『みち』 目次
『みち』 第1回から第50回までの目次は以下の 『みち』リンクページ からお願いいたします。
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『みち』 第51回からは以下からになります。
第51回・第52回・第53回・第54回・第55回・第56回・第57回・第58回・第59回・第60回
第61回・第62回・第63回・第64回・第65回・第66回・第67回・第68回・第69回・第70回
第71回・第72回・第73回・第74回・第75回・第76回・第77回・第78回・第79回・第80回
『みち』 ~未知~ 第86回
連休も明け 出勤だ。
「うう・・・まだ身体が痛い」 ガクガクと身体を動かしながら出勤をした。
数日が経ち身体もようやく楽になった日の昼休みの始まり。
この日は珍しく午前中の仕事がきつく、かなり疲れていた。
「ああ、肩が凝ったわ。 今日は計算三昧ね」 奥の事務所に行き、お茶を配り琴音自身も席につきお弁当を広げた。 広げたお弁当を見て
「はぁ、毎日同じおかず。 暦ならこんなことしないんだろうな」 そう思いながらもありきたりなお弁当を食べだした。
食べ終わっていつもならすぐに本を読むのだが さすがに相当肩が凝っているようだ。
「これ以上下を向きたくないわ」 上を仰いで自分の手で肩をトントンと叩き出した。
「凝り性はお母さん譲りね」 うかつに目を瞑った琴音。 瞼の裏に何かが見えた。
「何?」 それも至近距離だ。
「フェンス? どこのフェンスなのかしら」 じっと見ようとしたらまたフェードアウトしていき目の前が真っ暗になった。
目を開けた琴音。
「いったいどこのフェンスだったの?」 身の周りのあちこちを思い浮かべるが フェンスなど思い浮かばない。
「ああ、考えるのはよしましょう。 それでなくても肩が凝ってるのに余計と凝りそうだわ」 また肩をトントンと叩きだし
「あ、そうだわ。 今日は図書館に寄らなくちゃいけないんだったわ」
午後の仕事も計算ずくめであったが今日一日が終わった。
予定通り図書館に寄り、返却する本を先にカウンターへ戻した。 そして次ぎは何を借りようかと本棚を見ていると 『空也』 に関する本が目に付いた。
「あ、そう言えば何も知らないんだったわ」 その本を手に取りパラパラとめくった。
「読みにくそうではないわね。 これを借りて他には・・・」 また本棚をウロウロして何冊かを借りて家に戻った。
その日からすぐに『空也』 の本を読み出した。
「へぇー 平安時代の人なんだ。 平安時代は結構読んだつもりだったのに 読みもらしていたみたいね。 市の聖(いちのひじり)・・・ああ、確か前にそんな言葉を読んだような・・・きっと仏教の本に書かれていたのね。 ・・・え? 空也の彫像が月輪寺にあったの? 月輪寺って確か愛宕山を下りるときにあったお寺よね。 へぇー、そうだったんだ」 その後も読み進めていった琴音。
「もし、あの時隣に立ってくださったのが 空也っていう人なら・・・あははは、ありえないわね。 でも呼び捨ては考え物よね。 空也上人だわね。 よしっと、今日はこれまで。 あんまり根を詰めてこれ以上肩が凝るのはいやだわ」 本に栞代わりの紙を挿んで閉じた。
「・・・そっか。 お寺ね。 ・・・そう言えば 私って何宗なのかしら。 今度帰ったときに聞かなきゃ。 それに神社・・・。 今まで全然考えなかったわ。 そういえば此処の辺りの氏神様って誰なのかしら? うん? 神社なんてあったかしら?」
くくく・・・。 凄い変化だね。
あの琴音がね。 思う壺に・・・あ、いや。 ちゃんと予定通りに進んでいるね。 まぁ、まだまだ先は長いけどね。 それにしても一瞬とは言え 空也様が横に立っていて下さったなどと畏れ多いことを考えるとは 聞いているコッチは冷や汗が出るよ。
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連休も明け 出勤だ。
「うう・・・まだ身体が痛い」 ガクガクと身体を動かしながら出勤をした。
数日が経ち身体もようやく楽になった日の昼休みの始まり。
この日は珍しく午前中の仕事がきつく、かなり疲れていた。
「ああ、肩が凝ったわ。 今日は計算三昧ね」 奥の事務所に行き、お茶を配り琴音自身も席につきお弁当を広げた。 広げたお弁当を見て
「はぁ、毎日同じおかず。 暦ならこんなことしないんだろうな」 そう思いながらもありきたりなお弁当を食べだした。
食べ終わっていつもならすぐに本を読むのだが さすがに相当肩が凝っているようだ。
「これ以上下を向きたくないわ」 上を仰いで自分の手で肩をトントンと叩き出した。
「凝り性はお母さん譲りね」 うかつに目を瞑った琴音。 瞼の裏に何かが見えた。
「何?」 それも至近距離だ。
「フェンス? どこのフェンスなのかしら」 じっと見ようとしたらまたフェードアウトしていき目の前が真っ暗になった。
目を開けた琴音。
「いったいどこのフェンスだったの?」 身の周りのあちこちを思い浮かべるが フェンスなど思い浮かばない。
「ああ、考えるのはよしましょう。 それでなくても肩が凝ってるのに余計と凝りそうだわ」 また肩をトントンと叩きだし
「あ、そうだわ。 今日は図書館に寄らなくちゃいけないんだったわ」
午後の仕事も計算ずくめであったが今日一日が終わった。
予定通り図書館に寄り、返却する本を先にカウンターへ戻した。 そして次ぎは何を借りようかと本棚を見ていると 『空也』 に関する本が目に付いた。
「あ、そう言えば何も知らないんだったわ」 その本を手に取りパラパラとめくった。
「読みにくそうではないわね。 これを借りて他には・・・」 また本棚をウロウロして何冊かを借りて家に戻った。
その日からすぐに『空也』 の本を読み出した。
「へぇー 平安時代の人なんだ。 平安時代は結構読んだつもりだったのに 読みもらしていたみたいね。 市の聖(いちのひじり)・・・ああ、確か前にそんな言葉を読んだような・・・きっと仏教の本に書かれていたのね。 ・・・え? 空也の彫像が月輪寺にあったの? 月輪寺って確か愛宕山を下りるときにあったお寺よね。 へぇー、そうだったんだ」 その後も読み進めていった琴音。
「もし、あの時隣に立ってくださったのが 空也っていう人なら・・・あははは、ありえないわね。 でも呼び捨ては考え物よね。 空也上人だわね。 よしっと、今日はこれまで。 あんまり根を詰めてこれ以上肩が凝るのはいやだわ」 本に栞代わりの紙を挿んで閉じた。
「・・・そっか。 お寺ね。 ・・・そう言えば 私って何宗なのかしら。 今度帰ったときに聞かなきゃ。 それに神社・・・。 今まで全然考えなかったわ。 そういえば此処の辺りの氏神様って誰なのかしら? うん? 神社なんてあったかしら?」
くくく・・・。 凄い変化だね。
あの琴音がね。 思う壺に・・・あ、いや。 ちゃんと予定通りに進んでいるね。 まぁ、まだまだ先は長いけどね。 それにしても一瞬とは言え 空也様が横に立っていて下さったなどと畏れ多いことを考えるとは 聞いているコッチは冷や汗が出るよ。