大福 りす の 隠れ家

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みち  ~未知~  第72回

2014年02月09日 22時29分58秒 | 小説
『みち』 目次



『みち』 第1回から第50回までの目次は以下の 『みち』リンクページ からお願いいたします。

  『みち』リンクページ



『みち』 第51回からは以下からになります。

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『みち』 ~未知~  第72回



門前で一礼する琴音を見た文香が驚いている。

「あの琴音が門前でお辞儀?」

「冷やかさないでよ」

「信じられない」 琴音が社寺仏閣に対してどれだけ変わったのかを文香は全く知らない。

「一応案内するわね」 

「琴音がお寺の案内・・・」

「まだ言ってるの! 案内しないわよ」

「ゴメン、ゴメン。 案内してください」 決して広い寺ではないがあちらこちらと説明をしていった。

そして本殿の前に立ち静かに手を合わせ 前回、伯母の病院での出来事のお礼を言った。 文香も隣で手を合わせている。

「ベンチに座らない? いつもあのベンチに座ってるの」

「座る」 二人でベンチに座り

「何てことないお寺でしょ? 大きいわけでもないし」

「でも琴音はここで色んなことを経験したんでしょ? 何かあるところよ、きっと」

「じゃあどう? 今日、来てみて文香何かある?」

「だから私は鈍感だから何もわからないって」

「そんなの私も同じよ」

「琴音はそんな事ないって。 あ、そうだ、お礼を言うって言ってたわよね。 それって何なの?」

「実はね・・・」 伯母の時の事を話し出した。

「えー! そんな事があったの? 嘘でしょー」

「まぁ、私の気のせいかもしれないんだけど」

「でも 実際に軽くなったんでしょ?」

「そうなのよねぇー。 それがあるのよね」

「とってくれたのよ、きっと」

「そうね、そうかもしれないわよね。 それとね・・・」 瞼の中に見える色んな模様や光のこと、文字のようなもののことを話した。 すると文香が

「あ、待ってね」 少し考え込んで

「それって右脳開発じゃない?」

「右脳開発?」

「やだぁー 琴音ったらそんな方向から攻めてるのー?」

「なによ何の事?」

「えっとね、右脳を発達させるって言うか、俗に右脳開発って言うんだけど 右脳を鍛えると色んなものが見えたりするらしいわよ」

「私そんなのやってないわよ」

「琴音が何をしてなくてもきっとそっちの方面から開発されていってるのよ」

「右脳ねぇ。 確か芸術とかって右脳だったわよね。 あ、耳ってどうなの?」

「耳?」

「左耳から聞こえた物はどっちの脳で処理してるの?」

「えー! 耳って・・・そう言われればどうなんだろう」

「右の脳で処理してるのかしら?」

「分からない。 でもいいなぁ、羨ましいなぁ」 文香のその言葉を聞き琴音がクスッと笑いながら

「暦の言ってた通りだわ」

「なに? 彼女がどうかしたの?」

「今言った事を暦にも言ったのね、そしたら文香が解決してくれるんじゃないかって言ってたのよ」

「あら、そうなの? 右脳開発の事? でも耳のことは分からないわよ」

「それはいいの。 ただ暦にも文香にも勝てないなぁ」 そうして目を瞑った。 それを見た文香が

「気持ちいい風ね」 そう言いながら文香も同じように目を瞑った。

そのまま暫く静かに風を感じていた二人。 先に文香が目を開け

「そろそろ帰ろうか」 その言葉を聞いて琴音が静かに目を開けた。 すると

「ああ、まただわ」 言葉が漏れた。

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