Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

広島二紀展の作品から

2019-01-31 09:17:19 | お絵かき
「風の便り」佐田尚徳(委員) : 以下作家さんの敬称を省略させていただきます.
スーパーリアルな風景.どうなっているんだろうと,近寄って見たのが右の2枚.吉岡正人氏もおっしゃっていたが,今年の絵には人物がいない.


「紙芝居第玖話にるなりやくなり」山田和宏(会員)
紙芝居は数年越しのシリーズらしい.全男子生徒の目が消されている! ストーリーが気になる.


「マルシェ」森下景子
写実から離れてコラージュみたいな方向に行ったら...というのが吉岡氏のコメントだった.白い T シャツをかためない方がいいともおっしゃっていたが,シロトにはこのままの方がいいように思う.


「クーラント」難波英子(会員)
J 子の先生の作品.某音楽愛好家が今年の J 子の作品は,先生と画風が同じと指摘されていた.


「月に想う」佐藤幸代(委員)
女の子がどこかバルテュスを思わせる.ウェブで見た限りでは,この方の人物画はあまりないようだ.

絵を見ると絵が描きたくなり,ジャズを聴けばジャズを演りたくなる.
コメント (2)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

広島二紀展 吉岡正人氏

2019-01-30 09:33:55 | お絵かき
広島二紀展初日.吉岡正人氏の作品解説.吉岡氏はヤフオクにも作品が現れる名士 (ヘンな判断基準 ?!).テンペラを用い,中世ドラマの一場面みたいな絵を描かれる.初めて見たときは有元利夫を連想したが,有本のはフレスコ画だそうだ.
930 からとあったので,925 頃到着したら,もう始まっていた.左の写真は中国新聞 α から拝借した.
残念ながら今年の出品作 (右の「眠る人」,二紀展のパンフレットから転載) への吉岡氏ご自身のコメントは聞き逃した.

ぼくの理解では,二紀展を主催するのは二紀会で,そのヒエラルキーは理事・委員・会員・準会員・一般 (公募展入選者) となる.この日の解説は前半は理事・委員・会員あたりの絵に対するもので,二紀会という画壇の,当たり障りのないうちわ話が中心.エヌ画伯の絵は重くて困る,額縁が国立新美術館の壁をこすったら黒い跡がついてしまったので,消しゴムでこすった...とか.

後半の,一般入選者の作品に対する「批評会」,とくにちょっとした技術的な助言がおもしろかった.
自分とは縁のないことだが,入選・入賞のコツという話題も.
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

孤島の祈り

2019-01-29 07:31:06 | 読書
イザベル・オティシエ, 橘 明美 訳,集英社 (2018/2).
訳者は「その女アレックス」シリーズも手がけている.

Amazon の商品の説明 (抜粋) *****
運は尽きた.ペンギンも喰らった.
氷河を抱く絶景の無人島に取り残された夫婦に迫る運命とは――
女性海洋冒険家による、驚異のサバイバル小説.
慎重派のルイーズと、楽天家のリュドヴィック。「思いきり生きよう!」と冒険に出た若い夫婦は、南極近くの無人島に上陸した際、突然の嵐に船を奪われてしまう。
ペンギンを捕獲して腹を満たす日々。極限の生活は、人間の身体と心を蝕む。
ふたりは、お互いの信頼の絆を失っていく……。
女性で初めてレースにおける単独帆船世界一周を果たした海洋冒険家が、人間の脆弱な生と愛を描く。フランスのベストセラー漂流小説!*****

以下 ネタばらしあり.

