Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

「ガラス絵」という本

2018-10-31 08:36:04 | 読書
佐田 勝「ガラス絵 - 技法と鑑賞」造形社 (1968).

いつもCDケースに絵を描いているが,これはガラス絵と同じこと.こういう「参考書」はめったにないので即刻購入.古書店で300円.

著者は藤島武二に師事.1951年に日本ガラス絵協会を設立した.

本書では,まず佐藤春夫の「ガラス絵は芸術としてみるには少々おもちゃのようだし,おもちゃといってしまうにはあまりに芸術です」という言が引かれる,小出楢重のガラス絵における業績を高く評価している.

A5版88ページ.カラー図版は数葉のみであとはモノクロだが,昔の本だから仕方がない.

目次は,1) ガラス絵について,2) ガラス絵の描き方,3) ガラス絵の技法,4) ガラス絵の保存,5) ガラス絵の特徴,6) ガラス絵の利用,7) ガラス絵と額縁,8)ガラス絵の歴史.

2) では著者の作品を中心に,裏から面からの制作過程が写真で示される.著者は沖縄の動植物を好んで描いているが,図右のようにヌードも良い.7) に書いてあるように小さいの絵の場合,額縁が重要だが,このヌードは好例.

3) で紹介される長谷川利行,脇田和の作品も良い.
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

光文社古典新訳文庫 方丈記

2018-10-30 09:14:15 | 読書
鴨 長明, 蜂飼 耳 訳.2018/9.
このところの災厄続きに「方丈記」を紐解く...といっても,現代語訳を買って読むだけのこと.蜂飼 耳さんとは何者? 見返しにものたりず Wiki を見たら女性であることがわかった.
152ペーシの文庫本だが,現代語訳38ページ,原点28ページ,あとは,まえがき・あとがき・エッセイ・解説・和歌・地図・etc.方丈記だけで一冊にするのは大変だ.訳文では

   ゆく河の流れは絶えずして,しかももとの水にあらず.

が長くなり,漢字も少し変わって

   川の流れは絶えまなく,その水はいつも入れ替わり,もとの水はとどまらない.

となる.原文の持つリズムも変わる.

日本の古典を現代語訳で読むのは初体験かと思ったが,与謝野源氏を途中で放り出したことを思い出した.

12-13世紀には天候不順や地震の影響は甚大であった.文明はそれを徐々に緩和したが,地球温暖化という不可逆的な災厄を招きつつある...というようなことをネタにすれば,新・方丈記ができそう.

著者は出家遁世したというが,読んであまりそういう気がしない.50代後半の本だが,70代後半の現代の俗人にはぴったりくる部分が多かった.

方丈の庵についてのくわしい記述があり,これに従って間取り図を描いてみたくなったが,思いついてググったら,「方丈の庵」復元実験を報告した pdf があった.下の図はこのページから転載させていただいた.


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

FINRUG

2018-10-29 08:35:04 | エトセト等
フィンランドのラグだから FINRUG.
銀座松屋で遭遇.J 子と意見が一致して,40㎝×40㎝サイズの座布団タイプ2枚購入.
リバーシブル.縦糸はリネン,横糸はウール+リネン (麻).

こども時代からの松屋ファン.当時は吹き抜けが珍しかった.
もとは横浜の呉服店と聞く.もっぱら歩き回るのは7階のリビング,ギャラリーだが,センスがいい.
でも,次第に松屋カラーが薄れてきたように思われる...





コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

塩豆腐 チーズ豆腐

2018-10-28 09:01:43 | エトセト等
地域の収穫祭に豆腐屋さんが車で出店していた.湯葉・塩豆腐・チーズ豆腐を買った.写真に撮ったが,どちらも白いだけで,アップしてもつまらなそう.

塩豆腐は紙に包まれたものがビニール袋に密閉されていた.あまり塩はきつくない.オリーブ油と胡椒で,とすすめられた.それはそれで良かったが,ゴーヤと柿との白和えも成功.水切りをせずそのまま使えるのが良い.

チーズ豆腐はカップ入り.豆腐にクリームチーズが混ざっている.醤油をたらして,こちらも塩豆腐同様ワインのお相手とした.蜂蜜でデザートというのも良いそうだ.

