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「保育園落ちて良かった」者は首都圏で四千人超、保育士を「月4万円」でこき使いたい親も-待機児童の元凶

2018-02-21 | いとすぎから見るこの社会-少子化問題
東京都の調査によって衝撃的な事実が明らかになった。
極めて冷酷で自己中心的、保育士が安月給でこき使われていても何とも思わないという
悪質で強欲な利用者の意識がはっきり示されたのである。

また、世田谷区で「不承諾通知狙い」としか思えない、
認可保育所を実は利用したくない親の迷惑行為が200近く発生している事実も判明した。
(概算すると首都圏だけで4000人以上が「インチキ待機児童」に該当するものと思われる)

こうした無責任で我利我利の利己主義者が待機児童問題を深刻化させ、
保育士を安くこき使う差別的で歪んだ日本の保育制度の「元凶」である。

一言で「利己主義者」といっても三つの類型に分けられるのが、
共通して言えるのはその「冷酷さ」、つまり「自分だけ良ければいい」と考えている点だ。

冷酷な利己主義者の第一は、「とにかく認可保育所を自分に利用させろ」タイプで、
負担する保育料の上限は「月4万円」という、ブラック企業も真っ青の態度である。
保育ママやシッターならまだしも、園庭のある施設保育で「月4万円」ということは、
保育士に渡る金額はせいぜい月2万円台であろう。
(5名の子を担当しても月10万にしかならない!!)
これで我が子の安全も求めるのだから、まさに「人」だ。
ついでに言えば欧州並みの税金も払っていないから「フリーライダー」でもある。

冷酷な利己主義者の第二は、費用負担に渋い点で第一の類型と同じだが、
「本当はもっと長く育休を取りたかったが、認可に預けられなくなるから仕方なく」のタイプ。
こちらも勿論、仏や北欧のように重い社会保険料負担を甘受して
職場に負担のかからないようにするといった殊勝な考えはない。
まして保育士の低賃金や労働環境の過酷さに全く関心がないのは言う迄もない。
(全ての判断基準が「自分の損得」であると思われる)

冷酷な利己主義者の第三は、所得水準が第一や第二より高い。
それだけに社会的責任も社会に及ぼす弊害も最も重いと言える。
(恐らく当人達は、そのような「弊害」など何とも思っていないが)
この類型の者は、そもそも認可保育所を必要としていないが
「不承諾」狙いで認可への希望を出し、待機児童問題を悪化させている。
夫が高所得長時間労働のケースが多く、とにかく自分の家事育児負担ばかり気になる。
「家計を支えるのは当然ながら夫」なので、自分は子の傍で過ごす時間を増やしたい。
(そのために自分の職場で人手不足になっても「自分の権利だから」と平然としている)
保育士がいかに低賃金で酷い労働環境にあっても、
自分よりも所得水準が低い層が待機児童問題で苦しむのことも、「自分に関係ない」。
自己欺瞞や情報操作は非常に上手なので、社会や政府の責任として決めつけ、
自分に火の粉が降ってこないよう二重三重に予防線を張る。
そして勿論、欧州のように重い税や社会保険料は払っていないので、
当人が最も経済的には得であるし、欧州の人々のように困窮した人々を助けようともしない。
(少数の者は助けようとはするが、少額寄付かお手軽ボランティアでお茶を濁す)

…様々な情報を集め調査した結果、以上のように悲しむべき結論に達した。。
「冷酷な利己主義者」は上記の三つの類型ともに安倍政権と同様に責任が重いか、
或いはそれに近い悪質な行動を続けているということである。

▽ フランスでは保育所利用率は3分の1程度しかない、都市部では保育ママが大多数である

『超少子化: 異次元の処方箋』(NHKスペシャル「私たちのこれから」取材班,ポプラ社)


「当ウェブログは厳しく安倍政権の程度の低い家族政策を批判してきたが、
 碌にコスト負担もしないのに庭付き認可保育所を求める無責任な保護者も同罪である」
と批判してきたが、まさにその通りの結果だった。。

「待機児童問題の改善も、黴のはえたドグマに浸潤された
 「保守退嬰」政党に期待する方が間違っている。
 本質は大衆受けを狙ったポピュリズムに過ぎない」

「小手先の誤摩化しに過ぎない安倍内閣の「早期解消プラン」のせいで
 保育士の求人倍率が跳ね上がって人不足が深刻化している。
 そして例によって根本対策を行わない厚労省は小出しの弥縫策ばかり」

