大福 りす の 隠れ家

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みち  ~未知~  第93回

2014年04月22日 14時30分21秒 | 小説
『みち』 目次



『みち』 第1回から第50回までの目次は以下の 『みち』リンクページ からお願いいたします。

  『みち』リンクページ



『みち』 第51回からは以下からになります。

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『みち』 ~未知~  第93回



「はい、いいですよ。 あ、足を崩してくださいね。 それではお話しますね」 クリアファイルから紙を出して読み始めた。

琴音は何を言われているか全然分からない。 ただ聞き取れたのは言葉の端々に縄文の神々の名や仏教の菩薩の名が出てきているという事だけだ。

(何? 神様とか菩薩様って。 菩薩様は分かるわよ、和尚様なんだから。 でも神様ってどういう事? それにお話がお説教じゃないじゃない) 縄文の神々の本を沢山読んだお陰でその名がすぐに神々の名と分かった。

話を聞こうとはするが、琴音にとっては話がポンポンと飛んでいるようにも聞こえ、頭の中はお説教という観念があったからか、やはり話し自体にピントが合わない。

(ああ、全然何が何だか分からないわ)

「・・・と言うわけですね。 昨日の夜にこの文章が降りてきました」 和尚が読み終えクリアファイルに今読んでいた用紙を入れている。
琴音があれやこれやと考えている間に話が終わってしまったようだ。

「一つ一つが今日来られている全てのどなたかに必要なお話でしたからね。 よくご自分に当てはめて考えてくださいね。 それにしても今日は神々の名前が多かったなぁ。 神様の事をよく知っている人が多かったのかなぁ?」 琴音はドキッとした。

(まさか私のことじゃないわよね)

「それじゃあ、15分ほど休憩を挟んでから次を始めましょうか」 琴音が時計を見るともう2時間が経っていた。

(もう2時間も経っていたの? でもこれってなんなの? 和尚様のお説教じゃないじゃないの) 周りではトイレに行ったり、お茶や水を飲みながら談笑している姿が見える。

(お説教を聞けないのならもう帰ろうかしら) そんな風に思ったとき

「どう?」 さっきお茶を入れてくれた女性が話しかけてきた。

「あ、えっと、どう言っていいのか」 どう? と聞かれても帰ろうとしていただけに答えにくい。

「あの、てっきり和尚様のお説教かと思って来たものですから・・・普通のお説教と違いますよね」 尻すぼみに聞くと

「和尚のお説教?」 女性がキョトンとしている。

「はい。 法事などで和尚様がお説教をされますよね、あんな感じかと思っていて」

「ええ? そうなの? 全然、違うわよ」

「やっぱりそうですよね。 聞いていて何が何だか分からなくてもう帰ろうかと思ってたんです」

「確かに以前はお寺の和尚だったのよ。 でもこのセミナーをするのに・・・」 琴音が驚いて思わず聞いた。

「え? セミナー?」 

「そうよ、お説教じゃないわよ」 クスクスと笑っている。

「そうだったんですか。 チラシに書いてあったのかしら」 恥ずかしそうに下を向いた。

「まぁ、来たんだからいいじゃない。 これもご縁よ」

(あ、そう言われれば ハローワークでもご縁って言われたんだったわ)

「和尚はヒーリング能力もあってね あ、息子さんにお寺を任せて完全に和尚業は引退してるの。 さっきのお話は和尚を守護している方々から降りてきたメッセージなのよ」

「守護? ヒーリング?」 思ってもいない言葉に驚いた。

「あ、もしかしてこういう話を疑ってる? 否定派?」 しまったと言う風に聞いてきた。

「いえ、そう言うわけじゃないですけど・・・」

「こんな話は無理強いしたくないから耳障りだったら帰った方がいいかもしれないわね。 でもさっきも言ったけどご縁があって今日あなたは来たんだと思うのよ。 否定派じゃないのなら後半のヒーリングまで居たほうがいいと思うんだけど。 どう?」

「はい、別に疑ってもいないので。 あ、勿論否定派でもないですし、ただ思ってもいなかったからビックリして」

「そうなの? よかった。 否定派の人だったらとんでもない話だからお勧めできないんだけど そうじゃないなら是非体験していくべきよ」

「体験ですか?」

「そう、後半はヒーリングの実践なの」

「実践・・・ですか」

「あ、やっぱり疑ってるの?」

「いえ、そうじゃなくて どうしても頭からお説教というのが離れなくて」

「頭を柔軟にしなきゃ」

「クス、そうですね。 石頭では何も出来ませんよね」

「そうそう」

「あの、一つ聞いていいですか?」

「何? 答えられるかしら、自信がないけど言ってみて」

「さっき守護って仰いましたよね」

「ええ、言ったわよ」

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