大福 りす の 隠れ家

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みち  ~未知~  第79回

2014年03月04日 14時44分00秒 | 小説
『みち』 目次



『みち』 第1回から第50回までの目次は以下の 『みち』リンクページ からお願いいたします。

  『みち』リンクページ



『みち』 第51回からは以下からになります。

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『みち』 ~未知~  第79回



バスを降り今度は電車に乗り京都駅に着いた。 今回は京都駅でペットボトルのお茶を買い、清滝へ向かうバス停に向かった。 さすがに2度目となると迷う事もなくスムーズだ。
そしてやって来たバスに乗り込むと

「嵐山で降りてみようかしら。 そうよね、滝はいつでもいいわね。 こんなに早いんだもの人は少ないだろうし、一度嵐山観光をしてもいいかもね」 どうだろうね。

嵐山バス停で降りると既に人が結構居た。

「わぁ、みんな早くから観光に来るのねぇ。 バスの中が涼しかったからでしょうけどそれにしても暑いわ。 これが川沿いじゃなかったらきっともっと暑いわね。 川の水、冷たくて気持ち良さそう。 ちょっと触ってみようかしら」 停留所から桂川に降り川に手を浸けた。

「冷たくて気持ちいい! お行儀が悪いけど・・・暑いから足も・・・」 靴下を脱いで靴の中に押し込みそろっと足を浸けてみた。

「わぁ、暑さが吹き飛びそう」 これで清めが出来たね。

「あら?」 水面を見た琴音。

「これって・・・今朝瞼に見えた水面?」 今朝のことをすっかり忘れていたがここへ来て思い出したようだ。

「違う・・・どこか違うわ・・・砂利の感じが違うのかしら・・・」 せっかく涼しく感じたのに考え込んだが為、額から汗がにじんできた。

「ああ、またこんな事を考えちゃってる。 でも・・・何処の水面だったんだろう、気になるわ。 ・・・あーあ、こんな事を気にしながらの観光なんて面白くないわよね」 自分を振り切ろうとするが振り切れない。

「ああ、やってられないわ。 もうどうでもいい。 考えない! あるがままよ。 嵐山観光はやめて最初の目的地の滝に行こう。 滝で何もかも忘れてスッキリ水遊びよ」 足を川から上げて持ってきていたタオルで拭き、靴下を履きなおしてバスの時刻表を見に行くとあと15分ほどでバスが来る。

「15分か。 ソフトクリームを買いに行く時間もないわね」 目の前のソフトクリームを売る店には既に行列が出来ている。

「松の下で涼んでいましょうか・・・」 色んな人間の様子を見ながらバスを待つ琴音。 間もなくバスがやってきてバスに乗り込んだ。
何とか座る事ができたが次の停留所では満杯になった。

「座れてよかった」 満杯になったバスは山の中を走りトンネルをくぐり、清滝バス停に着いた。

バスをぞろぞろと沢山の人が降りる。 前回来た記憶からスンナリと歩いては行くが、空也滝が何処にあるかが分からない。 案内板のことが頭にあったので案内板を見に行ったのだがそこにも人だかりだ。
人の間を縫って見てみると『空也滝』 と書かれてあった。

「あ、やっぱりあったわ」 だがそれだけを見ただけで何処にあるのかをキチンと見なかった。

「確か前回は鳥居の近くにも案内板みたいなものがあったわよね。 あれを見れば分かるわよね。 それと・・・」 分かるけどね。

「前回は山側から行ったから今回は川側から行きたいわね」 左の道を選んだ。 急な坂を下りて行くと川が見えた。

「気持ちよさそうな川」 川を見ながら橋を渡り

「えっと、どっちへ行けばいいのかしら・・・方向から言ってこっちよね」 正解。 でも不正解。
間もなく登り口についたが 

「あら? 案内板がないわ。 ここじゃなかったのかしら。 どこに行けば滝があるのかしら」 山側から歩いていたら案内板が見られたのにね。 だから不正解。 でも、それでいいんだよ。 だから正解。

「登っていくうちにあったのかしら?」 違うよ。

「とりあえず次の案内板のあるところまで登ってみましょうか」 鳥居に一礼し

「おじゃまします」 手を合わせて言い登り始めたが。

「やっぱりきついわ」 まだ山道にも入っていない。

前回と同じだ。 聞こえるのは自分の喘ぐような息だけだ。 それでもいつかは滝の案内板があるだろうと登り続けたが

(案内板なんてないじゃない。 もう駄目・・・) 丸太に座り込むがしっかりと食べ過ぎたのと睡眠不足が重なって吐き気をもよおす。

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