英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

『平清盛』 第11話「もののけの涙」

2012-03-20 10:54:14 | ドラマ・映画
 タイトルの「もののけの涙」、得子(松雪泰子)のどろどろの権力欲、白河法皇の血をひく平清盛(松山ケンイチ)と崇徳天皇(井浦新)の対比……この脚本家(制作サイド)は、こういった宮廷のドロドロ劇場を描きたいらしい。
 主人公サイドの清盛の妻・明子(加藤あい)の死も、明子のつつましさと優しさ、夫婦愛も描かれていたが、ドラマを通じての流れは前者(どろどろ・血の因縁)にあるため、後者(夫婦愛)が添え物のように感じてしまった。


★そもそも、ナレーションが良く分からない。
 最初に得子の陰謀についての事前説明(女性アナウンサー)があり、その後、源頼朝(岡田将生)による義清出家に関する語りが続く。その後、璋子(檀れい)と堀河局(りょう)が義清について語り合い、主題曲が流れる。
 これは変。先週の終わり方からすると、義清の出家から始まるべきだ。『平清盛』なら冒頭は義清出家の話、主題曲、清盛と崇徳帝(井浦新)との対面と続くべきで、得子の野心(陰謀)云々の語りは入れないか、どこか適当なシーンで入れるべきであろう。
 得子の野心をどうしても冒頭に入れたいのなら、得子の野心のナレーションの後主題曲、そして義清出家の語りとするのならまだ納得できる。
 とにかく、得子の野心を脚本家は宮廷のドロドロ絵巻を一番に描きたいらしい。そろそろ、それに、いいかげん「もののけ」から離れて欲しい。視聴離脱も本気で考える時期かもしれない。取りあえず保元の乱までは様子を見ようか。

★野心ギラギラ、ひとり浮いている感の得子
 院政で政をしようと目論んだ崇徳帝を嵌めた件は面白かったが、メインであるらしい得子の野心、ひとりだけギラギラ燃えていて浮き気味。どうせなら、得子や璋子をとりまく貴族(藤原摂関家や新興貴族)などの勢力争いなどを描いて欲しい。
 そもそも院政はどういういきさつでこの制度が生まれたか、上皇と天皇の力関係など詳細が分からないので、どうもピンとこない。この辺りはドラマ初期にしっかり描くべきではなかったのだろうか。
 聖人と化した璋子(檀れい)も変わり過ぎ。(天然と言えば天然だが)
 
★対照的な純愛とホームドラマの清盛家
 宮廷のドロドロ劇場とは対照的な清盛一家。優しく気が利き控え目な明子、明子に心酔する清盛、さらに明子に甘える息子たちとほのぼのシーン。……そして不治の病にかかり、明子との悲しい別れ。
 しかし、悲しみのあまり読経の効果がなかったと、僧侶を蹴り飛ばす清盛の様を「もののけの如く生きた白河院の血が清盛に流れていることを、育ての父・忠盛(中井貴一)にいやおうなく思い出させた」と語り(ナレーション)が入るのはどうなのか?
 このシーン、清盛の情けの深さを表すシーンだと感じたが、脚本家はどうしても「もののけ」と結び付けないと気が済まないようだ。
 それにしても、思い切り蹴りをいれられていた僧侶、大丈夫だったのだろうか?

★ひとりラブコメ1 「時子の巻~台無しの大便のどけ男の光らない君~」
 清盛との再会(三度目の出会い)に心を揺らす時子(深田恭子)だが、「お初にお目にかかる」とあいさつされ、「妙な女子(おなご)」とまで言われてしまう。

★ひとりラブコメ2 「由良姫の巻~義父に八つ当たり~」
 義朝(玉木宏)の帰りを待ちわびる由良姫(田中麗奈)、恋しさゆえ、為義(小日向文世)に八つ当たり、そして、寂しさに涙を流す。おろおろする為義と鎌田通清(金田明夫)。
 なぜ、由良姫に叱責されるのか分からない為義の様も面白かった。

★ひとりカヤの外、義朝
 強奪まがいに勢力(精力)を伸ばす義朝だが、「カヤの外」の感が強い。
 次週の予告で、「清盛、生きておったか」と呼びかける義朝だが、そりゃ、お前のことだろう。