「経済合理性から言えば、女性就業率を高めて労働投入を増やし、
 家事育児は集約化することが経済成長と税収増に結び付く。
 そうした発想が完全に欠けている「次元の低さ」が問題なのだ」

「保育士の賃金が低いのは次世代育成を軽視する
 日本の社会システムの問題である」

「社会保障予算を育児関連分野向けに確保すれば
 保育士の待遇改善など容易にできる。
 しかし実際には予算制約が強いであろうから
 次善の策として「給付付き税額控除」を保育士と介護士に適用することを
 当ウェブログは何年も前から提唱してきた」

「財源は、悪質な差別政策に他ならない配偶者控除の原則廃止と、
 安定職にありついた者の利権と化している退職金への控除縮小で充分確保できる」

「当ウェブログは、低所得に悩む保育士の待遇改善の重要性と、
 事業者にピンハネされないよう給付付き税額控除の必要性を主張してきた」

「それだけに、保育士を対象としたある最近の調査には大いに驚かされた。
 保育士の「辞めたい理由」の第1位が低賃金ではなく、「職場の人間関係」だったのだ」

「これは調査の主体が保育関連人材サービスの会社なので
 雇用の流動性が高まった方が当該企業にとって好都合であること、
 オンラインの調査だったのでネガティブな意見が強く出がちな傾向があることが
 一定程度影響しているものと思われるが、それでも衝撃的ではある」

「ただ、実際に民間企業の運営する保育所では「ブラック」な職場が多いこと、
 公立保育所や幼稚園では江戸時代の士農工商のような正規と非正規の壁があることは
 よく聞くので、強い不平不満が溜まっている状況であるのは理解できる」

「職場の人間関係に対する保育士の不満が強いとなると、
 所得に比べてどうしても改善が難しくなる」

「離職率の低い保育所の補助金を引き上げて
 離職率の高い保育所の補助金を引き下げること、
 官庁もしくは役所が年に1度、直接保育士にオンライン調査を行って
 事業者に保育所ごとの平均値をフィードバックして改善を促すこと等、
 相当の労力と工夫が必要になるだろう」

「同時に、所得の改善によって不満が緩和される可能性もあるので、
 当ウェブログとしては引き続き給付付き税額控除で月数万は保育士の所得を引き上げるべきと考える。
 (出生率も労働生産性も高い「先進国」北欧に比べて賃金が低過ぎるからだ)」

「ゼロ成長を招いた「次元の低い」安倍政権は、
 失態を誤摩化そうと賃上げで有権者の歓心を買おうと必死になっている」

「報道からも分かるように、自民党が保育士の賃上げを図るのは、
 言う迄もなく野党にせっつかれているからだ。
 決して保育士不足問題に真剣になっているからではない」

「安倍政権の「保育士賃上げ」はそもそも前提が間違っており、
 非正規保育士の倍以上の高給を貰っている正規公務員保育士を平均値に入れていると推測される。
 (認可保育所の役員や管理職クラスも入れている捏造数値である可能性が高い)
 おかげでアベノミクスのような「水増し」の数値になっている」

「実質的な賃上げは最初の話から大きく縮小しており
 「最高で月額4万円」に萎んでいることも分かる。
 下方修正ばかり連発する安倍政権らしい詐術と言える」

「調査によると辞めた保育士の3割が「専業主婦」で、
 賃上げは「月5万円増でも戻らない」との意向のようだ。
 (「月10万円増なら戻る」と労働市場を完全無視した回答も多い)」

「つまり、さほど家計に困っている訳でもないのに、
 倒産・失業リスクのある一般企業の非正規労働者と同額を求めているのである」

「確かに欧州の保育士は日本よりも高い賃金を得ているが、その原資は重税負担である。
 日本でも大多数の保育所に公費が投入されている以上、
 保育士の賃上げは国民負担なくしては実現できない」

「専業主婦やパートタイマーとなった潜在保育士が配偶者控除を返上すれば
 容易に保育士の賃金を上げることができるのだが、
 どうやらそうした意識はひとかけらも持っていないと思われる」

「我が国では膨大な公費を費やす認可保育所へ入らせろと
 自らの負担の数倍以上の受益を要求するモラルハザードの親が少なくないが、
 (単に無知なのかもしれないが、それはそれで更に厄介である)
 潜在保育士の思考回路も同じようなものであるのかもしれない」

