Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

社会体制の未来予測

2021-08-31 09:33:12 | 読書
昨日の未来予測の対象は科学技術に偏りすぎていた.
社会体制の未来予測は純文学に多いようだ.例外なくディストピア小説である.
例えば,多和田葉子「献灯使」など.

古典,ジョージ・オーウェルの「1984」は,1950年台に高校の英語の先生が授業で紹介された.あまりの熱弁に,読んだ気になってしまい,その後も手が出ていない.下級役人が日々歴史記録の改竄作業を行い,歴史が存在したかどうかすら定かでなくなるというあたり,自民党政治の未来を予測しているようだ...とはいえ1984年も昔のことになってしまったけれど.

レイ・ブラッドベリ「華氏451度」(1953) はペーパーバック,いわゆる兵隊文庫として刊行されたと思う.日本では最初から高踏的SFと紹介された.
テレビやラジオによる画像や音声などの感覚的媒体による情報だけが許され,本の所持や読書が禁じられた架空の社会を描いていて,何年後という時間設定はなかったと思う.人々は思考力も記憶力を失うという成り行きはネット社会・SNS社会と共通点がありそう.

これが代表作の一つであることに異論はないが,個人的にはブラッドベリは短編の方が良いと思う.



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未来が過去になってみれば...

2021-08-30 08:35:02 | 読書
未来を描いた本にはけっこう楽しませてもらった.未来がすでに過去になったものもある.

「ノストラダムスの大予言」(五島勉,祥伝社 1973/11) によれば,われわれ人類は1999年に滅びたはずであった.この本は3ヶ月ほどで公称100万部を突破したという.しかし1999年はそれなりに忙しく,この本のことなど思い出しもしなかった,

1968年の「2001年宇宙の旅」はアーサー・C・クラークの小説の映画化と思い込んでいたが,Wikipedia で映画が先と知った.作者は科学技術の発展を買い被りすぎていたようで,ここでは2001年にすでに木星への有人飛行が可能になっている.宇宙船上で乗組員と AI・HAL が争う.

どちらも30-50年後を描いている.あまり遠い未来では興味を惹かないし,あまり近すぎるとハズレがすぐバレるから,この辺りが都合が良いのだろう.

SFの始祖といえばヴェルヌとウェルズだが,ご両所それぞれにストレートに未来を予測した作品がある.

ジュール・ヴェルヌ (1828-1905) の188年の 「西暦2889年」はかってSFマガジンで「1000年後の世界」あるいは似たようなタイトルで読んだ.100年後の世界じゃないの? と感じた.Wikipedia からその未来予測を列挙すると : 火星、水星、金星とのファクシミリ / 射程100kmの砲弾 / 動画配信 / 中国での産児制限 / 雲に投影する広告 / 計算機 / 時速1500kmで走行するハイパーループのような真空チューブ列車 / 直径3kmの望遠鏡 / 時速600kmで飛行する空飛ぶ自動車...etc.

H・G・ウェルズ (1866-1946) の The Shape of Things to Come (1933) は『地球国家2106年』のタイトルで邦訳が出ていて(吉岡義二訳,読売新聞 (1973)),面白そうだが,図書館にはなく,古書の価格は3000円.

この「1990年」が歌われたのは1980年であった.今では「2020年,娘は51...」である.

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AI 政治 ?

2021-08-29 09:58:06 | エトセト等
昨日の続き.検索した新聞記事は有料だったと書いたら,pdf ファイルをお送りいただいた.感謝です !!
トップの画像は日本経済新聞2019年2月11日.ただし左の2枚の写真は 16トンが貼り付けた.小泉テレビ政治が良かったとは思わないが,安倍・菅の長期政権はテレビにも背を向けた.自民党という派閥の政治という点では昭和後期,右向けと言えば国民が右を向くことを理想とするらしい点では昭和初期に逆戻りだ.

