Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

ハリー・パーチ「ひとつの音楽の起源」

2009-02-27 09:57:35 | 新音律
昨年の夏に,Harry Partch "Genesis of a Music" の翻訳にとりかかって,いまのところ1/3あたりのところを低迷している.最初の章はパーチの独断と偏見による音楽史という感じ.気取った英文の連続でどうなることかと思ったが,第3章から内容が具体的になり,時間さえかければ終わりまで行けそう.
ある程度読み進んでから感じたのは,a music の a は,「ある種の」という意味,具体的には「パーチの提案する...」という意味だろうということである.

原文の自己宣伝臭にはやや閉口.パーチが勝手に作った言葉や,勝手に違う意味でつかっている言葉をどう訳すかなど,ひとまず全部訳したとしても考え直さなければなるまい.

フーリエ変換はおろか,対数も敬遠し,ひたすら整数比だけを追求する.究極の純正律オタクである.このカット上の数字の羅列は,トナリティ・ダイアモンドと称するもので,数字は周波数比,早く言えば音の高さを示している.こんなものが随所に出てくる.数字遊び・数秘法めいていて,魔法陣,ひいては「西遊記―トリック・ワールド探訪」中野美代子 (岩波新書)などを連想させる.

前に進むために,取りあえず不満と疑問には蓋をすることにしている.

とはいえ,パーチの音楽を離れて,パーチの音楽理論の本を訳すのはまことに無味乾燥な作業である.パーチの音楽を実践したくても,たとえばパーチの和音は,そこらのピアノでは鳴らせない.カット下の写真はパーチ自身がトナリティダイアモンドの,音高をそのまま木の音板として実体化し,マリンバとして組み立てたものである.計算機上にmidiでこれを作れば簡単だな...でも,そんなことをして遊んでいたら,いつになっても訳は終わらない..などと,悩ましいこのごろである.
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安徳天皇漂海記

2009-02-25 08:41:08 | 読書
宇月原晴明 著 中公文庫 (2009/01)

前から気になっていたのが,文庫化されたので購読.

*****内容 (「BOOK」データベースより)*****
壇ノ浦の合戦で入水した安徳天皇。伝説の幼帝が、鎌倉の若き詩人王・源実朝の前に、神器とともにその姿を現した。空前の繁栄を誇る大元帝国の都で、巡遣使マルコ・ポーロは、ジパングの驚くべき物語をクビライに語り始める。時を超え、海を越えて紡がれる幻想の一大叙事詩。第19回山本周五郎賞受賞作。
**********

古事記をネタにした伝奇小説.2部構成で,第1部は源実朝が中心.和歌のほかに,吾妻鏡,明月記,古今著問集などが原文のままで,適当に短く引用される.大学受験以来の古文にすっかり韜晦されてしまった.

第2部はマルコ・ポーロが中心.ここまで来ると,「うつろ舟」という章があったりして,澁澤龍彦「高丘親王航海記」の影が濃い.解説(皆川博子)の言うように,確かに,幼いまま成長しない安徳天皇と,やはり幼い南宋の皇帝のふれあいは胸を打つ場面だが,全体的には SF によくあるパターン.

第1部だけで良かったんじゃないの,と思ったが,一冊でふたつの小説が楽しめるということもできそうだ.

カバーデザインは単行本と同じ,ミルキィ・イソベ.
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iPhone

2009-02-23 09:18:26 | エトセト等
お宅のケータイは第2世代だから使えなくなりますという,慇懃無礼なダイレクトメールが来た.
この際iPhoneに乗り換えた.
長らく使ってきたiPodの電池がへたってきたのもひとつの理由.

アップルらしく態度が大きい契約書に署名させられたのは忌々しかったが,なかなか快適.
なんと言っても画面が綺麗.
パソコンと同期するのが良い.
指先でタッチするのも,要領が分かれば何のことはない.
有用無用の分厚いマニュアルはついてこない.