ロビンソン・クルーソーが漂着するのは温暖な孤島だが,こちらは南極近くの孤島で,季節は秋から冬.廃墟と化した捕鯨基地に,辛うじて衣・住は確保するが食は大問題.もうひとつの問題は夫婦関係 (むしろこれが作品全体のテーマだったかもしれない).
主として妻=ルイーズの立場から,女流作家により,夫はステレオタイプに描かれていて,ちょっと気の毒.この長身・イケメン・向こう見ずでわがままなお坊ちゃんの行動が次々にトラブルを招く.逆に妻はチビだが実はスーパーウーマン.結局は登山家の妻が夫を見捨てる形で運よく (運が良すぎてしらける!!) 生き残る.ここまでが第1部.これでもか・これでもかというサバイバル描写は,読むのがつらいが,そこそこ楽しそうな場面もないではない.

第2部は生還した妻の,夫を見捨てたことへのトラウマと,マスコミや世間との格闘が描かれる.やや冗長.

おもしろかった!!

図書館本.☆☆☆☆
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「てのひらのえんぎもの」という本

2019-01-28 09:56:41 | 読書
一昨日の裸雛を知った本.
佐々木一澄「てのひらのえんぎもの-日本の郷土玩具」二見書房(2019/1)
について.
カットはもう終わった展覧会「日本の郷土玩具」のポスターより.

網羅的ガイド本ではなく,少数例について深く狭くとりあげる方針.たっぷり主観的な「ですます調」.いちおう北から南へと地方別に分類されているが,「北海道・東北地方」という項目に北海道の郷土玩具は見あたらず.そのかわり東北ものは豊富...

原則的に見開き2ページがイラスト,続く2ページが文章.しかしこの原則は随時破られる.
郷土玩具の作り方が具体的に箇条書きで示され,工房のイラストが挟まれることもある.浜松張子では,現在制作に当たるお嫁さんが描く表情が先代=義母のものと比較されるとか,その晩年の義母に「娘と一緒にはりこづくりがてきるなんて,ほんとうに幸せ」と言われたとか...

京都の「起き上がりめぐり」,東北6県の伝統こけしの表情などは,イラストで比較されている.南部系こけしにだけ顔がない.今ではほとんどの南部こけしは顔があるが,もとをたどればこどもの「おしゃぶり」だったから彩色はなかったと聞いたことがある.

「廃絶した玩具たち」という悲しくさびしいイラスト集もある.

巻末には本で取り上げた工房・販売店の住所電話HPリスト.
図書館で借りたが,自分の本棚に欲しくなっている.
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ジャズピアニスト ミシェル・ルグラン

2019-01-27 09:04:43 | ジャズ
ミシェル・ルグラン逝去.

「シェルブールの雨傘」で有名.ジャズファンには,まず「ルグラン・ジャズ」だが,よく聴いたのは "MICHEL LEGRAND TRIO at SHELLY'S MANNE-HOLE".
Michel Legrand(p), Ray Brown(b), Shelly Manne(ds).シェリーズ・マンホールはかってロスに存在した,シェリー・マン経営のライブハウスだそうだ.LP ジャケは黒地にアルミ箔でマンホールをあしらっていた.

一曲目の,3人の名をタイトルにした "The Grand Brown Man" は,いきなりステージで演りはじめて出来た感じの曲."My Funny Valentine" はルグランのボーカル入り.
これは "Willow Weep For Me".ニコ動埋め込みは初めて.
ジャズピアニストとも,アメリカ人とも違うピアノが面白い.レイ・ブラウンが張り切っている.

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

雛人形たち

2019-01-26 10:51:56 | 読書
テレビでおばさんが「そろそろおひなさまを....」などと言っていた.

カット右下は「裸雛(はだかびな)」.

図書館で借りたヘタウマな色刷の挿画がたのしい本 (ヘタウマはけなして言っているのではなく,とても技術的なヘタウマである).
佐々木一澄「てのひらのえんぎもの-日本の郷土玩具」二見書房(2019/1)
で知った.