もうひとつの記事は朝日新聞2019年6月12日.こちらの方が後出しで中身も長野県に特化しているぶん具体的.

SF西遊記その他のSFでは,政府そのものがAIにとって変わられる.しかし現状では政策作りの参考に AI を使おうという段階.しかし菅政権ではシミュレーションを政策決定の参考にすることすらできないのだから,明かりは見えない.

AI を使った保育所の入所選考の例がどちらの記事にも出てくるが,これに類したことは民間会社や大学事務ではとうの昔からやっていた.朝日の見出しには「保育園落ちた日本死ね はなくなる?」とあったが,選考事務を AI 化しても落ちることはなくならない.保育園予算などをバランスを考えてどう配分するかを検討するために AI を使うべし.

AI 党という政党が 2019年にはいくつかの地方選挙で候補者を立てたが,全員落選したそうだ,トップ画像のいちばん下はこの党の選挙ポスター.
AI 党の主張も政策の中身ではなく,データベースに基づく分析,数理科学的意思決定ということだった.いま,この AI 党はどうなっているのだろう.

朝日の記事では AI では判断の過程が見えないのが問題と言っている.AI というと高級に聞こえるが,しょせん初期条件・境界条件と数式の問題に回帰できるんじゃないの...見えすぎて,権力闘争とかしがらみとかが排除されると「わけがわからん」とされるのだろうか.
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AI 政府

2021-08-28 09:08:35 | エトセト等
半世紀も前に書かれた,SF 西遊記の「悪役人の星の巻」だが,マイナンバーカードが管理する AI 政府を思わせる.負荷が大きすぎて政府役を担う情報処理装置が自壊していく.しかし星の住民はそれを認識できない.この章は著者・石川英輔の創作だろう.

コロナ禍のもとで菅政権が自壊しつつある.負荷が大きすぎるというより,自分達に都合の良いように状況を判断して政策を決めてきたのが原因だ.AI行政なら,こんなことはありえない...と思ってググったら,日経新聞サイトに「AI政治がやって来る 論説フェロー 芹川 洋一 - 改革の手段となるか」という記事があったが,有料だった.

無料記事では MONEY VOICE に「地球から政治家が消える?欧州で「人工知能」に政治を任せる動きが拡大中=浜田和幸」.サブタイトルは「スペインで「近い将来なくなる職業」首位は政治家。日本も不要?」.見出しをひろうと,「もう政治家はいらない」「人間の政治家は役立たず?」「ノルウェーで「AI政治」がスタートしている」「いつまで政治家稼業が存続するのか」と,威勢が良い.
著者は国際政治経済学者,前参議院議員だそうだ.

トップ画像は 2019/6/12 の朝日新聞デジタル「AIが予想する長野の未来2万通り 最善のシナリオは?」より.比較的真面目な記事らしいが,有料.

コロナ対応のようにある程度目的をクリアに設定できるときの政策決定は AI 向きだ.しかし多くの場合は,だれが「評価関数」を AI に与えるかが問題だろう.
16 トンもこのテーマで2年前にブログに書いている
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ねたばらし SF西遊記

2021-08-27 09:40:53 | 読書
昨日の続き: 石川英輔「SF西遊記」講談社 (1976/6).

松本零士の「SF西遊記スタージンガー」はこの石川本が原案らしい,しかしアニメに比べ,石川本はストーリーは原典をなぞっている.原典 → 石川 → 松本 のストーリーの変遷は伝言ゲーム.あるいはエントロピー増大を思わせる.

石川本に登場するのは物質的な人間と神仙である.玄奘は前者,悟空・八戒・悟浄は後者.神仙界はくだらぬ官僚社会として描かれている.
ストーリーは物質的人間である釈迦の仏滅から始まる.神仙界は釈迦の誕生のはるか以前から登場しているはずだが,釈迦の頭脳は神仙界では絶対的存在になるらしい.釈迦の子分 ? の観音菩薩も神仙や悟空たちを超越している.

