」
 と主張するのが正しい。そうしたリテラシーがなく保守退嬰だから責任転嫁の主張になるのだ。
 欧州並みの給付奨学金が欲しいなら、欧州並みの重税を認めてから口を開くがいい」

日本のリベラルの欺瞞性は、安倍政権とよく似ていて目先しか見ない利己主義に近い。

▽ 日本の高齢層(特に男性)は他人に冷淡で自分の利得ばかり求める、事実として調査で実証された

『なぜ日本経済はうまくいかないのか』(原田泰,新潮社)


当ウェブログは「日本では研究者や識者も自己欺瞞に陥っている」と警告した。
彼らの中にはいまだに幻想に溺れて夢から覚めない者が大勢いる。

「最近、文京区の「こども宅食」や渋谷区の「塾代クーポン」など
 漸く子供の貧困問題への取り組みが報じられるようになってきた」

「決して悪い話ではないのだが、残念ながら効果はごく限定的だ。
 しかも費用対効果に対し極めて鈍感なので、自己満足で終わってしまう危険性すらある」

「政策や貧困対策は善意だから良いというものではない。
 より大きな問題を軽視したり、深刻な構造問題を理解していなければ
 結局はただ「自分は良い人間だ」という姑息な言い訳に終わってしまいかねない」

「例えば川崎市の若年層対象の調査によれば現実は非常に深刻で、
 単なる経済格差だけでは済まない問題が浮き彫りになっている」

「貧困世帯は入浴の頻度が少ない、虫歯が多い(治療は低額で済むのに関わらず)、
 家事能力や家計管理能力に問題がある、片付けができない、
 家庭の問題を自覚できない、困った時にどうすれば良いのか分からない、
 何らかの疾患の影響が考えられるケースがある、等々が報告されている」

「ただ善意の給付で問題が改善すると考えるのは、
 かつて欧米がアフリカの貧困支援で失敗した轍を踏むに等しい。
 効果が乏しいだけでなく「援助依存」や「援助貴族」のような副作用も生じる」

「そうした世界の貧困対策の歴史を理解しているのかどうか疑わしい、
 日本国内の諸活動を傍から見ていると非常に心配になる」

「そもそも日本の社会保障が大きく歪んでいるのが諸悪の根源であり、
 根源にある予算制約による支援の乏しさを放置して何ができるのだろう?
 乏しい予算や財源なら、費用対効果を厳密に測定して
 成果を国民や支援者にアピールしなければならないことを分かっているのだろうか?
 疑問は深まるばかりだ。活動が自己目的化していないことを願うばかりだ」

「貧困対策は、特に先進国の場合は非常に問題が複雑で
 費用対効果を考慮して実際に状況改善を果たすのは容易でない」

「多くの研究者が指摘しているように費用対効果の大きいのは就学前教育だが、
 それによって全ての問題が改善する訳では決してないのだ。
 相当慎重で入念、調査と試行錯誤を繰り返さないとはかばかしい効果は出ない」

「安倍政権の失策によって日本全体が貧しくなっているので、
 貧困対策の難しさは尚更である。貧困対策の難易度は高くなっている筈だ」

次元の低い安倍政権が延命できるのも、一つにはこうした人々の欺瞞性のためだ。

 ↓ 参考

子供の貧困は生活習慣と関連、川崎市の実態調査が示す苦い真実 - お手軽ですぐ効果の出る貧困対策はない
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/888535893c0ac6def28609bf462b30ed

千田有紀教授は、欧州並みの納税をしなければ「偽善者」になりかねない - 負担なき奨学金批判は無意味
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/eacea6a60a713d786b220a40a0c6cba5

欺瞞と利益誘導に堕しつつある「奨学金批判」- まず大学職員や官公労がカネを出さなければ、単なる偽善に
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/e98ae1255b8b6ccb25658d6aa48719ee

高所得家庭の国公立大進学率が上昇、私立大学以上に大きい格差 - 再び格差軽視・拡大の時代に入った
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/720b00effe9b7fa7a169d762e4b8c6db

▽ 日本の貧困問題は、社会保障が高齢層向けに異常に偏り子供や現役世代には手薄なのが真因

『中間層消滅』(駒村康平,KADOKAWA/角川マガジンズ)