三次の佐々木豆腐店からの出張販売.本店にはレストランがあるが,いつも混んでいるらしい.
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

枯葉をヴァースから

2018-10-27 11:39:37 | ジャズ
フランス人はアメリカ人の演奏する枯葉が嫌いで,ひとつの理由はヴァースを省略するかららしい.フランスのジャズメンの枯葉では? と思って探したが,かろうじて見つかったのがバルネ・ウィランのこの演奏.マル・ウォルドロンとの共演が面白そう.

Bass – Stafford James
Drums – Eddie Moore
Piano – Mal Waldron
Sax – Barney Wilen



正調「枯葉」はイヴ・モンタンあるはジュリエット・グレコと思うが,椎名林檎もヴァースから歌っている.10-20代だったころはシャンソンをふつうにラジオ・テレビが流していたので,ぼくにはヴァース のメロディ(とその訳詞) がいまだに刷り込まれている.
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

筆が奏でる琳派の美 @ 筆の里工房

2018-10-25 21:30:31 | お絵かき
筆の里工房は,熊野筆の産地・広島県安芸郡熊野町の博物館.これは熊野町制施行100周年を記念する展覧会.すごい国宝が展示されているわけではないが,光悦や光琳が,日常的にこんな作品をモノしていたのかと 思ってみれば興味深い.



目玉扱いはされていない作品を2点.
鈴木守一「桜下花雛図」掛け軸の中に掛け軸が描いてある.下の はりこの犬が女の子の顔をしている.



こちらは俵屋宗達作と伝えられる,伊勢物語「関守」.
   人しれぬわが通ひ路の関守はよひよひごとにうちも寝ななむ
通ってくる男を嫌って,娘の父が関守すなわち門番 (絵の左下) を置く.右にぼーっと立っている男は,関守が「うちも寝ななむ(ちょっとでも)眠ってしまってほしい」と願うのだが,家の中にはさらに3人が娘を守っている...という状況.解説を読めばそうとわかるが,宗達さんは,現代の劇画のようにストーリーを語る努力を払っていない.

小学生から高校生までの団体がひっきりなしにバスで来ては帰っていく.エスカレータ式である.パンフレットもこのように学童向きだが,門外漢にはありがたい.

琳派とは関係がないが,筆づくりの実演を小学生の後ろから覗き込んだ.
CD絵用に,これまでダイソーの筆を使ってきたのだが,ミュージアム・ショップでは最低価格の,しかし数百円もする面相筆を奮発した.
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

江戸風鈴 : ここにもガラス絵

2018-10-24 23:10:48 | お絵かき
CDケースで遊んでいる.透明なふたに,反対側から見て絵になるように描くので,古来のガラス絵絵と同じである.
テレビの「ぶらぶら美術・博物館」.山田五郎で好き嫌いが分かれそうだが,うちでは喜んで見ている.そこで江戸風鈴を紹介していた.

ガラス球の中に筆を入れて絵付けをする.ここにもガラス絵だ! 外から描いたら雨風で絵の具が落ちるからだという.外側と違って,筆を使うと擦れ汚れてしまう心配もない.

テレビでは浮世絵の凝ったデザインの風鈴があったが,残念ながらネットで探しても出てこなかった.動画の20秒以降に絵付け風景.

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

猫と東大

2018-10-24 09:11:48 | 読書
*****広報室が丹精をこめて年に2回発行している,東京大学の広報誌「淡青」,今号の特集は、時局に鑑みて紹介する研究・教育活動集「猫と東大。」です.

猫ブームが続く昨今,忠犬ハチ公との結びつきが深い東大ではありますが,学内を見回してみると,実は猫との縁も豊富にあります.そこで、猫に関する研究・教育、猫を愛する構成員,猫にまつわる学内の美術品などまで取り揃えて紹介しました.

猫と日本文学(漱石、朔太郎),猫と歴史学,猫と医科学,猫と病理学,猫と行動学,猫と社会学,猫と遺伝学,猫と考古学,猫と美術史学,猫と教育プログラム,猫に関するコネタ集,そして「猫を愛し、猫に学ぶ」と題した猫派教員座談会…*****

この豪華な広報誌は,テレメールで取り寄せることができ,東大のホームページから無料でダウンロードもできる.

