『みち』 目次
『みち』 第1回から第50回までの目次は以下の 『みち』リンクページ からお願いいたします。
『みち』リンクページ
『みち』 第51回からは以下からになります。
第51回・第52回・第53回・第54回・第55回・第56回・第57回・第58回・第59回・第60回
第61回・第62回・第63回・第64回・第65回・第66回・第67回・第68回・第69回・第70回
第71回・第72回・第73回・第74回・第75回・第76回・第77回・第78回・第79回・第80回
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『みち』 ~未知~ 第89回
全員でワイワイと賑やかに事務所を出て行った。
「さて、一人でちゃんとお留守番できるかしら?」 昼休みといっても注文の電話が入ってくる時もあるが 現物在庫の具合など分からず伝票以外はチンプンカンプンなのだ。
「為るようになるわね」 肝が据わってきたね。
「・・・え? 今までこんな風に考えた事なかったわ。 頼れるのは自分だけだったからかしら。 そうね、きっとそうよ。 ここのみんなは何においても支えてくれるから 何とか為るって思っちゃうのね。 きっと前までの私ならこんなシチュエーションに遭遇したら 机の上隙間なく資料を置いてるわね。 あ、待ってよ 資料の見方も知らないんだわ。 どこにあるのかも知らない・・・。 ふふふ なんて気が楽なのかしら」
椅子に座り仕事の続きをしたがさほど忙しいわけでもない。
「あ、そうだわ ホツマツタエ」 席を立ちそっと奥の事務所を覗くと時々琴音が使わせてもらっているPCが立ち上がっていた。 見てみると何も開けてある形跡はない。
「使っても大丈夫よね」 表の事務所に人が入って来たらすぐに分かるよう 表と奥の事務所の境のドアを開けたままにして PCの前に座りすぐに検索をかけ、以前見ていた画面を探した。
「えっと、どこだったかしら。 うーん、どんな感じのトップ画面だったかしら・・・ここも違うわよね・・・」 あちらこちら開けて見ていると
「あ、確かここだったんじゃないかしら」 画面を開いていくと
「やっぱりここだわ。 ここのを読んでいたんだわ。 でもまた最初から読み直すの? 何度読んでも何も分からないわよ。 朝のあれはなんだったのかしら」 溜息をつき腕組みをしながら画面を見据えそのまま少し待ち、そしてソロっと上を見た。
「・・・今度は何も降ってこないのね」 また文字が降ってきて何か言ってくるのかと思っていたようだ。
「じゃあ、私が決めるわよ。 文句言わないでよ。 最初から読み直さないで続きから読むわよ。 いい?」 上を向いて問いかけるが何の返事もない。
「私ったら誰と喋ってるつもりかしら」 得意の大きな独り言を言いながら以前読んでいたと思われるところまでページを進めていった。
「分からなかったんだからどこまで読んだのかもよく覚えていないわ」 何ページか進めて
「確かこの辺りまでは読んだ記憶があるから ここから読もうかしら。 あ、今何時?」 時計を見ると 丁度、昼休みに入った時間だ。
「あ、お昼休みだわ。 お弁当を食べながら読んじゃお」 表の事務所に帰ってお茶を入れ、机の引き出しから弁当を出し 両手に弁当とお茶を持ってまた奥の事務所に戻ってきた。
弁当を広げて画面に映し出されている文字を読んでいった。 何ページかを読み進めて
「はぁー やっぱり全然分からないんだけど。 って言うか覚えられないんだけど」 途中で投げ出そうかとも思ったが また金平糖がコツンコツンと落ちてきてもと考えるとまた上を見て
「お昼休みの間は読みますよ。 でもお昼休みが終わったらもう読みませんからそれでいいですか? 文句があったら返事をしてください」 上を見たままだ。
「・・・文句はないですね」 人が見てたらなんと思うだろうね。
仕方なく弁当を食べてお茶を飲みながら ダラダラと形だけ読み進めていき、何ページ目かをめくった時
「え? ウソ!」 口に入れたご飯が飛び出しそうになった。
画面には 『天兒屋根命』 と言う文字が書かれていたのだ。
天兒屋根命の前に座る皆の質問に丁寧に答えている様子が書かれてあった。
「え? そんなに物知りな神様なの?」 書かれている言葉が少し分かりにくい事もあり 内容を全て把握する事はできないがある程度の事がわかった。
「もしかしたら本が見当たらなかったからここを読むように教えてくれたの?」 そうだよ。 これで切っ掛けが出来ただろう? まぁ、この事はこれからの琴音にとっての本筋ではないからね。 気付くという事を知るための事だからそんなにのめり込まないでいいよ。
天兒屋根命のことが書かれたところを読み終え今度は『天兒屋根命』 を検索してみた。 するとそこには祝詞の神様と書かれていた。
