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●黒川弘務氏定年延長に関する文書の開示を国に命令…上脇博之さん「特定の人物のために法解釈をねじ曲げた事実を、裁判所が認めた意義は大きい」

2024年07月18日 00時00分20秒 | Weblog

[※ 2017年2月17日はアベ様のタンカ記念日というトリガー(『報道特集』、2021年06月26日)↑]


// (2024年07月15日[月])
数多のアベ様案件の一つ…違法な黒川弘務氏定年延長問題。これまた上脇博之さん。
 (こちら特報部)《東京高検検事長だった黒川弘務氏の定年延長に関する文書の開示を国に命じた627日の大阪地裁判決。…「特定の人物のために法解釈をねじ曲げた事実を、裁判所が認めた意義は大きい。国が大問題だと分かっていたから、かたくなに認めてこなかった経過があぶり出された」 今回の判決を、原告の上脇博之・神戸学院大教授…》。

   『●《安倍政権は、官邸に近い黒川検事長を検察トップである検事総長に
        就け、検察組織を官邸の支配下に置くつもりだ》、あぁ………
   『●アベ様は検事総長人事までも私物化…《それならば「三権分立は
      絵に描いた餅で政界では実現しない」と閣議決定すべきだろう》
   『●《官邸の番犬》黒川弘務氏を《論功行賞として検察トップに据える》
          のみならず、カジノ汚職捜査を止めるという目的があった
   『●《政界の不正を摘発するのが特捜部の使命》のはずが…行政府の長・
      アベ様が《従来の法解釈》を恣意的に変更! アベ様による独裁…
   『●アベ様らの数々の不正や無能っぷりは、自公お維支持者や眠り猫な
        間接支持者も持つ共通認識…それを許容するかどうかが大問題
   『●《安倍政権にはどうしても、官邸に近い黒川氏を検察トップに据え
      たい訳がある…検察が政権に私物化されれば、「首相の犯罪」は…》
   『●《検察官というのは法を犯した人を起訴できる唯一の仕事であるはず
     なのに、その人が、かけ麻雀…しかも事実を伝えるべき仕事の新聞記者と》
   『●アベ様により法治主義国家でなくなってしまう日…《与党の議員は
     自分たちが独裁政治の中のユーゲントであることに気付いていない…》
   『●《検察は行政機関でありながらも政治からの中立性と独立性が求めら
     れる。しかし、安倍官邸は法務省を通じて検察の捜査に介入していた…》

 数多のアベ様案件の一つ。《検察は行政機関でありながらも政治からの中立性と独立性が求められる。しかし、安倍官邸は法務省を通じて検察の捜査に介入していた…》。
 西田直晃山田祐一郎両記者による、東京新聞の記事【こちら特報部/法解釈の変更は「安倍政権の守護神」の「定年延長が目的」…黒川弘務元検事長をめぐる衝撃判決、その舞台裏】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/337526)。《東京高検検事長だった黒川弘務氏の定年延長に関する文書の開示を国に命じた627日の大阪地裁判決国家公務員法の解釈変更を「黒川氏の定年延長が目的と断じた判断は、安倍政権への批判が渦巻いた当時の記憶を呼び覚ました。衝撃の判決はどのように導かれ、検察OBはどう受け止めているのか。(西田直晃山田祐一郎)》。

 dot.の記事【安倍派の裏金問題を暴いた“名コンビ”がまた勝利 黒川元東京高検検事長の定年延長関連文書も「開示」へ 古賀茂明】(https://dot.asahi.com/articles/-/227530)。《6月27日、あるニュースを見て驚いた。大阪地方裁判所が出した、法務省の公文書不開示決定を覆す判決に関するものだ》。

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/337526

こちら特報部
法解釈の変更は「安倍政権の守護神」の「定年延長が目的」…黒川弘務元検事長をめぐる衝撃判決、その舞台裏
2024年7月3日 12時00分

 東京高検検事長だった黒川弘務氏の定年延長に関する文書の開示を国に命じた6月27日の大阪地裁判決国家公務員法の解釈変更を「黒川氏の定年延長が目的と断じた判断は、安倍政権への批判が渦巻いた当時の記憶を呼び覚ました。衝撃の判決はどのように導かれ、検察OBはどう受け止めているのか。(西田直晃山田祐一郎


◆大問題だと国も分かっていたから「かたくなに認めてこなかった」

     (黒川弘務氏)

 「特定の人物のために法解釈をねじ曲げた事実を、裁判所が認めた意義は大きい。国が大問題だと分かっていたから、かたくなに認めてこなかった経過があぶり出された」

 今回の判決を、原告の上脇博之・神戸学院大教授(憲法学)が振り返る。自民党派閥の裏金問題を告発してきたキーパーソンだ

 発端は2020年1月。改正前の検察庁法で、検察官の定年は63歳(検事総長は65歳)と決まっていた。ところが31日、当時の安倍晋三政権は閣議決定で、63歳の誕生日を控えた黒川氏の定年を半年間延長歴代政府が「適用されない」とみなしてきた国家公務員法の定年延長制について、安倍氏は「(検察官にも)適用されるように法解釈を変えた」と国会で述べた。政権に近いとされる黒川氏を次の検事総長に据えるための「政治介入」と物議を醸した。


◆「アベノマスク」訴訟を断じた裁判長

 法務省はこれまで「黒川氏個人のためではない」という姿勢を示してきたが、今回の判決は「(理由は)黒川氏の勤務延長しかあり得ないと断じた。解釈変更の閣議決定は黒川氏の退官予定日のわずか7日前。対象が黒川氏に限られ、他の検察官への周知がなかった点も考慮された。

 上脇氏が「大きな分岐点だった」と振り返るのが、元法務次官の辻裕教氏に対する昨年12月の証人尋問だ。「他の検察官への解釈変更の周知の有無を原告側が尋問した際、辻氏が『やっていません』と答えた。法解釈を一般化するのが行政の仕事だが、全く逆で、特定の人物のために動いていた事実が鮮明になった」

     (上脇博之氏)

 今回の裁判長は、安倍政権がコロナ禍対策で全国に配布した「アベノマスク」を巡る訴訟で、政府に行政文書の開示を命じる判決を出した徳地淳氏。徳井義幸主任弁護士によると、証人尋問で「第三者として見れば、定年退職に間に合わせたように見えなくはない」と問いかけたという。「口ぶりから不信感がにじんでいた。当たり前の市民感覚を持っていた」


◆控訴したら「政府は批判を浴びるだけ」

 訴訟を通じ、法務省側は「黒川氏のためではない」との主張に終始。徳井氏は「証人尋問も拒否。うそを貫き通す構えだった」とみる。上脇氏は「出廷した官僚の胸中は分からない。『安倍政権の後始末だ』という思いもあったのかもしれない」と推し量る。

 一方、判決では、法務省と安倍内閣の相談に関わる文書の開示請求が、「折衝があった証拠がない」として退けられた。徳井氏は「記録の開示を求める訴訟では、文書の存在を原告側が立証する必要がある。相談があったかどうかは『職務上の秘密』とかわされるため、ハードルは非常に高い」と唇をかむ。上脇氏は「今後は国会の仕事だ。証人喚問でも、第三者委員会の設置でもいい。判決を受け止め、疑惑にふたをしないでほしい」と強調する。

 控訴期限は11日。原告側は訴訟の目的は達成したとして、控訴する意向はない。徳井氏は語る。「誰が見ても、間違いない判決だ。国は控訴しても、あらためて批判を浴びるだけだ」


◆「どんなに有能でも定年には勝てない」政府は簡単に覆した

 判決は、検察官の定年にかかわる国家公務員法の解釈変更について「目的は黒川氏の定年を延ばすことにあった」と踏み込んで指摘した。検察OBはどうみているのか。

 元特捜検事の坂根義範弁護士は「裁判長の誠実さが見られる」と話す。徳地裁判長とは、司法試験合格後に研修する司法修習の同期。「短期間で解釈が変更され、黒川氏の退官に間に合うように進められたことの不自然さを指摘した。素直に事案を見て、国民の視点も踏まえた判断だ」と強調する。

     (2019年4月、「桜を見る会」であいさつする安倍元首相
      =東京・新宿御苑で)

 長年にわたり、63歳(検事総長は65歳)と定められていた検察官の定年。黒川氏と同期で元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士は「検事の世界では、どんなに有能でも定年には勝てないというのがあった。退官間近の検事はこの高い壁を意識してきた。それが政治的な動きの中でいとも簡単に変更された。これでは特定の目的のために恣意(しい)的な運用を許すことになる」と改めて問題視する。


◆「それだけ政権に便利な人だった」黒川氏

 黒川氏の定年が閣議決定で延長された2020年1月前後は、相次ぐ安倍政権の疑惑への検察の対応に批判が高まった時期。森友学園に関する財務省の文書改ざん国有地の値引きについて、佐川宣寿元国税庁長官らを不起訴とし、検察審査会の不起訴不当議決を受けた再捜査でも再び不起訴とした。

 安倍氏の後援会による「桜を見る会前日の夕食会を巡る疑惑で公設第1秘書が略式起訴されたが、安倍氏は不起訴に。河井克行元法相と妻の案里元参院議員の公選法違反事件も発覚していた。

     (参院予算委で検察庁法改正について答弁する
      安倍首相(当時)=2020年5月)

 「安倍政権の守護神」とやゆされることもあった黒川氏。元東京地検検事の落合洋司弁護士は「特定の検事の定年が職務に支障を来すことは通常考えられず、定年延長の必要性はなかった。それでも延長されたのは、黒川氏がそれだけ政権に便利な人だったということだ」と指摘する。


◆「メンツもある」から国側も控訴せざるを得ない?

 今回の判決に対し、国側は「メンツもあり、控訴せざるを得ないのではないか」と落合氏は見通す。「控訴しなければ、これまでの主張がうそだったことになる。組織として認めることはしないはずだ」

 22年7月に安倍氏が死去し、昨年末には自民党派閥の裏金疑惑が浮上。東京地検特捜部が安倍派など派閥事務所を捜索したが、幹部議員の立件は見送られた。今回の大阪地裁判決の翌日に検事総長就任が閣議決定されたのが検察ナンバー2の畝本直美東京高検検事長で、SNSでは一連の処分への批判が出ている

 前出の若狭氏は、大川原化工機事件や大阪地検特捜部が捜査した業務上横領事件で冤罪(えんざい)が相次いでいることなどを挙げ、強調する。「いま検察は岐路に立たされている。危機的状況の検察の信頼回復へ畝本新総長の手腕が問われる」


◆デスクメモ

 アベノマスク単価黒塗りを巡る訴訟で、国は「ない」としていたメールを「ある」に修正。「公にすると国の利益を害する」等の主張は退けられ、控訴も断念した。情報隠しは政権への忖度(そんたく)」と識者。約3億枚調達され、約500億円が支払われた政策の結末だった。(本)


【関連記事】政権に近い黒川東京高検検事長 「異例」の定年延長の背景は
【関連記事】「軽い気持ちで賭けマージャン続けた」…黒川元東京高検検事長が後悔の供述
【関連記事】「アベ政治」が終わらない? 閣僚更迭→強制捜査でも裏金の責任「問うのは難しい」派閥政治のゆがみ
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https://dot.asahi.com/articles/-/227530

安倍派の裏金問題を暴いた“名コンビ”がまた勝利 黒川元東京高検検事長の定年延長関連文書も「開示」へ
古賀茂明
政官財の罪と罰
2024/07/09/ 06:00

 6月27日、あるニュースを見て驚いた。大阪地方裁判所が出した、法務省の公文書不開示決定を覆す判決に関するものだ。

 ことの経緯から解説を始めよう。

 安倍晋三元首相には、守護神と言われる検察官がいたのを覚えているだろうか。

 黒川弘務東京高等検察庁検事長(当時)だ。安倍氏が、「モリ・カケ・サクラ」など「絶体絶命」と思われたスキャンダルを無傷で切り抜けられたのは、この黒川氏のおかげだと噂されたものだ。

 その黒川氏が検察官としての定年となる63歳の誕生日(2020年2月8日。ただし、定年退職の日はその前日)の直前の1月31日に、突然黒川氏の定年を6カ月延長する閣議決定が行われた。

 一般の公務員には、国家公務員法で定年延長を認める規定があるが、検察庁法という特別法では、検察官には定年延長を認める規定はないので、検察官の定年延長は認められないというのが過去40年以上にわたる政府の解釈だった。

 この解釈に従えば、安倍氏は大事な守護神である黒川検事長を定年退職でまもなく失う状況に陥っていたことになる。

 そこで、安倍政権は、それまでの政府(法務省)の解釈を180度変えて、国家公務員法の定年延長の規定を検察官にも適用できることにした。そして、黒川氏の定年を20年8月まで6カ月間延長することを閣議決定してしまったのだ。

 6カ月の延長にしたのは、8月までには、検察庁のトップである検事総長の交代が予想されていたためだ。検事総長の定年は、一般の検察官の定年(63歳)と異なり、65歳とされている。夏までに黒川氏を次期検事総長に任命すれば、黒川氏の定年は検事総長の定年である65歳となる。それまでの間は、黒川氏が検察トップとして安倍氏を守ることができる。安倍氏としては、自分を守る万全の体制ができるという算段をしていたのだろう。

     (黒川弘務・元東京高検検事長=19年1月)


■安倍氏の「地に落ちた倫理観」

 安倍氏の倫理観は、国の指導者に求められる倫理観、「李下に冠を正さず」、すなわち、「単に悪いことをしないというのでは足りない疑われることもしてはならない」というものではなく、「捕まらなければ、何をしても良い」というものだった。それは、さらにエスカレートし、「悪いことをして、証拠が見つかっても、捕まらないように検察を支配すれば良い」ということになっていった。私は、これを安倍氏の「地に堕ちた倫理観」と名付けた。

 安倍政権による検察官の定年延長に関する「ミエミエ」の恣意的解釈変更には日本中で批判が湧き起こった。

 しかしそこで意外な事態が生じる。黒川氏が、20年5月にたまたま賭け麻雀賭博問題で辞任に追い込まれたのだ。黒川氏の定年延長による検事総長就任という安倍氏の策謀はあえなく頓挫した。

 こうした政府による恣意的な定年延長に関する解釈変更がどのような過程を経て行われたのかについては、多くの国民が真相を知りたいと考えた。中でも、安倍官邸側から何らかの働きかけがあったのか、法務省や検察庁内部でどのような検討が行われ、同省や検察の幹部がどのような考えを示したのかは、日本の民主主義の根幹である司法の独立に関わる話だ。知りたいと思うのは当然だろう。

 そうした国民の声を代弁すべく立ち上がったのが、上脇博之神戸学院大学教授だ。上脇教授は、21年9月に黒川氏の定年延長のために行われた法解釈の検討や決裁などの関連文書を、法務省に開示するよう求めた。

 しかし、法務省は同年11月、上脇教授が開示請求した文書のほとんどについて、「いずれも作成していない」として、不開示決定を行った。

 これに対して、上脇教授は、不開示決定の取り消しを求めて、大阪地裁で裁判を起こした。


■公式には作成していないことにする「危ない文書」

 ちなみに、私の30年余の官僚経験に照らせば、法務省や検察庁などが法律の解釈変更に関する文書を作成しないことはあり得ない。印刷物にすれば、厚さ20センチを超えるような資料が作成され、その重要性に鑑みて、事実上永久保存扱いとなっているはずだ。

 また、黒川検事長個人の定年延長に関する検討経緯などについても、かなり詳細な記録が作成保存されたのは確実だ。

 ただし、森友学園問題で、財務省の公文書改竄が明るみに出た後に改定された公文書に関するガイドラインによって、その表向きの趣旨とは正反対に、後から問題になる可能性のある「危ない文書」を公文書として残すことは極力避けるように各省庁が注意するようになっていることはあまり知られていない。危ない文書は、作成しても公式には作成していないことにしているのだ。

 また、危ない文書が仮に複数の官僚の間で利用されるなど、公文書の定義に当てはまるようなことがあっても、それを絶対に記録として残さず、万一、後になって文書の存在が暴露された時も、必ず、それは個人メモにすぎず、公文書ではないから開示しないと答えるという暗黙のルールができている。

 こうした背景があるため、法務省は、特に問題とされる恐れのない「検察官の定年延長一般についての文書」は作成し保存していたとして、当たり障りのない文書を上脇教授に提出した。その一方で、我々が一番知りたい、「黒川検事長個人の」定年延長のために行った解釈変更についての文書は、暗黙のルールの通り、「そんなものは作成していないし、作成していない以上保存もしていない。したがって開示することはできない」と主張し続けた。

 しかし、前述のとおり、検事長個人の定年延長という前代未聞の事柄について、その理由や検討経緯などを記した文書を全く作成しないことなどあり得ない。


■政府の「真実隠し」を断罪した地裁判断

 100人の官僚に聞けば、100人全員が、「作成していないというのは嘘だ」と答えるだろう。

 しかも、上脇教授が主張した通り、公文書管理法によりこのような資料は作成しなければならないこととされているので、作成しなければ、公文書管理法違反となるから、なおさら、作成されていたと考えるべきである。

 しかし、いざ裁判所が判断するとなった場合、作成すべき主体が絶対に作成していないと言い張ると、作成した証拠がない以上、開示を命じるわけにはいかないとして、上脇教授の請求を棄却する判決が出るのではないかということが危惧された。

 検察庁と裁判所は身内意識が強く、個別検察官の不祥事ならともかく、検察庁や法務省の組織全体の不祥事だとなりかねない本件のような事案について、「一介の大学教授」の訴えをそう易々と認めるわけにはいかないと考えても不思議ではなかった

 しかし、今回の大阪地裁の判断は違った。

 法務省側の主張とは正反対に、被告側は文書を作成していたはずだと結論づけ、国の不開示決定の大半を取り消す判決を出したのだ。

 裁判の過程では、定年延長の閣議決定当時に法務事務次官だった辻裕教氏の証人尋問まで実施し、裁判長自らが、辻氏に対して、「第三者的にみると、2月8日の黒川さんの定年に間にあわせるように、1月の半ばから急いで準備をしたようにみえなくはないと思うんですが」と上脇教授が主張する趣旨に沿った補充尋問を行っている。一般市民の常識に沿った裁判の進め方だった。

 私は今回の判決文全文を読んでみたが、そこには、大阪地裁が、検察庁や法務省が組織ぐるみで、黒川氏の定年延長のための法律解釈変更についての真実を隠そうとしたことを断罪する判断が示されていた。


■政府は控訴するのか

 法務・検察側が、法律の解釈変更は、決して黒川氏の定年を延長するためではなく、一般的な必要性に基づいて行ったものだと強弁し続けたのに対して、我々の日常用語に翻訳すれば、「そんな主張は世の中では通用しない。本当は黒川氏のために慌てて解釈変更したとしか考えられない」と裁判所は言ったのだ。これは、「いい加減に嘘をつくのはやめろ」と言ったに等しい。法務・検察側から見れば、屈辱的かつ驚天動地の判決だった。

 やや技術的な話になるが、普通に裁判を進めると、この種の裁判では、文書の開示をするか否かが争点となり、それらの文書が黒川検事長の定年延長を目的としたものか否かということまで確定する必要はない。判決にもその点の判断が示されない可能性もあった。

 しかし、上脇教授は、巧みな作戦により、「黒川検事長個人の定年延長のために法律の解釈変更を行ったのか否か」を争点にすることに成功した。検察もその罠にかかって、いくつかの失策を犯し、裁判官もその点を見逃さずに、判決の中で、「黒川検事長個人のための法律解釈の変更だったと認定したのだ。

 今後は、政府側が控訴するかどうかが焦点だ。検察と法務当局が嘘をついたと宣言したに等しい今回の判決を控訴せずに確定させることは、通常は考えられない。

 しかし、控訴すれば、引き続きこの問題に世の中の関心が集まる。それよりも、静かに負けを確定したほうが得策だと法務省側が考えてもおかしくはない。

 仮に控訴せずにこの判決が確定した場合、「黒川検事長個人の定年延長のために解釈変更を行った」ことを具体的に示す新たな文書の開示がなされるかが次の注目点だ。


■日本社会の闇を暴く勇者たち

 仮に新たな文書が出てこなくても、検察・法務が組織ぐるみで嘘をついていたと裁判所が公に宣言したことの意味は非常に大きい。

 なぜなら、そんな大嘘をついた関係者の処分はどうするのかが問われるし、そうした嘘を重ねることになった経緯、この定年延長劇の主役が誰かなどが国会で追及されることになるからだ。証人喚問や第三者委員会による調査の要求などもなされることが予想される。

 ちなみに、上脇教授は、自民党安倍派などの裏金問題を暴き、刑事告発をして自民党の政治資金の闇にメスを入れたことで知られる。岸田文雄首相率いる自民党を瀕死の状態に追い込んだ立役者だ

 さらに、判決文を見て発見したのだが、本件の代理人弁護団には、阪口徳雄氏ら、私が尊敬してやまない切れ者の弁護士が名を連ねていた。阪口氏は、森友学園事件における財務省と赤木雅子さんの訴訟でも代理人弁護士を務め、アベノマスクに関する訴訟などでも国と戦っている。

 上脇教授や阪口弁護士らの献身的な活動がなければ、日本の社会で起きているいくつもの闇を暴くことはできていなかったかもしれない

 あらためて、この勇者たちに敬意を表するとともに、ますますの活躍を期待したい


古賀茂明(こが・しげあき)/古賀茂明政策ラボ代表、「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。1955年、長崎県生まれ。東大法学部卒。元経済産業省の改革派官僚。産業再生機構執行役員、内閣審議官などを経て2011年退官。近著は『分断と凋落の日本』(日刊現代)など
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コメント (1)
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●疑問はシンプル…岡口基一元判事がたとえヒラメ裁判官であったとしても弾劾裁判で罷免しただろうか? 結論は《今回の弾劾裁判は間違っている》

2024年05月23日 00時00分20秒 | Weblog

[※ 「こんな人たち」 報道特集(2017年7月8日)↑]


(2024年05月17日[金])
この件、第3弾のブログです。岡口基一元判事《今回の弾劾裁判は間違っている…》。
 ブログ主の疑問はシンプルです、岡口基一元判事がたとえヒラメ裁判官であったとしても弾劾裁判で罷免しただろうか? 罷免しなかったと思います。そもそも、岡口氏に対して最高裁も弾劾裁判を要請していない訳で、ヒラメ裁判官であったならば弾劾裁判に掛けることもしなかったはず。結論、《今回の弾劾裁判は間違っている》、《「これはもう裁判ではない」》。(カルト協会とヅボヅボな議員や、裏金や脱税議員などは居ないんですかね?)法律の専門家ではない国会議員が行う裁判官弾劾裁判》は大きな問題を残した。今回の裁判長は船田元氏です。弾劾裁判所で裁判を行うのは、国会議員の中から選ばれた14名(衆議院議員7名、参議院議員7名)の裁判員だそうです。今回の裁判員のリストを探してみますと、【裁判長と裁判員の紹介】(https://www.dangai.go.jp/info/info2.html)によると、以下のようです。

裁判長
 船田元(ふなだ はじめ)(衆・自民)

衆議院選出裁判員

 山本有二(やまもと ゆうじ)(自民) … 《ワンズ社》絡み、TPP、白紙の領収書
 田中和徳(たなか かずのり)(自民) … 衆院政倫審会長
 葉梨康弘(はなし やすひろ)(自民) … 死刑執行は冗談のネタ、政治資金閣僚辞任
 杉本和巳(すぎもと かずみ)(維教) … 政治資金でほら貝を購入
      自身で領収書発行受け取り議員会館の不正使用松井三郎氏返り討ち事件
 北側一雄(きたがわ かずお)(公明)

参議院選出裁判員
 福岡資麿(ふくおか たかまろ)(自民) … 政治刷新本部幹事長代理、参院政審会長
 森まさこ(もり まさこ)(自民) … 入管問題検察庁法改正、違憲な秘密保護法
 赤池誠章(あかいけ まさあき)(自民) … 教育委員会恫喝質問状送付
 小西洋之(こにし ひろゆき)(立憲)
 伊藤孝江(いとう たかえ)(公明)
 片山大介(かたやま だいすけ)(維教)

 《国民の信頼を失わせた》国会議員は居ませんよね?
 弁護士ドットコムの記事 (2023年1月24日)【岡口判事、普段は周囲に配慮…どうして裁判当事者を傷つけることに? 裁判員が質問】(https://news.yahoo.co.jp/articles/1eea08f1fc6ba6e551a2e14396ef841b399ec382)によると、《●この日の裁判員は13 弾劾裁判所は14人の裁判員で構成されるが、この日の裁判員は13人。弾劾裁判所のウェブサイトによると、前回に続き辞任した山下貴司氏(衆・自民)の後任が決まっていないようで、田中和徳氏(衆・自民)も欠席。代わりに予備員の大河原まさこ氏(衆・立憲)が出席した》。岡口さんは、山下貴司氏について《中立な裁判員とは感じられませんでした》とのこと。《私は不公平な裁判となるおそれがあると忌避を申し立て、裁判員をやめてもらうように主張。申し立てを知った山下氏側から辞任願が出されました》。

   『●岡口基一判事罷免問題…こんな結末で良かったのか? 国に楯突くような
     裁判官は「罷免」しても構わないというバイアスが掛かってはいまいか?
   『●岡口基一判事罷免問題…例えば、岡口基一・元判事がヒラメ裁判官
     だったとしても、裁判官弾劾裁判で「罷免」判決を出したでしょうか?