「住吉大社の土人形 大阪府 ほがらかに性を描く縁起物」と題する図2ページと文2ページで紹介されている.ただし上に引用したのは佐々木さんのイラストではなく,ネットにあった人形の写真.
佐々木さん曰く...戦後しばらくは手作業による味わい深い人形が作られていましたが,現在は機械でつくるようになって味わいは薄まり,質感のそっけなさを寂しく思います.とはいえ独特のおおらかさは健在で,今でも十分におもしろいことは確かです.

右上,同じ住吉大社の「睦犬(むつみいぬ)」たちの恍惚の表情 !! 猿カップルの人形もあるそうだ.
五段飾りなどは権威と富の象徴めくが,雛人形を辿れば夫婦和合・子孫繁栄の縁起物,となるのだろう.

こちらは我が家の雛飾り
コメント (2)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

スキャナー色の異変 !?

2019-01-25 09:07:32 | お絵かき
CD 画,ゼロ号やサムの油彩画などは,スキャンしてそのままパソコンにしまってきた.

このたび,J 子の油彩画「がくあじさい」をスキャンしたところ,色が変.左がスキャナー,右が iPhone カメラの撮影結果で,露出が違うのはさておき,色調はカメラが私の視覚に近い.スキャナーではあじさいの赤が出ないのだ.
スキャナーはブラザー MFC-J705D.固定電話・ファックス・コピー機兼用で,6年くらい使っているが,違和感を感じたのは初めて.繰り返しても結果は同じ.
よく見れば,JOというサインの赤はまあ ちゃんと出ているようだ.



上のベースの絵では,スキャナー(左)とカメラ(右)の差はそれほどでもない,というよりこの程度の差はいつものこと.スキャナーの赤色はちゃんと出ていると言うべき.カメラ色の方がくすんで見えるのは照明によるものだろう.



そこでネットで探した単純なカラーチャートでテストしてみた.
右がオリジナルをドラッグ・ドリップしたもの.左はそれをブラザー機で印刷し,さらにスキャンした結果.右に比べて赤ばかりでなく全体の色調が鮮やかでないが,まあ想定範囲内...といいたいが,上段左から二つ目のピンクは白くなっている !

何でこうなるの ???
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ディストピア小説 献灯使

2019-01-24 10:00:02 | 読書
多和田葉子「献灯使」講談社文庫(2017/8).単行本刊行は2014/10.☆☆☆☆

Amazon の内容紹介*****
大災厄に見舞われた後、外来語も自動車もインターネットも無くなった鎖国状態の日本で、死を奪われた世代の老人義郎には、体が弱く美しい曾孫、無名をめぐる心配事が尽きない。やがて少年となった無名は「献灯使」として海外へ旅立つ運命に……。
圧倒的な言葉の力で夢幻能のように描かれる’’超現実”の日本。
人間中心主義や進化の意味を問う、未曾有の傑作近未来小説。*****

上記・死を奪われた世代の義郎は,ぼくと同世代らしい...ということは,約30年後まで生きながらえると,日本はこうなっているということか.
SF 的設定だが,その設定を説明することに紙面の大部分が割かれ,小説的展開には乏しい.結末はロマンティックかもしれないが,よくわからない.
しかし「設定」そのものは,民営化政府が鎖国を決めるとか,無名 (よい名前!!) 世代は美味しい/まずいを気にしないとか,おもしろい.「敬老の日」「こどもの日」は名前が変わって「老人がんばれの日」「子供に謝る日」となり,「勤労感謝の日」は「生きているだけでいいよの日」になり,「建国記念の日」は流されて行方不明だそうである.

右端の写真のように書店では帯付きだが,帯を外した中央のほうが怖い.この絵が近未来の日本人かもしれない.
帯が言うように,昨年11/14にこの作品が第69回翻訳書部門全米図書賞(National Book Awards)に選ばれた (英訳は Margaret Mitsutani さん).そのために増刷され平積みされ,ぼくの目にも触れたと言うわけ.左が英語版のカバーイラストだそうだ.デザインとしては好きだが,本文にはマッチしない.

