フィヨルドの変人 ~Odd person in fjord~

ぇいらっしゃ~い!!!

「秒速5センチメートル」のラストも踏切ですな

2021年09月08日 20時02分17秒 | 日記
横須賀線「第4種踏切」も…消える厄介者の「踏切」、引退後は愛される存在に(←リンク先はヤフーのニュース)

まあ、記事自体は週刊誌っぽい毒にも薬にもならない記事なんだけども。

さて、記事の中では「行政は立体交差を進めてる」とさらっと流されているが、こんな一文の中にも「行政の立場」に対する学習の機会があることを捨ててしまっていることがもったいない。
危険な要素があれば廃止を働きかけるのは行政として常識じゃないの? という形でこの記事読んだだけでは終わる。もちろんそれは正解ではあるのだが、正直半分正解でしかない。そもその行政は何をするところか、という観点だと、もう一歩踏み込める。
行政は法に基づいて、業務を行う立場なんである。踏切の扱いも当然法律に基づいた行為である。

というわけで踏切関係の法律を読み解いてみると、実は踏切自体が異例の存在なのだということが分かりますよ。該当の道路法第31条を丸々引用してみましょう。

(道路と鉄道との交差)
第三十一条 道路と鉄道事業者等の鉄道とが相互に交差する場合(当該道路が国道であり、かつ、国土交通大臣が自らその新設又は改築を行う場合を除く。)においては、当該道路の道路管理者及び当該鉄道事業者等は、当該交差の方式、その構造、工事の施行方法及び費用負担について、あらかじめ協議し、これを成立させなければならない。ただし、当該道路の交通量又は当該鉄道の運転回数が少ない場合、地形上やむを得ない場合その他政令で定める場合を除くほか、当該交差の方式は、立体交差としなければならない。


はい、はっきり書いてありますね。道路と鉄道の交差は、本来立体交差としなければならないわけです。踏切はやむを得ない場合に認められる存在なわけですよ。
まあ、やむを得なければいいんだろ、という発想で建設が優先された結果、世の中にここまで踏切があふれる結果にはなったわけだけれども、さすがに行政側も踏切が増えすぎた実情を踏まえて、別に「踏切道改良促進法」を昭和36年には制定して、踏切の改良には乗り出している。踏切道改良促進法自体は5年間の時限立法だったけれども、現在も改正されながら生き続けており、昨今新しく建設される道路からは、踏切はできうる限り排除されている。踏切が減少しつつあるのは記事にも触れられているけれども、裏にはこういう法律の存在がある。実際昭和36年をピークに踏切は減少の一途をたどっている。

かように物事にはちゃんとそこに至る出来事、考え、実際の動きがあるわけで、それをちゃんと見ないことには事態の理解には及ばない。マスコミというのはその事態を知る機会にはなっても、決してそれだけでは理解できないのよね。まあ、そのあたりはメディアの限界の話にもなってくるんだけども

ともあれ、踏切一つとっても背景の事情はこのように語りだしたらきりがない。世の中知らないことはまだまだたくさんあるもんですわねえ。
コメント
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