Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

阿川弘之「ぽんこつ」

2018-10-07 08:49:35 | 読書
ちくま文庫 (2016/10).

Amazon のサイトより,内容(「BOOK」データベースより)*****
文豪・阿川弘之が残した昭和の極上エンタメ小説!自動車解体業=通称・ぽんこつ屋の青年と御嬢さん女子大学生が出会った。生活環境も考え方も違う二人がいつしか心惹かれてゆく。はたしてゴールやいかに? 昭和30年代を舞台に交通戦争、女子大学生の急増、戦争の影など、昭和の世相や風俗を背景に、夢と希望を追い求める二人のラブストーリー! *****

著者は阿川佐和子さんの父君.文庫の解説も佐和子さん.
1959-60 年に読売新聞連載.この小説を毎朝楽しみにしていた.60 年前に,原稿が書かれるそばから読んでいたことになる.
とはいものの,覚えていたのは冒頭の交通事故死シーンだけであった.

初めて佐和子嬢のエッセイで読んだときは,弘之氏の苦虫嚙み潰し頑固親父ぶりが,あのおもしろい小説を書く人のイメージと一致しなかった.

ポンコツ屋の背年の名前が勝利 (カツトシ).自分の同級生にもカツトシがいた.好戦時代のニッポンに生まれた世代にはよくある名前.
この勝利が小学生時代に東京の空襲下で逃げ回る場面がすごい.彼はスマホ社会を予言するような未来文明論をぶったりして魅力的だが,お相手の女子大生は類型的で,その親友と個性という点で区別がつかない描き方.この著者は女性はみんな同じと思っていたのかな.

文中の理屈のこね方,筋の運び方などは佐和子嬢のエッセイと共通していると思った.

The Bellow of the Bull, 「モォーッ!」と鳴くという車の警笛が欲しい.

図書館で借用.☆☆☆★
コメント (2)
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