「祝詞の神様・・・春日権現。 え? 天岩戸から天照大神が出てきたときに岩戸の前で祝詞を唱えた・・・ああ、そうなんだ。 その時の神様だったのね。 中臣氏の祖・・・そうなんだぁ」 画面をじっと見ていると1階の工場で始業のベルが鳴っているのが聞こえた。
「あ、戻らなくちゃ」 画面を消そうとした時にふと
「色んな神話を読むのも面白そうね」 クリックをして元のスタート画面に戻した。
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全員でワイワイと賑やかに事務所を出て行った。
「さて、一人でちゃんとお留守番できるかしら?」 昼休みといっても注文の電話が入ってくる時もあるが 現物在庫の具合など分からず伝票以外はチンプンカンプンなのだ。
「為るようになるわね」 肝が据わってきたね。
「・・・え? 今までこんな風に考えた事なかったわ。 頼れるのは自分だけだったからかしら。 そうね、きっとそうよ。 ここのみんなは何においても支えてくれるから 何とか為るって思っちゃうのね。 きっと前までの私ならこんなシチュエーションに遭遇したら 机の上隙間なく資料を置いてるわね。 あ、待ってよ 資料の見方も知らないんだわ。 どこにあるのかも知らない・・・。 ふふふ なんて気が楽なのかしら」
椅子に座り仕事の続きをしたがさほど忙しいわけでもない。
「あ、そうだわ ホツマツタエ」 席を立ちそっと奥の事務所を覗くと時々琴音が使わせてもらっているPCが立ち上がっていた。 見てみると何も開けてある形跡はない。
「使っても大丈夫よね」 表の事務所に人が入って来たらすぐに分かるよう 表と奥の事務所の境のドアを開けたままにして PCの前に座りすぐに検索をかけ、以前見ていた画面を探した。
「えっと、どこだったかしら。 うーん、どんな感じのトップ画面だったかしら・・・ここも違うわよね・・・」 あちらこちら開けて見ていると
「あ、確かここだったんじゃないかしら」 画面を開いていくと
「やっぱりここだわ。 ここのを読んでいたんだわ。 でもまた最初から読み直すの? 何度読んでも何も分からないわよ。 朝のあれはなんだったのかしら」 溜息をつき腕組みをしながら画面を見据えそのまま少し待ち、そしてソロっと上を見た。
「・・・今度は何も降ってこないのね」 また文字が降ってきて何か言ってくるのかと思っていたようだ。
「じゃあ、私が決めるわよ。 文句言わないでよ。 最初から読み直さないで続きから読むわよ。 いい?」 上を向いて問いかけるが何の返事もない。
「私ったら誰と喋ってるつもりかしら」 得意の大きな独り言を言いながら以前読んでいたと思われるところまでページを進めていった。
「分からなかったんだからどこまで読んだのかもよく覚えていないわ」 何ページか進めて
「確かこの辺りまでは読んだ記憶があるから ここから読もうかしら。 あ、今何時?」 時計を見ると 丁度、昼休みに入った時間だ。
「あ、お昼休みだわ。 お弁当を食べながら読んじゃお」 表の事務所に帰ってお茶を入れ、机の引き出しから弁当を出し 両手に弁当とお茶を持ってまた奥の事務所に戻ってきた。
弁当を広げて画面に映し出されている文字を読んでいった。 何ページかを読み進めて
「はぁー やっぱり全然分からないんだけど。 って言うか覚えられないんだけど」 途中で投げ出そうかとも思ったが また金平糖がコツンコツンと落ちてきてもと考えるとまた上を見て
「お昼休みの間は読みますよ。 でもお昼休みが終わったらもう読みませんからそれでいいですか? 文句があったら返事をしてください」 上を見たままだ。
「・・・文句はないですね」 人が見てたらなんと思うだろうね。
仕方なく弁当を食べてお茶を飲みながら ダラダラと形だけ読み進めていき、何ページ目かをめくった時
「え? ウソ!」 口に入れたご飯が飛び出しそうになった。
画面には 『天兒屋根命』 と言う文字が書かれていたのだ。
天兒屋根命の前に座る皆の質問に丁寧に答えている様子が書かれてあった。
「え? そんなに物知りな神様なの?」 書かれている言葉が少し分かりにくい事もあり 内容を全て把握する事はできないがある程度の事がわかった。
「もしかしたら本が見当たらなかったからここを読むように教えてくれたの?」 そうだよ。 これで切っ掛けが出来ただろう? まぁ、この事はこれからの琴音にとっての本筋ではないからね。 気付くという事を知るための事だからそんなにのめり込まないでいいよ。
天兒屋根命のことが書かれたところを読み終え今度は『天兒屋根命』 を検索してみた。 するとそこには祝詞の神様と書かれていた。
「祝詞の神様・・・春日権現。 え? 天岩戸から天照大神が出てきたときに岩戸の前で祝詞を唱えた・・・ああ、そうなんだ。 その時の神様だったのね。 中臣氏の祖・・・そうなんだぁ」 画面をじっと見ていると1階の工場で始業のベルが鳴っているのが聞こえた。
「あ、戻らなくちゃ」 画面を消そうとした時にふと
「色んな神話を読むのも面白そうね」 クリックをして元のスタート画面に戻した。