 吉田通夫宮尾幹成両記者による、前・後編の東京新聞のインタビュー記事【岡口基一元判事が語った弾劾「これはもう裁判ではない」…その真意は 不適切SNSで罷免された今<前編>】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/326369?obOrigUrl=true&ucid=59VHhfrl)。《「遺族に申し訳ないとは思っている」けれど、今回の弾劾裁判は間違っている…。交流サイト(SNS)への投稿などで刑事事件の遺族の心情を傷つけたとして4月、国会議員が行う裁判官弾劾裁判で罷免され、法曹資格も剝奪された岡口基一・元判事(58)が東京新聞のインタビューに応じた。有名な法曹家向け実用書の著者として知られる一方、SNSでフォロワーを「楽しませようと」際どい投稿を繰り返すなど、異色の裁判官として知られた岡口氏。遺族への思いから今回の弾劾裁判への不満、背後に潜む最高裁の体質まで、60分にわたって率直に語った。(デジタル編集部・吉田通夫宮尾幹成)》。
 その後編【岡口基一氏が明かす、政治に逆らわない最高裁が抱える「トラウマ」 その影響は判決にまで<後編>】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/326372)によると、《「最高裁は国会や内閣に逆らわない」が、権威を保つため裁判官に情報発信させず雲上人のようにしている…。交流サイト(SNS)への投稿などで刑事事件の遺族の心情を傷つけたとして4月、国会議員が行う裁判官弾劾裁判で罷免され、法曹資格も剝奪された岡口基一・元判事(58)が東京新聞のインタビューに応じた》。

 2度目の「罷免」回避の機会、《「…あの時SNSやめますと、うまく立ち回ってヒラメ裁判官になれば、処分もなく、罷免にもならなかったかもしれない」》。岡口氏の《罷免ありき》だったのではないのか。
 こんな結末で良かったのか? 国に楯突くような裁判官は「罷免」しても構わないというバイアスが掛かってはいまいか? もし、同様な《ツイッターへの不適切な投稿問題》をヒラメ裁判官が起こしたとしても、本当に「罷免」されただろうか? 《弾劾裁判所による裁判官訴追は厳密に運用》されたのだろうか? 疑問だ。《法律の専門家ではない国会議員が裁判官を裁く、弾劾裁判というシステムの問題》(岡口基一さん)。岡口氏は《国会議員が裁判官役明らかな非行が認定》されて良かったのでしょうか?

   『●『つぶせ! 裁判員制度』読了
   『●「国民の信頼を傷付け」ているのは? 
     …「米軍基地という面倒な施設は沖縄に…。そして日本本土は…」
    《岡口基一裁判官…は謝罪したが…。「米軍基地という面倒な施設は
     沖縄にもっていく。そして日本本土は平和と繁栄を維持した」と
     言及したことも。公平な視線は信頼に値しそうだ
    「《国民の信頼を傷付け》ている「司法」は岡口裁判官でしょうか、
     それとも、沖縄で辺野古破壊や高江破壊に貢献している司法関係者
     でしょうか? まさか、沖縄の市民の皆さんはこの《国民》には
     含まれていない、とでも思っているの?」

   『●《余ると分かっている電力を、なぜ原発で作り続けるのか?》
              核発電「麻薬」中毒なアベ様に忖度する九電
    《最高裁判事は十五人いるが、戸倉三郎裁判官は岡口裁判官が厳重注意
     された当時、東京高裁長官だったため今回の審理から外れた》
    《ツイッターへの不適切な投稿問題で東京高裁の岡口基一裁判官が
     戒告となった。「品位を辱めた」が理由だ。
     だが、さまざまな社会事象への裁判官の考えは、
     個人として発信していいのではないか

   『●三権分立・司法権独立…「国民の信頼を傷付けた」のは
      岡口基一裁判官の方なのか? それとも最「低」裁の方なのか?
   『●岡口基一判事罷免問題…こんな結末で良かったのか? 国に楯突くような
     裁判官は「罷免」しても構わないというバイアスが掛かってはいまいか?
   『●岡口基一判事罷免問題…例えば、岡口基一・元判事がヒラメ裁判官
     だったとしても、裁判官弾劾裁判で「罷免」判決を出したでしょうか?

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/326369?obOrigUrl=true&ucid=59VHhfrl

岡口基一元判事が語った弾劾「これはもう裁判ではない」…その真意は 不適切SNSで罷免された今<前編>
2024年5月13日 06時00分

 「遺族に申し訳ないとは思っている」けれど、今回の弾劾裁判は間違っている…。

 交流サイト(SNS)への投稿などで刑事事件の遺族の心情を傷つけたとして4月、国会議員が行う裁判官弾劾裁判で罷免され、法曹資格も剝奪された岡口基一・元判事(58)が東京新聞のインタビューに応じた。

 有名な法曹家向け実用書の著者として知られる一方、SNSでフォロワーを「楽しませようと」際どい投稿を繰り返すなど、異色の裁判官として知られた岡口氏。遺族への思いから今回の弾劾裁判への不満、背後に潜む最高裁の体質まで、60分にわたって率直に語った。(デジタル編集部・吉田通夫宮尾幹成


(この記事は前編です。後編「政治に逆らわない最高裁の『トラウマ』 影響は判決にも…」はこちら。)


     (自身を罷免した弾劾裁判を振り返る岡口基一氏
      =東京都渋谷区で)

裁判官弾劾制度 問題行為のあった裁判官を辞めさせる制度。裁判官弾劾法では▽職務上の義務に著しく違反、または職務を甚だしく怠った時▽裁判官としての威信を著しく失うべき非行があった時―に罷免できると定めている。国会議員による弾劾訴追委員会が検察官役となって訴追を決め、やはり国会議員が裁判官となる弾劾裁判所で審理する。


◆「闘わない」最高裁へ憤慨

 「最高裁は、権力者と闘わない

 4月中旬、法律資格試験の受験指導をする「伊藤塾」(東京・渋谷)で取材に応じた岡口氏は、そう強調した。岡口氏は裁判官を罷免された直後、伊藤塾の専任講師に就任している。

国会議員による弾劾裁判の判決には、元裁判官として、おかしいと感じる部分が多かった。しかし、最高裁の徳岡治人事局長が出したコメントは「誠に遺憾。 裁判官各人において、改めて職責の重さを自覚し、国民の信頼にこたえていくよう努めたい」という内容だった。

 岡口氏は「最高裁は、こんなとんでもない判決はけしからんというコメントは出さない」と憤慨する。

 そして、今回の弾劾裁判への不満と、背後にある最高裁の体質について、語り始めた。


◆裁判官が実名でツイート

 X(旧ツイッター)などで、実名で情報を発信してきた岡口氏。裁判官とは明かさなかったが、法曹関係者らから口コミで広がり、フォロワーは2018年時点で4万人超だった。

 今回の問題の発端となったのも、ツイッターだった。

 東京都内で女子高生が殺害された2015年の事件の東京高裁判決のリンクを張り、「首を絞められて苦しむ女性の姿に性的興奮を覚える性癖を持った男」「そんな男に、無残にも殺されてしまった17歳の女性」と書き込んだ。

 いずれも、東京高裁のウェブサイトに掲載されていた「事案の概要」からコピーした言葉だったが、遺族は「茶化している」と受け止め、当時の岡口氏の所属先だった東京高裁に抗議。その後の岡口氏のSNSなどでの発信も問題視され、弾劾裁判へとつながっていく。

岡口氏の弾劾裁判 弾劾訴追委員会は2021年6月に13件の投稿などを対象に訴追し、弾劾裁判所(裁判長・船田元衆院議員=自民党)は2024年4月に7件が「表現の自由として裁判官に許される限度を逸脱している」と判断。「著しい非行」として罷免の判決を言い渡した。岡口氏はただちに失職し、退職金はなく法曹資格も失った。弾劾裁判の判決に先立つ2024年2月には、民事訴訟でも岡口氏に遺族側へ44万円の支払いを命じる判決が確定。また、2018年と2020年には、最高裁が岡口氏を戒告の懲戒処分にしている。


◆悪気はなかったが「表現に思いが至らず」とお詫び

 岡口氏は弾劾裁判で、もともとはSNSを通じて男への量刑が低すぎると感じてほしかったと主張。インタビューでも「遺族を思っての書き込みだった。こんな事件は許せない」と述べた。

 2019年には、フェイスブックに、遺族が岡口氏を非難するよう「洗脳」されていると書き込んで問題になったが、岡口氏側は「『洗脳』という言葉をそれほどネガティブな意味で使っていたわけではない」と主張。判決でも認められた。

 最終的に、弾劾裁判では、岡口氏による一連の投稿や発信に、だれかを傷つけるなどの悪意はなかったと判断された。

 遺族感情を損ねる結果になったことについて、岡口氏はインタビューで「(表現への)思いが至らず、お詫び申し上げたい」と謝罪した。


◆問われた「表現の自由」

 表現行為に悪意はなかったと認定された岡口氏だが、最終的には「『表現の自由』の範囲を逸脱」したとして罷免を言い渡された。その論理構成には問題が多かったと強調する。

 まず、憲法が保障する「表現の自由」についての認識だ。

 弾劾裁判で、裁判官による表現行為が問題になったのは初めて。便宜供与を受けるなどの職務違反があったり、児童買春や盗撮などで刑事罰に問われたりしたことを理由に罷免となった過去7人のケースとは異なる

 岡口氏は「侮辱などがない限り、(表現を受け止めた)だれかが傷ついたというだけでは不法行為にならない。憲法が保障する『表現の自由』の一丁目一番地だ」と言う。

しかし、今回の判決は「結果として傷ついた人がいるからいけないというロジックになっている」と問題視した。

 表現に問題や誤解があれば民事訴訟など当事者間で紛争を解決するべきで、弾劾裁判などによって「他者が介入する問題ではない」と強調した。


◆「これはもう裁判ではない」

     (岡口基一氏)

 また、岡口氏の最終的な罷免理由は、一連の投稿により裁判官に対する国民の信頼を失わせたことになっている。

 弾劾裁判で、岡口氏と弁護側は「証拠がない」と主張した。

 判決も「客観的に証明することは困難」と認めた。しかし、立証は国民に選ばれた国会議員でつくる時の弾劾裁判所の裁量によると明言し、国民の信頼を失わせたと断じた

 岡口氏は「どういう事実があったかは裁判官が決めていいと言っているこれはもう裁判ではない」と非難した。

 岡口氏は、女子高生殺害事件の遺族への損害賠償を命じた東京高裁判決についても、「何の情報もないのに、私が変態性欲者の興味を引く意図で投稿をしたと認定して、だから不法行為だと。全く証拠がない」と批判。

 弾劾裁判の判決も、高裁が不法行為と認定していることを理由の一つとしているとして、「最高裁が『けしからん裁判官』をどうぞ辞めさせてくださいと、どんどんアシストした」「裁判所がよってたかって、全く証拠がない事実認定をして私を追い出そうとした」との見方を示した。


◆「運用で守ってきた」三権分立が…

 過去の弾劾裁判は、問題を起こした裁判官について、最高裁自身が国会に対して弾劾訴追を求めるケースがほとんどだった。

     (岡口氏を罷免する判決が言い渡された弾劾裁判
      =4月3日、東京都千代田区で)

 三権分立の社会では、立法権(国会)、行政権(内閣)、司法権(裁判所)は独立していなければならない。このため、内閣や国会が裁判所に対していたずらに介入しないようにするため運用で守ってきた暗黙のルールだ

 今回、最高裁は岡口氏に対して2度にわたり戒告処分をしたが、弾劾訴追は求めていない

しかし、訴追委員会は遺族側の申し立てを受けて訴追を決め、判決も「過去には最高裁からの訴追請求がない事案について罷免判決をした例もある」と有効とした。

 岡口氏は、2020年の菅義偉政権による日本学術会議会員任命拒否問題も引き合いに、「第二次安倍政権以降、運用で守られてきたさまざまな制度が、ことごとく失われている感じがする」と語った。



https://youtu.be/BNBW9eAk8ZE

▶後編:「政治に逆らわない最高裁の『トラウマ』 影響は判決にも…」に続く。
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https://www.tokyo-np.co.jp/article/326372

岡口基一氏が明かす、政治に逆らわない最高裁が抱える「トラウマ」 その影響は判決にまで<後編>
2024年5月13日 06時00分

 「最高裁は国会や内閣に逆らわない」が、権威を保つため裁判官に情報発信させず雲上人のようにしている…

 交流サイト(SNS)への投稿などで刑事事件の遺族の心情を傷つけたとして4月、国会議員が行う裁判官弾劾裁判で罷免され、法曹資格も剝奪された岡口基一・元判事(58)が東京新聞のインタビューに応じた。

 有名な法曹家向け実用書の著者として知られる一方、SNSでフォロワーを「楽しませようと」際どい投稿を繰り返すなど、異色の裁判官として知られた岡口氏。遺族への思いから今回の弾劾裁判への不満、背後に潜む最高裁の体質まで、60分にわたって率直に語った。(デジタル編集部・吉田通夫宮尾幹成


(この記事は後編です。前編「罷免が決まった弾劾裁判『これはもう裁判ではない』」はこちら。)


◆保守派が長官に指名されて最高裁が受けた衝撃

     (司法に対する国民の信頼失墜を懸念する岡口基一氏
      =東京都渋谷区で)

 立法権(国会)、行政権(内閣)、司法権(裁判所)の独立を守るため慣例的に運用されてきた「裁判官弾劾裁判は最高裁が訴追請求するというルールが破られたと指摘した岡口氏。

もともと、日本の司法は立法や行政に比べて権力基盤が弱い。江戸時代は幕府や藩が裁判を行い、明治以降も、戦前の最高裁は司法省の下部機関だった。戦後になっても、内閣が最高裁長官の指名権を握っているため、時に政治の介入を受けてきた。

 「佐藤栄作政権時の人事が、今もトラウマ(心的外傷)になっている」と岡口氏は語る。

佐藤元首相は1969年、長官含みで最高裁判事となった学者出身の田中二郎氏ではなく、旧司法省出身の石田和外氏を指名。石田氏は退官後に日本会議の前身団体の一つである「元号法制化実現国民会議」をつくった右派だ。

 石田氏は最高裁長官に就くと、立法や行政に対する司法の独立を訴えた「青年法律家協会」所属の裁判官を左遷するなどして排除。「青」からとって「ブルー・パージ」と呼ばれる。

岡口氏は「最高裁はショックを受けて、立法府や行政府には逆らわないようになった」と言う。


◆臨時国会召集拒否は「憲法違反」と断言

     (岡口基一氏)

 岡口氏は、内閣や国会に逆らわない裁判所の姿勢は、さまざまな司法判断に表れていると指摘する。

 例として、沖縄県名護市への米軍新基地建設を巡る一連の訴訟のほか、2017年の安倍晋三首相(当時)による臨時国会の召集拒否を挙げた。

 当時、森友学園に対する国有地払い下げなどの問題が噴出。野党は臨時国会の召集を求めたものの、安倍首相は3カ月超にわたって応じず、ようやく召集したとたん、冒頭で衆院を解散した。

 憲法53条は、衆参両院のいずれかで議員の4分の1以上の要求があれば内閣は臨時国会の召集を決定しなければならないと規定している。野党側は違憲だとして提訴したが、最高裁は違憲の判断を避けつつ、損害賠償請求を退けて原告側の敗訴とした。

 岡口氏は臨時国会をすぐに召集しなかったことは「憲法違反だと断言する。しかし、政府からの「さらなる介入を招く」ため、組織防衛に走ったという。「国と戦う気はない。LGBT(の権利向上を認める判決)とか、ああいうところで独自性を出して『やってます感を出すという作戦だ」


◆原発訴訟「下級審は最高裁に逆らえない」

     (東日本大震災後の福島第一原発(2012年3月撮影))

 話題は、原発訴訟にも及んだ。「福島第1原発事故の前は、原発が危ないかどうか分からなかった。おかしいという人は変わり者だと思われていることもあって、あの頃は普通の人は(国や電力会社を敗訴させる判決を書けなかった

 だが、福島原発事故後も、事故について国の責任を認めない判決が相次いでいる

岡口氏は「最高裁が国の責任を認めなかったので、下級審は逆らえない状況だ」と指摘。自身も仙台高裁判事時代、福島原発事故の避難者が国と東京電力に賠償を求めた裁判の控訴審(2024年1月に判決)に関わったといい、「現場は現場できちんと国の判決を書きましょうと、私も用意していた」と明かした上で、「弾劾裁判があったのでできなかった」と悔やんだ。岡口氏は弾劾訴追を受け、2021年7月に裁判官の職務を停止されていた。


◆「裁判官は雲上人」でいいのか?

     (最高裁判所)

 逆らわない最高裁は、「裁判官に情報発信させず、雲上人のように、品位があるように見せることで権威を保とうとしている」と岡口氏の目には映る。

 積極的に発信する裁判官に、あからさまに「やめろ」とは言わないものの、裁判の研究や司法修習を行う「司法研修所」の教官にしないなど、無言の圧力をかけるという。

 「私はそれは良くないと思っている」と断言。権威により判決を信じ込ませるのではなく、「科学的・合理的な根拠を示し、またそれが検証可能なように担保しなければならない」と語る。


◆SNS反省「楽しませなきゃ、がよくなかった」

     (岡口基一氏)

 そんな岡口氏がツイッターを始めたのは、2008年の草創期。裁判官という肩書は明かさなかったが、実名でアカウントを開設した。もともとは法曹家向けに法律改正や法律絡みの時事問題を発信していた。

 それだけでも異色だったが、次第に法曹家以外のフォロワーも増え、くだけた表現や、白ブリーフ姿をさらすなど際どい投稿も目立つようになった。「法曹家以外も見てくれているのだから、楽しませなきゃと思い始めたのが良くなかった」と振り返る。

 今もツイッターを続けているが、不特定多数の目には触れないよう「鍵アカ」にしたという。

 法曹家向けの実用書「要件事実マニュアル」シリーズでも知られる岡口氏。今後は伊藤塾の講師を務めるなどしながら「新たな法曹家を育成していかなければならない」と、後進の育成に意気込む。「質の高い司法サービスの提供は、国民のためになる」と語った。

▶前編「罷免が決まった弾劾裁判『これはもう裁判ではない』」はこちら。
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●砂川事件国賠…「公平な裁判」だったのか? 《最高裁長官が米国側に評議の状況などを伝えたことで「公平な裁判を受ける権利が侵害された」》

2024年02月11日 00時00分08秒 | Weblog

[↑ 190107-東京新聞‐9条壊憲]


 (2024年01月19日[金])

ニッポンの裁判所は大丈夫か? 法はどこに? 「司法判断」せずに、デタラメな「政治判断」を繰り返している。
 絶望的な気分。「砂川事件」の国賠訴訟にはいくつかの論点があるのでしょうが、ブログ主が感じる大きな問題は、元・最高裁長官の振舞いとそれを許容した現在の裁判所。ニッポンの裁判所は大丈夫なのか? (東京新聞)《憲法37条が保障する「公平な裁判を受ける権利」は、民主主義国で最も基本的な権利のはずだ。司法が身内を守るような発想では、信用を失うだけである》。違憲に違憲を重ねている。

 (東京新聞)《59年の一審判決は「米軍駐留は憲法違反」として無罪を言い渡した》…違憲認定した《伊達秋雄裁判長の名をとり通称・伊達判決》、何が何でもこれを闇に葬りたくて仕方ないらしい政権に忖度する裁判所。
 東京新聞の【<社説>砂川事件判決 「公平な裁判」だったのか】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/303779?rct=editorial)。《1957年の「砂川事件」を巡り、最高裁長官が米国側に評議の状況などを伝えたことで「公平な裁判を受ける権利が侵害された」として国に損害賠償を求めた裁判で、東京地裁は原告の訴えを退けた。「具体的な評議内容まで伝えた事実は認められない」との判決は疑問で納得しがたい。…59年の一審判決は「米軍駐留は憲法違反」として無罪を言い渡したが、検察は高裁を飛び越えて最高裁に跳躍上告最高裁は一審判決を破棄・差し戻して64年に7人の有罪が確定した。判決が再び注目されたのは2008年以降、米国国立公文書館での文書発見がきっかけだ。砂川事件の上告審の審理中に、当時の田中耕太郎最高裁長官がマッカーサー2世・駐日米大使らと裁判所外で面談していたことが記され、一審判決は覆される旨の発言まであった。原告が「公平な裁判を受ける権利が侵害された」と受け止めたのは当然だろう。しかし、東京地裁は判決で「具体的な評議内容、予想される判決内容まで伝えた事実は認められない」などと述べ、訴えを棄却してしまった》。

   『●「憲法9条にノーベル賞を」!、暴走改憲を止める一矢に!
                   ~世界の笑いものにならないために~

   『●砂川事件: 「三権の長でありながら米国の干渉を
             受け入れ、司法の独立性を損なう裏切り」

   『●砂川判決という言い訳、再び: 
       アベ様は、じい様さえ「ウソツキ呼ばわり」したようなもの!?
    「「自衛権行使を「国家固有の権能」と認めた砂川事件の最高裁判決と
     「軌を一にする」と指摘」。
       また、砂川判決という言い訳話の蒸し返しかい!? 1959年以降の
     長きに渡る議論を無視するつもり? 風が吹けば桶屋が儲かるといった
     雑な論理で壊憲していいのか。憲法学者は売られたケンカを買うべきだ!!」
    《Q 現在の集団的自衛権の行使容認をめぐる議論とどう関係するのか。
     A 「米軍駐留は憲法違反」として無罪を言い渡した一審の東京地裁判決
       (伊達秋雄裁判長の名をとり通称・伊達判決)を破棄した最高裁判決
       首相が指摘する「砂川判決」だ。
       (1)憲法は固有の自衛権を否定していない(2)国の存立を全うするために
       必要な自衛の措置をとることを憲法は禁じていない(3)だから日本を守る
       駐留米軍は違憲ではない(4)安保条約のような高度な政治性を持つ
       案件は裁判所の判断になじまない-がポイント。首相らは「自衛権」や
       「自衛の措置」に集団的自衛権の行使も含まれると主張し始めた

   『●《政僕化したり官僕化》する官僚の「滅公奉僕」再び…
        この国ニッポンでは行政府の長が《愛僕者》ですもの
   『●「砂川事件の再審問題は、司法の歴史の闇を
      照らす意味を持つ」…相変わらずの最「低」裁かな?
    「《五九年の一審東京地裁の無罪判決を破棄した最高裁の
     田中耕太郎長官(故人)が、上告審判決前に駐日米大使らに
     裁判の見通しなどを伝えたとする米公文書が二〇〇八年以降に
     見つかった》…ということで、「三権の長でありながら米国の
     干渉を受け入れ、司法の独立性を損なう裏切り」をしていた訳です」

   『●最「低」裁判断に失望し、砂川事件の伊達秋雄裁判長は
      程なく退官…《わが国の司法にとって大きなマイナス》
    《駐留米軍の合憲性が争点となった「砂川事件」で、
     裁判史上初めて違憲と断じた伊達秋雄裁判長。…最高裁判断に
     失望した伊達さんは程なく退官した

   『●《第二次安倍政権以降、司法の独立は脅かされつづけている》…〝本土〟
       マスコミの無関心も相まってソレが沖縄では如実に表れ続けている
   『●《59年に東京地裁は「米軍駐留は憲法9条に反する」…無罪》…砂川事件
     国賠訴訟で《元最高裁長官の行為に違法性は認められない》という東京地裁

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/303779?rct=editorial

<社説>砂川事件判決 「公平な裁判」だったのか
2024年1月19日 08時00分

 1957年の「砂川事件」を巡り、最高裁長官が米国側に評議の状況などを伝えたことで「公平な裁判を受ける権利が侵害された」として国に損害賠償を求めた裁判で、東京地裁は原告の訴えを退けた。「具体的な評議内容まで伝えた事実は認められない」との判決は疑問で納得しがたい。

 55年に米軍基地拡張のため、東京都砂川町(現・立川市)周辺の土地を大規模に収用する計画が浮上し、これに反対する運動は「砂川闘争」と呼ばれた。

 地元住民を学生や労働者が支援し、警官隊らと衝突を繰り返した。57年に柵が倒れたことで、学生ら23人が米軍基地内に立ち入り、7人が旧日米安全保障条約に基づく行政協定の実施に伴う刑事特別法の違反罪で起訴された。

 59年の一審判決は「米軍駐留は憲法違反」として無罪を言い渡したが、検察は高裁を飛び越えて最高裁に跳躍上告最高裁は一審判決を破棄・差し戻して64年に7人の有罪が確定した。

 判決が再び注目されたのは2008年以降、米国国立公文書館での文書発見がきっかけだ。

 砂川事件の上告審の審理中に、当時の田中耕太郎最高裁長官がマッカーサー2世・駐日米大使らと裁判所外で面談していたことが記され、一審判決は覆される旨の発言まであった。原告が「公平な裁判を受ける権利が侵害された」と受け止めたのは当然だろう。

 しかし、東京地裁は判決で「具体的な評議内容、予想される判決内容まで伝えた事実は認められない」などと述べ、訴えを棄却してしまった。

 米国の公文書は、駐日米大使が国務長官に宛てた電報や書簡の写しであり、極めて重要な書類である。「世論を揺るがす少数意見を避けたいとの表現は、最高裁長官の意向そのものだ。米側と評議の進め方などを巡り協議していたことを示す内容ではないのか。

 そもそも米軍基地自体が問題となっていた中で、最高裁長官が当事者とも言える駐日米大使と面会し、裁判を話題にすること自体が不適切極まりない。地裁が「文脈や意図が不明」「長官の発言か不明」と判断したのも早計だ。

 憲法37条が保障する「公平な裁判を受ける権利」は、民主主義国で最も基本的な権利のはずだ。司法が身内を守るような発想では、信用を失うだけである
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●《59年に東京地裁は「米軍駐留は憲法9条に反する」…無罪》…砂川事件国賠訴訟で《元最高裁長官の行為に違法性は認められない》という東京地裁

2024年02月09日 00時00分15秒 | Weblog

/ (2024年01月18日[木])
砂川事件」の国賠訴訟にはいくつかの論点があるのでしょうが、ブログ主が感じる大きな問題は、元・最高裁長官の振舞いとそれを許容した現在の裁判所。ニッポンの裁判所は大丈夫なのか?