釈迦により悟空は五行山に押し込められるが,その押し込められた500年の間に科学技術が進歩する.
天竺への旅は宇宙旅行.神仙くずれの妖怪たちはこの500年の物質文明におれる科学技術を悪用して (矛盾していて面白い!) 悟空たちを苦しめる.「閉じ込められた悟空の巻」で悟空を閉じ込めるのはブラックホールである.
金角銀角,紅孩児,牛魔王なども登場する.しかし,いくつかの章は石川の創作かもしれない...西遊記の原典をちゃんと読んだことがないからわからないけれど.

悟空の筋斗雲は光速を超えることができるが,玄奘の宇宙船「白馬号」は亜光速でしか飛行できない.しかし18年の大旅行を終えて地球に戻ってみると,そこではすでに2000年の時が流れていた,という最終章 ! 
そこには後味の良い結末が待っていた.
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石川英輔 「SF西遊記」

2021-08-26 09:09:45 | 読書
講談社 (1976/6).1981 講談社文庫.

また100円古書.
あとがきによれば,SF同人誌「宇宙塵」に「八戒の巻」まで連載したものに大幅に加筆したとのこと.著者 石川英輔は今では お江戸評論家のイメージが強いが,「SF三国志」「SF水滸伝」というのも書いている.でも,どうみても,西遊記がいちばんSF向き.

この本の刊行以来,西遊記の研究は大いに進んだらしい.本書の解説では呉承恩がまとめたとあるが,そうではないらしい.また「矛盾だらけ荒唐無稽」というが,中野美代子 (「西遊記の秘密―タオと煉丹術のシンボリズム」岩波現代文庫(1984)) によれば「一見いかにも荒唐無稽な小説『西遊記』だが,実はこの作品はメタフィジックな欲求にとりつかれた人々がでっちあげた,壮大な知的遊戯のテキストだった.」ということになる.

前にもここに書いたことだが,西遊記を読んだのは小学生時代であって,はじめの方で単独で大暴れする悟空はすごく強いのに,三蔵法師の弟子となって旅をする途中では, 妖怪にやっつけられてその度に観音様に助けを仰ぐという情けない存在になってしまうなぁ...という感想を持った.

原典では後半の天竺行での艱難辛苦はワンパターンだが,石川本はうまく間引いている.強かった悟空が情けない存在となることにも,それなりの理屈がついている.単独で天界で大暴れする「悟空の巻」はそれに対してページ数が多い.

長々と書きすぎたが,続きがあるかも.
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当 東広島市のコロナウィルス感染状況

2021-08-25 09:07:51 | エトセト等
希望的観測によれば東京の新規感染者数は頭打ちだが,そのぶん? 地方がひどいことになるのだろう.

当市の人口は 20万足らず.その,東広島市のホームページより.このグラフは8/23までだが,日々更新されているとのこと.

直近7日間 10万人あたりの感染者数 96.2 人は,広島県全体の 81.1 人より多い.ちなみに東京は 234.2 人で第2位,トップは沖縄県の 309.7 人である.
実際にコロナに罹ったらどうなるの ?

東京ではすでに医療は崩壊している.では,当市でコロナに感染したらどこに入院できるのかという情報は,どこにもない.東広島医療センターのホームページに行って初めて「当院は感染症指定病院であり,新型コロナウイルス感染症にかかった患者さんの入院治療を行う役割を担っております」という記事が読める.でも何人入院できるのかは,わからない.
大都市では,救急車が何十何百の病院を当たったが受け入れ先がなかった...というはなしを聞くが,この辺ではたちどころに「だめ」と言われそう.

広島県全体では確保病床の使用率は今のところ 49.3% だそうだ.
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現代書の新しき展望

2021-08-24 09:07:20 | お絵かき
デパート画廊のだが,出展された書家の方々が会場に勢揃いされていて,ちょっと入場に気後れした.