でも

携帯特有の,痒いところに手の届くようなサービスなし.
大きさはともかく,ちょっと重いかな.
SMSとメールが分離しているのはかなりの違和感.慣れても不便か.
「メールあり」と告知があっても,そのメールをダウンロードするまでに時間がかかるのはどーも.
留守番電話はかなりへん.
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折り紙のひな飾り

2009-02-21 08:46:51 | エトセト等
結婚したばかりの頃作ったもの.何枚も重ねて折る技法.忙しいはずのいい若いもんが,こんなことをして遊んでいたのだ.
以来数十年,菓子箱から出したりしまったり.だいぶ色あせた方もいらっしゃる.

よく見れば紅葉の屏風だが,気にしない.

この並べ方は関東流で,J 子は奥の二人を逆にする.
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絵手紙 / しじみ汁

2009-02-19 08:23:54 | お絵かき
どれも絵手紙は,紙からはみ出す勢いで,うまいか下手が分からない字がぼこぼこと書いてある.最初の一枚には感心したが,描き手が変わってもみな同じで,家元に右へ倣え! という感じ.ああいうのは苦手.

...とかなんとか悪口を言っていたのだが,CDに絵を描いてみると,なんと言ってもキャンバスが小さい.
小さい空間で迫力を出そうとすると,はみ出したくなるということが分かった.
スペースができてしまったら,字をぼこぼこと書くのがいちばん簡単.

というわけで,この絵 (CDケースに内側からアクリル絵具) もお椀がはみ出している.左に「だんだん」とか書いてみたいという誘惑も感じる.
テレビでしきりに「しじみ汁」と言っているので描いたのだが,みそ汁ではなく,すまし汁が正解だったかも.
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高校理数科の課題研究

2009-02-17 08:51:29 | 新音律
「2008年度 課題研究 成果報告集 鳥取県立鳥取東高等学校」という分厚い334ページの冊子をお送り頂いた.
この高校はスーパーサイエンスハイスクールで,課題研究は鳥取東高を代表する教育活動とのこと.

テーマを同校のHPからコピペしてカットにさせていただいたが,HPは過去の予定だったらしく,報告書とは若干異なる.
タイトルが
「かきく結晶」
「Do you 脳波?」
など,高校生らしい.
ところどころ漫画があったりする.

「続・三相交流風力発電機...」は,昨年の続きらしいが,上級生から引き継いだのか,それとも1年生でやったことの続きなのか,知りたいところ.出力電圧は昨年より1桁上がったが,電池までは手が回らなかった模様.テーマを引き継いで年々データが良くなるのは大学の研究室の研究とおなじ.

じつは去年の今頃,数物1年生の課題となっている「音階の秘密」についてちょっとご相談いただいたのだが,結局何もできなかった.この研究自体は数学的側面からのもの.手書きの作図がかわいい.

数物2年生の「Sound of 炭」(HPにはなかった)ではフーリエ分析をしている等,昔に比べると,パソコンが使えるのがいいところ.実験装置器具などにも恵まれているように見受けられる.

課題は先生が見つけるのだろうか.大学や企業の研究ではできない課題と考えると.境界領域にとらわれないものがよさそうだ.工と理,物理と化学と生物,理科と数学の間には,生徒から見れば垣根はないはずだが,先生がたのほうは問題かも.

自分が高校生だったころの先生は受験の心配さえしていればよかったようだが,今の高校の先生は大変だ.
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津原 泰水「たまさか人形堂物語」

2009-02-15 09:51:43 | 読書
文藝春秋 (2009/01)

この本はわが市の図書館に蔵書されたばかり,あの「ブラバン」と同じ著者という以外,どんな本か見当がつかなかったが,かわいい装幀(挿画 曽根愛,デザイン 野中深雪)に惹かれて借り出した.結果は大当たりだった.

