Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

三味線ざんまい

2007-12-31 14:54:42 | 新音律
群ようこ著,角川書店(2005/2).

群ようこさんには何十冊もの著書があるようだが,ぼくには本書が初体験.その,ようこさんがお稽古を始めてから,名取りになって名披露目の会に出るまでの記録.

外からは見えないお稽古の世界が垣間見えるのはおもしろいが,垣間見える程度なのがもの足りなくもある.月謝っていくら? 三味線っていくら? 会で合奏していただく先生にはいくら包むの? というような疑問には答えてもらえない.

ちなみに彼女はお稽古用と舞台用と,結局2本の三味線を買ってしまうのだ.前もって糸を張っておかないと本番中に緩んでくるとか,フレットに相当する位置に譜尺を貼るとか,楽器の話は具体的.

ようこさんはピアノとエレクトーンの経験があるらしく,教わったことは譜面にしないと満足できないようだ.読んだ感じでは彼女はすごい努力家!
ここでいう三味線は歌伴専用だから,まず歌(唄)を覚えることからすべてが始まる.この分野では男性は三味線を弾かないものらしい.唄に合わせても,唄だけ先に終わってしまったりするあたり,われわれの洋楽の場合とかわらない.

自分の三味線体験らしいものは,沖縄で買ったかんから三線をでたらめに弾いただけ.お稽古というものにあこがれさせる本.
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加速器のポスター

2007-12-30 14:10:57 | お絵かき
加速器の学会を当地でやることになった.そのポスターに切り絵(切り紙?)を使ってみようか,と.例の点対称あるいは線対称に紙を折って,同じパターンを一挙にはさみで切り出す方法である.

まずリング加速器っぽいものをと a を作ったが,これひとつでは何のことか分かりそうもない.
もっと抽象的なパターンも良いかなと思って,手近な包装紙を切り抜いて b を作った.これがベータトロン振動だったら整数チューンで収拾がつかないところだ.
抽象のつぎは具体に振れたくなる.c はみんなで協力して加速器の研究・建設・運転して下さいというつもり...というのはこじつけ.
放射光に関連する公開講座をやることになったので,d も切ってみた.雨の中で傘をぐるぐる回すと水滴が回転の接線方向に飛び出すが,放射光もあんなふうにビームが回っている方向に飛び出す.しかしふつうに切ったのでは,右に飛び出せば必ず左にも飛び出すようになってしまうので,これをつくるにあたって姑息な手段を弄した.
学会のポスターはたいてい観光名所がデザインされている.そこで e は宮島の鳥居と原爆ドームのつもり.

さて,イラレと Photoshop の出番! と思ったら,バージョンが古すぎて Leopard で動作しない.Appleworks のドローでなんとかごまかす作戦だが,どうなりますか.

Leopard だとゼロックスの安プリンタ Jet Wind E40 も動かない.高いインクが無駄になる!
Tiger に戻すのもいまいましいし....
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ウェークフィールド

2007-12-27 11:51:55 | 読書
wake は目が覚めることだが,もうひとつの意味は,写真のように船が水面に残す波のことで,日本語では「航跡」と訳される.電場,磁場のことを electric field, magnetic field というのに倣えば,wakefield は航跡場である. wakefield ということばはビームが通った跡に加速器に残す電場を指すのに使われる.じつは私は wakefield をメシノタネにしていたこともある.

坂下 昇編訳「ホーソーン短編小説集」岩波文庫(1993) の中に「ウェークフィールド」というタイトルの短編があった.ここではウェークフィールドは人名であって,このウェークフィールドさんは突然失踪し,じつは隣町に下宿し,奥さんがどうするかこっそり観察したりしたあげく,20年後になにごともなかったような顔をして家に戻る.

この短編では,冒頭であらすじが示される.論文で最初に abstract があるのに似ている (あれほどあからさまではないけれど).解説によれば,ポーやボルヘスに称賛されている作品.

Wakefield という地名はあちこちにあるらしいが,小説で地名ではなく人名にしたのはなぜだろうなどと考えるのもおもしろい.この短編小説集の他の作品もそれぞれ毛色が変わっている.解説もおもしろい.失礼ながら,坂下昇さんという名前もおもしろい.
ウェークではなくウェイクのほうが良いとに思うのだけれど.
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ジャズ研定期演奏会

2007-12-25 13:15:18 | ジャズ
年末恒例大学ジャズ研の定期演奏会.例によってコンボ3とヒッグバンド.
ビッグバンドは仮装して演奏するという麗しい伝統が守られている.この馬面ドラマーは,なにしろ顔の大きさ(長さ?)が3-4倍になったためか,凄い存在感.右を向いたり左を向いたりすると,はりぼてのはずなのに,表情さえ感じられた.

