大福 りす の 隠れ家

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みち  ~未知~  第87回

2014年04月01日 20時23分51秒 | 小説
『みち』 目次



『みち』 第1回から第50回までの目次は以下の 『みち』リンクページ からお願いいたします。

  『みち』リンクページ



『みち』 第51回からは以下からになります。

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『みち』 ~未知~  第87回



翌日、会社の帰り

「今日は図書館に寄らなくてもいいから・・・神社・・・探してみようかしら」 今までずっと家とバス停の往復、悠森製作所に入ってからは会社と家の往復、それと図書館までの寄り道だけしか通らず スーパーも図書館の近くにある。 
それが為、近所をあまり知らなかった琴音。  自転車をこぎながら今まで通ったことのない道に入ってみたが 神社らしき建物が見当たらない。 

「暑ーい。 顔も焼けそうだわ。 もう諦めようかしら」 グルグル回りながらも段々とマンションに近づいて来た時 地域の掲示板が目に入った。 西日が当たりジワッと背中に汗が滲む。

「あら、こんな所に掲示板があったのね」 地域のイベント予定などのお知らせが貼られてある。

「あら? お祭り? お祭りがあるの?」 よく見ると神社の名前が書いてあった。

「此処に貼られてるんだからここが氏神様の神社よね。 何処にあるのかしら」 庭いじりをしていた老人が見慣れない人間が掲示板を見ていると不審に思い琴音に声をかけてきた。

「何処の人かね?」 

「あ、この先を行ったところのマンションに住んでるんですけど 此処の辺りの神社を探してるんです。 あの、ご存知ありませんか?」

「ああ、そういう事。 氏神さんに逢いに行くのはいいことだ。 暑い中ご苦労さんだね。 歩いて行くにはちょっと遠いけど自転車ならすぐだよ」 年寄りにとって若い者が神社を捜しているということは嬉しくある事。 その上不審な人物ではない事を知って丁寧に道を教えた。

「今から行ってみます。 ありがとうございます」 琴音は自転車をこぎ始めた。

丁寧に教えてもらえたものだから言われたとおりの道を行くと 迷うことなく目の前に鳥居が見えた。

「鳥居だわ」 だが鳥居に向けて自転車をこいだがそこに神社はない。

「鳥居の向こうが普通に道路ってどういう事? それに色んな会社もあるって・・・」 辺りをキョロキョロと見回し 疑問に思いながらもそのまま老人に言われたようにまっすぐ自転車をこいでいくと二つ目の鳥居が見えた。 今度こそ神社が見える。 

「あ、あったわ」 鳥居の前に自転車を止め一礼して鳥居をくぐった。
中に入っていくと決して大きな神社ではない。 

「小さな神社・・・こんなに小さな神社なのにお祭りをするのかしら?」 辺りを見ると由緒書きが書かれた木の板があった。

「読みにくいわね」 そう思いながらも読んでいくと

「ああ、そうなの。 昔は今より随分と大きな神社だったのね」 年月が流れ神社の敷地が狭くなっていたのだ。

「御祭神は・・・天兒屋根命(あめのこやねのみこと) ふぅーん、誰なのかしら。 今まで色んな本を読んだつもりだったけどこの神様は知らないわ。 気になるわね」 神代・縄文時代から平安時代の本を読み漁った中に 神代・縄文時代の神々の名を読んだが、この神には記憶がない。 

「末社に住吉神社、他にもあるわ」 賽銭を入れて二礼二拍手一礼をし神社を後にした。 自転車をこぎながら

「天兒屋根命・・・調べなくちゃ」 琴音のそのクセ、とってもいいよ。


マンションに帰り自転車置き場に行くとゴミ捨て場が目に入った。

「あ、まただわ。 明日が資源ゴミの日なのにもう誰か出してる」 ゴミの日は守らなくちゃね。

マンションに入りポストを見るとチラシが入っていた。

「あら? 何かのイベントかしら?」 手に取り階段を上がりながら読むと

「うん? これって和尚様のお名前? なんて読むのかしら」 チラシには小難しい名前が書かれてあり袈裟を着た和尚の後姿があった。

「へぇー 和尚様のお話が聞けるのね、懐かしいわ。 3000円かぁ・・・どうしようかしら」 それくらい出すに値するよ。 いやそれ以上の収穫があるよ。

「それに場所が遠くちゃ嫌だし・・・あら? お寺ではやらないのね」 駅からそう遠くない文化センターの地図が書いてある。

「駅の停留所の一つ向こう。 ふーん、近くでやるのね・・・和尚様のお話も聞きたいし・・・今週末。 そうね、行ってみようかしら」 畳んで鞄に入れ、逆に今度は鞄から部屋の鍵を出した。 部屋に入りいつものように下駄箱に鍵を置き

「駅の向こうに文化センターなんてあったのね知らなかったわ。 どのみち小さな会館だろうから駐車場なんてきっと無いわよね。 あっても数台しか入られなかったらどうしようもないし。 どうしようかな、バスで行こうかしら・・・でも停留所まで暑いし・・・」 行く気になったね、和尚の話は何年ぶりだろうね。 でもね・・・。

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