*****内容(「BOOK」データベースより)*****
祖母の形見の零細人形店を継ぐことになったOL澪。押しかけアルバイトの人形マニア、冨永くんと謎の職人、師村さんに助けられ、お店はそこそこの賑わいを見せていた。「諦めてしまっている人形も修理します」という広告に惹かれ、今日も傷ついた人形を抱えたお客がやってきて澪たちは東奔西走することに。チームワーク抜群の3人の活躍が始まる。
*****

221ページの薄い本に,人形をテーマにした連作短編6本.強いてジャンル分けすれば,ほのぼの系・日常の謎ミステリーかと思うが,殺人事件も発生する.登場する人形はテディベア,雛人形,マリオネット,...,ダッチワイフならぬラブドール,等.
「青い目の人形」という歌は親善人形以前に出来ていたということを初めて聞いた.

ヒロイン澪さんがいい感じ.
マイ・ベストは「最終公演」.
「謎の職人」の正体が明らかになったところで終わりと思ったら,まだ続くのは,「ホームズの帰還」同様ご都合主義的.

ところで,図書館の蔵書ってどのように決まるのだろうか.
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芥川賞「ポトスライムの舟」津村記久子

2009-02-13 09:24:33 | 読書
年に1回か2回,芥川賞にあわせて文春を買っている.

今回は,マスコミの報道等で,女性がホームレスになるストーリーと勝手に思い込んでいたが,ほとんど劇的なことは起きない.家出した母子が主人公が母と二人で住んでいるぼろ家に転がり込んで来るだけだ.選考委員はリッチな方ばかりで,この程度でも底辺の生活と映るのだろうか.山田詠美委員の『「蟹工船」より,こっちでしょう』は誇大表現.
子供も含めて,直接登場するのは女性ばかり.過去にウツになった経験からか,主人公ナガセさんの友達に対する距離感が絶妙に良い.まぁまぁ明るく終わる.

実世間でも,男は首になると (ただし,この小説ではだれも首にならない) すぐ路頭に迷うが,女性は友達のところに転がり込んだりするので,なかなかホームレスにはならないらしい.
考えてみると,J 子の友達はよく我が家に泊まって行くが,こちらの友達は泊まったことがないし,自分も人のうちに泊まるよりホテルに泊まった方がずっと気楽だ.

芥川賞だけでなく,この文春にはノーベル賞の益川さんもご登場です.
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日本橋バビロン

2009-02-11 07:46:59 | 読書
小林 信彦著 文芸春秋 (2007/09)

古本屋で500円.カバーは実弟の小林泰彦で,このひとのイラストのファンでもあるので迷わず購入.

*****内容(「BOOK」データベースより)*****
かつてわが国有数の盛り場でありながら、震災と戦災により、その輝きを失った日本橋。その地に創業享保八年、江戸、明治、大正、昭和と九代続いた老舗和菓子店「立花屋」。街の歴史のなかに家族の営為を書きとめた、胸うつ「栄華と没落の叙事詩」。
**********

「夜は短し」 「鴨川ホルモー」と若向きが続いたあとで,年寄り向きの小説にめぐりあった感がある.きわめて簡潔な大河小説と言いたいが,年代記ではない.時間が前後する複雑な構成で,連作小説みたいな面もある.著者が言うように,私小説ではない.ジャンルとは言えないが,小中学校でやらされた作文の延長というのが一番近いかもしれない.

しかし全く戦争を知らなくて,東京も知らない人には,退屈だろう.著者も気にしているようだ.それも含めて,著者の小説作法というようなものが,あからさまに織り込まれいてるのがおもしろかった.

「バビロン」って何でしたっけ?
コメント (2)
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またまた Who are you?

2009-02-09 08:53:35 | エトセト等
えさ台をヒヨドリに独占され,その周りをうろうろしていたが, ついに目的を果たせなかったようだ.大きさはヒヨドリくらいだが,ご覧のようにメタボで,動作は緩慢.目がかわいい.こういうニンゲンは良く見かけるが.このトリが来たのははじめて.

Who are you? どこから来たの?
コメント (2)
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reading

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