ビッグバンドの曲目はトシコの名曲「 Long Yellow Road 」以下,例年に増してまじめなもの.バンマスさん・サックスのイチバンさんお疲れ様でした.

ここ十年くらい毎年来ているのだから,ずっとプログラム・ポスターなどを取っておけばよかった.

撮影して下さったのはは H大名誉教授のO田先生.もっと見たい方は
http://album.nikon-image.com/nk/NK_AlbumPage.asp?key=1161936&un=29036&m=2&s=0
へどうぞ.
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芥川也寸志「音楽の基礎」

2007-12-24 21:40:03 | 新音律
1971年刊行の岩波新書青版の古典.この7月に第54刷が出て手に入りやすくなった.
ご存じのように著者は芥川龍之介のご子息.

拙著「音律と音階の科学」は非音楽家・アマチュアの視点で書いたが,これはプロの作曲家の視点で書かれている.
1 音楽の素材(静寂・音) 2 音楽の原則(記譜法・音名 ほか) 3 音楽の形成(リズム・旋律 ほか) 4 音楽の構成(音程・和声 ほか)
と言う構成だが,まず「静寂」が来るあたりが哲学的.ここを過ぎれば初めはいかにも教科書然とした書き方だが,次第に著者の個性が明らかになる.講義が講釈になるにつれ,おもしろくなる.

「現代では,ソヴィエトなどの保守的な傾向を持つ国の音楽をのぞいて,ふつうに使われる意味での調性もしくは調性感というものは,すでに崩壊してしまっている」という文章から,著者はいわゆる現代音楽を念頭に書いているように思われる.

また,著者は日本古来の音楽を愛しておられる.曰く「マスメディアの発達はアメリカ製ロックミュージックまで山間僻地に鳴り渡らせ,この影響で日本民謡までウラ拍に手拍子を打つ光景が良く見受けられるが,日本の民謡ほど,機械的なリズムと遠い世界にある音楽はないのだから,これはじつに滑稽と言うべきである.」
思い当たるフシがあり,反省!

「まえがき」も「あとがき」もない,素っ気ない本だが,音楽の基礎がバランスよく・格調高く・しかも個性的にまとめられている.
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テルミンの夕べ

2007-12-21 16:48:48 | 新音律
12/19 大阪大学付属図書館クリスマスコンサート.演奏は菊池誠(テルミン),小川哲生(ベースギター),吉田剛(ボイス・パーカッション).菊池・小川の両氏は物理の先生.吉田さんはアカペラサークルの学生さんとのこと.このユニットで営業もなさるそうです.

演奏30分,お話30分,演奏30分という構成.最後に「大人の科学」のテルミンが5人に当たる抽選会.

ふつうの楽器の場合と違って見ていておもしろい.オリジナル「ひばりが丘花屋敷」,さかりのついた猫が (最後は犬も) 登場する「ピーターガンのテーマ」 (ただし MC でそういわれたのではなく私にそう聞こえただけです)が,テルミンの特性を活かしているようだった.スタンダード(G線上のアリア,枯葉,フライミー,その他)では,音程が合っているような・いないようなところが,スリリング.この構成にはキーボード・ギターなどの高中音域のコード楽器が加わった方がよさそう.

中盤では菊池先生がYouTubeの映像で古今東西のテルミンの演奏を紹介された.菊池先生が「うまい」という演奏は本当にうまい! 音色も人によっていろいろ.電子楽器だからどうにでもなりそうだが,いかにも電子音という音色が正統派なんだろうか.
テルミン人口は日本が世界一で,大阪はいまやテルミンのメッカだそうだ.

この,スズキトモコさんのかわいいイラストは 「大人の科学」のホームページ
http://otonanokagaku.net/feature/vol12/index.html
から借用致しました.「ピーターガン」を聴いて描いたのだろうか.
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昭和は遠くなりにけり

2007-12-19 07:48:21 | エトセト等
ラジオで「降る雪や明治は遠くなりにけり」という,中村草田男の名句をもじって,ついでに上の五文字も変えて
「xxxxx昭和は遠くなりにけり」を作るというのをやっていた.ただし季語はなし.わたくしも少々試みたが,「根岸の里のわび住まい」みたいに,たいていなんでも合ってしまう.

ピーナッツ昭和は遠くなりにけり

ピーナッツは双子のボーカルデュオのつもりだが,シュルツのコミックと思ってもいい.そういえば南京豆もあまり食べなくなった.
でも,「恋のバカンス」はときどき聞こえてくる.楽しい歌のはずなのに短調だ.昭和まで???の日本人は短調が好きで,「ああ玉杯」など,楽譜は長調なのにわざわざ短調で歌っていた.