「潜在保育士が配偶者控除廃止などの負担増を容認して
 保育士の賃金を上げて欲しいと声を上げられるなら素晴らしいことだが、
 今迄の報道や調査を見る限り、嫌な予感がしてならない。
 「負担は嫌だが、貰うのは歓迎」な者が多いのではないだろうか」

「あのフランスでさえ保育所でカバーしている子供は3割以下である。
 潜在保育士は保育所勤務ではなく保育ママに誘導した方が合理的だ。
 待機児童問題の大幅改善には、保育ママ利用ができる保育バウチャーが絶対必要である」

「潜在保育士の活用には、一般国民の負担増と保育ママの活用が不可欠である」

「労働市場をよく知っている一般事務の労働者は
 月収5万円増がどれだけ難しいかよく知っている。
 しかし潜在保育士は賃上げには国民負担増が必要だという現実すら理解していないようだ。
 (保育士の待遇の良い欧州国では、間接税が軒並み20%を超えている)」

「国家資格を持つ労働者の感覚は、基本的にどこか現実離れしている。
 年収1500万円でやっと満足すると言われる医師もその典型だ。
 潜在保育士が月5万円の賃上げでも満足しないのも、かなり似た構図と言えよう」

「大変な仕事であることはよく理解できるが、
 夜勤のある看護師やノルマの厳しい営業職、低賃金の介護職などとよく比較し、
 有権者を説得できるような待遇改善を図らないとこの業界はいつまでも変わらない」

「政府も保護者もリテラシーが低い現状では、お先真っ暗」とした指摘も完璧に的中している。。

▽ 出生率をV字回復させたデンマークの保育ママ制度、日本より国民負担が重いからこそ実現できた



『消費税25%で世界一幸せな国デンマークの暮らし』(ケンジ・ステファン・スズキ,角川SCC)


愚劣な安倍政権・自己中の利用者・視野狭窄の潜在保育士が、日本の待機児童問題を益々深刻にしている。

「現下の待機児童問題はかつての日中戦争のような泥沼に陥っており、
 保育所を増やした以上に需要が増える状況で、どこにも明るい兆しが見えない」

「当然、関連報道も増える訳であるが、ズレた報道も多い。
 基本的に「上から目線」で、ただ保育所を求めるメディアは基本的に無責任であるばかりか
 財政リテラシーが果てしなく低く、日本の保育業界の「利権」にも盲目である」

「待機児童問題が基本的に生じない先進国は、北欧のような重税国家だ。
 日本の保育所利用者と希望者は、本来は北欧並みに正しいコストを払わなければならないのだ。
 財政面から言えば、保育所に預けられないのは「有権者自身のせい」である」

「また、政策リテラシーの面では、保育所に固執する親達の原理主義が
 保育所を「諸悪の元凶」に変えてしまっているのである」

「地価や人件費の高い大都市圏では、本来は保育料を引き上げなければならないし、
 容易に保育所を建設できる場所がごく限られているのだから、
 コストをがぶ飲みする高コストの施設保育に拘ること自体が
 待機児童問題をより一層深刻化させているのだ」

「本来はフランスと同じく、機動的な保育ママが保育の主力でなければならない。
 もしそれが嫌なら、利用者は正当なコスト(年間100万円を超える)を払うべきである」

「利己的で欺瞞的な親が何も考えず認可保育所を求めて政府や自治体に圧力をかけるから、
 大きな歪みが保育士の労働現場に生じ、低賃金とパワハラを蔓延させているのである」

「質を保ったままでの保育の量的拡大には、確実に高額のコストが必要になる。
 問題は「誰が、どの程度負担するか」であり、メディアがその問題を直視しないからこそ
 いつまで経ってもまともな議論にならず問題の改善も絶望的になるのだ」

「安倍政権の保育士処遇改善はいつもの通り「口だけ」、
 給付付き税額控除のような直接給付は利権勢力が嫌がるので実施されない」

「保育士もすっかりおかしな思考になっていて「保育施設を増やしても意味がない」
 「働き方を変えれば」などと民間労働者の実情に無知なただの愚痴を口にする始末だ」

「大都市部で待機児童問題を改善するには保育所に頼ってはらないということはもはや明らかであり、
 保育の質を個別に評価できる保育ママに政策転換すべきなのである。
 そうすれば保育所の悪質なパワハラ蔓延は確実に撃滅できる」