字ではないパターン,字らしきもの,読まれることを拒否する字,etc.. いわゆる「書」ではないという以外,あまり共通点がない.

出展者の中でいちばん あたらしい世代に属すると思われる,いずみなつみ さんが丁寧に解説してくださった.下の作品のタイトルは「螺旋階段を降りる女」.会場は撮影禁止で,これは twitter から転載させていただいた.この作品は漢字だが,ひらがなやカタカナが混じった作品もあった.字は読めても意味はつながらない.作品の意図はうかがったが,ここに忠実に書く自信がない.興味をお持ちの方は画廊を訪れてください.



パターンとしての字は好きだ.八千代の丘美術館梅田美春さんの作品には,文字を染色した作品が展示されていた.「動的平衡」などという物理の言葉もあった.ご本人は字面が気に入ったから染めたので,意味は知らないのよ...とおっしゃっていた.「天・間・地」という作品は「現代書の新しき展望」展にあってもおかしくない ?

数式が,わからなくても美しい,ということがわかるのは理工系の特権かな.このタペストリーは Amazon で 2499 円で売っている.

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ふたたび,いきいき百歳体操

2021-08-23 09:02:10 | エトセト等
地域の老人サロンで「いきいき百歳体操」を定期的に行うことになりそう.参加するとポイントが貯まるのだそうだ.かっての夏休みラジオ体操の老人版・通年版である.

いきいき百歳体操は1994年に高知市が開発した.ビデオに合わせて行う.本家高知市版のほかに,Youtube にはご当地版がたくさんある.
トップ画像は広島市版.十余りの体操を順次行うのだが,いちいち この体操はカープをどう応援するときのためにどこの筋肉を鍛えます,というナレーションが入る.

当 東広島市の黒瀬版.黒瀬にある事業所・商店の皆さんが次々に登場して体操してみせる.残念ながら知った顔はなかった.

息を止めて体操すると血圧が上がるのだそうで,名古屋市南区版などは「なつかしの」童謡を歌いながら行うことを推奨している.

体操してみせるのがお年寄りだと,ぼく的には面白くない.同じように感じる方へのおすすめは,下の高森096k熊本歌劇団版.出演は谷口亜湖さん,佛田ひかりさん.「せー のが さん はい」が熊本特有の掛け声らしい.

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「山とあめ玉と絵具箱」

2021-08-22 09:12:00 | 読書
川原真由美,リトルモア(2020/9).

著者は東京藝大デザイン科卒.40歳を過ぎて山に登り始めたそうだ.

***** 鈍行電車に乗って / 三十年前の上高地から / テント場さがしの八ヶ岳 / のら猫と旗振山 / 野口五郎岳 / RCCの伯父を辿って / 雪ノ平へ / 地図とトレイルと線 / 雨の北八ツと双子池 / 六甲山を越えて有馬温泉へ / こいのぼりと残雪の奥穂 / 先輩の麦草岳 ほか

全31篇のエッセイとともに、多数の絵をカラーで収録。
ページを開くと、山の空気が手元に流れ込むような、清々しい一冊です。 *****

いわゆる画文集だが,文章にはまったくとんがったところがない.「RCCの伯父を辿って」は一味違うが,あとは (年寄りには無理だが) 誰にでもできる,山歩きの範囲.なるべく美味しいものを食べて,辛い思いはしないで,という態度がうかがえる.上手く言えば「むりはせず、たのしむ余力を残すこと」.懐かしい山名地名が次々に出てくる.地図愛好も解る !

絵は,いろいろな画風がごちゃごちゃになっている.カバーの水彩による風景のほかに,



モノトーンのスケッチや



花のスケッチ.



抽象化された地図.



純然たる抽象画,etc..
ふつう本では絵のトーンを統一することが多いと思うが,これはこれで楽しい.

装丁 服部一成.なぜ著者自装ではないのかな.
16トンの好みでは,著者名の後の「文・絵」は蛇足.

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reading

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