   『●「憲法9条にノーベル賞を」!、暴走改憲を止める一矢に!
                   ~世界の笑いものにならないために~

   『●砂川事件: 「三権の長でありながら米国の干渉を
             受け入れ、司法の独立性を損なう裏切り」

   『●砂川判決という言い訳、再び: 
       アベ様は、じい様さえ「ウソツキ呼ばわり」したようなもの!?
    「「自衛権行使を「国家固有の権能」と認めた砂川事件の最高裁判決と
     「軌を一にする」と指摘」。
       また、砂川判決という言い訳話の蒸し返しかい!? 1959年以降の
     長きに渡る議論を無視するつもり? 風が吹けば桶屋が儲かるといった
     雑な論理で壊憲していいのか。憲法学者は売られたケンカを買うべきだ!!」
    《Q 現在の集団的自衛権の行使容認をめぐる議論とどう関係するのか。
     A 「米軍駐留は憲法違反」として無罪を言い渡した一審の東京地裁判決
       (伊達秋雄裁判長の名をとり通称・伊達判決)を破棄した最高裁判決
       首相が指摘する「砂川判決」だ。
       (1)憲法は固有の自衛権を否定していない(2)国の存立を全うするために
       必要な自衛の措置をとることを憲法は禁じていない(3)だから日本を守る
       駐留米軍は違憲ではない(4)安保条約のような高度な政治性を持つ
       案件は裁判所の判断になじまない-がポイント。首相らは「自衛権」や
       「自衛の措置」に集団的自衛権の行使も含まれると主張し始めた

   『●《政僕化したり官僕化》する官僚の「滅公奉僕」再び…
        この国ニッポンでは行政府の長が《愛僕者》ですもの
   『●「砂川事件の再審問題は、司法の歴史の闇を
      照らす意味を持つ」…相変わらずの最「低」裁かな?
    「《五九年の一審東京地裁の無罪判決を破棄した最高裁の
     田中耕太郎長官(故人)が、上告審判決前に駐日米大使らに
     裁判の見通しなどを伝えたとする米公文書が二〇〇八年以降に
     見つかった》…ということで、「三権の長でありながら米国の
     干渉を受け入れ、司法の独立性を損なう裏切り」をしていた訳です」

   『●最「低」裁判断に失望し、砂川事件の伊達秋雄裁判長は
      程なく退官…《わが国の司法にとって大きなマイナス》
    《駐留米軍の合憲性が争点となった「砂川事件」で、
     裁判史上初めて違憲と断じた伊達秋雄裁判長。…最高裁判断に
     失望した伊達さんは程なく退官した

   『●《第二次安倍政権以降、司法の独立は脅かされつづけている》…〝本土〟
       マスコミの無関心も相まってソレが沖縄では如実に表れ続けている

 アサヒコムの記事【元最高裁長官の言動「違法性ない」 砂川事件の国賠訴訟で請求退ける】(https://www.asahi.com/articles/ASS1H64GXS1HUTIL007.html?iref=pc_ss_date_article)/《1957年に東京都砂川町(現・立川市)にあった米軍基地に学生らが立ち入った「砂川事件」で有罪となった男性ら3人が、当時の最高裁長官の言動で公平な裁判を受ける権利を侵害された」として、国に計約21万円の賠償を求めた訴訟で、東京地裁(小池あゆみ裁判長)は15日、「長官の行為に違法性は認められない」として、男性らの請求を棄却した。事件では、学生ら7人が日米安保条約に基づく刑事特別法違反で起訴された。59年に東京地裁は「米軍駐留は憲法9条に反すると述べ、無罪としたが、検察側は控訴審を経ずに直接上告。最高裁は同年、高度の政治性を有する問題は、司法判断になじまないとして一審判決を破棄し、差し戻し審を経て罰金2千円の有罪が確定した。2008年以降、最高裁判決前に当時の田中耕太郎・最高裁長官が駐日米大使と複数回会談し、裁判の見通しや審理に関する希望を伝えたとする米公文書が見つかった。これを受けて元学生らは再審請求をしたが認められず、19年に今回の訴訟を起こした》。
 東京新聞記事【「砂川事件」めぐる国賠請求、東京地裁は棄却 元学生らの「公平な裁判の権利侵害」訴えを退ける】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/303014)。《1957年に東京都砂川町(現立川市)にあった米軍立川基地に立ち入ったとして学生らが逮捕、起訴された「砂川事件」を巡り、最高裁判決前に最高裁長官が米側に評議の状況などを伝えたことで「公平な裁判を受ける権利が侵害された」として、元被告ら3人が国に損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は15日、「具体的な評議内容、予想される判決内容まで伝えた事実認められず公平な裁判でないとは言えない」として請求を棄却した》。
 琉球新聞の【<社説>砂川事件訴訟判決 米国追随判断を踏襲した】(https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-2699162.html)によると、《司法は自らの独立を取り戻す機会を逸したと言わざるを得ない。刑事特別法違反の罪に問われ有罪が確定した1957年の砂川事件の元被告らが、59年の最高裁判決前に最高裁長官が評議の内容を米国側に伝え、公平な裁判を受ける権利が侵害されたとして国に損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は請求を棄却した。公文書によって明らかになった歴史的事実の解釈を狭め、米国に追随する過去の司法判断を踏襲するものだ。元被告らの刑特法違反事件で、59年の一審東京地裁は米軍の駐留は違憲との判断を示し、無罪を言い渡した。最高裁は、米軍基地問題など高度の政治問題については司法審査の対象の外にあるとする統治行為論を持ち出し、一審判決を破棄したのだ。統治行為論は沖縄など米軍基地から派生する被害救済を訴える人々の訴えを退ける論拠となり続けている。今回の判決も、統治行為論を盾に基地被害からの救済を求める住民の訴えに背を向けてきた司法判断の延長上にある。元被告らが損害賠償を求めて裁判を起こしたきっかけは、59年12月の最高裁判決を前に当時の田中耕太郎最高裁長官が駐日米国大使らと密談していた記録が2008年以降見つかったことにある》。

 さて、城山三郎さん《戦争待望論を唱える若い文士がいると聞いて、鳥肌の立つ思いがする。平和の有難さは失ってみないとわからない》、菅原文太さん《政治の役割は二つあります…絶対に戦争をしないこと!》。
 琉球新報のコラム【<金口木舌>戦争で得たものは】(https://ryukyushimpo.jp/newspaper/entry-2704877.html)。《2007年に亡くなった作家城山三郎さんの言葉を思い出す。「戦争で得たものは憲法だけだ」。少年兵として戦争を体験した城山さんの目には、多くを失って得た憲法が一縷(いちる)の望みに映ったか》。

 城山三郎さん《平和憲法こそ生き残る者の夢であり、守ることが使命だ》、《戦争待望論を唱える若い文士がいると聞いて、鳥肌の立つ思いがする。平和の有難さは失ってみないとわからない》、《日本は先の戦争で、ほとんどすべてを失ってしまった唯一、得られたのは、憲法九条だけだ》。
 (古賀茂明さん)《…菅原文太さんのことを思い出している。もうすぐ命日だ。菅原さんは死の直前の11月1日、沖縄で演説を行った。文字通り、命を削りながらの訴えだ。「政治の役割は二つあります一つは、国民を飢えさせないこと、安全な食べ物を食べさせることもう一つは、これが最も大事です絶対に戦争をしないこと!」》。
 《政治の役割》を全く果たせない、果たそうとしない自公政権。<ぎろんの森>《軍事ではなく外交力を駆使する「別の道」を探るのが、政治の責任》を全く果たせない、果たそうとしない自公政権。

   『●平和憲法を壊憲し軍隊を持ち「戦争できる国」の時代に:
               「ネジレ」を取り戻し、「厭戦」の世に戻したい
   『●城山三郎さん《平和の有難さは失ってみないとわからない》、
     菅原文太さん《政治の役割は二つあります…絶対に戦争をしないこと!》
   『●「戦争や軍国主義を批判、風刺、反体制的な句を作った
        俳人四十四人が治安維持法違反容疑で検挙され…」
   『●反戦川柳人・鶴彬さん…《兵士として未曾有の「隊長への質問」で処罰
       されるが屈せず…命をかけて反戦の川柳を詠み続け、ついには…》
   『●《自民党は殺傷能力のある武器の輸出解禁を目指しています》…アノ
     戦争法の強行採決以降暴走を加速、敵基地攻撃能力の保有や軍事費倍増

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https://ryukyushimpo.jp/newspaper/entry-2704877.html

<金口木舌>戦争で得たものは
2024年01月18日 05:00

 2007年に亡くなった作家城山三郎さんの言葉を思い出す。「戦争で得たものは憲法だけだ」。少年兵として戦争を体験した城山さんの目には、多くを失って得た憲法が一縷(いちる)の望みに映ったか


▼戦力の不保持など平和主義を唱える条文ゆえだろう。改定の動きは平和を脅かす警戒の目安とする人もいる。そんな警戒心を呼び起こす判決と言えよう

▼砂川事件国家賠償訴訟は、公平な裁判を受ける権利の侵害の可否が問われた。駐留米軍基地に立ち入ったデモ隊の1959年の無罪判決を巡り、当時の最高裁長官と米大使らが、その後の対応で密談していたことが明らかになり、提訴に至った

無罪判決を導いた論拠が駐留米軍の違憲判断。一審判決を覆し、上告審を経て有罪とした背景に密談があったとすれば、公平な裁判だったかと疑問視するのはもっともだ

▼15日の国賠訴訟判決は公平性を侵害したと認められる特段の事情がないと訴えを退けた。米軍の駐留根拠を失い、あわてふためいた司法はそのままだった。それでも憲法がある一縷の望みだ
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●杜撰・隠蔽・欺瞞だらけな廃液飛散事故…《人の命にもかかわる重大事故を起こしても、いまだ終始一貫して舐めた態度で会見をおこなっている東電》

2023年12月16日 00時00分16秒 | Weblog

[『朽ちていった命 被曝治療83日間の記録―』 NHK「東海村臨界事故」取材班」(https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/41AlC-AwBGL._SX357_BO1,204,203,200_.jpg)↑]


(2023年11月10日[金])
欺瞞・杜撰だらけな東京電力福島原発廃液飛散事件…何もかも杜撰だった東電、飛散量・ホース・責任者不在…ホースって、東海村JCO事故を彷彿。

   『●福島第一原発廃液飛散事故…ホースが抜けて廃液が飛び散り、指示を出す
     班長は当日病欠、代理の監督者も不在、ことごとく東電の説明もいい加減

 何故にマスコミは沈黙?
 リテラの記事【原発廃液飛散で東電が飛散量を数十分の1に矮小化も、東電の隠蔽・無責任体質を批判しないマスコミ 一方、復活する電力広告】(https://lite-ra.com/2023/11/post-6304.html)。《本日2日、3回目となる処理汚染水の海洋放出がおこなわれたが、そんななか、東京電力の隠蔽体質があらわとなる事態が発生した。10月25日、福島第一原発の汚染水の処理をおこなう「ALPS」施設のひとつで配管の内部洗浄をおこなっていたところ、放射性物質を含む汚染廃液をタンクに流すためのホースが外れ、作業員5人に汚染廃液が飛散。東電は飛散した汚染廃液の量が100ミリリットルだったとし、うち2人は除染しても放射能量が基準を下回らず福島県立医科大学に搬送されたと公表した。ところが、30日におこなわれた会見で東電は…》。

   『●懲りずに原発推進の旗を振る者達でさへ
        無視できない存在としての小出裕章さん
   『●反省なき自民党を体現:
      「原発事故によって死亡者が出ている状況ではない」
   『●《政僕化したり官僕化》する官僚の「滅公奉僕」再び…
       この国ニッポンでは行政府の長が《愛僕者》ですもの
    「日刊スポーツ…【政界地獄耳/薄っぺらい政治の「責任」】」
    《★1999年9月30日。東海村JCO臨界事故の際、時の官房長官・
     野中広務は…は10キロ圏に拡大して発表。「事なきを得て
     10キロが無駄だといわれれば私が謝れば済むこと」とした。
     ★不祥事に際し、首相・安倍晋三は「責任は私にある
     と連呼する。だがその責任という言葉の軽さが危険だ。
     …政府の統計不正も役人がのらりくらりで遅々として
     解明できない。机上の数字の操作だからか。公金を動かす
     という公務員の重みがないから責任も軽いものになるのか。
     政治の「責任」を薄っぺらくしたのは誰か。》

   『●「鼻血問題」: 「原発関連死」と「死の街」発言
    「小出裕章さんが良く取り上げておられる
     『朽ちていった命―被曝治療83日間の記録』……
     JOC臨界事故で何が起きたでしょうか? そして、
     「二次被曝した救急隊員、大泉実成さんのご家族」に
     何が起こったでしょうか?」

   『●JOC臨界事故で何が起きたでしょうか?…《人が制御できない
        なんて恐ろしい。政府は…本当のことを言っていない》
   『●東電核発電人災から12年: 暦が一巡して、2023年は再びの卯年…
       もう一回り前の卯年は《1999年9月30日。東海村JCO臨界事故…》

 何もかも杜撰な東京電力。これは3回目の汚染水投棄に向けての作業中だったのでは? なぜマスコミは大騒ぎしないのか、理解できない。それにしても、「ホース」ねぇ…、唖然とする。
 この杜撰さ、《1999年9月30日、茨城県東海村の核燃料加工会社ジェー・シー・オーJCO)の東海事業所で臨界事故》を彷彿とさせませんか? 

   『●木野龍逸さん《そもそも「廃炉」の定義すら決まっていない中で、廃炉を
     を進めるために汚染水の海洋放出が必要という理屈はまったく意味が不明》
   『●「廃炉終了の定義」も無く、0.1歩の前進もない…汚染水という名の《処理
     水の海洋放出が政府や東電が言う「大きなステップ」となる》はずもない
   『●まさに汚染水、海洋投棄してはいけない…トリチウム以外にも
     《炭素14…コバルト60…ヨウ素129…セシウム137》が含まれる汚染水
   『●【こちら特報部/応じないと非国民? 岸田政権が旗を振る「国民運動」に
     違和感 国産水産物の風評被害を招いたのはそもそも】汚染水の海洋投棄

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https://lite-ra.com/2023/11/post-6304.html

原発廃液飛散で東電が飛散量を数十分の1に矮小化も、東電の隠蔽・無責任体質を批判しないマスコミ 一方、復活する電力広告
2023.11.02 08:25

     (11年ぶりに復活した東電の「でんこちゃん」)

 本日2日、3回目となる処理汚染水の海洋放出がおこなわれたが、そんななか、東京電力の隠蔽体質があらわとなる事態が発生した。

 10月25日、福島第一原発の汚染水の処理をおこなう「ALPS」施設のひとつで配管の内部洗浄をおこなっていたところ、放射性物質を含む汚染廃液をタンクに流すためのホースが外れ、作業員5人に汚染廃液が飛散。東電は飛散した汚染廃液の量が100ミリリットルだったとし、うち2人は除染しても放射能量が基準を下回らず福島県立医科大学に搬送されたと公表した。

 ところが、30日におこなわれた会見で東電は、飛び散った汚染廃液は当初公表の数十倍の「数リットル」にのぼるとみられると修正。さらに、被曝した作業員について、東電は当初、1次下請けの作業員だと説明していたが、この日になって「3次請け企業の3社にまたがって所属」していたと訂正したのだ。

 今回の事故にかんしては、被曝した作業員2人が作業ルールで必要な防水性のあるカッパ(アノラック)を着用しておらず東電が作業管理上の規則遵守を徹底していなかった可能性も指摘されているほか、土屋品子復興相が「(事故について)報道で知ったと国会で答弁するなど情報共有がまったくなされていなかったことも露呈。また、事故が発生したのは25日の午前10時40分ごろだったにもかかわらず、事故発生について報道関係者向け一斉メールで公表されたのは20時20分。NHKが第一報を報じたのは23時すぎのことだった。

 東電は「緊急搬送の決定を基点にして30分以内にメディアに一斉メールでお知らせした」などと説明しているが、作業員が汚染廃液をかぶるという人命にもかかわる重大な事故を起こしておきながら発生から9時間40分後の公表というのは、あまりに遅すぎるものだ。しかも、この日は会見を開かず、翌日、「中長期ロードマップの進捗状況」という名目で毎月行われている会見のなかではじめて事故の説明をおこない、汚染廃液を浴びた作業員の入院を発表したのである。

 挙げ句、事故から5日も経てから飛散量を当初の数十倍となる「数リットル」だと言い出す──。このような東電の杜撰な対応を見ると、海洋放出されている処理汚染水についても東電発表を信用しろと言われても無理があるだろう。

 だが、さらに問題なのは、メディアの報道姿勢だ。

 今回の事故について、東電発表後には大手新聞やNHK・民放キー局が報じたが、いずれも扱いは小さいものだった。飛散した汚染廃液の量を100ミリリットルから数リットルに訂正したことを報じた大手メディアもわずかだ。とくにテレビのワイドショーなどはストレートニュースのコーナーで触れた程度で、まったく話題として取り上げていない


■東電会見のひどさ! 飛散量の少なさの指摘に反論、汚染濃度を「計算に疎いので」とゴマカシ

 言っておくが、今回の事故は「小さい扱い」で済むような話ではない。そもそも、今回の事故は〈放射性物質を除去する吸着塔に入る前の配管内を硝酸水で洗浄していたところ、洗浄廃液をタンクに送り込む仮設ホースが発生したガスによって外れ〉起こった(東京新聞10月26日付)。つまり、飛散した洗浄廃液には多核種の放射性物質が含まれており、紛うことなき汚染廃液」にほかならない。しかも、汚染廃液の濃度は43億7600ベクレル/ℓにものぼることを東電も認めている。にもかかわらず、日本テレビやテレビ朝日、読売新聞などは、これを「放射性物質を含む水」「放射性物質を含む液体」「放射性物質を含む洗浄水」と伝えたのである。

 さらに、報道されるべきなのにまったく報じられていないのが、東電による会見での信じがたい無責任ぶりだ。

 前述したように、東電は10月30日の会見で、飛散した汚染廃液の量を「数リットル」と修正したが、この修正にいたるまでには前段があった。

 というのも、事故翌日の10月26日におこなわれた会見で東電は「(飛散した量は)数百ミリリットルより少ない量であると考えている」などと発言。これには共同通信の記者が「数百ミリリットル以下の飛散で顔を除く全身汚染するという状況がイメージしづらい」と追及したのだが、東電は「高濃度な洗浄廃液がミスト状でかかったため」と反論。だが、今度はNHKの記者が「100ミリリットルより少ないのに、2重にタイベックを着ていた方の全身に付着するというのは一般的な理解として無理があるのではないか」「根拠はあるのか」と追及すると、東電は「先程の回答は訂正する。現段階では正しい数字は言えない」と前言を撤回したのだ。つまり、東電は根拠も示さず「100ミリリットルより少ない量」などと無責任極まりない回答をおこない、記者の追及によってこれを撤回していたのである。

 しかも、東電は30日の会見でも、退院した作業員へのヒアリングによって飛散した量は「数リットル程度」だったと確認したと数字を修正したが、このヒアリングも元請け企業が実施したもので、東電は直接ヒアリングをおこなっていないことが記者との質疑応答で露呈。過去の汚染水で作業員が被曝した事故では汚染水が漏洩した範囲と深さによって量が出されていたが、今回はそうした計量がおこなわれていないことも、記者の追及によってあきらかになったのだ。

 さらに酷かったのが、前述した洗浄廃液の汚染濃度についてだ。通常、最初に公表すべきデータでありながら、東電は公表資料でもこれを記載していなかった。そこで26日の会見では、東京新聞の記者が「廃液の汚染水の濃度」について質問したのだが、東電の回答は「汚染水のこのときの全ベータは、4.376✕10の9乗ベクレル/ℓということになる」という、人を食ったようなものだったのだ。

 これには、ジャーナリストのまさのあつこ氏が計算をおこなったうえで「今回の汚染水は43億7600ベクレル/ℓという理解で良いか」と問うたのだが、東電はこう言い張った。

「計算に疎いのでアレですけど、4.376✕10の9乗というのは先程申したとおり。あと、そもそも汚染水ではないということもご認識ください。あくまで『洗浄廃液』だということ」

 約44億ベクレル/ℓにものぼっているのは多核種が除去されていない汚染水が含まれていることを明確に示しているにもかかわらず、それを「洗浄廃液だ」と言い張る──。これは、トリチウムが除去できない上、汚染物質が検出されている処理汚染水を「処理水」と呼んでいることとも通底する欺瞞ではないか。


■復活する電力会社広告 東電は自粛していたキャラ「でんこちゃん」がCMに登場

 あれほどの原発事故を起こしておきながら、作業員の被曝という人の命にもかかわる重大事故を起こしても、いまだ終始一貫して舐めた態度で会見をおこなっている東電ビッグモーターの会見を徹底批判したように、本来、会見における東電の無責任なこの態度や発言こそ、新聞やテレビは報じるべきだ

 ところが、東電の杜撰な対応や隠蔽体質について批判的に取り上げたマスコミは、一部の地元メディアのみ。大手マスコミは、修正を報じるだけで、東電の無責任さをまったく報じようとしないのだ。

 この大手マスコミの弱腰の背景には、電力会社による“原発広告”の復活も考えられるだろう。原発事故以前は、東電をはじめとする電力各社やその司令塔・電力事業連合会電事連)は新聞、テレビ、週刊誌などのマスコミに広告を大量出稿することで、原発に批判的な論調を封じ込めてきた。しかし、原発事故後は、安全神話をつくり出してきたマスコミ、広告に出演していた芸能人や学者たちにも批判が高まり、電力会社からの広告は一時なりをひそめたかに見えた。

 しかし、事故から3、4年が経ったころから、メディアでは“原発広告”が完全に復活。さらに、原発再稼働政策を推し進めた安倍政権と歩調を合わせるように、電力業界は広告費を増やし、再びマスコミを“カネ”で漬け込んで“原発タブー”をつくり出してきた。実際、東電は今年に入ってから、原発事故後からテレビCMで姿を消していた広報キャラクター「でんこちゃん」をテレビCMで復活。電事連も人気女優の今田美桜を起用したCMを大々的に展開している。

 そして、こうした電力業界の動きに呼応するように、大手マスコミは汚染処理水の海洋放出でも批判らしい批判をほとんどせず、中国による日本の水産物輸入全面停止の話題に集中。朝日新聞のようなリベラルメディアでさえ「科学的根拠を無視した一方的な嫌がらせだ!」と大合唱し、そうした報道はいまもつづいている。

 汚染処理水を「処理水」などと呼び、中国に矛先を向けることで議論すべき問題をスルーし、ただ政府と東電の主張を垂れ流すだけ……大手マスコミのこの体たらくが、東電を増長させ、いまだに無責任会見を許してしまっているのだ。いや、そればかりか、海洋放出に対する中国の反発をやたら煽情的に取り上げナショナリズムにすり替え、内閣支持率がダダ下がりの岸田政権に対する世論調査では汚染処理水の海洋放出に関しては評価する声が大きいように、政権評価にさえ与してしまっているのである。

 今回の事故における東電の杜撰な対応や情報隠蔽は、海洋放出されている処理汚染水でも同じことが起こる可能性があるものだ。大手マスコミが再び“安全神話”を振りまき、東電の実態を批判的に報じないことで、またも福島第一原発事故のような惨劇が繰り返される──その危険は高まっていると言わざるを得ないだろう。

(編集部)
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●福島第一原発廃液飛散事故…ホースが抜けて廃液が飛び散り、指示を出す班長は当日病欠、代理の監督者も不在、ことごとく東電の説明もいい加減

2023年12月09日 00時00分53秒 | Weblog

[『朽ちていった命 ―被曝治療83日間の記録―』 NHK「東海村臨界事故」取材班」(https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/41AlC-AwBGL._SX357_BO1,204,203,200_.jpg)↑]


(20231105[])
何もかも杜撰な東京電力。これは3回目の汚染水投棄に向けての作業中だったのでは? なぜマスコミは大騒ぎしないのか、理解できない。それにしても、「ホース」ねぇ…、唖然とする。
 この杜撰さ、《1999年9月30日、茨城県東海村の核燃料加工会社ジェー・シー・オーJCO)の東海事業所で臨界事故》を彷彿とさせませんか? 