この自己欺瞞と利己主義に満ちた「鉄のトライアングル」を打破しない限り、待機児童問題は解決できない。

↓ 参考

保育士処遇改善は「全く感じない」、「パワハラだらけ」が多数意見 - 保育所を求める有権者が諸悪の元凶
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/066c792f5046dd4e736a9040ec938263

潜在保育士は現在「専業主婦」が多い、「月5万増でも戻らない」と豪語 - どうして保育ママにならないのか
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/97532a97357c09adafbf12f08b63b206

保育士の「辞めたい理由」、1位は低賃金ではなかった -「人間関係」への不満が圧倒的に多い現実
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/b273672cecb9b0980bfabf0e084f2e39

保育士の月給は全業種平均より10万円以上低い、給付付き税額控除の適用を-確実に雇用が増える成長分野
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/9e67ae639fccb329366bbfde4028b066

▽ 高成長・高出生率のスウェーデンの育児支援は非常に手厚い、高負担だからこそ実現できた制度





『スウェーデン・パラドックス』(湯元健治/佐藤吉宗,日本経済新聞出版社)


育休1年以上希望が68%、実際は51% 都保育調査(日本経済新聞)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26702430Y8A200C1L83000/
東京都の保育ニーズ実態調査によると、68%の親が育児休業を1年以上取得したいと考えているが、実際に1年以上取れたのは51%だった。希望する保育サービスで最も多いのが公立認可保育所で52%。ただ、実際の利用は17%にとどまるなど希望と実態に差がある現状が浮き彫りになった。
 2017年8~9月、0~5歳の子どもがいる約3万8000世帯にアンケートを実施し、約1万3000世帯から回答を得た。回答率は34%。調査対象が共働きかどうかは問わなかった。
 育休を取得したことがあるのは母親で50%、父親で6%だった。取得者に対して希望していた期間を聞いたところ、最も多かったのは「1年以上1年7カ月未満」で43%を占めた。「6カ月以上1年未満」が2番目に多く23%。
〔中略〕
 一方、実際に取れた期間は「1年以上1年7カ月未満」が40%、「6カ月以上1年未満」が34%。「3カ月未満」が8%で、1年未満が49%を占めた。
 育休を取った期間が希望より短くなった理由は「希望通り取得すると保育所に入れなくなる」(65%)が最も多い。保育所に入れるために育休を早めに切り上げる親が多いようだ。「収入が減る」が26%で続き、「周囲の迷惑になる」も22%いた。「育休制度が適用されない」が17%、「仕事が忙しく、休むことができなかった」も15%いた。
 希望する保育・教育サービスは認可保育所の人気が高い。複数回答で聞いたところ、私立の認可保育所が39%で公立の認可保育所の52%に続き、幼稚園の30%を上回った。実際の利用は私立認可保育所が21%、幼稚園が23%となっている。
 認可保育所の保育料についても聞いた。支払ってもよいと考える保育料の上限は4万円が30%で最も多かった。回答者の保育料の平均は2万8300円。4万円以上では料金が上がるにつれて保育所の利用意向が減るという。

 保育・教育サービスを利用していない世帯は25%あった。複数回答で理由を聞いたところ、「必要がない」(39%)や「子どもが小さいため」(33%)のほか、「利用したいが空きがない」が31%にのぼり、潜在的な保育需要をうかがわせた。
 都は調査結果を踏まえ、19年度までの4年間で7万人分増やすとしていた保育定員の整備目標を17年度からの3年間で6万人増に修正した。〔以下略〕”

これは明らかに、「利用者が待機児童問題と保育士不足の原因になっている」事実を示している。
余りにも酷い調査結果なので愕然としたが、東京都の調査にも責任があろう。
「認可保育所の利用者は年間100万円以上の公費を使っている」
「認証保育園利用者の2倍以上の公費が認可利用者に使われている差別構造」
「認可利用者の払う地方税より認可保育所に使われる公費の方が高額」

