大福 りす の 隠れ家

小説を書いたり 気になったことなど を書いています。
お暇な時にお寄りください。

みち  ~未知~  第95回

2014年04月28日 14時04分02秒 | 小説
『みち』 目次



『みち』 第1回から第50回までの目次は以下の 『みち』リンクページ からお願いいたします。

  『みち』リンクページ



『みち』 第51回からは以下からになります。

第51回第52回第53回第54回第55回第56回第57回第58回第59回第60回
第61回第62回第63回第64回第65回第66回第67回第68回第69回第70回
第71回第72回第73回第74回第75回第76回第77回第78回第79回第80回
第81回第82回第83回第84回第85回第86回第87回第88回第89回第90回




                                             



『みち』 ~未知~  第95回



要領を得ているグループの一人が

「和尚、この間から足の冷えが酷くて」

「どれどれうつ伏せて横になってみて下さい」 寝転んだ若い女性の足先を触った和尚が

「ありゃりゃ、これは相当冷えてるなぁ」 そして和尚が手かざしをしたと思ったら

「これで少しは楽になるはずですよ」 それだけで終わった。 
そして続けて順番待ちをしている女性が不調を訴え寝転ぶ、その箇所に手かざしを次々とし、残るは琴音だけだ。

「あなたは肩凝りが酷いみたいですね」 琴音を見ていった。

「え? あ、はい」

「他に具合の良くない所はありますか?」

「特に今は感じていませんが・・・」

「じゃあ、とにかく血の巡りを良くしましょうね。 何においても滞る事はよくないですからね」 琴音も言われるがままに手かざしを受け

「どう? 少しは楽になりましたか?」

「楽って言うのか、肩と背中が温かいです」 そう言って自分の肩を揉むと

「どうですか?」

「どこを押しても何ともない・・・肩凝りがなくなってます!」

「それは良かった」

「あ、あの・・・有難うございました」

「・・・貴方・・・第6チャクラが開きかけてきていますけど 全てのチャクラをもっと平均的にしたほうがよろしいですねぇ。 特に第4、5チ
ャクラが目立ちますねぇ・・・。 人間不信も過ぎるとよろしくありませんよ」

「え?」 思わぬことを言われ驚きが隠せない。 その琴音を見ながら和尚が続ける。

「肉眼で見えないものが見えるでしょう?」 琴音は何が何だか全く分からない。 
そんな琴音を置いたまま和尚が言葉を続ける。

「うん、そうだねぇ・・・」 空(くう)を見ている。 そして今までの優しい顔から一転し厳しい顔になり

「・・・その時がきたらきちんとした師に付きなさい」 琴音の目を真直ぐに見ている。 だがすぐに元の優しい顔に戻り

「・・・うん。 それを伝えるのが今日の目的の一つだったみたいですね」 そういい残して次のグループの方へ行った。

(チャクラ? その時?) 琴音にはサッパリ意味が分からないが、和尚の話を聞いていたグループの一人が

「いいなぁ、何をやっているんですか?」 周りに居た者も食いつくように耳を傍出せている。

「え? 何かって・・・何もしていません。 今のお話も何が何だか分からない状態で・・・」

「エー! 何もしてないのに見えるんですかー?」 和尚の言葉も分からない上に若い子達にそう言われ、今までは人と接する時には『こうであらねばならない』 と思っていた琴音であったが故、若い子達には年上らしくとしてずっと会話してきていたが

「何も分からないー! いったい何ですかー?!」 若い子達に泣きつくように言ったのだ。 
今までの琴音からは想像できない言葉だ。 琴音の人に対する態度が一変した。 『人と話すときはこうであらねばならない』 という不要な箍が外れたのだ。

若い子達が琴音に色々説明をするのだが 何も知らない琴音はどうにもその話についていけない。 

「何のことか分からないー」 殆ど半泣きだ。 そんな琴音を見て若い子達が

「お姉さん可愛い~」 そう言うが、そんな言葉に照れる間もないほど

「やだぁー! 何が何なのー?」 今までの琴音は何処へ行ったのか。 

あははは、まるで駄々っ子だね。 でもそれでいいんだよ。 せっかくの今なんだから。 今の点が沢山出来て繋がるよ。 線になるよ。 頑固なところは手放して楽に生きて大切に生きよう。 いや、生きてくれ・・・線を繋いでくれ。 楽にならなくちゃ大切な物を感じ取れないよ。 今度こそ・・・ね。

周りもワイワイと盛り上がってきているが スタッフと言う男の子がまたもや大声で

「それじゃあ、皆さん終わりましたか? どなたかまだと言う方はいらっしゃいませんか?」 全員を見渡している。

「いらっしゃらないようですね」 その間に和尚は自分の座布団のある方へ歩いていき座っていた。

「じゃあ、皆さんも適当でいいので 座っていただけますか」 和尚が席に着いたのを確認してスタッフの男の子が言った。
ザワザワとしながら座布団の上に座る者、そのまま畳に座る者と、みんな適当に座った。

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« みち  ~未知~  第94回 | トップ | みち  ~未知~  第96回 »
最新の画像もっと見る

小説」カテゴリの最新記事