   『●懲りずに原発推進の旗を振る者達でさへ
        無視できない存在としての小出裕章さん
   『●反省なき自民党を体現:
      「原発事故によって死亡者が出ている状況ではない」
   『●《政僕化したり官僕化》する官僚の「滅公奉僕」再び…
       この国ニッポンでは行政府の長が《愛僕者》ですもの
    「日刊スポーツ…【政界地獄耳/薄っぺらい政治の「責任」】」
    《★1999年9月30日。東海村JCO臨界事故の際、時の官房長官・
     野中広務は…は10キロ圏に拡大して発表。「事なきを得て
     10キロが無駄だといわれれば私が謝れば済むこと」とした。
     ★不祥事に際し、首相・安倍晋三は「責任は私にある
     と連呼する。だがその責任という言葉の軽さが危険だ。
     …政府の統計不正も役人がのらりくらりで遅々として
     解明できない。机上の数字の操作だからか。公金を動かす
     という公務員の重みがないから責任も軽いものになるのか。
     政治の「責任」を薄っぺらくしたのは誰か。》

   『●「鼻血問題」: 「原発関連死」と「死の街」発言
    「小出裕章さんが良く取り上げておられる
     『朽ちていった命―被曝治療83日間の記録』……
     JOC臨界事故で何が起きたでしょうか? そして、
     「二次被曝した救急隊員、大泉実成さんのご家族」に
     何が起こったでしょうか?」

   『●JOC臨界事故で何が起きたでしょうか?…《人が制御できない
        なんて恐ろしい。政府は…本当のことを言っていない》
   『●東電核発電人災から12年: 暦が一巡して、2023年は再びの卯年…
       もう一回り前の卯年は《1999年9月30日。東海村JCO臨界事故…》

 佐々木凌記者による、アサヒコムの記事【福島第一原発の廃液飛散量を修正 約100ミリ→数リットルでした】(https://www.asahi.com/articles/ASRBZ6DN2RBZULBH00N.html?iref=pc_ss_date_article)。《飛び散った廃液の量は数リットルだったと発表した。発生当初は約100ミリリットルと説明していた》、そして、《廃液をタンクに流すホースが抜け、廃液が飛び散った》、さらに、《また、東電は入院した2人について、1次請け企業の作業員と説明していたが、3次請け企業だったことを明らかにした》、《さらに、この2人らに指示を出す班長は当日病欠しており、代わりに2次請けの監督者が入っていたが、廃液が飛び散った時は別の作業現場にいて立ち会っていなかった》もあきらかになり、《東電は「責任者は作業中に現場にいなければならないという社内ルールが守られていなかった」と説明した》そうだ。
 こういうのを「杜撰」というのでは?

   『●木野龍逸さん《そもそも「廃炉」の定義すら決まっていない中で、廃炉を
     を進めるために汚染水の海洋放出が必要という理屈はまったく意味が不明》
   『●「廃炉終了の定義」も無く、0.1歩の前進もない…汚染水という名の《処理
     水の海洋放出が政府や東電が言う「大きなステップ」となる》はずもない
   『●まさに汚染水、海洋投棄してはいけない…トリチウム以外にも
     《炭素14…コバルト60…ヨウ素129…セシウム137》が含まれる汚染水
   『●【こちら特報部/応じないと非国民? 岸田政権が旗を振る「国民運動」に
     違和感 国産水産物の風評被害を招いたのはそもそも】汚染水の海洋投棄

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https://www.asahi.com/articles/ASRBZ6DN2RBZULBH00N.html?iref=pc_ss_date_article

福島第一原発の廃液飛散量を修正 約100ミリ→数リットルでした
佐々木凌 2023年10月30日 20時00分

     (東京電力福島第一原発=2023年7月4日、
      朝日新聞社ヘリから)

 東京電力福島第一原発の多核種除去設備(ALPS=アルプス)で配管を洗浄作業中に汚染廃液を浴び、協力会社の作業員2人が入院した問題で、東電は30日、飛び散った廃液の量は数リットルだったと発表した。発生当初は約100ミリリットルと説明していた。

 東電によると、25日午前10時40分ごろ、多核種除去設備の建屋内で、汚染水が通る配管に硝酸液を流して洗浄していたところ、廃液をタンクに流すホースが抜け、廃液が飛び散った

 20代と40代の男性2人が除染と経過観察のため入院していたが、28日に退院した。ともに汚染した部位の皮膚の外傷は確認されておらず、体調にも特段の変化はないという。

 東電は、入院した2人のほかに現場で作業をしていた3人への聞き取り結果から、飛び散った量を約100ミリリットルと判断。その後、退院した2人に元請け企業を通じて聞き取り調査をした結果、数リットルだったことが明らかになったという。

 東電は30日の記者会見で、具体的な飛び散った量については「計算できず、分からない」と説明した。

 また、東電は入院した2人について、1次請け企業の作業員と説明していたが、3次請け企業だったことを明らかにした

 東電の担当者は「正しい情報が収集できていなかった。おわびして訂正し、原因と対策を確認したい」と話した。

 さらに、この2人らに指示を出す班長は当日病欠しており、代わりに2次請けの監督者が入っていたが、廃液が飛び散った時は別の作業現場にいて立ち会っていなかったことも明かした。東電は「責任者は作業中に現場にいなければならないという社内ルールが守られていなかった」と説明した。(佐々木凌
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●山口県上関町…《僅か2週間足らずの期間に、電力会社や自治体上層部の幾人かの勝手な決断によって、トントン拍子で事を前に動かしていく》

2023年11月02日 00時00分12秒 | Weblog

元福井県高浜町助役から関西電力側への資金提供のイメージ (東京新聞2019年9月27日)↑]


(2023年10月10日[火])
この勢いでどんどんと関西電力の核のごみを受け入れる方向に暴走する気満々。狂気を感じる。
 関電で思い出すのはやはりこのこと ―――――― やっぱり金のなる巨大木に蝟集し、金を還流、政治家 (閣僚、しかも行政府の長・首相) に濁流。(リテラ)《まさか、現役の総理大臣にも直接、原発マネーが流れていたとは──》《公共性が高い企業から、よりにもよって現役の総理大臣が事実上の献金を受け取っていたという事実は、極めて重大な問題がある。いや、それどころか「口利きさえ疑われかねない問題だ》った。さしずめ、いまは、《吹田愰の娘婿西村康稔経産相あたりか。

   『●「原子力は血液」……ではなく、「原子力=核」は「麻薬」
   『●「けん制」? いや、「恫喝」でしょ?  
      関西電力八木誠社長が大津地裁と「地元」市民を脅す!
    《美浜原発3号機(福井県)の廃炉を検討していると一部で報じられた
     ことに対しては「検討している事実はない。活用していきたい」と述べた》

   『●関西電力八木誠社長のあの高浜原発: 
      「プルサーマル原発」に続き「寿命原発」を動かしたいそうです
   『●砂上にペラペラの壁を造ってまでも
       再稼働したくなる浜岡原発という「金のなる巨大木」
   『●やはり核発電は「金のなる巨大木」だった…
     高浜「原発マネー」が八木誠会長ら関西電力経営陣個人に見事に《還流》
   『●(リテラ)《まさか、現役の総理大臣にも直接、原発マネーが流れて
      いたとは──》《それどころか「口利き」さえ疑われかねない問題》
   ●《「まるで反社以下の関電」…今も経済産業省と岸田政権に守られてぬく
     ぬくと生き延びている》《関電と経産省、岸田総理は「亡国トリオ」》

 そんな「まるで反社以下の関電」の核のごみを、なぜに山口県上関町に〝捨てる〟のか?
 関電の核のごみをなぜに山口県上関町中間貯蔵(という名の最終処分)を? 中電や経産省、国が散々市民を分断してきた山口県上関町、《問われる町衰退の責任》(長周新聞)。そして、何より、祝島の皆さんがお気の毒で仕方ない。絶対にコンナモノを受け入れてはいけない。(長周新聞)《「なぜ山口県が関電の原発のゴミ捨て場にされないといけないのか」と山口県中で驚きを持って話題にされている。中電の必要性というより、客観的に見ると関電の必要性のために上関を差し出すような格好》、《さんざん町民を分断してきた挙げ句に郷土を核のゴミ捨て場正真正銘の原発の墓場にするという動きに反発が高まっている》、《「なぜ関電の原発のゴミをわたしたち上関が引き受けなければいけないのか」と疑問を口にしていた。40年以上も原発騒動でもめてきて、上関原発建設計画については実質的に破綻して建設のメドもないなかで、今度は中間貯蔵施設というわけで、要するに上関をゴミ捨て場にする…》。
 長周新聞の記事【吹田愰の娘婿が持って来た? “核の便所”扱いされる山口県 西村康稔経産大臣面会後に一気呵成 兵庫9区に持って行け】(https://www.chosyu-journal.jp/yamaguchi/27414)によると、《山口県熊毛郡上関町に原発から出る使用済み核燃料の中間貯蔵施設を建設する計画が突如浮上したことを巡り、山口県内では波紋が広がっている。地元自治体である上関町では、例の如く調査受け入れの是非について町議会で採決に諮るでもなく、盆明けの818日には西哲夫町長が調査受け入れを表明。計画が降ってわいた8月初旬から僅か2週間足らずの期間に、電力会社や自治体上層部の幾人かの勝手な決断によって、トントン拍子で事を前に動かしていく様に山口県中で反発が強まっている》

   『●祝島…《調停を申し立てた側の中電が「法律論争をするつもりはない」
     といって議論を避け、調停は不成立…法律論争は不利と判断したから》
   『●《「原発ができれば町が活性化する」という空疎なスローガンのもとで、
      町の基幹産業…漁業…など生産振興や生活の向上をめざす活動は停滞》』 
   『●はぁ? 東京新聞【「原発マネー」で生まれた奇策 使用済み核燃料の
      中間貯蔵施設を上関町に 中国電力と関西電力で苦肉の共同開発案】
   『●山口県上関町…《さんざん町民を分断してきた挙げ句に郷土を核のゴミ
     捨て場…正真正銘の原発の墓場にするという動きに反発が高まっている》
   『●《「まるで反社以下の関電」…今も経済産業省と岸田政権に守られてぬく
     ぬくと生き延びている》《関電と経産省、岸田総理は「亡国トリオ」》
   『●長崎県対馬市長、《文献調査…「市民の合意形成が不十分だ」…処分場に
     ついて「将来的な想定外の要因による危険性が排除できない」とも語った》
   『●破綻した核燃サイクル、中間貯蔵施設は最終処分場と化す…使用済み核燃料
     プールの現状は? どこを最終処分場にするかの議論の前にやることは?

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https://www.chosyu-journal.jp/yamaguchi/27414

吹田愰の娘婿が持って来た? “核の便所”扱いされる山口県 西村康稔経産大臣面会後に一気呵成 兵庫9区に持って行け
山口県 2023年8月27日

     (登庁前に西町長(中央奥)の車を取り囲む住民たち
      (18日、上関町役場前))

 山口県熊毛郡上関町に原発から出る使用済み核燃料の中間貯蔵施設を建設する計画が突如浮上したことを巡り、山口県内では波紋が広がっている。地元自治体である上関町では、例の如く調査受け入れの是非について町議会で採決に諮るでもなく、盆明けの8月18日には西哲夫町長が調査受け入れを表明。計画が降ってわいた8月初旬から僅か2週間足らずの期間に、電力会社や自治体上層部の幾人かの勝手な決断によって、トントン拍子で事を前に動かしていく様に山口県中で反発が強まっている。山口県内における反応や現地の様子について、取材にあたる記者たちで状況を集中してみた。


衆院山口2区でケリつけよう

 A 盆休みを挟んで上関町では町議会の全員協議会で町長が説明し、調査受け入れを巡る議決をとるとみられていたが、14日に予定していた中電による議会への説明会は祝島をはじめとした原発反対派の住民たちが役場を取り囲んで抗議行動をくり広げ、開催には至らなかった。そして、盆明けの18日に臨時議会を開催し、使用済み核燃料の中間貯蔵施設設置にかかわる立地可能性調査の実施について議論した。議長を含む10人の町議がそれぞれ意見をのべたうえで、採決はおこなわず最終的に町長が調査受け入れを表明した。
 庁舎前には反対派住民が押しかけ、西町長を車から出られないように取り囲み、一時周辺は騒然として警察まで出動する事態となった。また、傍聴を希望する人が多数いたため、抽選となった。さらに庁舎ロビーでも議会中継がおこなわれた。
 西町長は「議員の皆様の意見を聞いて総合的に判断したい」とのべていたが、臨時議会が開かれる前からメディア関係者には「議員が意見をのべ、町長が調査受け入れを表明し、中電にFAXを流して会見をおこなう。FAXした内容はマスコミにも配布する」とすべての段取りが明かされており、事態はその通りに進行した。有り体にいえば茶番だ。
 原発41年間のすべてにいえることだが、初めからすべてが出来レースで、こうした「抗議行動にあってしばらく揉める」の演出と物撮りまで含めてセレモニーと化している一面は否めない。“上関仕草”といったらアレだが、ガス抜きしつつ押し切っていったり、あるいは「反対が強く(着工その他)できません…」の理由付けになったりもする。そんなことに毎度エネルギーを費やさなければならない住民の苦労はそれとしてある。

 B 18日の臨時議会は午前9時からの予定だったが、8時前からマスコミ各社が押し寄せていた。大手新聞やテレビ取材班が各社複数人体制で乗り込み、福井県や愛媛県、島根県など他県からも地方紙記者が来ていて、全国的な注目度の高さを物語っていた。議場に入ることができるのは各社一人ずつに制限されたが、それでも取材ブースは身動きがとれないほど記者やテレビカメラなどでごった返していた。
 上関あるいは山口県だけのローカルな問題などではないのだ。むつ市に続く、国内2番目の大型中間貯蔵施設の建設、すなわち使用済み核燃料のゴミ溜め候補に名乗りを上げている訳で、世界的にも忌諱(きい)されている迷惑施設このご時世に喜んで誘致したがる地方自治体というのは上関町を除いてほかにはない。それだけ存在としては特異ではあるが、世間の常識が通用しない中電支配の町でそれらがくり広げられているのだ。

 A 9時の開会にあわせて町議たちは議場入りしていたが、町長は町役場の駐車場で反対派住民が取り囲んで抗議をおこなったため、しばらく車から出られない状態が続いた。最終的に警察が介入して、力ずくでドアを開けてもみ合いになりながら、西町長は9時ギリギリに議場に姿をあらわした。

     (上関町議会が開いた臨時議会の様子(18日))

 臨時議会は「議員の意見を聞く」とはいいつつ、実際には出来レースだった。そもそも中電が申し入れたこの立地可能性調査に対しては議会の採決など必要ない「行政報告」とし、形だけ議員の意見を聞いてあとは町長判断で受け入れを表明するというものだった。
 議会では、原発反対を標榜する3人の議員が調査受け入れに反対。推進の立場の7人(議長・岩木を含む)が賛成を表明した。反対したのは秋山、清水、山戸の3人。賛成したのは柏田、古泉、右田、海下、山村、山谷、岩木。ちなみに、上関町議会も定数が10まで減っているなかで、表向きこれらの議員が「議会制民主主義」の建前のもとでは住民代表という格好にはなっているものの、前回の町議選は無投票で、投票行動によって選ばれた面々ではないことははっきりさせておく。

     (西哲夫・上関町長)

 B 行政報告や囲み取材の過程で西町長が何度も強調していたのは「これは調査の受け入れであって、中間貯蔵施設の設置を認めるというものではない」「調査と建設は別物」ということだった。そして、「人口が年間約100人減少し、高齢化率は約59%と中国5県でもっとも高い状況」「若い人がこの町で生活し、お子さんを育て、“持続可能な上関”を次世代に繋げることが使命」だとし、そのための地域振興策につながる選択肢の一つになりうるとりくみとして調査を受け入れる考えをのべた。調査受け入れにともなって町に入る関連の交付金は年間1・4億円。10月までに申請すれば間に合うのだそうだ。それならふるさと納税を頑張ればすぐに稼げる金額ではないかとも思うが、とどのつまり、そのカネが欲しいのだろう地獄の沙汰もカネ次第とはいうが、地獄を見るにしてはあまりにも端金ではないかと思えてならない。
 囲み取材のなかで西町長は、記者から「40年間ずっと原発を待っていて中間貯蔵施設というのはどうなのかという話もあるが、町民に対して中間貯蔵施設に切り替わることについてどう説明するのか」と聞かれ、「国が原発の新増設についてまったく触れていないなかで、いつまでも待っていては町は疲弊する一方だ。今、中間貯蔵施設をやらなければ財政的にも厳しくなるし、町内の商工業者も経営が厳しくなるので、まずはやれることからやる」といっていた。原発新設を諦めるのかという問いには、「私の口からやめる、やめないということは、これは大きな問題だからいえない」というものだった。

 C 原発については、まったくメドがないことは推進派が一番よくわかっている。新増設が動きもすごきもしないし、そのなかで一部上層部のなかに、中間貯蔵施設ならいけるんじゃない? が動いているわけだ。その他の山口県民や周辺自治体の住民からすると「上関は本当にいい加減にしろよ!」の声も強いが、核のゴミでも何でも食ってやろうというのだろう。
 4年前の柏原前町長の時から水面下では中間貯蔵施設誘致の話が動いており、そのさいは1人でも反対する議員がいるなら前には進めないという態度を柏原はとっていた。その後も議会として視察に行っているくらいで、反対派議員が水面下の動きをまるで知らなかったというのもまたあり得ない。柏原が病気を理由に町長を退いた後、西哲夫が町長になってから中間貯蔵施設の誘致に本格的に身を乗り出した。


西村経産相と関電の取引 山口・上関は生け贄か

 推進派の面々に事情を聞いてみると、この間、町長の西と議長の岩木が西村康稔経産大臣に呼ばれて東京に出向き、そこから中間貯蔵施設建設の話が一気呵成で動き始めたという。ほとんどの町民は寝耳に水だ。これは要するに西村すなわち経産省が国策として動かしている話ということだ。
 上関側が願望したからできるという代物ではなく、中央政府をしてダボハゼみたくカネを欲しがっている上関町のような過疎自治体を飴と鞭で釣り上げていくという構図だ。原発計画を巡って41年にもわたってすったもんださせた挙げ句に、最後は使用済み核燃料の「中間貯蔵施設」という名最終処分場にするというものだ。

     (西村康稔・経済産業相)

 A 西村康稔といえば、自民党山口県連の関係者のなかでは「吹田愰(ふきだ・あきら)の娘婿」として誰もが知っている。吹田愰(2017年に90歳で没)は代議士引退後も土改連(全国土地改良事業団体連合会)のボスとして隠然として力をふるっていたが、現役時代には自治大臣や国家公安委員長をしていた山口県選出の清和会所属代議士だ。岸信介が引退した後に代議士ポストを引き継ぎ、県東部を中心に吹田派をまとめていた言わずと知れた自民党山口県連のボスだ。
 20年近く前だったか、経済産業省のエリート官僚を吹田が娘の婿にしているのだが、コイツをどこの選挙区から国会議員にさせようか…と岸派の御大たちが話題にしていたのを思い出す。まだ西村康稔が国会議員になる前の話だ。やれ、無所属で挑んだが落選したとかの話ではあった。その後、兵庫県を地盤に自民党代議士となり、清和会のなかで登用されて現在に至る。安倍内閣で出世したのも、安倍家を支える側近だったからにほかならない。そして、清和会の重鎮として、安倍晋三亡き後の派閥の跡目争いにまで名前が取り沙汰されるまでになった

 B この男が経産大臣として、吹田愰の地盤であった山口2区、そのなかでも原発建設計画に揺れる上関町に中間貯蔵施設建設を持ち込んだ格好になっている。本人の選挙区の兵庫県は関西電力の管内だが、福井で困っている関電のゴミを山口県に持ってきて恩を売ろうとでもいうのだろうか。関西電力からするとそれはもう万々歳で、西村の選挙については統一教会以上に応援に熱が入るかもしれない山口県は吹田愰のおかげで娘婿郷土を差し出されたかのようだとんでもない話だ
 そのように、見ようによっては山口県民にとっては吹田愰繋がりでとんだとばっちりを食らっているようにも見えるのだが、「西村経産大臣が直々に町長と議長を呼び出して以後、一気呵成で動き始めた」と推進派が話題にしており、事は国レベルで動いているのだ。
 従って関電と中電が主体となって動いているというより、どうも経産省の存在感、なかでも西村康稔の存在感が大きいようだ。40年かけて山口県に原発1基作れない中電があろうことか「中間貯蔵施設を作ります」などと大きく出たものだから、どの口がいっているのだろうか? オマイら正気か? と一般的には思うが、カルテル問題で700億円の追徴課税をくらったりして経営トップの首が飛び、監督官庁には逆らえないなかで、恐らく無理難題を押しつけられているのだろう。中電にとってのメリットが何も見えないし、要するに誰がどう見ても「関電のゴミを押しつけられる中電・上関」なのだ。
 西村自身が経産省の官僚出身で、大臣としても原子力政策の中心にいる。得点を稼いでさらに中央政界でのし上がるというなら、その生け贄にされるのが上関という関係にほかならない。人の見方にもよるが、そのように見なされたっておかしくないのだ。