といった事実を明確に伝え、代替案を尋ねるべきだったのだ。


「保育園落ちてもいい」親たち。待機児童の一方で「不承諾通知」歓迎と内定辞退続出の訳(BUSINESS INSIDER JAPAN)
https://www.businessinsider.jp/post-161845
”待機児童問題のもう一つの顔とも言える「認可保育園に落ちてよかった」現象とは。
 4月を前に保育園入園をめぐり「#保育園落ちた」が今年もTwitter上を飛び交っている。待機児童問題は一向に解決されていない。
 一方で、自治体によっては認可保育園の内定辞退は相当量あり「落ちてよかった」と言う声があるのも事実だ。待機児童問題とは裏腹に見える現象の背景には、何があるのか。

「認可保育園に落ちて、結果的に良かったかなと思っています」
 1月26日、上野夏実さん(37、仮名)は、東京都杉並区役所からの不承諾通知を受け取った。医療関係の仕事に就き、1歳になったばかりの男の子がいる。
 昨年(2017年)秋の認可保育園の募集では、家から通える5つの保育園と2つの保育室を書いて区役所に申し込んだが、全て入れなかった。最初こそ驚いたが、悲壮感は全くと言っていいほどない。
 入園不承諾の通知を受け、近くの無認可保育園に電話してみると、4月からの1歳児クラスに空きが出たという。認可保育園に内定した親が、予約者リストからごっそり抜けたのだ。
 見学に行き、清潔で明るい雰囲気に入園を決断した。広くて環境がいいと思って認可保育園を望んだが、ここも悪くない。
「とりあえず、時短で週2~3回の出勤で体を慣らしながら復帰しようと思います。もし認可に決まっていたら、すぐに週5日復帰しなくてはならなかったかと思うと、正直きつかった。今ではこれで良かったなと思います」
 歩き始めたばかりの1歳の息子は、かわいい盛りだ。働きながらも、一緒に過ごす時間も欲しい。
 認可保育園は、園庭がある、一定の広さ、保育士の数など国の設置基準をクリアし都道府県知事の認可を受けている。公費で運営され、保護者側にも一定のルールが課せられる。
「週5フルタイム勤務4月入園」で申し込んだのであれば当然、申し込んだ条件での復職が必要なほか、毎年、勤務先や事業の証明書を提出しなければならない。週5で申し込んで「まずは週3回の復職」などは、基本的に認められない。

おかずは3品以上、結婚後に契約社員に
 8歳年上の夫は、上場企業の役員だ。仕事は忙しく、子どもが生まれる前から家のことは当然のように上野さんの役目になっていた。
 専業主婦の母親に育てられた夫は、上野さんにも同じことを求めた。夫が帰ってきたとき、家はきれいに片付いていないといけない。おかずが3品以上並んでいないと満足しない。
「それが大変で、結婚後に正社員から契約社員になりました。シフト制で仕事量を調整できるので。そのおかげで復職後も柔軟に戻れるのですが」
 仕事を辞めるという選択肢はない。難関の資格を取得し、仕事自体は好きだ。いつ何があるか分からないので、たとえ自分一人でも子どもを育てられる経済力を持っていたい。

 上野さんの周囲には、同様に認可保育園の入園について「ラフに捉えている人多い」という。
育休延長できるし、落ちたら落ちたで、また考えればいいという感じです
 保育園に入れなかったという自治体からの「不承諾通知」を会社に提出すれば、法律により育児休業は最長で2年まで(2017年10月以降)延長される。育休中は、賃金の67%(6か月後から50%)に相当する育児休業給付がハローワークから支給される。当面、生活に大きな影響はない。上野さんは言う。
正直、マスコミは保活の大変をあおりすぎでは、と思うこともあります。経済状況にもよるのでしょうが、保育園落ちた日本死ね、というぐらい追い詰められている人は周囲にはいません。むしろ、不承諾通知欲しい、という人はざらにいます
「むしろ不承諾通知を欲しい」という人に対しては、経済的に恵まれ、即座に働かなくても暮らしていけるからこその“贅沢な悩み”という声は大きいだろう。ただ、これもまた保活の一面だ。復職後の仕事と子育ての両立があまりに過酷になることが予想されるために、保育園に子どもを預け、復職することを躊躇う人は確実にいる。「不承諾通知」は職場に対して、育休延長を主張するための材料でもある。

「地獄のような生活に戻りたくない」
 東京都23区在住のIT企業勤務の30代女性は3年前の4月、当時4カ月だった娘の認可保育園の入園申し込みで、「狙いどおり」区役所からの不承諾通知を受け取りホッとした。
 申し込める5枠に対し、そもそも1園しか申し込んでいないので「確信犯」だ。会社には「“認可保育園に”落ちた」ことを伝え、育休をそのまま継続した

