電脳筆写『 心超臨界 』

あなたが家族を選ぶのではない
家族は神からのあなたへの贈り物
あなたが家族への贈り物であるように
デズモンド・ツツ

ルノワールは、一時期、磁器の絵付け職人をしていた――吉村絵美留さん

2007-11-03 | 05-真相・背景・経緯
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「発見された技 十選」
 ▽1 ルノワール「足を拭う水浴の女」
 ▽2 コロー「道」
 ▽3 ロートレック「ムーラン・ルージュにて」
 ▽4 ユトリロ「ラパン・アジル」
 ▽5 クールベ「波」
 ▽6 ローランサン「ヴァランティーヌ・テシエの肖像」
 ▽7 佐伯祐三「ガス灯と広告」
 ▽8 藤田嗣治「五人の裸婦」
 ▽9 東郷青児「婦人象」
 ▽10 岡本太郎「赤のイコン」

【「発見された技 十選」07.11.01日経新聞(朝刊)】
▽1 ルノワール「足を拭う水浴の女」――絵画修復家・吉村絵美留
イメージ → http://www.webcorin.com/eshopdo/refer/refer.php?sid=brcsv18&cid=1&scid=1&view_id=001-001-010&gid=&add_mode=1

絵画の修復をしていると、画家の創意工夫による独創的な技にしばしばめぐり合う。名画を見ながら、ささやかな経験から見いだした巨匠たちの技法の秘密の一部を紹介したい。

     ◇

ルノワールの作品には日本に輸入されたものも多く、これまでに数十点を修復したことがある。その際に数センチの距離まで目を近づけて感心したのは、ルノワールがしばしば描いた女性の肌が陶板のように滑らかでつるつるとしていたことだ。「足を拭(ぬぐ)う水浴の女」を所蔵美術館の展示室で見た時も思わす目を間近まで近づけてしまった。

ある時、履歴を知って納得した。ルノワールは出身地のリモージュで、一時期、磁器の絵付け職人をしていたのだ。絵付けは、数度にわたって焼く途中、絵の具を一筋ずつ丁寧に載せていく緻密(ちみつ)な作業の連続だ。

ルノワールは女性の肌を描く際に、毛先がやわらかい筆をカンバスにそっとなでるようにあてていたと考えられる。テンの毛で作ったやわらかくてコシのある筆で、筆の痕跡が見えなくなるほど丁寧に描くと、ルノワールの作品のような仕上がりになる。磁器に対するようにカンバスに向かっていた画家の姿が目に浮かぶ。

(1883年、65×65センチ、油彩・カンバス、オランジュリー美術館蔵)

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