身売りを迫る自民党 未来永劫核政策で翻弄

 C だから山口県民としては是非とも2区で決着をつけなければならない話になってくる。清和会のヒヨコである岸信千世も無関係ではいられない関係だ。これまたとばっちりではあるが、岸派―吹田派の後継者として2区に君臨する以上、西村康稔の弾よけになるほかない。自民党山口県連としては被弾して倒れた場合、恨むなら「吹田愰の娘婿」を恨めということだ。その引きずり引っ張りが郷土山口県を使用済み核燃料のゴミ捨て場にするというのなら、山口県中で「やめろ!」の大運動を展開していくほかない。
 2区の保守層も怒っているし、「どうして関西のゴミを山口県に受け入れるのか」「山口県はゴミ捨て場なのか?」「上関は毎度身勝手に暴走して、いい加減にしろ!」と大半の人が憤りつつ疑問に感じている。当たり前に考えて、到底受け入れられない筋の通っていない計画なのだ。
 原発も建っていないのに、原発から出て行き場のない何万年と厳重に冷却管理しなければならない核のゴミをもらって、「トイレなきマンショントイレになるというものだ。山口県や上関町は公衆便所ではない!と山口県民が怒るのは当然だ。上関町民ももっと怒らないといけない。日本中の原発の便所にされかねないという屈辱的な話に、おカネになる!」などと有頂天になっているわけにはいかない。そんなものを誘致したらますます人は住めない町になるし、核の墓場との共生などあり得ない町は決して豊かにはならない。上関出身者は郷土には帰ってこなくなるだろうし、移住したがるような人間もいない。わかりきった話だ。

 A 役場前に抗議行動に来ていた祝島の住民とも話したが、「原発で出た核のゴミの処分場もなく、核燃サイクルも破綻しているにもかかわらず、無謀にも原発を続けていること自体がおかしい。そもそも電気も余っている状況で、日本中の原発を止めれば核のゴミも出ない。簡単なことじゃないか」と話していた。原発を止めれば使用済み核燃料は増えないのだ。
 あと、「これまで原発の話がストップしてきたなかで、祝島では移住者が少しずつ増え、島内の人口ピラミッドの形も少しずつ変わっている子どもも増え、閉まっていた小学校も復活した。別に大きなお金を産み出さなくても、自分たちに必要なお金を稼ぎ、自然とともに共生して生活していけば、それこそ持続可能なまちづくりができるということを祝島は背中で示していると思う。それだけのポテンシャルがあるのだ。こんなことをしていては、外からの移住者は上関に来なくなる」と話していた。
 あと、抗議行動に参加していた祝島の住民に対して、本土側の推進派住民が「今回ばっかりはあんたらと同じ意見だ」といって激励の言葉をかけていったという。

 C 上関町内で推進派、反対派にかかわりなく話を聞いて回ってみたところ、従来の推進派に属していた人々のなかでも、「どうして関電のゴミを上関に持ってくるのか」という素朴な疑問を口にする人は多かった。「ゴミはいらん!」と吐き捨てるように口にする人もいた。
 中電は約1000軒の住民を訪ねて説明したというが、これは説明が目的ではなく、住民のファーストインプレッションをリサーチしているに過ぎない。アドバルーンを上げて、面通しにて反応を伺っているのだ。中電のいつもの手口だ。とはいえ、近年は尾熊毛の立地事務所も体制としてやる気がなく、上関については投げ出している様を実感してきたし、いまさら中電がなにを驕(おご)り高ぶっているのか、という感情は推進派住民のなかにもある。福浦地区にある立地事務所職員たちの社宅なんてガラガラのもぬけの殻で、立地マンたちもかつてのような精鋭揃いとは訳が違う。上関原発のメドはないとわかっていながら撤回するとはいえず、かといって経産省や電力業界の睨みもあるなかで生殺しにしてきたのだ。

 A 住民のなかでは、41年間も原発で揉めに揉め、地域コミュニティのなかで疑心暗鬼になったり、圧力をくらったり、物言えぬ生活を余儀なくされてきた経緯もあるだけに、今度は中間貯蔵施設の計画が持ち込まれて引き続き国の原子力政策に翻弄されるという事態について、そろそろ堪忍袋の緒が切れるというか、「いい加減にしろよ!」という思いが鬱積している。要はカネでやりたいように町を乗っとり、中電支配の構造だけは温存して、西哲夫なり飼い慣らしてきた町議連中を動員して、最終的に上関を核のゴミ捨て場にするというのだ。


なぜ町が寂れたか 意図的に芽摘んだ40年

 B 西哲夫が何度も「人口は年間100人の減少が続き、高齢化率も約59%と中国五県で一番高い状況」と口にするように、確かに町は惨憺たる状況に直面している。これはこの間、取材に入ってみても痛感する。とりわけ長島奥地の四代、白井田の廃屋だらけの現実には愕然とするものがある。
 室津や上関地区も同じで、廃れ方が尋常ではない。かつて推進、反対の旗を振っていた御大たちも多くが鬼籍に入り、よく取材で話を伺っていた住民たちも次々と亡くなってしまい、「あのおっちゃんによく怒鳴られていたっけな…」とか、二度三度会いに行くうちに仲良くなって、毎回漁でとってきた魚をくれてたよな…とか、色んな顔を思い出して寂しさすら感じるほどだ。新聞社としても計画浮上からの40年で記者たちは世代をまたいで追いかけてきたし、小さな町が国策に翻弄される様をこの目で見てきた。原子力政策の罪作りな実態を広く世間に訴える責任があると思う。

 C 原発騒動の40年で人口は4分の1まで減少し、2000人そこらにまで激減してしまった。これは偶然そうなったのではなくて、「原発ができれば」ばかりを唱え、町の産業振興策をまるで実行してこなかったことの弊害だ。
 原発建設が行き詰まってダメなので、「ならば中間貯蔵施設を」ではなく、まずは原子力政策で翻弄したこの40年に対して、国や電力会社に責任をとらせなければ話にならない。国策によって町の発展を阻害されたわけで、戦後賠償を求めるべき性質のものだ。それだけ住民の暮らしは蹂躙されたのだ。そして、なるべくして廃れた。これは偶然の代物などではない。
 国そのものが衰退の道をたどっているなかで、バラ色の未来などどこにもないが、せめて住民が安心して暮らせる環境、衣食住が保たれる生活環境や地域にすることは必要だ。
 人口激減のなかで上関では食料品を買える店もなくなり、医療機関は柳井や周辺地域まで出向かなければならず、介護は受けたくても受けられず、極端な話が上関全体を姥(うば)捨て地域かと思うほど寂れさせ、人がますますいなくなったところで中間貯蔵施設の話が湧いている。これまた偶然の代物などではない。
 人口が減る=抵抗要素が減る=管理しやすいを意味しており、原発なり原子力関連施設を持ち込む側からすると、むしろ好都合なのだ。従って豊かな町に発展させるわけがないことを念頭に考えなければならない。郷土を差し出させる側の都合からすると、住民が豊かに暮らす必要などないし、「いなくなればいいのに…が本音だろう。生殺し状態からの町の衰退はその過程に過ぎないことを物語っている。ここからの転換が上関にとっては喫緊の課題であるし、これ以上国策に振り回されることはない。

 A すんなりこの中間貯蔵施設の話が動くとは思えないほど、住民の反発は強い。中電支配の町で大きい声ではいえないが、電力会社の驕りに対する憤りでもある。同時に、山口県内では「上関だけで勝手に進めるな!」という世論が高まっているし、周辺住民の反発はそれどころではない。
 まずは山口2区で岸信千世が洗礼を受けるべきだろうし、「吹田愰の娘婿」は何をしてくれてんだ! の世論を形にしていくことが重要だ。中間貯蔵施設を作るなら兵庫9区に作りやがれ! といったら兵庫9区の住民に叱られるが、経産大臣が嫁の親元を過疎地だからといって生け贄に差し出すというのだから、山口県民が西村康稔に抱く感情はわかってもらわないといけない。山口県を核のゴミ捨て場・便所にするな! ということだ。山口県でダメなものはどこでもダメで、ゴミ捨て場がないならゴミを出すな、だいたいゴミ(使用済み核燃料)を生み出す原発をやめてしまえ! ということだ。
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●《「まるで反社以下の関電」…今も経済産業省と岸田政権に守られてぬくぬくと生き延びている》《関電と経産省、岸田総理は「亡国トリオ」》

2023年09月26日 00時00分56秒 | Weblog

元福井県高浜町助役から関西電力側への資金提供のイメージ (東京新聞2019年9月27日)↑]


(2023年08月20日[日])
核発電は「金のなる巨大木」…蝟集する核発電「麻薬中毒者」ども。
 やっぱり金のなる巨大木に蝟集し、金を還流、政治家 (閣僚、しかも行政府の長・首相) に濁流。(リテラ)《まさか、現役の総理大臣にも直接、原発マネーが流れていたとは──》《公共性が高い企業から、よりにもよって現役の総理大臣が事実上の献金を受け取っていたという事実は、極めて重大な問題がある。いや、それどころか「口利きさえ疑われかねない問題だ》った。

   『●「原子力は血液」……ではなく、「原子力=核」は「麻薬」
   『●「けん制」? いや、「恫喝」でしょ?  
      関西電力八木誠社長が大津地裁と「地元」市民を脅す!
    《美浜原発3号機(福井県)の廃炉を検討していると一部で報じられた
     ことに対しては「検討している事実はない。活用していきたい」と述べた》

   『●関西電力八木誠社長のあの高浜原発: 
      「プルサーマル原発」に続き「寿命原発」を動かしたいそうです
   『●砂上にペラペラの壁を造ってまでも
       再稼働したくなる浜岡原発という「金のなる巨大木」
   『●やはり核発電は「金のなる巨大木」だった…
     高浜「原発マネー」が八木誠会長ら関西電力経営陣個人に見事に《還流》
   『●(リテラ)《まさか、現役の総理大臣にも直接、原発マネーが流れて
      いたとは──》《それどころか「口利き」さえ疑われかねない問題》

 さらには。関電の核のごみをなぜに山口県上関町中間貯蔵(という名の最終処分)を? 中電や経産省、国が散々市民を分断してきた山口県上関町、《問われる町衰退の責任》(長周新聞)。そして、何より、祝島の皆さんがお気の毒で仕方ない。絶対にコンナモノを受け入れてはいけない。(長周新聞)《「なぜ山口県が関電の原発のゴミ捨て場にされないといけないのか」と山口県中で驚きを持って話題にされている。中電の必要性というより、客観的に見ると関電の必要性のために上関を差し出すような格好》、《さんざん町民を分断してきた挙げ句に郷土を核のゴミ捨て場正真正銘の原発の墓場にするという動きに反発が高まっている》、《「なぜ関電の原発のゴミをわたしたち上関が引き受けなければいけないのか」と疑問を口にしていた。40年以上も原発騒動でもめてきて、上関原発建設計画については実質的に破綻して建設のメドもないなかで、今度は中間貯蔵施設というわけで、要するに上関をゴミ捨て場にする…》。
 dot.のコラム【関電と経産省、岸田総理は「亡国トリオ」だ 古賀茂明】(https://dot.asahi.com/articles/-/198163)。《「まるで反社以下の関電」と聞いて、すぐにその意味がわかる人は多くはないかもしれない。しかし、関西電力という会社は驚くようなスキャンダルを量産し続け、しかも、ほとんど何の痛手も被らずに、今も経済産業省と岸田政権に守られてぬくぬくと生き延びている》、《これだけの反社会的行動をとっている関電23年度の純利益の見通しは、3050億円。06年3月期に記録した過去最高益(1610億円)を大幅に上回る》、《大嘘つきの関電、これに完全にからめ捕られた経産省、そして安倍内閣を超える原発ゴリ押しの岸田内閣。私は、これを亡国トリオと呼ぶことにした》。

   『●祝島…《調停を申し立てた側の中電が「法律論争をするつもりはない」
     といって議論を避け、調停は不成立…法律論争は不利と判断したから》
   『●《「原発ができれば町が活性化する」という空疎なスローガンのもとで、
      町の基幹産業…漁業…など生産振興や生活の向上をめざす活動は停滞》』 
  『●はぁ? 東京新聞【「原発マネー」で生まれた奇策 使用済み核燃料の
      中間貯蔵施設を上関町に 中国電力と関西電力で苦肉の共同開発案】
   『●山口県上関町…《さんざん町民を分断してきた挙げ句に郷土を核のゴミ
     捨て場…正真正銘の原発の墓場にするという動きに反発が高まっている》

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https://dot.asahi.com/articles/-/198163

関電と経産省、岸田総理は「亡国トリオ」だ 古賀茂明
政官財の罪と罰
2023/08/08/ 06:00

 「まるで反社以下の関電」と聞いて、すぐにその意味がわかる人は多くはないかもしれない。

 しかし、関西電力という会社は驚くようなスキャンダルを量産し続け、しかも、ほとんど何の痛手も被らずに、今も経済産業省と岸田政権に守られてぬくぬくと生き延びている

 今回は、少し長くなるが、その許し難い構造について、ごく一部だけでも見ていただいて、それでも、憤りを感じないで済むかどうかを確認していただきたい。

 関電の不祥事と言えばすぐ思い出すのが、2019年9月に発覚した、岩根茂樹社長(当時)ら歴代経営幹部83人が福井県高浜町の元助役(故人)から金品を受け取っていた事件だ。公益事業のトップらが長年にわたって大金を受け取ることを習慣化していたことに国民は驚愕した。受領した金品の総額は約3億7000万円相当。内訳は、現金が1億4500万円、商品券6300万円分、金貨365枚(1枚約15万円相当)、小判型金貨3枚、金杯8セット、金500グラム、スーツ75着などで、一人で1億2367万円相当を受け取った者もいた。

 しかも、関電経営陣は、この金品受領事件で所得税の追加納税を余儀なくされた元役員1人に計120万円を支払い、追加納税分を補填すると決めたことが発覚している。これは、関電が金銭受領問題について何ら反省をしておらず、むしろとんだ事故に巻き込まれたという程度の認識しか持っていなかったということの証左である。

 次に、2022年12月に発覚した顧客情報の盗み見事件もまた世間を驚かせた。大手電力7社で行われていた不正だが、中でも関電など5社は悪質だとして経産省から業務改善命令を受けている。とりわけ私が注目したのは、関電では事件が発覚した後に、システム上は盗み見をやめたことになっていたのに、引き続き一部社員が盗み見を続けていたことだ。この会社の特質、悪いことがバレた後でも決して反省しないというところがここでもよく表れている。

     (関西電力美浜原子力発電所。(左から)1号機、2号機
      3号機=2023年7月27日、福井県美浜町)

 関電は、この他にも、建設工事に関する社員らの国家資格不正取得や、一部送配電営業所での検査不正なども報じられているが、最も衝撃的だったのは、カルテル主導事件だ。法人向けに顧客の争奪戦を回避するカルテルを行っていたとして、公正取引委員会が、中国電力など4社に総額1000億円超の課徴金を課したのだが、そのカルテルを主導していたのが関電だったのだ。電力自由化の根幹を崩壊させるようなとんでもない事件である。

 ここでも関電はその悪質性を存分に発揮した。自分が主導した犯罪であるのに、公取委に仲間を売ったのだ。独占禁止法には最初に犯罪を申告して捜査に協力すれば責任を免れるという制度(リニエンシー)があるが、関電は最初に自主申告して良い子になり、処分を免れた。本当に悪かったと反省しているのであれば、なぜ自分だけでなく、仲間に一緒に申告しようと声をかけなかったのか。悪に手を染めるだけでなく、仁義にも悖(もと)る。反社の暴力団が聞けば、「俺たちよりも酷い」と言われるだろう

 本件では、このカルテルを主導したとされる森本孝・前社長は、この事件を公取委に報告したのちも特別顧問として高額の報酬を受けていたそうだ。ここでも、腹の中では全く反省していなかったことが見てとれる。

 そして、これから注目を浴びるタチの悪い詐欺的行為が、核のゴミ処理のやるやる詐欺である。

 放射性廃棄物の処分は答えのない大問題だ。本来は、これを解決しないまま原発を動かすことなど許されないはずであるが、実際には全く見通しが立たない。

 とりわけ、7基の原発が稼働する予定の関電は大量の核のゴミを現在も生産中で、その処理策を示すことは地元のみならず、社会全体に対する責任である

 ところが、関電は、ゴミを何とかしろと言われると、「はいわかりました」と安易に答えるだけで本気では何もしない。数え方にもよるが、私が知る限り、これまでに、5回も大嘘をついてきた。

 最初は、1998年に中間貯蔵施設福井県外につくると約束した。その見返りに燃料プールの容量を増やすことを認めてもらった。

 次の嘘は2015年、高浜原発の再稼働を認めてもらうために、20年ごろの中間貯蔵施設の県外建設により核のゴミを県外に持ち出すと約束。もちろん、大嘘だった。

 17年に大飯原発再稼働を認めてもらう際には、18年中に候補地を決めると約束した。その後、関電は、18年に東京電力と日本原電が建設中の青森県むつ市の中間貯蔵施設に関電が出資して相乗りするという虫の良い計画を立てたが、むつ市長が不快感を示したことで頓挫。さらに、懲りない関電は、今度は、電気事業連合会を使って、むつ市の中間貯蔵施設の電力大手による共同使用案を検討させようとした。しかし、さらにむつ市長の怒りを買い、「むつ市は核のゴミ捨て場ではない」と激怒されて、結局この案もお蔵入りとなった。

 そして、関電は運転期間40年超の美浜3号機高浜1、2号機の再稼働を認めてもらう必要に迫られると、中間貯蔵施設の候補地を23年末までに決めるとし、「できなければ美浜3号機、高浜1、2号機の運転を停止する」と、とんでもない空約束をした。もちろん、口から出まかせだということは誰の目にも明らかだった。

 23年の半ばになりいよいよ追い詰められた関電は、経産省と結託して、とんでもない「解決策」を発表した。高浜原発の使用済みMOX燃料10トンに普通の使用済み燃料190トンを混ぜて行う再処理の実証試験をフランスで行うというのだ。これで合計200トンの使用済み燃料をフランスに搬出することになるのだが、関電の廃炉を決めた原発を除く原発7基では年約130トンの使用済み燃料が発生するという。200トンなどあっという間に超過してしまう。しかも200トンは、関電が保有する核のゴミ全体の5%程度でしかない。現状のままでは、貯蔵用のプールは、5~7年で満杯になる予定で、今回の計画は全くの焼け石に水だ。

 しかし、関電の森望社長は「県外に搬出されるという意味で、中間貯蔵と同等の意義がある」と胸を張った。中間貯蔵施設建設候補地の決定と同じというのだが、あまりの図々しさに呆れてしまう。もちろん、地元も世論も強い反発を示したのだが、そんなことは計算済みだ。関電は経産省に手を回し西村康稔経産相に「中間貯蔵と同等の意義があると言わせて、国のお墨付きを得た。ふざけるなという話である。

 さらに、関電は、「ズルの上塗り」を進めようとしている。

 8月2日、中国電力山口県上関町に新設を計画する上関原発周辺の所有地に、中間貯蔵施設の建設を検討する方針を発表した。矢面に立つのは中国電だが、実は、関電と組んで進めるという。関電は中国電を後ろで操り、地元との調整は中国電にやらせる関電は成果だけを享受するわけだ。カルテルの時も関電が主導して利益を得ながら、最後は中国電だけでも700億円超の課徴金を課され、関電は無傷で逃げ切った。今回この計画が頓挫しても、傷を負うのは中国電だけという図式である。

 とんだとばっちりに遭ったのが上関の町民だ。中国電の原発建設計画を反対運動で何とか止めているのに、またもや「札束で横面を張る」やり方で、強引に核のゴミ捨て場にされそうになっている。その裏には関電がいて、さらには経産省と原発ゴリ押しの岸田内閣がいる。大変な相手との闘いがもう一つ増えたわけだ。

 ここまで書いてきて、わかるのは関電という企業の稀に見る悪質性である。単にスキャンダルまみれだというのにとどまらない。関電の特徴は、第一に企業トップが犯罪を主導するということ。第二に、発覚すると表向きは謝罪するが、裏では経営トップが不正を行った者に損失補填をするなど、腹の中では全く反省していないということ。第三に、自己が利益を得るためなら他人を裏切ることなど何とも思わないというヤクザも驚くような不誠実さである。こんな企業が原発という危険なものを動かして良いのだろうか

 とりわけ、関電の原発は日本海側に集中している。岸田政権は、北朝鮮のミサイルの脅威を強調し、中国の危険性も強調する。もしこれが正しいのであれば、日本海側にある原発は直ちに稼働を止めて、核燃料などは、地中深くの施設に移してミサイル攻撃を受けないようにすべきであることは誰にもわかる。原発そのものがミサイル攻撃で破壊されれば大惨事になるが、それよりも脆弱な構造の核燃料プールが破壊されても同じことが起きるし、それらの施設ではなくても電源を完全に断つような攻撃で大変なことが起きる。

 それにもかかわらず、関電が漫然と自社の利益を求めるために老朽化原発まで動かそうとするのを政府は後押しし、関電の嘘をむしろ庇いながら、原発再稼働に邁進している。現有の原発が安全保障上日本の最大の弱点になっていることを全く無視しているのはどういうことなのか。

 これだけの反社会的行動をとっている関電23年度の純利益の見通しは、3050億円。06年3月期に記録した過去最高益(1610億円)を大幅に上回る。その最大の理由が原発再稼働が進んでいることだというが、競争を回避する体質で電気料金が高止まりしている効果も大きい。いずれにしても、電気代上昇に喘ぐ我々国民から見れば理不尽としか思えない

 大嘘つきの関電、これに完全にからめ捕られた経産省、そして安倍内閣を超える原発ゴリ押しの岸田内閣。私は、これを亡国トリオと呼ぶことにした。

 ここまで読んでいただければ、私が冒頭で紹介した「まるで反社以下の関電」という意味を理解していただけると思うのだが、いかがだろうか。
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●#赤木俊夫さんを忘れない …《雅子さんによると、今年の命日は、マスコミの取材がほぼゼロだという…ここにも「風化」が忍び寄る。》

2023年03月24日 00時00分15秒 | Weblog

[※ 2017年2月17日はアベ様のタンカ記念日というトリガー(『報道特集』、2021年06月26日)↑]


(2023年03月07日[火])
総務省からはアベ様案件の「膿」が噴出。高市元総務相がタンカ…。「2017年2月17日はアベ様のタンカ記念日」…「2023年3月3日は高市早苗元総務相のタンカ記念日」。アベ様や元最低の官房長官による《メディアコントロール》下で、「報道の自由」「知る権利」「権力の監視」を委縮させた問題。総務官僚は「」を出す、内部告発。

   『●「電波」な「凶器」高市総務相の暴走と
     「報道現場の声」: 「自粛」「忖度」「委縮」…が「内部から」
   『●「2017年2月17日はアベ様のタンカ記念日」…さて、高市早苗氏の
     「タンカ」も、アベ様同様、有耶無耶になってしまうのだろうか、それとも…
   『●「2023年3月3日は高市早苗元総務相のタンカ記念日」…《「捏造文書
     でなければ大臣も議員も辞職するか」と問われて「結構ですよ」と答弁》

 日刊スポーツのコラム【政界地獄耳/安倍政権と高市が萎縮させた日本メディア】(https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202303070000030.html)によると、《安倍内閣が14年から一部の民放番組を問題視し、放送法が規定する「政治的公平」の解釈変更を試みていたことは当時から国会でも議論になっていた。16年2月8日、当時の総務相・高市早苗は衆院予算委員会で「国は政治的公平性を欠く放送を繰り返した放送局に対して電波停止できる」と言い放ち、12日にはこれは「政府の統一見解」と強調した》。

 一方、財務省はどうか? 古賀茂明さん《財務省では多くの人がかかわっていたのに、何故誰も異論を唱えなかったのか、官僚の倫理観はどうなっているのか》? 古賀茂明さん、アベ様という頚木は朽ち…《しかし、もうその恐れはない。今まで赤木家を避けていた財務省関係者も何らかの形で俊夫さんへの気持ちを表すことができるはず》なのに…。前川喜平さん《五年かかろうと十年かかろうと真実は明るみに出さなければならない僕は最後まで雅子さんに味方する》。
 週刊朝日のコラム【官僚が赤木さんに手を合わせる日 古賀茂明】(https://dot.asahi.com/wa/2023030200082.html)によると、《3月7日は赤木俊夫さんの命日だ。2018年のこの日、森友学園事件公文書改ざんを強要された元近畿財務局職員の赤木俊夫さんが自ら命を絶った。安倍晋三総理(当時)の不祥事のもみ消しのために行われた公文書改ざんという犯罪行為にただ一人涙ながらに抗議したが、無視されたうえに、改ざん作業を強要された赤木さん。最後は一人責任を負わされそうになって、メモに「最後は下部がしっぽを切られるなんて世の中だ」という言葉を残してこの世を去った》。
 赤木俊夫さんの《「手記」と題した遺書》には、「元は、すべて、佐川理財局長の指示です」「刑事罰、懲戒処分を受けるべき者 佐川理財局長」と。当然、その時の行政府の長財務相最低の官房長官にも大きな責任。数多のアベ様案件の中でも、決して忘れてはいけないもの。