生活が厳しい困窮家庭を救う「子ども宅食」半年の成果(現代ビジネス)
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180502-00055513-gendaibiz-bus_all
”1ヵ月3710円は安いか高いか
 また、同調査では、「子ども宅食」の利用前後でどのような変化があったかも調べている。
 それによれば、「子ども宅食」を利用したことにより、1家庭あたり1ヵ月平均で3710円の節約になり、その節約になったお金を44%が生活費にあて、31%は他の食品購入にあて、25%は子どものために使った(学習・衣服・おこづかい等)と回答している
 「3710円の節約」とだけ聞くと、「え、それだけ? と思う人も多いだろう。
 対象世帯が150世帯なのだから、それこそ、毎月4000円の現金給付をすれば、予算は年間720万円で済んでしまう。現金の方が食料をもらうより使い勝手は良いだろうし、申し込みや配達の段取りなどのやり取りも不要だ。
 もっといえば、文京区は就学援助利用者が約1000人、児童扶養手当の受給世帯は約700世帯ということなので、単純計算して1500世帯に毎月4000円の現金給付をするにしても7200万円で可能になるのである。
 簡素な現金給付は「子ども宅食」の事業のようにいくつかの団体といろいろな人が関わって事業を組み立てていくよりもはるかに行政コストはかからないことだろう(事務経費等をふくまない雑な計算ではあるが)。
 ただ、ここで重要なのは、必ずしも金銭的な面だけではない。金銭的な影響としては、1ヵ月に3710円の価値なのかもしれない。
 しかし、「子ども宅食の支援を受ける前と比較して、あなたの気持ちの変化はありましたか」という問いに対して、47%が「気持ちが豊かになった」と答え、27%が「社会とのつながりが感じられるようになった」と回答しているのだ。
 ここにこそ、この事業の意味と価値、成果があった、と言えるだろう。
 社会的な「つながり」をどのように作っていくことができるのか、このことは大きなテーマなのである。

「子どもの貧困」の本丸
 これは、「子ども食堂」の記事のなかでも書いたのだが、「子ども宅食」の支援も「子ども食堂」の支援と同じく、「子どもの貧困」を解決するための最適な答え(最短のルート)ではないだろう。
 「子どもの貧困」を正面から解決していくためには、その世帯の所得をあげるような施策(経済給付や就労支援、生活支援等)が必要だろうし、その子どもに対しても教育の機会が得られるような仕組み(学校外教育への支援や給付型奨学金、大学等への進学支援など)を社会(公的・民間)で構築していかなければならない。
 それこそ、「子ども宅食」の対象世帯である「就学援助利用者」についてはその対象者を拡げたり、「児童扶養手当受給者」については、たとえば支給金額をあげたりなど、ボトムアップに向けた現金給付等の支援の拡充は、公的な責任として政府や自治体が全力で取り組むべき課題である。
 そして、そこから目を背けて「子ども食堂」や「子ども宅食」などの事業に頼って「子どもの貧困」への取り組みをおこなっているとお茶を濁すのは、言語道断である。
 特に、子どの貧困率が13.9%(2015年厚労省「国民生活基礎調査」)と、先進諸国のなかでも高い数字の日本において、「子どもの貧困対策」が喫緊の課題であることは間違いがないのだから。
 本丸の支援の構想がないなかでNPO等との協働などの相互扶助的なさまざまな実践や取り組みに依拠していくのは社会全体のリスクでもあるのだ。
〔中略〕
「子ども宅食」の意味と価値
 「子ども宅食」の成果とは何か? 
 それは、「見ないもの」に支援を「届けた」ことだろう。
 特に、東京の文京区という、日本でも最も豊かな人が多いであろう自治体においての取り組みであることも象徴的だ。
 そして、「届ける」ことによって生まれた「つながり」により、地域のさまざまなNPO等の活動や支援団体、公的機関や相談機関と接点をもつことができた人もいただろう。
 また、ここで生まれた「つながり」によって、地域のなかで人間関係が拡がる人もいるだろう。
 「子どもの貧困」への取り組みを考える時に、入り口の支援としての「子ども宅食」の意味と価値はここにあると言っていい。
 とはいえ、これからの展開を考える時には課題もある。
 繰り返し述べてきたことではあるが、まだまだ社会のなかで「支援を利用する」ということには大きなハードルがあるのは間違いない。
 スティグマ(負の烙印)という言葉を使うこともあるが、こういった支援の仕組みや取り組みを利用することが恥ずかしい、しんどい、と思わせてしまう社会であってはならない。
 そして、「子ども宅食」としても、食品の提供を受けることを周囲に知られたくない、という風潮がもし強くなれば必要な人が利用してくれなくなってしまうのだ。
 生活が苦しい、と言っても個別の状況はさまざまで、一人ひとりに対して、必要なサポートを考えていくしかない。一方で、まだまだ「貧困」に対しての社会的な理解は十分とは言い難い。
 社会の理解を高めつつ、必要な人たちとどのようにつながっていくことができるのか。そして、財政的な観点からも持続可能におこなうためには何が必要か。
 残念ながら「こうやったら必ずうまくいく」といった正解はない。あったとしても誰も知らない。取り組みや活動を続けながら、試行錯誤しながら見つけていくしかないのだろう。
 「子ども宅食」のこれからの活動に注目したい。
大西 連”