中身はじゅうぶん詰まっているが,読みやすい部分もあり,読みにくい部分もある.先生と言われるほどの馬鹿でなし...と言うが,編集者が執筆者たちを「先生」と持ち上げているのがちょっとひっかかる.


猫派教員座談会より

フランス文学教授 : 私が飼っていた猫はとてもいい匂いがしたんです.(猫が)娘盛りの頃,顔を埋めてジャスミンのような香りを楽しみました.
獣医外科学教授 : ...いい匂いは初耳ですね.
日本中世史教授 : 嫌な匂いがすることはあったけど.
フランス文学教授 : 衝撃です.自分の奇異な性癖を露呈してしまいました.
.....
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

昔は良かった ?

2018-10-23 11:14:57 | ジャズ


大学祭のジャズ喫茶に,OB/OG で一枠もらっている.通例で曲目に「お久しぶりね」ものを一曲入れている.例えば,

It's Been Long, Long Time
As Time Goes By
What's New
When I grow too old to dream
Comin' Home, Baby
Yesterdays
Reunion Blues (同窓会ブルース)
etc.

今年は (いちど演った覚えはあるが) Duke Ellington のブルース, Things Ain't What They Used To Be はどうかな.
この動画はジョニー・ホッジスの独演会だけど.Youtube にはミンガス・ダイナスティ,キース・ジャレット,オスカー・ピーターソンなど,音源が豊富.

ボーカルの Youtube はエラ・フィッツジェラルドくらいしかない.「昔は良かったね」という日本語タイトルがついているが,これは誤訳.これまでひどかったけれど,これからは...という前向きな原詩だ.



Things are getting better というところ ?

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ぼくとネクタイさん

2018-10-22 08:35:35 | 読書
ミレーナ=美智子・フラッシャール,関口 裕昭 訳,郁文堂 (2018/4).

ドイツ語の原書はオーストリアの有望な新人に与えられるアルファ文学賞を受賞.現在は文庫本として版を重ねている一方,世界12か国語に翻訳もされているそうだ.
著者の父はオーストリア人,母は日本人で,著者自身は毎年来日し,簡単な日常会話は日本語で可能だそうだ.

Amazon の内容紹介によれば*****
ひきこもりの青年ヒロは、勇気をふるって公園まで外出してみる。ベンチに座っている彼の前に現れたのが中年のサラリーマン、テツだった。ふたりの間に生まれた奇妙な友情が、やがてお互いの人生を大きく変えていくことになる……。日本の架空の街を舞台に、いじめ、ひきこもり、リストラなどの現代が抱える問題を扱いながら、詩情豊かに綴られた本作は、その切なくも希望に満ちた、印象的な結末もあって、2012年の刊行以来、世界各国で静かな感動を広めている。*****

各 1-2 ページの,134 の散文詩の重なり.
舞台は日本と称してはいるが,現実の日本とも (オーストリアとも) ちがう,訳者あとがきにあるように,メルヘン的空間が舞台と言ったほうがよさそうだ.ひきこもり・いじめ・リストラ・障害児などは (戦闘地域を別にすれば) 全世界共通の問題ということか.
最初はとりとめのない話のように思えた.ひきこもりの「ぼく」は仮想空間,リストラされた「ネクタイさん」は実空間かなと思って読み進むと,そんなに簡単ではない,しっかりと小説らしい骨格が見えてくる.
登場人物の名前はカタカナで表記され,文章には引用符「」がない.
「原文をドイツ語で読んでいるときは内容がすっと頭に入って,明確なイメージが浮かんできた」のに,翻訳は予想以上に難航したそうだ.しかし訳者はそれを,多少日本語がわかる人が外国語で書いた文章を,他人が日本語に翻訳するがゆえの困難と思っているのではないらしい.

あとがきではカズオ・イシグロを引き合いに出しているが,どこかイシグロ文学のような読後感.

図書館で借用.☆ ☆ ☆ ☆.
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

reading

/Users/ogataatsushi/Desktop/d291abed711d558e554bf7af66ee57d7.jpg