   『●《近畿財務局元職員の妻が…佐川宣寿氏と国を相手に…大阪地裁に
     提訴》…《前代未聞の改ざんなのに、最高責任者の麻生太郎財務相》は?
    《刮目すべきは、「手記」の中で佐川氏以下、改ざんを主導した財務省
     幹部らの実名を〈刑事罰、懲戒処分を受けるべき者〉として、
     次のように記していることだ。
      〈佐川理財局長、当時の理財局次長、中村総務課長、企画課長、
     田村国有財産審理室長ほか幹部 担当窓口の杉田補佐
     (悪い事をぬけぬけとやることができる役人失格の職員)〉
      佐川氏をはじめ幹部職員らは、国有地を8億円もダンピングして
     売却した背任や公文書を改ざんした虚偽公文書作成の疑いで告発
     されたものの大阪地検は不起訴誰も刑事責任を負っていない

   『●森友公文書改ざんという犯罪を強要…《誰のために何をまげて何を
     守ったか》? 《自分たちはこの件の犠牲者だ…》気取りの犯罪者たち
   『●大阪地裁・中尾彰裁判長は、赤木雅子さんが申請していた「…証人
     尋問はすべて必要ないと判断します」と…どうしたらそんな判断に?
   『●もう一つの裁判《財務省に情報開示を求める裁判》…前川喜平さん
     《五年かかろうと十年かかろうと真実は明るみに出さなければならない》
   『●#赤木俊夫さんを忘れない…《私たちは、声を上げ続けなければならない
      …希望を捨てず、雅子さんを支え続けようではないか》(古賀茂明さん)
   『●【赤木俊夫さんを忘れない/前川喜平】《公文書改竄事件…菅官房長官
       の指示があったと思うし、…安倍首相も了解していたと見ている》
   『●《財務省では多くの人がかかわっていたのに、何故誰も異論を唱え
     なかったのか、官僚の倫理観はどうなっているのか》?(古賀茂明さん)

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https://dot.asahi.com/wa/2023030200082.html

官僚が赤木さんに手を合わせる日 古賀茂明
政官財の罪と罰
古賀茂明 2023/03/07 06:00

 3月7日は赤木俊夫さんの命日だ。2018年のこの日、森友学園事件公文書改ざんを強要された元近畿財務局職員の赤木俊夫さんが自ら命を絶った。安倍晋三総理(当時)の不祥事のもみ消しのために行われた公文書改ざんという犯罪行為にただ一人涙ながらに抗議したが、無視されたうえに、改ざん作業を強要された赤木さん。最後は一人責任を負わされそうになって、メモに「最後は下部がしっぽを切られるなんて世の中だ」という言葉を残してこの世を去った。

 赤木さんの妻・雅子さんによると、今年の命日は、マスコミの取材がほぼゼロだという(3月1日現在)。ここにも「風化」が忍び寄る

 ただ今回は、安倍氏が殺害されてから初の命日。「財務省関係者の何人かが赤木さんの墓参に来たり、そこまで行かなくても雅子さんに花やお線香を贈るということがあるかもしれない」という淡い期待を私はもっている。

 雅子さんによれば、俊夫さんが亡くなって最初のうちは数人ではあるが、墓参などで弔意を表わす官僚もいたが、その後はぱったりと音信が途絶えたという。

 財務省は、森友事件について身内の調査を行ったが、詳しい事実関係を明らかにしないまま真相を闇に葬ろうとした。やむを得ず、雅子さんは、一人で財務省とその裏にいる安倍氏という権力者に訴訟という戦いを挑んだ。「真実が知りたいという一念だった。しかし、財務省は徹底して妨害してきた。それは安倍氏が総理を辞めた後も同じ。官僚たちは、安倍氏の怒りに触れることを怖れていたのだろう。

 しかし、もうその恐れはない。今まで赤木家を避けていた財務省関係者も何らかの形で俊夫さんへの気持ちを表すことができるはず。雅子さんは、財務省関係者が悪い人ばかりというわけではないと思うと語っていた。私もそう思う。だから、このような希望を持つのだ。

 ただ、私がインタビューしたあるエリート官僚は私にこう言った。「赤木俊夫さんにお線香をあげるということは、自分がやったことに向き合うということで、そんな強い人間じゃないんですよ。そんな勇気のある官僚は残念ながらいない。臆病で弱くて卑怯な人間なんですよ」。これを聞いた人は、落胆するだろう。

     (近畿財務局職員だった赤木俊夫さん(雅子さん提供))

 折しも、最近、『安倍晋三回顧録』(中央公論出版社)という本が出版された。安倍氏が生前に語ったことが書いてある。森友事件について見てみると、驚いたことに、反省の言葉は皆無赤木さんへの謝罪も同情の言葉もないそもそも赤木さんの名前すら出てこないのだ。極めつけは、「森友学園の国有地売却問題は、私の足を掬うための財務省の策略の可能性がゼロではない」という言葉。呆れてものも言えない。要するに、自分に責任はなく全ては財務省が悪いと責任転嫁し、赤木さんを死に追い込んだことを隠そうとする態度

 雅子さんがどんなに傷つくだろうか。安倍氏は、「人の心を持たない人間だ」とつくづく思った。

 もし、赤木俊夫さんに手を合わせようとする官僚が今年も現れなかったとしたら、どう理解したら良いのか。この国は、今もなお「臆病で弱くて卑怯な」官僚達と「人の心を持たない元総理の『亡霊』」によって動かされているということなのだろうか。

※週刊朝日  2023年3月17日号


古賀茂明(こが・しげあき)/古賀茂明政策ラボ代表、「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。1955年、長崎県生まれ。東大法学部卒。元経済産業省の改革派官僚。産業再生機構執行役員、内閣審議官などを経て2011年退官。近著は『官邸の暴走』(角川新書)など
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https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202303070000030.html

コラム
政界地獄耳
2023年3月7日7時17分
安倍政権と高市が萎縮させた日本メディア

★安倍内閣が14年から一部の民放番組を問題視し、放送法が規定する「政治的公平」の解釈変更を試みていたことは当時から国会でも議論になっていた。16年2月8日、当時の総務相・高市早苗は衆院予算委員会で「国は政治的公平性を欠く放送を繰り返した放送局に対して電波停止できる」と言い放ち、12日にはこれは「政府の統一見解」と強調した。

★こちらも多様性を認めないという発想から生まれている。電波を総務省が免許制にしているから起きる介入だ。そもそも電波は国のものだろうか。国民のものではないか政治家や閣僚が意に沿わないことを報じられると政治的偏向になるという発想は、今の自民党が言い張る差別には不当な差別と正当な差別があるの理屈と同根だ差別はすべて不当なもののはずだ。メディアは表現の自由を守る使命がある。一方、公平中立を立脚点にしなくてはならない。批判や論評は政治を深化させるためにも必要な議論の範疇(はんちゅう)だと思うが政権には政治的公平を損じると感じるらしい。そして「停波という禁じ手を繰り出し放送局をどう喝した結果、メディアの報道は萎縮した

★政権・政府に批判的なコメンテーター、影響力のある発言者の選別。政府に厳しい発言をするコメンテーターがこの頃、第一線から消えていった。片や「桜を見る会」にこぞって参加するタレントたちはいなかったか。政府批判につながりかねない企画や記事は<1>扱わない<2>極めてマイルドに<3>両論併記で結論を視聴者や読者に委ねる<4>矛先を別の方向に向けるテレビでは専門家よりも発言が過激な、それでいて政府批判をしない都合のいい人たちが選ばれ司会者にはバラエティー出身者が増えた。新聞記者ですらネットの閲覧数を競う「バズればいい(その場だけ話題になればいい)」の精神がまん延している。安倍政権と高市の役割はそれだけでも日本のメディアを変えたのではないか。(K)※敬称略
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●東電核発電人災から12年: 暦が一巡して、2023年は再びの卯年…もう一回り前の卯年は《1999年9月30日。東海村JCO臨界事故…》

2023年03月11日 00時00分35秒 | Weblog

※ 「3.11から12 脱原発の約束はどこに」(週刊金曜日 1415号、2023年03月10日) ↑]


(20230310[])
東電核発電人災から12年も経ってしまったのに《原状回復》することも無く、《原発回帰》へと暴走し、《原発復権》。3.11東京電力核発電人災の教訓はどこに?

   『●核発電人災の反省はどこに? 《熟議より、政府の都合を優先》する
       原子力「推進」委員会、《フクシマを「なかったことにする」のか》?
   ●古賀茂明さん《政府は、料金値上げを認めるのなら、電力会社の送配電の
      完全分離(所有権分離)を実現することを電力会社に飲ませるべき》
   『●《鍵は送配電部門の中立性・公平性にある。…飯田哲也所長は「日本の
     自由化の課題は、発送電分離がきちんとできていないことだ」と指摘する》
   『●《原状回復》することも無く、堂々と《原発回帰》へと暴走し、この
     12年間、着々と《原発復権》…3.11東京電力核発電人災の教訓はどこに?

 AERAのコラム【小島慶子「東日本大震災、臨界事故、バブル景気…5回目の卯年に思うこと」】(https://dot.asahi.com/aera/2023011100021.html)によると、《今年は卯年ですね。前回の卯年は、何をしていましたか。2011年、東日本大震災と原発事故が起きた年です。暦が一巡りして当時を知らない子どもたちが増えた今、記録と記憶を受け継ぐ大切さを改めて思います。私はあの日、東京でラジオの生放送中でした。微量の放射性物質を含んだ水道水を飲まざるを得なかった日々も、忘れることはできません。その前の卯年は1999年。茨城県東海村の核燃料加工会社JCOで国内初の臨界事故が発生し、2人が亡くなりました》。

   『●反省なき自民党を体現:
      「原発事故によって死亡者が出ている状況ではない」
   『●《政僕化したり官僕化》する官僚の「滅公奉僕」再び…
       この国ニッポンでは行政府の長が《愛僕者》ですもの
    「日刊スポーツ…【政界地獄耳/薄っぺらい政治の「責任」】」
    《★1999年9月30日。東海村JCO臨界事故の際、時の官房長官・
     野中広務は…は10キロ圏に拡大して発表。「事なきを得て
     10キロが無駄だといわれれば私が謝れば済むこと」とした。
     ★不祥事に際し、首相・安倍晋三は「責任は私にある
     と連呼する。だがその責任という言葉の軽さが危険だ。
     …政府の統計不正も役人がのらりくらりで遅々として
     解明できない。机上の数字の操作だからか。公金を動かす
     という公務員の重みがないから責任も軽いものになるのか。
     政治の「責任」を薄っぺらくしたのは誰か。》

   『●「鼻血問題」: 「原発関連死」と「死の街」発言
    「小出裕章さんが良く取り上げておられる
     『朽ちていった命―被曝治療83日間の記録』……
     JOC臨界事故で何が起きたでしょうか? そして、
     「二次被曝した救急隊員、大泉実成さんのご家族」に
     何が起こったでしょうか?」

   『●JOC臨界事故で何が起きたでしょうか?…《人が制御できない
         なんて恐ろしい。政府は…本当のことを言っていない》

 ハッとした。そうだった、3.11東京電力核発電人災が起きた2011年は卯年でした…。あれから、暦が一巡りした訳です。〝年男〟のその年3月11日、初めて入院して大きな手術を受け、漸く退院して自宅のベッドで養生していました。再びの〝年男〟の今年3月末、再び入院を計画しています。
 一方、さらにその12年前の卯年、JCO臨界事故が発生した年だそうです。3.11もJCO臨界事故も「卯年」だったか…。《朽ちていった命》を想うと涙が出てしまう。

   『●お見舞い申し上げます…
   『●あの3・11原発人災から1年: 松下竜一さん「暗闇の思想」を想う
   『●3.11東京原発人災から2年が過ぎて
   『●「福島原発事故の今」
        『週刊金曜日』(2014年3月7日号、982号)について

   『●3.11東京電力原発人災から4年:
      虚しき「地球にやさしいエネルギー原子力 人にやさしい大熊町」
   『●東電核発電人災から5年: 「今や世界の笑い者…
        政権批判をいとわないキャスターの首を差し出した」
   『●東電核発電人災から6年: 4つの「生」+「命」「活」「業」「態」…
                        どれか一つでも原状回復できたか?
   『●東電核発電人災から7年: 「村の生活は百年余りにわたり、
                 人生そのもの」…「やっぱりここにいたいべ」
   『●東電核発電人災から8年: 《11日の夜9時すぎには、
           東電の社員も家族もだれ一人双葉町に残って…》
   『●東電核発電人災から9年: 金(カネ)色の五つの輪《オリンピック
            聖火リレーを前に「福島はオリンピックどごでねぇ」》
   『●東電核発電人災から10年: あの人災から何の教訓を得ることもなく、
      何も変わらないニッポン…核発電〝麻薬中毒〟から抜け出せないまま
   『●東電核発電人災から11年: 《原発事故は終わっていません。政府が
       復興の名のもとに困難に陥った人たちをさらに追い詰める…》

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https://dot.asahi.com/aera/2023011100021.html

小島慶子東日本大震災、臨界事故、バブル景気…5回目の卯年に思うこと
幸複のススメ!
小島慶子 2023/01/12 17:00

 タレントでエッセイストの小島慶子さんが「AERA」で連載する「幸複のススメ!」をお届けします。多くの原稿を抱え、夫と息子たちが住むオーストラリアと、仕事のある日本とを往復する小島さん。日々の暮らしの中から生まれる思いを綴ります。

*  *  *

 今年は卯年ですね。前回の卯年は、何をしていましたか。2011年、東日本大震災と原発事故が起きた年です。暦が一巡りして当時を知らない子どもたちが増えた今、記録と記憶を受け継ぐ大切さを改めて思います。私はあの日、東京でラジオの生放送中でした。微量の放射性物質を含んだ水道水を飲まざるを得なかった日々も、忘れることはできません。

 その前の卯年は1999年。茨城県東海村の核燃料加工会社JCOで国内初の臨界事故が発生し、2人が亡くなりました。金融再編で翌年にはいわゆるメガバンクが誕生。当時はよく世紀末という言葉が使われて、ノストラダムスの大予言で人類が滅亡するのではないかという漠然とした不安があったけれど、世界は終わりませんでした。27歳だった独身の私は、当時同棲していた現在の夫と、干支にちなんで外苑前の小さなスペイン料理店にウサギを食べに行きました。人生は可能性に満ちていると感じられた頃。その店ももうだいぶ前になくなってしまいました。さらにその前の卯年は、1987年。バブル景気に突入した日本で、15歳の私は思春期の鬱屈の只中にありました。みんなの共通の話題は人気のテレビ番組。好きな番組はビデオに録画したものです。VHS派とベータ派がいたけど、ベータテープはやがて消滅。そして人生初の卯年は、1975年。3歳で初めて日本の土を踏んだ年です。生まれたのは父の転勤先のオーストラリア・パースでした。今はその街で息子たちが暮らしています。今年で大3と高3、ついに二人とも成人します。私が一人で東京で働き、年に数回豪州の息子たちに会いに行く生活も10年目。人生で5回目の卯年は51歳。先のことはわかりませんから、これが最後の卯年かもしれないなあとも思います。毎日を大切に生きようと、思いを新たにする春です。

小島慶子(こじま・けいこ)/エッセイスト。1972年生まれ。東京大学大学院情報学環客員研究員。近著に『幸せな結婚』(新潮社)。寄付サイト「ひとりじゃないよPJ」呼びかけ人。
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●《安倍元首相が統一教会と蜜月関係にあったことは周知の事実だ。しかし、だからといって、細田氏が潔白だというわけではまったくない》

2023年02月10日 00時00分47秒 | Weblog

[※ 「自民党と旧統一教会の闇」(週刊金曜日 1386号、2022年07月22日) ↑]


/ (2023年01月28日[土])
アベ様に《全責任なすりつける醜い大嘘弁明》。三権の長がやることか。そもそも、国会議員失格。(リテラ)《とりわけ近年は安倍元首相が統一教会と蜜月関係にあったことは周知の事実だ。しかし、だからといって、細田氏が潔白だというわけではまったくない》。

   『●アベ様よりはヅボヅボではない、票の差配などしていない…《ならば、
     なぜ議院運営委員会や記者会見など公の場で堂々と説明しないのか》?

 リテラの記事【細田衆院議長が盟友・安倍元首相に全責任なすりつける醜い大嘘弁明…それでも細田追及する記者はTBSラジオとCBCテレビの2人】(https://lite-ra.com/2023/01/post-6259.html)によると、《統一教会との深い関係が指摘されながら、野党側が求めてきた記者会見を拒否し、紙ペラ合計3枚の報告だけで逃げてきた安倍派前会長の細田博之・衆院議長。昨日24日、衆院議院運営委員会の各会派代表による「冒頭以外は非公開」の質疑に応じたが、そこでも保身のための醜い自己弁護に終始した。とくに印象的だったのは、ものの見事に細田氏が安倍晋三・元首相に全責任をなすりつけたことだ》。
 さらに、《実際、セクハラ疑惑の際から細田氏を直撃・追及しつづけてきたTBSラジオの澤田大樹記者は、国会内で細田氏を追いかけている記者が、ほとんどの場合、自分のほかにはCBCテレビの木下大記者しかいないことを、ライターの武田砂鉄氏がパーソナリティを務める『アシタノカレッジ』(TBSラジオ)金曜日の放送で明かしてきた。ついには、孤軍奮闘で細田氏を直撃しつづけるその取り組みが議長チャレンジ」「細田チャレンジと呼ばれるようになったほどだ》…。

 《本人は何も語っていない》のに、(アシタノカレッジでの武田砂鉄さんとのコンビ)澤田大樹TBSラジオ記者の細田博之衆院議長への、粘り強い突撃・追っかけ取材「議長チャレンジ」「細田チャレンジ」での僅かな〝やり取り〟が「国民にしっかり説明した」ことにされようとしているようだが、噴飯ものだ。当然、数少ない、継続的にこの問題を追及してきた澤田記者もご立腹。

   『●(狙撃兵)《その死を呼び寄せた原因が反日カルト組織である統一教会と
     ズブズブだった関係にあり…なぜ「ファザームーン」みたく神格化…?》
   『●朝日新聞スクープ…統一協会《関連団体…が…参院選や昨年の衆院選
     において、自民党議員に対して「政策協定」への署名を求めていた》
   『●ズブズブ壺壺ヅボヅボでない自民党議員にとっては大チャンスなのに?
      ……まあ、やる気のある、自民党にそんな議員が居ればの話ですがね
   『●ズブズブ壺壺ヅボヅボな政権与党・自民党のどうしようもない腐敗具合
        …村上誠一郎議員を〝罰して〟《留飲を下げ》たかと思ったら…
    《安倍派の前会長である細田博之・衆院議長も結局、放置されたままだ
     細田氏は2019年に韓鶴子総裁が出席したイベントに参加した際、
     「韓鶴子総裁の提唱によって実現したこの場は大変意義深い」
     「安倍総理に早速報告したいと考えております」などと発言していた
     ほか、ジャーナリストの鈴木エイト氏は2016年参院選の票の差配
     ついても「細田氏がある候補者に統一教会票を回すと打診したが、
     その候補が断わったために、別の議員に票が差配された
     と言われている」と指摘するなど…、新たな疑惑も浮上しているが、
     新聞・テレビなどの動きは鈍い。下村博文・元文科相の名称変更への
     関与疑惑もそのままになっている》

   『●新年こそは、まともな国に生まれ変わることを切に願う ――― 素晴
     らしい国にならなくてもいいので、〝まともな国〟になってほしいだけ
   『●《岸田首相は「本人が亡くなられた今、十分に把握するのは限界が
       ある」》と拒否…「政治とカルト」「アベ様とカルト」の徹底解明を

 アベ様程とは言わないが、《二人三脚》で相当にカルト協会とヅボヅボだったはずなのに。そのうえ、今更、茂木敏充氏が「しっかり説明していただければと思う」って、一体全体なんなんだ!?

   『●(狙撃兵)《その死を呼び寄せた原因が反日カルト組織である統一教会と
     ズブズブだった関係にあり…なぜ「ファザームーン」みたく神格化…?》

 再々度の引用。日刊スポーツのコラム【政界地獄耳/衆院議長・細田博之 これほどスキャンダルな三権の長は近年いない】(https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202210060000084.html)によると、《★これほどスキャンダラスな三権の長は近年いない。衆院議長・細田博之のことだ。小泉内閣で官房長官、国対委員長を、麻生内閣で幹事長、安倍内閣で総務会長と権力の中枢で要職をこなし、元首相・安倍晋三が官邸にいる間、安倍派を守り続けた。島根1区選出、当選11回の重鎮だ。だが近年の細田の評価は芳しいものではない》
 近年、マシな「三権の長」っていましたっけね? 《伊達忠一・前参院議長》も含めて、両院の議長はデタラメ続き、「立法府の長」を詐称する「行政府の長」に至っては、開いた口がふさがらないし。最高裁判所長官もアノザマだ。

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https://lite-ra.com/2023/01/post-6259.html

細田衆院議長が盟友・安倍元首相に全責任なすりつける醜い大嘘弁明…それでも細田追及する記者はTBSラジオとCBCテレビの2人
2023.01.25 11:21

     (自由民主党HPより)

 統一教会との深い関係が指摘されながら、野党側が求めてきた記者会見を拒否し、紙ペラ合計3枚の報告だけで逃げてきた安倍派前会長の細田博之・衆院議長。昨日24日、衆院議院運営委員会の各会派代表による「冒頭以外は非公開」の質疑に応じたが、そこでも保身のための醜い自己弁護に終始した。

 とくに印象的だったのは、ものの見事に細田氏が安倍晋三・元首相に全責任をなすりつけたことだ。

 たとえば、2019年に韓鶴子総裁が出席したイベントに参加した際、「安倍総理に早速報告したいと考えております」などと発言していた件について、細田氏は「安倍元総理と近い団体というのは知っていたので、リップサービスとして『安倍総理に早速報告をしたい』ということを言った」と説明。さらに、細田氏は統一教会と初めて接点を持ったのは2014年であるとし、「安倍氏は大昔から関係が深いこちらは最近ですから」などと開き直ったという。

 ようするに、第二次安倍政権下で清和会のトップとして安倍氏を支えてきた盟友である細田氏が、なんと“すべての大元は安倍元首相だと証言してみせたのである。

 この細田氏の態度に対しては「死人に口なし」という批判が起こっているが、岸信介安倍晋太郎、そして安倍晋三と安倍家3代にわたって統一教会と深い関係を持ち、とりわけ近年は安倍元首相が統一教会と蜜月関係にあったことは周知の事実だ。しかし、だからといって、細田氏が潔白だというわけではまったくない

 細田氏は今回、“統一教会と初めて接点を持ったのは2014年”と述べたというが、そもそも細田氏は、初当選を果たした1990年に勝共推進議員」として国際勝共連合の機関紙「思想新聞にその名が記載されている。さらに、「週刊現代」(講談社)が1999年に警視庁公安部の極秘資料をもとに作成した「『勝共連合・統一教会』関係度リスト」によると、細田氏のもとには勝共連合から教会員とされる秘書が1名送り込まれていたほか、勝共連合主催のセミナーや懇親会に出席していたとされている。つまり、細田氏は初当選時から統一教会との接点を持っていたわけだが、その過去をネグって「こちらは最近ですから」などと答えるのは、衆院議長としてあまりにもいい加減すぎる


■細田衆院議長「統一教会との関係は2014年から」「票の差配してない」とデタラメ弁明

 それだけではない。細田氏は、わかっているだけで8回もの統一教会の関連イベントに出席。前出の「安倍総理に早速報告したいと考えております」と挨拶した2019年のイベントでは、「韓鶴子総裁の提唱によって実現したこの場は大変意義深い」などとも語っていたほどなのだ。