【ストーリー】(番組サイトより)
 内裏に呼ばれた平清盛(松山ケンイチ)は崇徳天皇(井浦新)に、佐藤義清(藤木直人)が出家した際に詠んだ歌を伝える。清盛は崇徳帝と同じく白河院(伊東四朗)の血をひく宿命を背負ったが、自分なりに面白く生きていくと告げる。
 1140年、崇徳帝に待望の皇子・重仁が誕生する。崇徳帝は帝(みかど)の座を重仁に譲りたいと、父である鳥羽院(三上博史)に表明。しかし得子(松雪泰子)は、崇徳帝を言いくるめ、自らの子・躰仁(なりひと)に帝の座を譲ることを約束させる。
 翌1141年、躰仁がわずか3歳で近衛天皇として即位。しかし譲位の儀式で崇徳帝は、躰仁に自分の養子としてではなく、弟として位を譲る形式になっていることを知る。弟に譲ったのでは上皇として院政を行うことができず、だまされたと知った崇徳帝は怒りをさらに募らせていく。出家して法皇となった鳥羽院が引き続き政治の実権を握ることとなった。
 1142年正月、皇后となった得子の勢いを前に、にわかに平氏一門は騒がしくなる。今後平氏は誰に忠義を尽くすべきなのか──。清盛は答えの出ない議論を、「くだらぬ」と一蹴。 そんな兄に家盛(大東駿介)が食ってかかる。そこで宗子(和久井映見)、明子(加藤あい)、家盛の妻の秀子(海老瀬はな)が、新年を祝う演奏を開始。3人の奏でる和琴(わごん)、琵琶、笙(しょう)の調和を元に忠盛(中井貴一)は一門の結束が大切だと話す。
 後日明子は、貴族の娘たちに琵琶を教えることに。助手として駆り出された明子のかつての教え子・時子(深田恭子)は、そこで清盛と再会する。そんな中、明子は琵琶の生徒の侍女・波子(岩田さゆり)を見つめる盛国(上川隆也)の視線に気付き、2人の縁談を進める。清盛は、明子のこまやかな気遣いに感心する。
 そのころ、東国にいる源義朝(玉木宏)は相模(現・神奈川県)の波多野一族を家来にするなど、地域一帯の武士の多くを配下におくほどに武名を高めていた。三浦一族の娘との間に義朝の長男・義平が生まれ、波多野一族の娘との間に次男・朝長が生まれる。京では由良姫(田中麗奈)が義朝の帰りを待ちわびていた。
 台頭する得子の陰で、すっかり権勢を失った待賢門院璋子(たまこ・檀れい)は、ある日、得子に呼び出される。待賢門院に仕える者が得子を呪詛(じゅそ:呪いをかけること)したというのだ。得子の陰謀と悔しがる堀河局(りょう)だが、待賢門院は鳥羽院や崇徳院を苦しめ、義清を出家に追いやった罪深き自分を得子が救ってくれていると説き、堀河局らとともに仏門に入る。
 ある日、清盛に大事件が起こる。神社参詣の帰り、参道にうずくまる物乞いを介抱した明子は疫病にかかってしまう。治せる薬はないという薬師の言葉に清盛は動転。感染するおそれがあるため、介抱することも許されない清盛は、僧を呼び一心に祈りつづける。そんな清盛に、見舞いに訪れた忠盛や宗子たちは声をかけられない。やがて目をさました明子に、ふたりで海を見る約束のためにも死んではならないと清盛は呼びかけるが、明子は清盛のお陰で十分楽しませてもらったと告げ、息をひきとる。清盛は我を失い祈とうする僧たちに襲いかかるが、盛国に止められ「みなが健やかに生きる国を殿がつくりなさい」と諭される。一方、その清盛の姿を見た忠盛は、「もののけ」と言われた白河院の血が清盛に流れていることを改めて気づかされていた。

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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
こんにちは~ (kira)
2012-03-20 17:39:30
自分のTBを見逃してしまい、本日またトラバしてしまいました~。
お手数ですが、どうぞ、本日分は削除して下さいませ。

「もののけ」呼びから離れて欲しいは同感です。
「もののけ」はこのドロドロの象徴であり、ダーティーなイメージを強くしてしまうし、
これでは王家を中心にしたいのか、平家を率いた清盛の物語なのか解らなくなります。
まあ、松ケンはじめキャストはいいのでラストまで観ますが

今後も宜しくお願いします♪
返信する
王家のドロドロが ()
2012-03-20 18:05:35
kiraさん、こんばんは。

トラックバックの件、了解です。(私もよくやります)

>これでは王家を中心にしたいのか、平家を率いた清盛の物語なのか解らなくなります。

 そうですよね。したいかどうかはともかく、脚本家さん(制作サイド)は、王家のどろどろが好きなようですね。

>今後も宜しくお願いします♪

こちらこそ、お願いします。(ラストまで観るかは不明ですが)
返信する
泣かせる場面のはずが (コウジ)
2012-03-21 09:06:27
英さん

>清盛の情けの深さを表すシーンだと感じたが、脚本家はどうしても「もののけ」と結び付けないと気が済まないようだ。

僕も同じ事を感じました。
ここは悲しみのあまりの過度の感情表現でもよかったのに。
ここは視聴者を泣かせる場面だと思ったのですが、このナレーションで一気に覚めましたね。

返信する
今回は ()
2012-03-21 13:19:18
コウジさん、こんにちは。

>ここは悲しみのあまりの過度の感情表現でもよかったのに。
>ここは視聴者を泣かせる場面だと思ったのですが、このナレーションで一気に覚めましたね

 ほんと、そうですよね。
 冒頭のナレーションの構成と言い、最後のナレーションと言い、今回、この大河ドラマの方針が血縁や朝廷のドロドロ劇の方に重きがあると感じたので、ガッカリしました。
 特に、清盛の悲しみぶりが「もののけぶり」の本性と定義付けしまったので、今後の清盛はこの「もののけ」ぶりがつきまとうような展開になってしまう怖れがあります。
 がっかりです。
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