はばかりや昭和は遠くなりにけり

はばかりも,おちょうずも,ごふじょうもなくなって,トイレ一辺倒になってしまった.水洗トイレを初めて経験したときは,水が止まらなかったらどうしようと思った.ウオッシュレットを初めて見たときは,のぞき込んで操作したら顔をめがけて水鉄砲が! 顔をそむけたら床がびしょびしょになってしまった.

プラ研も昭和も遠くなりにけり

初めて就職したのが,いまは亡き略称「プラ研」というところだった.一般的に,ここを倒産した旧就職先名称などに入れ替えると,あくまで個人的にですが,心に染みる名句となるはずであります.
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悪魔はすぐそこに

2007-12-17 21:28:33 | 読書
D・M・ディヴァイン / 山田蘭 訳,創元推理文庫(2007/9).

*第2位『2008 本格ミステリ・ベスト10』/海外ランキング
*第3位 CSミステリチャンネル「闘うベストテン2007」/海外部門
*第5位『このミステリーがすごい!2008年版』/海外編
*第8位『IN★POCKET』文庫翻訳ミステリーベスト10/作家部門
*第10位『IN★POCKET』文庫翻訳ミステリーベスト10/総合部門

だそうです.

1966年の作品だからか,古き良きクリスティのような味わいも.舞台は英国の二流大学だが,著者も大学の事務職員だったらしい.法月綸太郎 (ご存じ本邦の本格派!) の解説 (14ページもあって,とても良い!) の,「伝統的なパズラー技法を受け継いだ巧みなプロットと,血の通ったリアルな人物描写を高い水準で両立させた」という賛辞に異議なし.事務局長と事務員・警視と警部補の,二組の有能な上司と無能な部下の人間関係がおもしろい.

解説では再読も薦めている.「一度目は犯人探しのパズラーとして,二度目はスリリングな犯罪小説として,一冊で二度おいしい小説」だそうだ.ぼくも,「イニシエーション・ラブ」の場合とちがって,異論はないが,やはり,どうせなら同じ作家の別の作品が読みたい.

原題 Devil at your elbow.もうひとひねりした訳を望みたいところ. 
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コップのぶつかり音のソノグラム

2007-12-15 21:47:27 | 新音律
ふたつのコップをつまみ上げて底をぶつける.はじめはコチンコチンとぶつかるが,バウンドして何度もぶつかるうちに,音は小さくなりながら,その高さはホイッスルのように上がっていく.
http://blog.goo.ne.jp/ablerail1007/e/0cbfa14c6c3e0815a71267b4190ec355


この現象のソノグラム
http://blog.goo.ne.jp/ablerail1007/e/c788dcabd89a176a31f87c004c11458a
をとってみた.

上が音の波形.最初はぶつかりによるパルスがひとつひとつ区別出来るが,時間とともにノイズっぽくなる.下がソノグラムで,最後の0.1秒あたりの右上がりの縞もようが音の高さが上がっていくところを示している.
カチカチというぶつかりパルスの周期が小さくなって,その逆数が可聴周波数域に入ると,音が上がるように聞こえるのだと思う.

なぜ周期が次第に小さくなるのかが問題だな.

周波数と時間とのあいだに不確定性関係があるので,フーリエ変換パラメータの選び方により全く違ったソノグラムになるのがおもしろかった.
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初山 滋のイラスト

2007-12-13 13:48:29 | お絵かき
図書館で
竹迫祐子「初山滋 永遠のモダニスト」河出書房新社 らんぷの本 (2007/11)
を借用.

ある程度年配の方なら,小学校の教科書の表紙などで初山の絵に無意識に接しておられるはず.彼は童画家ということになっているが,こどもにその絵を理解できるかどうか疑問.ピアズレー,パウル・クレーなどを直接連想させる絵もあるが,アール・ヌーボ,フォービズム,キュビズムから浮世絵までがごっちゃになった画風.本人はそれを自覚していたかどうかも疑問.

でもこの本では絵が縮小されているのが残念なところだ.やはり絵本の大きさで見ないと.

どこかで,初山はきれいだった奥さんがデブになったので離婚したと読んだ覚えがあるが,この本にはそんなことは全然書いてなかった.「三人のこどもをつれて家を出た」とあるだけだ.
ご子息によれば,戦時中は干されたが「戦争のセの時も口にせず」その後は「平和のへの字も口にしなかった」という.
「与太者の子」を自称していたそうだ.この人の伝記が書かれたらさぞおもしろいことだろう.
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reading

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