 また、細田氏は、2018年におこなわれた「世界平和女性連合」主催の会合に出席した際、当時、統一教会で会長を務めていた徳野英治氏や、国際勝共連合の会長である梶栗正義氏、世界平和女性連合の世界会長だった文妍娥氏といった教団の大物幹部らと一緒に記念写真に写る関係だった。

 しかも、細田氏は昨日の質疑において、安倍派会長だった2016年の参院選の際、細田氏が教団票を差配したのではないかという指摘を思い当たる事実はないと否定したというが、これもかなり怪しい。実際、自民党の伊達忠一・前参院議長はテレビの取材に対し、2016年の参院選に立候補した宮島喜文氏の支援をめぐり、細田氏と統一教会票について話したと証言。また、ジャーナリストの鈴木エイト氏も同参院選で「細田氏がある候補者に統一教会票を回すと打診したが、その候補が断わったために、別の議員に票が差配されたと言われている」と指摘している。

 つまり、細田氏は初当選時から清和会所属議員として統一教会と接点を持ち、さらには第二次安倍政権下でその関係を深めていったと考えられるのだ。

 細田氏が統一教会と深い関係を築いた理由について、政治ジャーナリストの角谷浩一氏はこう語っている。

「清和会、ひいては安倍晋三元首相を守るために、細田議員は旧統一教会との窓口になっていたんでしょう。当選がおぼつかない若手議員たちのために、どの団体の票をどれだけ割り振るか。安倍元首相とともに、細田議員はそれを決める立場にあった。票を持っている団体の一つである旧統一教会とは関係を繋いでおく必要があったが、安倍元首相を前面に出すわけにはいかない。そこで、細田議員が頻繁に会合に出席していたということだと推察しています」(「FRIDAY」2022年11月11日号/講談社)

 ようするに、細田氏は安倍元首相と二人三脚で統一教会との関係を深化させてきた張本人であると考えられるのだ。にもかかわらず、自身と統一教会の関係についてはシラを切り、「安倍ガー」を連呼したのである。下劣としか言いようがないだろう。

 だが、細田氏の下劣な発言はこれだけではない。細田氏はこれまで公の場で説明をおこなわず紙ペラで追及から逃げてきたことから「神対応」ならぬ「紙対応」などと揶揄されてきたが、今回の「非公開」質疑でも、記者会見に応じない理由について「過去のことについて、議長の立場として会見などで答えるのはふさわしくない」などと主張したというのだ。

 国権の最高機関の長だからこそ、細田氏にはなおのこと国民に向けて公の場でしっかり説明する責任がある。ところが、細田氏は議長という立場であることを悪用して「会見で答えるのはふさわしくない」と言い募ったのだ。この態度だけでも、細田氏には衆院議長を務める資格はないと断言せざるを得ない。


■国会内で細田議長を追いかけている記者は、TBSラジオとCBC テレビの2人の記者だけ

 しかし、最大の問題は、メディアの報道姿勢だ。衆院議長がここまで国民を舐めきった態度をとっているにもかかわらず、昨晩の『ニュースウオッチ9』(NHK)や『報道ステーション』(テレビ朝日)、『news23』(TBSテレビ)ではほんのわずかに取り上げただけ。それも、何の批判も加えることなく、細田氏の言い分をただ垂れ流したのだ。

 統一教会と自民党の有力政治家の関係をめぐる報道では、萩生田光一・政調会長しかり、メディアは弱腰な態度をとってきたが、細田氏についても同様のことが言える。そもそも細田氏をめぐっては、女性記者らに深夜に電話をかけて今からこないか」「添い寝したら重要情報を教えてあげると迫るなどのセクハラを繰り返してきたことを、昨年5月から「週刊文春」(文藝春秋)が連続して報道。「週刊文春」の第一報後には細田氏本人が女性記者たちに口止めをほのめかす圧力電話”をかけていたことまで暴露されている。

 だが、細田氏は「事実無根」と否定するだけで、疑惑に対する説明をおこなうことなく逃げつづけ、昨年6月に文藝春秋を提訴。その後、安倍元首相銃撃事件に端を発した統一教会と政治家をめぐる報道でも、細田氏と教団の関係を追及する動きは一時見られただけで、すぐにフェードアウトしていった。

 実際、セクハラ疑惑の際から細田氏を直撃・追及しつづけてきたTBSラジオの澤田大樹記者は、国会内で細田氏を追いかけている記者が、ほとんどの場合、自分のほかにはCBCテレビの木下大記者しかいないことを、ライターの武田砂鉄氏がパーソナリティを務める『アシタノカレッジ』(TBSラジオ)金曜日の放送で明かしてきた。ついには、孤軍奮闘で細田氏を直撃しつづけるその取り組み議長チャレンジ」「細田チャレンジと呼ばれるようになったほどだ。

 当たり前だが、衆参議長は立法府を司る三権の長の一人であり、その職責は極めて重い。にもかかわらず、セクハラ疑惑でも統一教会問題でも、細田氏は説明責任から逃げつづけてきた。かたや、新聞・テレビの政治部や上層部は、細田氏を追及することによって情報源を失いかねないという恐れや保身から、問題を見て見ぬふりセクハラ告発の封じ込めにまで手を貸してきたのではないかとさえ言われているのだ。

 繰り返すが、細田氏は国会議員としてももちろん、ましてや議長を務める資格などない。だが、追及はおろか、こうした当然の指摘さえおこなわない大手メディアの報道──。国民を舐めきっているのは、細田氏だけではなくメディアも同じなのだと言うほかないだろう。

(編集部)
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●アベ様よりはヅボヅボではない、票の差配などしていない…《ならば、なぜ議院運営委員会や記者会見など公の場で堂々と説明しないのか》?

2023年02月08日 00時00分10秒 | Weblog

[※ 「自民党と旧統一教会の闇」(週刊金曜日 1386号、2022年07月22日) ↑]


/// (2023年01月27日[金])
酷い言い訳だなぁ。野党の皆さんは納得したのか? そもそも、こんな非公開の場での〝言い訳〟を許したのか? 
 《本人は何も語っていない》のに、(アシタノカレッジでの武田砂鉄さんとのコンビ)澤田大樹TBSラジオ記者の細田博之衆院議長への、粘り強い突撃・追っかけ取材での僅かな〝やり取り〟が「国民にしっかり説明した」ことにされようとしているようだが、噴飯ものだ。当然、数少ない、継続的にこの問題を追及してきた澤田記者もご立腹。

   『●(狙撃兵)《その死を呼び寄せた原因が反日カルト組織である統一教会と
     ズブズブだった関係にあり…なぜ「ファザームーン」みたく神格化…?》
   『●朝日新聞スクープ…統一協会《関連団体…が…参院選や昨年の衆院選
     において、自民党議員に対して「政策協定」への署名を求めていた》
   『●ズブズブ壺壺ヅボヅボでない自民党議員にとっては大チャンスなのに?
      ……まあ、やる気のある、自民党にそんな議員が居ればの話ですがね
   『●ズブズブ壺壺ヅボヅボな政権与党・自民党のどうしようもない腐敗具合
        …村上誠一郎議員を〝罰して〟《留飲を下げ》たかと思ったら…
    《安倍派の前会長である細田博之・衆院議長も結局、放置されたままだ
     細田氏は2019年に韓鶴子総裁が出席したイベントに参加した際、
     「韓鶴子総裁の提唱によって実現したこの場は大変意義深い」
     「安倍総理に早速報告したいと考えております」などと発言していた
     ほか、ジャーナリストの鈴木エイト氏は2016年参院選の票の差配
     ついても「細田氏がある候補者に統一教会票を回すと打診したが、
     その候補が断わったために、別の議員に票が差配された
     と言われている」と指摘するなど…、新たな疑惑も浮上しているが、
     新聞・テレビなどの動きは鈍い。下村博文・元文科相の名称変更への
     関与疑惑もそのままになっている》

   『●新年こそは、まともな国に生まれ変わることを切に願う ――― 素晴
     らしい国にならなくてもいいので、〝まともな国〟になってほしいだけ
   『●《岸田首相は「本人が亡くなられた今、十分に把握するのは限界が
       ある」》と拒否…「政治とカルト」「アベ様とカルト」の徹底解明を

 東京新聞の【<社説>細田議長と教団 密室では解明にならぬ】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/227215?rct=editorial)《細田氏は議長就任前の二〇一四〜二一年、教団との関係が深かった自民党細田派(現安倍派)会長を務め、安倍晋三元首相亡き後、自民党と教団との関係を解明するカギを握る人物とされる。懇談出席者によると、細田氏は「(教団から)具体的な要望を聞いたことはないやましい付き合いではない」と釈明。教団組織票を割り振ったことも「一切ないと否定したという。ならば、なぜ議院運営委員会や記者会見など公の場で堂々と説明しないのか。》
 《「政治と宗教」の問題》ではありません。「政治とカルト」「アベ様とカルト」「自民党とカルト」「ヅボヅボ党とカルト」であり、統一協会は《宗教》に非ず。下駄の雪党の背後も《宗教》に非ずという方も居ます。

 アベ様に《全責任なすりつける醜い大嘘弁明》(リテラ)。アベ様程とは言わないが、相当にカルト協会とヅボヅボだったはずなのに。そのうえ、今更、茂木敏充氏が「しっかり説明していただければと思う」って、一体全体なんなんだ!?
 日刊スポーツのコラム【政界地獄耳/薄っぺらくなった我が国の三権の長 旧統一教会との接点など何も語らない細田博之】(https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202301250000043.html)/《★ここまでの騒ぎになった原因は昨年秋に自民党が教団との関係のアンケート(調査)をした時、会派を離脱していただけの細田を“自民党離脱”と拡大解釈して調べなかったこと。それを今になって自民党幹事長・茂木敏充は「しっかり説明していただければと思う」という始末。同時に衆院議長・副議長は与野党の賛同で選ばれているなどの院の慣例にあるからだ。我が国の三権の長は随分と薄っぺらくなった》。

   『●(狙撃兵)《その死を呼び寄せた原因が反日カルト組織である統一教会と
     ズブズブだった関係にあり…なぜ「ファザームーン」みたく神格化…?》

 再度の引用。日刊スポーツのコラム【政界地獄耳/衆院議長・細田博之 これほどスキャンダルな三権の長は近年いない】(https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202210060000084.html)によると、《★これほどスキャンダラスな三権の長は近年いない。衆院議長・細田博之のことだ。小泉内閣で官房長官、国対委員長を、麻生内閣で幹事長、安倍内閣で総務会長と権力の中枢で要職をこなし、元首相・安倍晋三が官邸にいる間、安倍派を守り続けた。島根1区選出、当選11回の重鎮だ。だが近年の細田の評価は芳しいものではない》
 近年、マシな「三権の長」っていましたっけね? 両院の議長はデタラメ続き、「立法府の長」を詐称する「行政府の長」に至っては、開いた口がふさがらないし。最高裁判所長官もアノザマだ。

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/227215?rct=editorial

<社説>細田議長と教団 密室では解明にならぬ
2023年1月25日 06時51分

 細田博之衆院議長=写真=が自身と旧統一教会(世界平和統一家庭連合)との接点について議長公邸で各会派代表に説明した。ただ議事録が残らない密室での非公式な懇談問題解明には程遠い

 細田氏は議長就任前の二〇一四〜二一年、教団との関係が深かった自民党細田派(現安倍派)会長を務め、安倍晋三元首相亡き後、自民党と教団との関係を解明するカギを握る人物とされる。

 懇談出席者によると、細田氏は「(教団から)具体的な要望を聞いたことはないやましい付き合いではない」と釈明。教団組織票を割り振ったことも「一切ないと否定したという。

 ならば、なぜ議院運営委員会や記者会見など公の場で堂々と説明しないのか

 細田氏は昨秋の臨時国会でも委員会や会見での質疑には応じず、教団関連会合への出席などを書面や与野党代表らへの説明で認めたにすぎない。今回も野党が求めた公の場での説明を拒否した。

 議長には、中立・公平な議会運営に努めるための責任感と高い見識が求められるが、細田氏にその自覚があるようには見えない。

 広大な議長公邸は地位の象徴でもある。それを報道陣や国民の批判から逃れるために使うとは言語道断で、私物化と批判されて当然だ。国会の権威を自らおとしめているのではないか。

 細田氏を議長に推しながら、説明を強く求めようとしない自民党の責任も重大だ細田氏を守ることで、党と教団との関係をこれ以上追及されないようにする意図があるのなら見過ごせない。

 岸田文雄首相は二十三日の施政方針演説で、自民党と教団との関係を巡り「こうしたことが再び起こらないよう、さまざまな改革にも取り組む」と述べたが、改革の具体策には触れなかった。

 首相は高額献金や宗教二世など旧統一教会被害の救済と再発防止に努めるのはもちろん、教団の名称変更に政治の関与があったのか否かを解明するため、自民党総裁として安倍、細田両氏と教団との関係を徹底的に調べるよう指示すべきである。
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https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202301250000043.html

コラム
政界地獄耳
2023年1月25日7時59分
薄っぺらくなった我が国の三権の長 旧統一教会との接点など何も語らない細田博之

★旧統一教会との接点がかねて言われている衆院議長・細田博之に対して24日、衆院議院運営委員会理事会が与野党で合意した「議運委理事会のメンバーと議長公邸で懇談する形で短時間、質問に答える」「懇談の冒頭だけ報道機関に公開する」という細田サイドの意向が押し通されたその後の会見もない。元々22年10月の臨時国会召集前にも旧統一教会との深い付き合いが指摘され、教団関連団体の会合であいさつする動画や教団総裁の韓鶴子(ハン・ハクチャ)も出席した会合で「会の内容を安倍総理にさっそく報告したい」と発言する映像が出回っている。

★野党が説明を求めた時は木で鼻をくくるような文書1枚を提出。その後追加で2枚の文書が提出されたが、本人は何も語っていない。また昨年の今頃は自ら超党派を主導して決めた1票の格差を是正する「10増10減」を真っ向から否定。選挙区が減少する元首相・安倍晋三の選挙区を守ろうとなりふり構わぬ発言が安倍が亡くなるまで続いた。その延長線では「1人当たり月給で手取り100万未満の議員を多少増やしてもバチは当たらない」「議長になっても毎月もらう歳費は100万円しかない。上場会社の社長は1億円は必ずもらう」との暴言を吐き、夜回りの女性記者相手のセクハラ発言などが暴露され、到底三権の長としての振る舞いとは思えぬ行動や発言に、自民党内からも辞任必至の声が上がった時期もあった。

★ここまでの騒ぎになった原因は昨年秋に自民党が教団との関係のアンケート(調査)をした時、会派を離脱していただけの細田を“自民党離脱”と拡大解釈して調べなかったこと。それを今になって自民党幹事長・茂木敏充は「しっかり説明していただければと思う」という始末。同時に衆院議長・副議長は与野党の賛同で選ばれているなどの院の慣例にあるからだ。我が国の三権の長は随分と薄っぺらくなった。(K)※敬称略
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●#赤木俊夫さんを忘れない…《私たちは、声を上げ続けなければならない…希望を捨てず、雅子さんを支え続けようではないか》(古賀茂明さん)

2022年12月21日 00時00分15秒 | Weblog

[※ 2017年2月17日はアベ様のタンカ記念日というトリガー(『報道特集』、2021年06月26日)↑]


(2022年12月08日[木])
#赤木俊夫さんを忘れない
 日刊ゲンダイの記事【正義も公正もない日本という国 古賀茂明】(https://dot.asahi.com/wa/2022120100068.html)によると、《森友学園に関する公文書の改ざんを強要され、後に自殺に追い込まれた近畿財務局の職員赤木俊夫さんの妻、雅子さんが、改ざんを指示した佐川宣寿理財局長(当時)を訴えた裁判で、11月25日、大阪地裁は訴えを退けた》。

 大阪地裁には佐川宣寿氏は出廷しなかったそうだ、一度も。判決の日、氏の代理人さえ法廷に姿が無く、被告人席はカラ。すごいなぁ、佐川氏。

 古賀茂明さん《正義も公正もない日本という国》《行政府はもちろん、国権の最高機関である国会も、そして民主主義の最後の砦である裁判所までもが揃って、犯罪者を守り被害者を切り捨てるのがこの国の民主主義だということだ「正義」や「公正」はどこに行ってしまったのか》。(前川喜平さん)《法は正義を実現するためにあるのではないのか 裁判所はこのように消極的であっていいのか?》と。
 何度でも、書こうと思う。《元裁判官は、「判決とは国家の意思なんだ…」》、これは今も変わらないのでは。斎藤貴男さん《「梅田事件」…当時、「週刊文春」の記者だった私は、彼を殺人犯に仕立てた連中に、「今のお気持ちは」と尋ねて回る取材を仰せつかったのだが、凄まじい成果を得てしまった。「犯人は梅田だと上が言うから逮捕したまで証拠なんかねえよ」と、元刑事は笑ったし、元裁判官は、「判決とは国家の意思なんだ真犯人なんか誰でもいい裁判所が死刑だと言えば吊るせばいい無期だと言ったらつなげばいいんだ」と、力説してくれたものである》。

   『●《近畿財務局元職員の妻が…佐川宣寿氏と国を相手に…大阪地裁に
     提訴》…《前代未聞の改ざんなのに、最高責任者の麻生太郎財務相》は?
    《刮目すべきは、「手記」の中で佐川氏以下、改ざんを主導した財務省
     幹部らの実名を〈刑事罰、懲戒処分を受けるべき者〉として、
     次のように記していることだ。
      〈佐川理財局長、当時の理財局次長、中村総務課長、企画課長、
     田村国有財産審理室長ほか幹部 担当窓口の杉田補佐
     (悪い事をぬけぬけとやることができる役人失格の職員)〉
      佐川氏をはじめ幹部職員らは、国有地を8億円もダンピングして
     売却した背任や公文書を改ざんした虚偽公文書作成の疑いで告発
     されたものの大阪地検は不起訴誰も刑事責任を負っていない

   『●森友公文書改ざんという犯罪を強要…《誰のために何をまげて何を
     守ったか》? 《自分たちはこの件の犠牲者だ…》気取りの犯罪者たち
   『●大阪地裁・中尾彰裁判長は、赤木雅子さんが申請していた「…証人
     尋問はすべて必要ないと判断します」と…どうしたらそんな判断に?
   『●もう一つの裁判《財務省に情報開示を求める裁判》…前川喜平さん
     《五年かかろうと十年かかろうと真実は明るみに出さなければならない》
   『●【赤木俊夫さんを忘れない/前川喜平】《公文書改竄事件…菅官房長官の
         指示があったと思うし、…安倍首相も了解していたと見ている》

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https://dot.asahi.com/wa/2022120100068.html

正義も公正もない日本という国 古賀茂明
政官財の罪と罰
古賀茂明
2022/12/06 06:00

     (筆者:古賀茂明)

 森友学園に関する公文書の改ざんを強要され、後に自殺に追い込まれた近畿財務局の職員赤木俊夫さんの妻、雅子さんが、改ざんを指示した佐川宣寿理財局長(当時)を訴えた裁判で、11月25日、大阪地裁は訴えを退けた

【この記事の写真の続きはこちら】

 まず、本件で起きたことを復習してみよう。

 財務省の幹部である佐川氏は、明らかな犯罪行為である公文書改ざんを主導したのに刑事責任を免れた安倍晋三元総理の事実上の支配下にあった検察当局が佐川氏を擁護したからだ。その一方で、うつ状態にあった赤木俊夫さんは検察の無理な取り調べを受け、自殺へと追い込まれた。検察は、加害者を守り被害者を攻撃したのだ。

 次に、財務省は、第三者による調査を拒否し、内輪の調査で逃げようとした。事件の詳細は明らかにされず、後に公表された赤木さんが書き残した経緯に関する詳細なメモについても隠したまま、佐川氏らに形だけの懲戒処分を行ってお茶を濁した。本件に関与した数十人の職員も組織ぐるみの隠ぺいに加担した。安倍政権はもちろん、菅義偉政権も岸田文雄政権も赤木ファイルに書かれた内容を含む新たな事実関係について調査することを拒み、雅子さんが面会を求めた岸田総理は、頑なにこれを拒否している。つまり、行政府全体が、佐川氏やその背後にある何かを守り、赤木夫妻を切り捨てているのだ。

 国会で野党はこれを厳しく追及したが、圧倒的多数を握る与党の壁は厚く、国会が真相究明に乗り出すことはあり得ない

 こうした状況を打開するため、雅子さんは、佐川氏と国に対し約1億1000万円の損害賠償を求める裁判を起こした。賠償金目当てではない。裁判を通じて佐川氏ら関係者から真実を引き出すのが目的だ。しかし、昨年12月、争う姿勢を見せていた国が、佐川氏らの証人尋問直前の段階で、雅子さん側の請求をすべて認める「認諾」手続きを取った。裁判所がこの卑怯なやり方を認めたため、国に対する裁判は、佐川氏らが登場することなく終結した。もちろん、真実は闇のままだ

     (佐川宣寿・元財務省理財局長)

 雅子さんは、佐川氏個人を相手取った裁判を継続し、佐川氏ら関係者を裁判所で尋問することで真相に一歩でも近づこうとした。しかし、冒頭で紹介したとおり、大阪地裁は、実質的な審理を全く行わないまま、訴えを棄却してしまった司法にも見捨てられた形だ

 一連の経緯が示すのは、行政府はもちろん、国権の最高機関である国会も、そして民主主義の最後の砦である裁判所までもが揃って、犯罪者を守り被害者を切り捨てるのがこの国の民主主義だということだ「正義」や「公正」はどこに行ってしまったのか。そう考えると、虚無感に襲われる。

 そして、これほどの民主主義の危機に対して新聞やテレビの扱いがあまりに通り一遍なのを見て、さらに絶望感に苛まれる

 雅子さんはいつも、忘れ去られてしまうことを一番恐れて来た真実が永遠に闇に葬られることになってしまうからだ。だから私たちは、声を上げ続けなければならない。将来、上告審で本件を審理するであろう最高裁の判事たちも人の子だ。国民の声が日本中に鳴り響けば、下級審に対し、最初から実質的審理をやり直すよう命じると信じたい。それまで、希望を捨てず、雅子さんを支え続けようではないか

※週刊朝日  2022年12月16日号


古賀茂明(こが・しげあき)/古賀茂明政策ラボ代表、「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。1955年、長崎県生まれ。東大法学部卒。元経済産業省の改革派官僚。産業再生機構執行役員、内閣審議官などを経て2011年退官。近著は『官邸の暴走』(角川新書)など
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●(狙撃兵)《その死を呼び寄せた原因が反日カルト組織である統一教会とズブズブだった関係にあり…なぜ「ファザームーン」みたく神格化…?》

2022年10月23日 00時00分32秒 | Weblog

[※ 「統一教会だけじゃない! 自民党政治の背景に これだけの宗教右派」(週刊金曜日 1395号、2022年10月07日) ↑]


(20221009[])
コラム『狙撃兵』《美しい国・日本」「この国を守り抜くなんて叫んでいた自称右派陣営の親玉たるや、お爺さんの代から統一教会とは深い関係を切り結び、当の教団は日本人信者から献金によって財産を剥ぎとり、日本や日本人を従属させることを是とする教義に導かれた反社会的団体であった》《日頃から反日をことのほか問題視する連中が、そのような教団に頭が上がらず選挙では世話になり、「マザームーン」などと呼称して賛辞を送ったり、100人をこえる自民党政治家がタダ働きする秘書をあてがわれていたり、政界汚染は想像以上に深刻である。自民党にとって統一教会はなくてはならない存在になっていることを伺わせるほどである。議員がこぞって群がっているのを見ると、宗教マネーに飼い慣らされていたとしてもなんら不思議ではないのだ。そのような輩は、「この国を守り抜く」のスローガンとは裏腹に反日カルトを野放しにし、教団の経済部隊による資産略奪を容認し、幇助してきた売国奴》…。

 そう、《売国奴》であり、《国賊》だ。
 ところが、折角上がった「火の手」を必死に消火するズブズブ壺壺ヅボヅボ自民党は一体どうなってんのか? 自民党唯一の〝良心〟と思われる村上誠一郎議員の発言よりも、統一協会票の差配等々のアベ様案件こそが《国賊》であり、《党員の品位を汚す行為》だと思いますが?、萩生田光一政調会長・世耕弘成参院幹事長殿。《「けじめ」を要求》だってさ、笑ってしまうね。お二人は、統一教会とのズブズブ壺壺ヅボヅボの《「けじめ」》は何時つけられるのですか? 最近では、アベ様派・細田派の細田博之衆院議長までもが票の差配をしていたとの話が出てきている。