表題作以外の4編中「韋駄天どこまでも」の漢字分解遊びみたいな部分は英訳不可能と思う.
「不死の島」はドイツに住む語り手=著者が見た「献灯使」時代のニッポン.2015 年などの年号が「献灯使」の記述を嘘臭くしているが,それが意図するところかもしれない.
「動物たちのバベル」は戯曲スタイル.
文庫本のロバート・キャンベルの解説は表題作以外には言及していない.きっと読んでいないのだろう.

裏側の帯に「デストピア」の文字があるが,これは dystopia ? それとも dethtopia ?
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

cymatics ふたたび

2019-01-23 10:26:36 | 科学
サイエンスカフェで,音がつくる水面にできる波について質問をうけた.Wikipedia によれば,サイマティクス(英: cymatics)とは砂や水などの媒質によって物体の固有振動や音を可視化すること,またはその現象の研究だそうだ.4年ほど前のブログに書いたことを思い出した.

このたびは,自分でやってみたくなり,二十なん年前に 16 音階営業用に求めたアンプ内蔵小型スピーカーを仰向けにし,その上に水を張ったタッパウェアを置いた.透明な容器では波がよく見えないので,裏からアクリル絵の具で黒く塗った.Audio Tone Generator Lite なる無料アプリを iPad にインストールし,iPhone を用い10フレーム/3秒で撮影.写真は 150Hz で振動させた時,振幅は...適当.

周波数をスイープすると,共鳴点で水が暴れて飛沫を生じ,静まり,また共鳴する...という繰り返しが観測される.共鳴周波数は水量に依存する.周波数が低いほど飛沫する音量が小さくてすむ.

周波数と水面が同一画面に入るように iPhone カメラを設置し,いざ...というところで,バツンというパルスノイズとともに,水が飛びスピーカーが黙ってしまった.コンデンサ (か何か) に寿命が来たらしい.
まあ,午後の2-3時間を楽しく過ごせたのでよしとしよう.

サイマティクスは似非科学・ヒーリングなどの道具立てにされる.ちょっと実験しただけでも,他人に見せたくなるのだから,悪用したくなる気持ちはよくわかる.
でも,そのメカニズムは古典物理学で説明できる.下のビデオが真面目な解説.
サイマティクスが量子物理学領域に進出したら面白そう.

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

天使はモップを持って

2019-01-22 09:24:43 | 読書
近藤 史恵,「天使はモップを持って」 実業之日本社文庫 (2018/12).

カバーに不安を覚えたが,旅行の駅弁本のつもりでキオスクで購入した.意外な収穫.☆☆☆★

新装版のための著者あとがきによれば,著者20代の,自分が小説をプロとして描き続けられるかどうかわからなかった時代の作品と言う.1997年から「週刊小説」に連載開始.フロッピーが登場したりする.これまでの版 (ノベルズ,文春文庫)とはひとつ,結末を変えていると言うが,それがどれかはわからない,

8話連作.最初はぎこちないが,第4話あたりからは,社会のありよう,人間の心の闇などを感じさせる...と言ったら褒めすぎだろうか.セクハラ,介護,マルチ商法,ダイエット・摂食障害と,20年前のテーマが今でも通用する.
キュートな二十歳前の清掃作業員がヒロインでホームズ役.語り手のワトソン役は新米サラリーマン.ヒロインのチェスタートンみたいな台詞「掃除をやっていれば見えてくるものもあるのよ...だれも掃除をしている人なんて存在しないと思っているからね」が泣かせる.

舞台となる会社は魑魅魍魎の住処みたいでおぞましい.現実の会社の人間関係の実態は,もっと陰湿でわかりにくいだろう.
最終話は連載にけりをつけるためだけみたいで,つまらないが,このシリーズはここで終わらず,文庫本があと3冊.NHKのテレビドラマにもなったそうだ.
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

reading

/Users/ogataatsushi/Desktop/d291abed711d558e554bf7af66ee57d7.jpg