 一方、認可外の保育園にすでに予約を取っていたため、4月からは娘を週に2~3回程度、短時間で預けて保育園生活に徐々に慣らした。法定育児休業の期限である、娘が1歳になる11月に職場に戻った。
「1歳の4月まで待てば保育園入園は激戦になる。でも0歳の4月入園では娘も小さいし、産後の体で仕事も育児も家事もと抱え込むのは不安。入園月での復職を求められない認可外で、落ち着いて仕事に戻りたかった」と言う。
 夫は深夜残業が当たり前の職場で、育児も家事も自分一人がやるのは目に見えていたからだ。
「法定休業の1年までには復職しているので、とくに罪悪感はありません」
 この女性の周囲でも「あえて不承諾通知はよくあること」と言う。その場合、4月の復職が在園の要件にならない認可外の保育園を確保して「自分のタイミングで復帰する」のが通例という。
 次男のときには育休を最長まで延長し、2歳で復職したという杉並区の会社員女性(36)は「時短で復職しても仕事量は変わらず、手取りが減るだけ。フルタイムにせざるを得ない。夜の8時過ぎに保育園にお迎えに行って寝かしつけの後に持ち帰り仕事をして、親子共々疲れ果てる地獄のような生活に、早々と戻りたくなかった」と話す。

保活を長引かせる一因にも
「不承諾通知が欲しい母たちが相当量いるのでは……」という指摘は保育行政の現場からも聞こえてくる。
〔中略〕
 世田谷区では、保育園に入れずに法定育休の延長手続きを行う可能性のある保護者を、年間800人程度と見込んでいる。
 ただその中で、「不承諾通知(入園待機通知書)」の取得が目的と想定される保護者が、最大で年間190人程度いると推定する。複数園の申し込みが可能な入園申込書に、1園のみしか書かなかったり、入園内定通知を出しても辞退をしたりが、その根拠だ。

 こうした現状から「不承諾通知目的で申込みしている本人たちに悪意はなくても、結果的に社会に大きな影響を与えている」と世田谷区の担当者は嘆く。
「一人が内定辞退をしてしまうと、本当はそこの保育園に入れた人が入ることができず、他の多くの人も内定先が変わってしまった可能性がある。結果的に、入れなかった保護者が追加募集に応募しなければならなくなるなど、保活を長引かせる原因の一つになっている

復職後に何が起きるのか
 事情あっての「不承諾通知欲しい」や「内定辞退」であったとしても、正確な保育ニーズが不明になるなど、周囲に深刻な影響があるのは事実だ。ただ、その解の一つは、こうした心理に親を追い込む背景に目を向けることにあるかもしれない。
 20代30代の女性に向けた情報サイト「ウートピ」の鈴木円香編集長も、周囲で「そこまで認可保育園に入りたくない」現象を目にしたと言う。
 その上で「不承諾通知が欲しいワーママ(働く母親)が一定数いることは、一人の母親としてよく理解できます」と言う。
無事に保育園に入れても、その後の生活が過酷すぎる。たとえ職場の理解があって時短勤務が可能でも、5時にお迎え、夕飯の支度、入浴、寝かしつけを9時までに済ませる生活は過酷です。しかも、それをワンオペ状態でやるとなれば、早晩発狂しそうになるはず。そんな生活に“復帰”するくらいなら、不承諾通知が欲しいというのは、ごく普通の感覚ではないでしょうか
「これだけ保育園への入園が困難な時代に『不承諾通知が欲しいなんてけしからん!』という反応は容易に想像できますが、ワーママたちが罪悪感を覚えつつもそういう選択をせざるをえない、復帰後の過酷なワークスタイルが現に存在することに、もっと目を向けてほしいと思います」〔中略〕(文・滝川麻衣子、室橋祐貴、写真・今村拓馬)”

この日本が絶望的な少子化によって衰退している理由がよく分かる。
自立した責任ある有権者であれば、欧州のように重い国民負担に耐え、
育児支援を充実させるとともに家事育児関連費用の控除を求める筈だ。
日本は正反対である。自分の負担は拒否し、他人を犠牲にして利得を奪い合っている。。
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