崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

「やってない」謝罪

2013年05月15日 04時12分24秒 | エッセイ
昨日の新聞には朴槿恵大統領の報道官がセクハラ問題で解任されたことと橋本徹氏のいわば従軍慰安婦問題が報道された。全く次元の違う話題であるが私から見ると共通点がある。それは「やってない」といいながら「謝罪」をする点である。ホテルで酒を飲み、お尻に触った疑いがもたれている。韓国社会ではありそうな話である。日本に長く住んで帰国したとき、韓国の喫茶店で年配の方が特に顔マダムのお尻に触るのを多く見て異様に感じたのをおぼえている。尹氏は、酒席ではインターンの女性とともに運転手もいたとし、セクハラができる状況ではなかったと主張した。「米国の文化を理解していなかったことを反省している」とセクハラという認識がなかったという。
 一方橋下氏はいわば従軍慰安婦は「国家としてやってない」という見識を披露した。1992年1月「朝日新聞」の慰安所(写真)を大きく報道したが河野洋平官房長官がそれを認めて韓国に迷惑をかけたことを深くお詫びすると謝罪をした河野談話がある。しかしその写真は日本の「大和撫子のサーヴィス」が勇士を歓迎する置屋の宣伝写真であることは誰でも確認できるものである。しかし河野談話をそのまま継承できないと修正しようとすると外交問題が発生するジレマに落ちている。橋下氏の慰安婦に関する発言は今までの研究を踏まえた見識と思う。日本帝国軍がいくら悪軍といっても「軍制として」慰安所が存在しなかったのは画然としている。ただそれを正直に語ったのが橋下氏である。しかしそれは「軍制としてやってない」けれども戦争の加害者として謝罪しなければならない。日本は唯一の被爆国であるが、ただ「被害国家」ではない。日本が「加害国」であったことをもっと認識し、反省すべきである。