   『●漸く内部から火の手が…村上誠一郎議員《安倍氏の政権運営が「財政、
        金融、外交をぼろぼろにし、官僚機構まで壊した。国賊だ」と批判》
   『●村上誠一郎議員の発言よりも、統一協会票の差配等々のアベ様案件
     こそが《国賊》であり、《党員の品位を汚す行為》だと思いますが?(1)
   『●村上誠一郎議員の発言よりも、統一協会票の差配等々のアベ様案件
     こそが《国賊》であり、《党員の品位を汚す行為》だと思いますが?(2)
   『●自民党《国賊》(発言)処分問題…数多のアベ様案件や《悪夢》な暴政、
     ズブズブ壺壺ヅボヅボな統一協会との関係と「政」への介入こそ《国賊》
    《60余年前の石橋湛山のことばは、今の悲惨な自民党の政治状況を
     的確に表現し、批判しています。まあ、自民党は、あるいは日本の
     政治は変わらなかったんだなあという落胆でもありますが。しかも
     湛山は、言論機関と国民の役割にも触れていました》

  『●自民党議員の皆さん、《留飲を下げ》られましたか? 《「国賊」は
     だめだがそれ以外の発言は幾人もの議員が同調、または同様の発言》



 長周新聞のコラム【「安倍晋三万歳(マンセー)」の異様/コラム 狙撃兵】(https://www.chosyu-journal.jp/column/24588)によると、《世論の6割近くが反対しているなかで、27日に安倍晋三の国葬が実施された。会場となった武道館周辺は2万人もの警察官を動員して厳重な警備体制が敷かれ、首都高や一般道も規制されるなど、文字通り国を挙げての大がかりなイベントとなった。国会前や都内の各所では、かつて「あんな人たち」呼ばわりされた人々による国葬反対デモが盛り上がりを見せ、一方で「こんな人たち」は安倍神様とでもいわんばかりに一政治家に過ぎない故人を神格化し、崇め奉った。その光景は、幾度となくくり返されてきた両者激突の喧騒を彷彿とさせ、最後まで安倍晋三だな…と思わせるものでもあった》。

   『●武田砂鉄さん《細田は偉いので辞めていない。吉川は偉くないので
     離党させられた…細田議長は黙ったまま、超強引に乗り切ろうと試みる》
   『●三権の一角…伊達忠一参院議長「発言をやめなさい…
       連れて行けって…やめさせて連れて行けっちゅうの」
   『●伊達忠一前参議院議長が元総理に統一協会票を依頼したと驚きの証言…
     《今回…安倍さんは…。『井上(義行氏)をアレ(支援)するんだ』…》

 近年、マシな「三権の長」っていましたっけね? 両院の議長はデタラメ続き、「立法府の長」を詐称する「行政府の長」に至っては、開いた口がふさがらないし。最高裁判所長官もアノザマだ。
 日刊スポーツのコラム【政界地獄耳/衆院議長・細田博之 これほどスキャンダルな三権の長は近年いない】(https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202210060000084.html)によると、《★これほどスキャンダラスな三権の長は近年いない。衆院議長・細田博之のことだ。小泉内閣で官房長官、国対委員長を、麻生内閣で幹事長、安倍内閣で総務会長と権力の中枢で要職をこなし、元首相・安倍晋三が官邸にいる間、安倍派を守り続けた。島根1区選出、当選11回の重鎮だ。だが近年の細田の評価は芳しいものではない》。

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https://www.chosyu-journal.jp/column/24588

「安倍晋三万歳(マンセー)」の異様
コラム 狙撃兵 2022年9月30日

 世論の6割近くが反対しているなかで、27日に安倍晋三の国葬が実施された。会場となった武道館周辺は2万人もの警察官を動員して厳重な警備体制が敷かれ、首都高や一般道も規制されるなど、文字通り国を挙げての大がかりなイベントとなった。国会前や都内の各所では、かつて「あんな人たち」呼ばわりされた人々による国葬反対デモが盛り上がりを見せ、一方で「こんな人たち」は安倍神様とでもいわんばかりに一政治家に過ぎない故人を神格化し、崇め奉った。その光景は、幾度となくくり返されてきた両者激突の喧騒を彷彿とさせ、最後まで安倍晋三だな…と思わせるものでもあった。

 統一教会の問題が明るみに出るなかで、自民党とカルト宗教団体との蜜月関係について解明を求める世論は高まり、それに対して「丁寧に説明する」をくり返すが何も説明しない岸田内閣の支持率は急落してきた。真摯に向き合うのではなく、人の噂も75日でたぶらかしていく感じがありありだったことから世論の反発を招いたのだろう。今回の国葬について、これはさながら岸田政府の生前葬なのだ――といわれると、ジリ貧の内閣支持率とも相まって、確かにそうかもしれないという気にもなる。誤魔化して煙に巻く態度を貫き、統一教会問題をまるで何もなかったかのようにとぼけて「安倍先生、日本国を導いて下さってありがとうございました」というのでは、モヤモヤした疑問は払拭されず、むしろ不信感が募るものである。だって、いくらメディアがお涙頂戴で偉人のように虚飾したところで、結局のところ、安倍晋三って統一教会じゃないか! だから銃殺されたんだろ? と振り出しに戻るのである。

 国葬の実施については法的根拠がないことなど、制度的な問題点は指摘されている通りである。ただそれ以上に思うのは、その死を呼び寄せた原因が反日カルト組織である統一教会とズブズブだった関係にあり、それらは何ら検証もないまま、なぜ「ファザームーン」みたく神格化して送り出さなければならないのか? である。美しい国・日本」「この国を守り抜くなんて叫んでいた自称右派陣営の親玉たるや、お爺さんの代から統一教会とは深い関係を切り結び、当の教団は日本人信者から献金によって財産を剥ぎとり、日本や日本人を従属させることを是とする教義に導かれた反社会的団体であった。

 日頃から反日をことのほか問題視する連中が、そのような教団に頭が上がらず選挙では世話になり、「マザームーン」などと呼称して賛辞を送ったり、100人をこえる自民党政治家がタダ働きする秘書をあてがわれていたり、政界汚染は想像以上に深刻である。自民党にとって統一教会はなくてはならない存在になっていることを伺わせるほどである。議員がこぞって群がっているのを見ると、宗教マネーに飼い慣らされていたとしてもなんら不思議ではないのだ。そのような輩は、「この国を守り抜く」のスローガンとは裏腹に反日カルトを野放しにし、教団の経済部隊による資産略奪を容認し、幇助してきた売国奴といってもいい過ぎではない。そして統一教会は北朝鮮にも4000億~5000億円ともいわれる資金を渡し、そのカネによってミサイル開発その他がやられていたことも暴露されてきたが、「憎き北朝鮮」なんていいながらプロレスをしていたこと等等、すべてがアベコベなのである。

 統一教会と自民党の闇についてはまだまだ解明など進んでいない。100人をこえる秘書軍団すなわちスパイともいえる個人の炙り出しや特定も何らやられていない。余程の弱みを握られているか、仲間であり、身内だからこそ大切に守るのであろう。すべては旧態依然として野放しなのだ。そして現状では、萩生田光一をはじめとして誰一人として自民党政治家のなかで処分された者などいない。むしろ100人以上も関係を持ってきた政治家だらけであり、みんなして黙ってしまい、ほとぼり冷めるまで誤魔化そうという魂胆なのである。いずれにしても、統一教会の問題をまるでなかったことのようにとぼけて「安倍晋三万歳(マンセー)」している光景は異様である特定の一族を崇め奉りたいのであれば、統一教会葬でやりやがれ! と思うのである。

                      吉田充春
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https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202210060000084.html

コラム
政界地獄耳
2022年10月6日7時30分
衆院議長・細田博之 これほどスキャンダルな三権の長は近年いない

これほどスキャンダラスな三権の長は近年いない。衆院議長・細田博之のことだ。小泉内閣で官房長官、国対委員長を、麻生内閣で幹事長、安倍内閣で総務会長と権力の中枢で要職をこなし、元首相・安倍晋三が官邸にいる間、安倍派を守り続けた。島根1区選出、当選11回の重鎮だ。だが近年の細田の評価は芳しいものではない。

★選挙博士の異名をとるほどの選挙通で、歴代衆院議長の下、一票の格差問題を解決するための超党派の会議でも座長を務め、年内にも党内の区割りが確定するといわれる10増10減をまとめた。ところが自らまとめたこの案を「地方いじめのような、都会だけ増やすようなことは、もうちょっと考えたらどうか」と批判し始めた議長には中立さが求められるがお構いなしだ

★今年5月には議長になっても毎月もらう歳費は100万円しかない上場会社の社長は1億円は必ずもらうと言い出し、同月には週刊誌に1人暮らしの自宅に、女性記者らに対して今から(1人で)来ないか」「添い寝をしたら教えてあげると電話やメールをしていたと報道されている。先の国会ではこのセクハラで野党から不信任案を突き付けられた。また2カ月以上前から幾度も旧統一教会との接点を報じられながら自民党は「議長は会派離脱中」とかばい続け、国会開会直前の先月29日、説明にもならない1枚の紙を提出。立憲民主党国対委員長・安住淳は「疑念が深まった。質問に答える場を作る責任がある」と手ぐすねを引く。3日の衆院本会議。旧統一教会について、首相が「説明責任を果たしながら、信頼回復のために取り組みを進めていく」との声にかぶせて野党から「議長の説明責任は」の声が飛んだ。同党代表・泉健太は5日の代表質問で質問席の後ろに座る細田の方を向き「議長は真相を語らねばなりません」と詰め寄った。経済再生相・山際大志郎と共に細田は野党のターゲットに入ったといえる。(K)※敬称略
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●息吐く様にウソをつくアベ様は如何に〝誕生〟したのか? そして、数多のアベ様案件の〝トドメ〟が統一協会とのズブズブ壺壺ヅボヅボ

2022年10月11日 00時00分51秒 | Weblog

[※ 「統一協会の捜査を阻んだ「政治の力」 有田芳生青木理」(週刊金曜日 1392号、2022年09月09日) ↑]


/ (2022年09月27日[火] … 結局「丁寧な説明」もなく、アベ様の国葬モドキの日を迎えて)
息吐く様にウソをつくアベ様は如何に〝誕生〟したのか? そして、数多のアベ様案件の〝トドメ〟が統一協会とのズブズブ壺壺ヅボヅボ…。血税を使って国葬 (国葬モドキ) なんてやってはいけないでしょうに、《「無知」「無恥」、そして「言い訳の天才という“才”を武器》にするようなアベ様の国葬 (国葬モドキ) なんて。

   『●アベ様は、「政治への強い志も知の蓄積の気配すらも
     見られなかった」(青木理さん)…原点回帰な9条壊憲
    《私は少し前、幼少期からの首相を徹底取材し、
     「安倍晋三とは何者か」についての連載ルポを本誌上で
     発表した(『安倍三代』<朝日新聞出版>として書籍化)が、
     政界入り前の首相に現在のような右派的政治スタンスの影は
     微塵(みじん)もなかった。いや、そもそも政治への強い志も
     知の蓄積の気配すらも見られなかった。あるとするなら、
     溺愛(できあい)してくれた祖父・岸信介元首相への敬慕と、
     祖父を猛批判した左派陣営への嫌悪と反発。首相自身、
     小泉政権の官房長官だった06年7月、こんな表現で改憲への
     意欲を語ったこともある》

   『●『「安倍晋三」大研究』(望月衣塑子&特別取材班著)読了
     …《「なぜ安倍さんは〈噓〉をつくのか」という…疑問…》
    「《『安倍三代』…を書き上げた青木理さんは若き日の安倍晋三を
     評して「恐ろしくつまらない男だった」とし…》(p.83)、それが、
     今やニッポン国の首相。」

   『●青木理さん《そこまで政治家に期待するほどウブではない。ただ、
     子どもでもわかる嘘をこれほど連発して恥じない首相がかつていたか》?
    《現首相のルーツや生い立ちを取材して「安倍三代」(朝日文庫)を
     書いた際、成蹊大で現首相を教えた碩学が発した言葉は強烈だった。
     かつての教え子を評して「二つのムチ」に蝕まれていると。それは
     「ignorant」の「無知」と「shameless」の「無恥」だと》

   『●《権力をほしいままにし、国家を私物化してきた安倍首相も官邸を
     出てしまえば“ただの人”…司直の手に落ちることになるのか》?
   『●アベ様案件…(武田砂鉄さん)《近場から放たれる「病人なんだから」
      という、勝手に設けられた除外規定を素直に受け止め過ぎでは》?
   『●《そんな「捏造体質」の持ち主が…メディアに対して「捏造体質は
     変わらないようだ」などと特大ブーメランを飛ばすとは…》(リテラ)
   『●無恥・無知・鞭…《厚顔無恥の嘘つき政治家》《この稀代の恥知らず男》
      《まさに無知であることをまったく恥じていない》アベ様が未だに…
    《加藤節名誉教授は、ジャーナリスト・青木理氏の著書『安倍三代
     (朝日新聞出版)のなかでこう語っている。
     「(晋三は)政治学科ですし、憲法も法律もしっかり勉強しなかった
      んでしょうね
     「しかも、憲法改正を訴えているんですから、(芦部を)『知らない』
      なんて言うべきではないまさに無知であることをまったく恥じて
      いない。戦後の日本が、過去の世代が、営々と議論して築きあげて
      きた歴史を学ぼうともせず、敬意すら持たないおそるべき政治の
      劣化です
     このように、憲法について無知であることを恥じることさえない安倍
     前首相が深く関与してつくられた2012年の自民党の憲法改正草案
     では、安倍氏の一声で自衛隊が「国防軍」と記述されたほか、人権を
     制限したり、公助を放棄し家族の助け合いを「義務」とするなど
     恐ろしい内容になっていた。にもかかわらず、こうした憲法改正草案
     の問題点を野党議員が2016年に国会で指摘すると、安倍前首相は
     「(草案を)世に出したのは私ではない。谷垣総裁のときに出された」
     「憲法について論評はできるが、答える義務はない」などと逃げたのだ》

   『●《保守の安倍が反日カルトとつながった》? 《保守ではなく、反日の
     エセ保守…支持してきたのは新自由主義勢力と政商とカルトの複合体》
    《晋三氏の父方の系譜をたどった『安倍三代』の著者でジャーナリストの
     青木理さんとともに、「三代目世襲政治家・安倍晋三」の実像に迫った》

 日刊ゲンダイの寄稿【青木理 特別寄稿/安倍晋三は政治家一家に生まれた平凡な人 空虚な器にジャンクな右派思想を注ぎ込まれた】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/311527)によると、《だが、しばらくして別の編集者から少し異なる提案があった。「安倍晋三のような政治家がなぜ生まれたのか、ルーツにまで遡った評伝なら食指が動かないか」と。なるほど、と思った。…つまり、政治一家としての地平を切り開きながら実像があまり知られていない安倍寛を起点とし、晋太郎、晋三へと連なる安倍家3代の系譜を追えば、現代日本政治を俯瞰しつつ問題点も照射できるのではないか--そう考えて完成させたのが「安倍三代」(朝日文庫)である》

   『●《「もう黙ってろ」…かの権力集団の、これぞ卑しくも悲しい本質では
     なかろうか。私たちは自由な魂を湛えた主権者だ。心まで支配される…》
   『●《◆議会に諮らず民主主義否定》《◆「勇み足」へのブレーキない》
    《◆制度的に不可 人物的に値せず》《◆立派だと誤認 子供の影響心配》

 アベ様の国葬モドキを強行。《「もう黙ってろ」…かの権力集団の、これぞ卑しくも悲しい本質ではなかろうか。》(斎藤貴男さん)。「丁寧な説明」はどこに行ったのだろうか??

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https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/311527

特別寄稿
安倍晋三は政治家一家に生まれた平凡な人 空虚な器にジャンクな右派思想を注ぎ込まれた
青木理

公開日:2022/09/27 06:00 更新日:2022/09/27 06:00

     (2017年に上梓した「安倍三代」は19年に文庫に)

 第2次安倍政権の発足後、ある編集者から「安倍晋三の評伝を書かないか」と提案を受けた。だが、私は断った。面白い評伝になるとは到底思えなかったからである。

 今も昔も人物評伝はノンフィクションの華だが、それが成立するには不可欠の条件がある。対象が善人だろうと悪人だろうと、政治家だろうと犯罪者だろうと、その人物が頭抜けた磁力を発し、そうした人格を形作った逸話や物語に彩られていること。それがなければ、いくら取材を尽くしても面白い評伝など書けはしない。そして安倍晋三という人物に、それほど魅力的な逸話や物語があるようには微塵も思えなかった

 だが、しばらくして別の編集者から少し異なる提案があった。「安倍晋三のような政治家がなぜ生まれたのか、ルーツにまで遡った評伝なら食指が動かないか」と。

 なるほど、と思った。いまさら記すまでもなく、晋三の父は安倍晋太郎、母方の祖父は岸信介。父方の祖父・安倍寛もまた戦中に衆院議員を務め、眩いほどきらびやかな政治一家だが、そうした家に生まれていなければ、晋三が政治家になることはなかった。現代日本に蔓延する政治世襲への問題意識も抱いていた私は、それならば取材執筆の価値は十分あると考えて提案を受けた。

 つまり、政治一家としての地平を切り開きながら実像があまり知られていない安倍寛を起点とし、晋太郎、晋三へと連なる安倍家3代の系譜を追えば、現代日本政治を俯瞰しつつ問題点も照射できるのではないか--そう考えて完成させたのが「安倍三代」(朝日文庫)である。

 成果は拙著をお読みいただきたいが、軍部ファッショの嵐が荒れ狂った先の大戦中、軍部の圧力を受けながら翼賛選挙を非推薦で勝ち抜いた寛は、強烈な魅力を発する反骨の政治家だった。息子の晋太郎は所詮2世の“プリンス”ではあったが、山口の寒村で父の支持者に囲まれて育ち、大戦末期には志願した特攻を辛うじて生きのび、存外に魅力的逸話の多い政治家ではあった。


■政治姿勢につながるエピソード、逸話が出てこない

     (「悲運のプリンス」と呼ばれた晋太郎(C)共同通信社)

 だが、やはり晋三は違った。東京で生まれ育ち、小学校から大学までを成蹊学園で過ごし、いくら取材しても語るに値する逸話がない。同級生や恩師、あるいは大学卒業後にコネ入社した神戸製鋼所の上司や同僚など、何十人もの関係者に話を聞いたが、のちの政治姿勢につながるエピソードさえ出てこない。

 それどころか、晋三の口から政治的な発言を聞いたことのある者すら皆無--決して大袈裟ではなく、1人たりともいなかった。晋三は大学時代、地方自治を専門とする碩学のゼミに所属したが、当時を知る教員は「彼が卒論で何を書いたかも覚えてないし、ゼミで何かを積極的に発言した記憶もない」と振り返るのだった。

 かといってワルでもなく、成績はごく平凡。あえて等身大に評すれば、名門政治一家に生まれはしたものの、可もなく不可もないボンボンのおぼっちゃま。そんな晋三がなぜゴリゴリの右派に変貌したのか。神戸製鋼所時代の上司は当時の晋三を「要領がよくて、みんなに好かれていましたよ。たとえて言えば、まるで子犬」と評し、のちの政治姿勢についてはこう指摘している。

「周りに感化されたんでしょう。子犬が狼の子と遊んでいるうち、あんなふうになってしまった。僕はそう思っています」

 おそらくはその通りだったのだろう。戦後日本政治における右派の巨頭・岸の孫として生まれた晋三を、永田町内外の右派勢力はサラブレッドとして育てた。晋三にも、それが時代の潮流だと読む計算程度はあったのか、少なくとも自らを溺愛した祖父・岸への憧憬を抱いていた。そうして空虚な入れ物に、ジャンクな右派思想ばかりが注ぎ込まれた


■「無知」と「無恥」は安倍政権の顕著な特質

     (貴公子然とした若手時代(C)共同通信社)

 一方で皮肉をこめて記せば、晋三には政治家としての「強み」があった。まずは強運。戦後生まれ初の宰相となった第1次政権は短期で投げ出したが、民主党政権の瓦解を経て政権に復帰すると、今度は7年8カ月もの「一強」を維持した。第1次政権の蹉跌に学んだところもあったにせよ、しかしそれは真に「一強」だったか。

 各種世論調査では常にそこそこの内閣支持率を維持し、選挙も連勝したが、支持理由の最多は終始一貫「ほかに適当な人がいない」。政権が高く屹立したのではなく、政権交代の失敗に人々が失望し、しかも野党が四分五裂し、周囲が総陥没した結果としての「一強」。国にとっては不幸だが、政治の貧困ゆえに長期政権を担えたその強運。

 もうひとつ、最大の強みが晋三にはあった。私にそれを教えてくれたのは、晋三の母校・成蹊大の恩師でもある加藤節(成蹊大名誉教授、政治学)。「安倍三代」の取材でインタビューした際、加藤は安倍政権の顕著な特質を「ふたつのムチ」--すなわち「無知」「無恥」に集約されると辛辣批判した。

 もちろん加藤は、改憲を訴えるのに憲法学の泰斗だった芦部信喜すら知らないと言い放つかつての教え子を難じる文脈でそう語ったのだが、逆にいえばこれは強烈な「強み」でもあると私は感じた。

 「無知」「無恥」な人間は、ある意味で最強である。先人が積み重ねてきた知に疎いのに--いや、疎いからこそ、ルール違反の横紙破りも平然としでかし、しかも「無恥」ならば批判や諫言も暖簾に腕押し、糠に釘、批判が刺さらず、何の痛痒も感じない


■世襲の運命にのみ込まれた最期

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青木理氏(C)日刊ゲンダイ)

 だからこそ、いち内閣の閣議決定で憲法解釈を覆し、そのために内閣法制局長官をすげ替え日銀総裁やNHK会長にお友達を送り込む掟破りもいとわない支持者や提灯持ちには利益誘導を繰り返し、その一端が「モリカケ桜」問題として噴出しても嘘、詭弁を連ねて知らぬ顔「桜」問題だけで118回も国会で嘘を吐き「森友」では自らの開き直りで公文書が改ざんされ真摯な公務員の命が絶たれ、多少たりとも廉恥の情があれば耐えられない状況でも平気の平左、「日教組、日教組!」と口をとがらせて野党に野次を飛ばす

 これも首相が行政府の長であるという知に立脚すれば、国権の最高機関で野次を飛ばすのは禁忌だが、すべては「無知」「無恥」の成せる術。「安倍三代」には記さなかったが、毎日新聞で晋太郎の番記者だった故・岸井成格が生前教えてくれた逸話も思い出す。晋太郎は晋三を岸井に紹介した際、苦笑しつつこう漏らしたのだという。「こいつはね、出来は悪いが、言い訳をさせたら天才的だ」と。そうやって「無知」「無恥」、そして「言い訳の天才という“才”を武器に「憲政史上最長」政権を成し遂げたボンボンが、病でも政治テロでもなく、カルト宗教に人生を破壊された男に手製銃で撃ち抜かれてしまったのは、最後の最後に世襲政治家としての運命にのみ込まれてしまったようにも思える。

 繰り返しになるが、世襲政治一家に生まれなければ晋三が政治家になることはなく、その空虚な器にジャンクな右派思想を注ぎ込まれることもなかった。だが、いまさら記すまでもなく旧統一教会が日本で勢力を伸ばす端緒を開いたのは祖父の岸。以後3代続いた教団との蜜月が汚れた澱を深く重く沈殿させ、ついにはそれが強烈な遺恨となって3代目の胸を貫いてしまったのである。

 「安倍三代」の系譜を取材した者として唯一心残りなのは、晋三が岸ではなく、寛に共感を寄せていれば、その政治姿勢も随分異なったものになったろうし、このような最期を迎えることはなかったのでは、という点だが、空虚な体にジャンクな右派思想を満たしてしまった3代目にそのようなことを言っても、もはや詮ない。なにより当の3代目がもうこの世にいないのだから。

青木理(あおき・おさむ) 1966年、長野県生まれ。慶大文学部卒業後、共同通信社入社。社会部、外信部、ソウル特派員などを経て、2006年からフリー。「日本の公安警察」「日本会議の正体」「情報隠蔽国家」「破壊者たちへ」など著書多数。
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