これを見て、日本のNPOは基本的にアマチュアで活動拡大できないのは当たり前だと思った。
視野が狭く、パワーが乏しく、自己満足的で明確な数値目標を持たない。
日本人が貧困や格差に対して冷淡な利己的態度を示す原因は、
こうしたリベラル若しくは支援団体にパワフルで共感されるビジョンや活動が乏しいからだ。
だから絶対必要なアドボカシーも貧弱なのだ。


子ども食堂:地域住民が協力8割 貧困家庭への周知課題(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20180429/k00/00m/040/060000c.html
”子どもに無料や低額で食事を提供する「子ども食堂」の約8割で、地域住民が運営や調理、食材提供などに関わっているとの調査結果を、農林水産省がまとめた。
〔中略〕
 子ども食堂の取り組みは2012年ごろから始まり、運営者団体の調査では今年3月までに全国2200カ所以上に広がっている。農水省は昨年10~11月、民間団体や全国の社会福祉協議会に協力してもらいインターネットや郵送で実態を調べ、274件の回答があった。
 どんな人や組織と連携して運営しているかを尋ねたところ、81%が「地域住民(個人)」と回答。スタッフとしての参加や食材・食材費の提供が多かった。社会福祉協議会に保険加入の助言などを受けていた食堂が70%。また、57%が会場使用費や家賃の補助などで自治体と、50%が参加者募集の協力などで小中高校と連携していた。
 9割以上の食堂が、多様な子どもたちの居場所作りや子育てに住民が関わる地域作りを目的にしており、困窮家庭に限らず広く受け入れていた。ただ、運営の課題として、最多の42%が「来てほしい家庭の子どもや親に来てもらうことが難しい」と答えた
 農水省は調査結果や先進的な活動などを取り上げた事例集をウェブサイトで公開中。担当者は「自治体職員や民生委員と顔の見える関係を作り、対象者の紹介を受けている事例もあるので、参考にしてほしい」と話す。【堀井恵里子】”

子供食堂が急増した理由は単にお手軽で協力し易いからである。
報道を見ていればすぐ分かる。国民負担を引き上げ、
富裕高齢層への無駄な公費給付をカットして貧困対策を強化するという
抵抗が大きいが効果も大きい道を避け、小さな自己満足を選ぶから先が見えないのだ。


福岡教育大:学力伸びにくい就学援助受給の子「対策を」(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20180225/k00/00m/040/180000c.html
”福岡教育大の川口俊明准教授(教育社会学)の研究グループが、ある自治体の中学3年生を対象に、小学4年以降の学力の変化と就学援助の受給の有無の関係を分析した。学力下位グループほど学力の伸びも小さく、就学援助を受給している子供の割合が高かった。親の経済力が子供の学力格差につながっていると指摘される中、グループは早い段階からの対策の必要性を指摘している。
 研究グループは、西日本のある自治体で2016年度に中学3年だった生徒から抽出した3361人が小学4年、6年、中学1年、3年時点に受けた自治体や国の算数・数学の学力調査の結果を活用した。
 4回分の結果などを基にこの自治体の中3全員の学力の変化を推計し、学力上位から下位まで5グループに分けた。そのうえで、各グループの学年ごとの平均点を比較したところ、上位2グループは学年が上がるにつれて順調に学力が向上していたが、最下位グループはほとんど伸びていなかった
 一方、最上位グループ(人数は10.7%)で中学3年時に就学援助を受給していたのは6.6%だったが、下位になるほど増え、最下位グループ(同8.6%)は2人に1人に当たる49.9%が受給していた。
 川口准教授は「最下位グループには、基礎的なことも分からないまま小4から中3まで過ごしている子供がいる可能性が高い」と指摘。そのうえで、下位グループに就学援助を受けている家庭の子供が多い事実を踏まえ「自治体はそうした子たちへの支援を早い段階から考えるべきだ」と話している。【下原知広】

 ◇ことば「就学援助」
 自治体が経済的理由で就学困難と認められる小中学生を援助する制度。給食、学用品費や修学旅行費などを支給する。一般的な援助額は1人当たり年間数万円。
〔中略〕
 2015年度の対象は約147万人で、このうち準要保護は約133万人。

 ◇学力グループごとの就学援助受給率
グループ1  6.6%
グループ2 14.9%
グループ3 28.2%
グループ4 35.5%
グループ5 49.9%
(※グループ1が最上位)”

リベラルも反貧困派も、不都合な事実から目を背けているから
世論を動かせず、貧困緩和効果も「砂粒」でしかなくなる。
そもそも貧困対策は、予算も労力も必要で非効率的なのである。

社会正義を振りかざして可哀想だからと続ける支援は
同胞を哀れみ上から目線で行うものであり、決して対等な立場からの自立支援ではない。
だから欺瞞性が常につきまとい、幅広い共感を得られないのだ。
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