大福 りす の 隠れ家

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みち  ~未知~  第74回

2014年02月14日 13時10分25秒 | 小説
『みち』 目次



『みち』 第1回から第50回までの目次は以下の 『みち』リンクページ からお願いいたします。

  『みち』リンクページ



『みち』 第51回からは以下からになります。

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『みち』 ~未知~  第74回



「そう言えばいつからだったかしら 瞼の裏が3Dみたいな感じになってきてたわよね」 そう思った瞬間
(ここは宇宙だわ) そう感じた。

「何て綺麗なのかしら」 もう常識では考えられない事を簡単に受け入れていくようになってきた。

「でもこれって 瞼の中だけなのかしら」 目を開けて見てみたいという気持ちがあるが

「目を開けたいけどもし見えなくなっちゃったら・・・」 そう思う気持ちがあったが 

「私の単なる思い込みじゃなければ目を開けても見えるはずよね」 確かめたい気持ちの方が大きくなってきてそろっと目を開けてみた。 すると

「わぁ、なんて綺麗なの」 目を開けるとそこは琴音の部屋ではなく宇宙だった。

あまりの美しさに身体を起こしてあちこちを見るが 何処を見ても琴音の部屋の家具などはない。 ただただ綺麗な宇宙が広がっている。 
ベッドの上に立ち上がり両手を広げた。 すると感情が混みあがってくる。

「宇宙ってこんなに広くて・・・」 その時に涙が出てきた。

「こんなに美しくて優しい空間に抱かれていたのね・・・人間って何てちっぽけなのかしら。 言葉では知ってたけど・・・。 何に悩んで何を考え込むのかしら・・・。 あるがままに生きればいいのよね」 心の中は綺麗だなどという思いはなくなり、感謝と安堵の念が広がった。

座りなおしその想いに暫く浸っていたが、また横になり部屋中の宇宙を見ているうちに眠りについた。



瞼の中や目を開けて見える物も色々あったが 耳に聞こえる方にも 琴音の勘違いではない事が証明されるような事があった。

会社の帰りに図書館へ寄った。 この頃には古事記・日本書紀に書かれている神々の事を読み出していた。 
本を選びカウンターへ向かう途中、図書館のキッズコーナー横を歩いた時 子供達の声が耳に入った。

「ねぇ、ねぇ 知ってる? あそこのお寺の話」 小学生達の会話だ。

「知ってるー お寺の鐘打ってないんでしょ」 琴音はあの日のことを思い出し、つい話しに入ってしまった。

「ねぇ、女の子達 何処のお寺の話してるの?」 子供達はちょっとビックリした様子だったが

「あっちのほうにある お寺」 指を指した方角は琴音のマンションの方角だ。

(あ、もしかして・・・あのお寺?) 思い当たるお寺があり一瞬考えたが続けて

「ふーん、そうなんだ。 そこが鐘を打ってないってどういうことなのかしら? 教えてくれない?」

「あそこのお寺6時になると鐘の音がするんだけど それって本当に打ってるんじゃなくてテープを流してるんだよ」 するともう一人が

「そうだよ、私見たもん。 音がしてるのに誰も鐘をついてないんだよ」

「でもそれって他のお寺が鳴らしてるとかじゃないの?」

「違うよ。 あそこのお寺だけがずっと昔から鳴らしてきてたんだよ。 でもみーちゃんが生まれるずっと前にテープに変わったっておばあちゃんが言ってたもん」

「お婆ちゃんが言ってたの?」 するともう一人が

「みーちゃんのおうちはずっと昔から住んでるから みんながみーちゃんのおばあちゃんに分からない事を聞きに行くの。 だからみーちゃんのおばあちゃんのいう事はホントの事だよ」

「おばあちゃん凄いんだよ。 何でも知ってるもん」

「そうなの、お婆ちゃんは物知りなのね。 お話ありがとう」 そう言ってその場を立ったのだが

「いくらなんでも 直線距離にして300メートル以上は離れてるわ。 あそこのテープのノイズが聞こえるなんて・・・」 カウンターに本を置きながらも心は上の空だ。


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