大福 りす の 隠れ家

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みち  ~未知~  第90回

2014年04月11日 14時07分56秒 | 小説
『みち』 目次



『みち』 第1回から第50回までの目次は以下の 『みち』リンクページ からお願いいたします。

  『みち』リンクページ



『みち』 第51回からは以下からになります。

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『みち』 ~未知~  第90回



お弁当とコップを持ち表の事務所にやって来た琴音。 引き出しにお弁当を片付け湯呑みを洗い席に着くと

「ああ、PCを凝視しすぎたわ。 目が疲れちゃった」 PCの文字と言うものは 気合を入れて読んでしまうと瞬きをしないせいか目が渇く。 その上、前の会社を辞めてからは長い時間PCを見ることも無かったのが 昼休みの1時間、ずっと見通しだったのも手伝って目がかなり疲れたようだ。 

緑を見て目の疲れを少しでも取ろうと表と奥の事務所の境にあるいつも見ている絵を見に立った。

「いつ見ても優しい緑・・・。 え?」 気付いたね。

「どうして・・・?」 偶然ではないよ。

「雨の小屋根って・・・天兒屋根(あめのこやね)・・・」 そうだよ。

「そうだったわ、初めてこの絵を見たときにこのタイトルを見たんだったわ。 漢字は違うけど・・・」 漢字が問題じゃないんだよ。

「偶然って恐いわね」 だから違うって・・・。


席に着きゆっくりと仕事を始めだしたら一人の社員が帰ってきた。

「ただいま、何かありましたか?」 琴音を心配して一人先に帰ってきたのだ。

「お帰りなさい。 大丈夫です。 特に何の電話もありませんでした」

「そうですか。 じゃ、僕奥の事務所に居ますから 何かあったら全部僕に回してください」

「はい」 すると暫く時間がたったとき奥の部屋で大きな声がする。

「あら? 社長の声だわ。 帰ってきたのかしら?」 耳を澄ますと社長の声しかしない。

「誰かと電話をしているのかしら?」 聞き耳を立てていると電話が切られた。 ちょっと気になって奥の事務所を見に行くと社長が居ない。

「あら?」 さっきの社員が一人座っているだけだ。 

「あの、今社長がここにいらっしゃいました・・・か?」

「え? 何言ってるんですか?」

「今社長が誰かと電話をしていた声がしたんですけど」

「織倉さん寝ぼけてる? 今社長と電話をしていたのは僕ですよ。 社長はまだ帰ってきてないですよ」

「あ、気のせいだったのかな」 その場はそう言って誤魔化して去ったのだが

「どういうこと? 話している方の声が聞こえなかったのに電話の向こうの人の声が聞こえたっていう事? ・・・」 気味悪い声より社長の声の方がいいでしょ?

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