ぬたりは乗り物が大好きである。
かつてぬたりは多分に「鉄」の要素を含み、結構あちこちに出掛けたりしていた。
まあ、人の振り見て我が振り直せ、じゃないけども、あまりに醜い鉄の連中の姿を見かけるにつき、ああ、ああなってはいけない、と思うようになって、自分の中では「鉄分」は下火になったけどもね。
他人の迷惑顧みずに列車に押し入ったり、駅で運行の邪魔するような位置にカメラ持って立ち入るとかは論外ですよ。そういうのはごくごく一部と思いたいが、案外目につくのが困ったもんでね。ぬたりも見たことあるもんなあ。列車に乗るにしても、文庫本を読みつつ車窓を眺めるとか、写真を撮るにしても、レールの脇に咲いた一輪の花を愛でるとか、そういう余裕が欲しいもんだな。
閑話休題。ま、一部の人間の屑みたいな鉄の話はともかく、男の子時代を過ごしてきたぬたりであるので、乗り物に惹かれる、という気持ちは分かるつもりだし、今現在も鉄道に関しては憎からず思っている。実際知識も、まあどこかに行く時に、同行者に頼りにされるほどには豊富である。
だから、何か用事がある時にふと「ああ、時間が許すから今日は列車で行こう」と思うことは割とあり、県内の鉄道路線は実は結構乗っている。ただし、いわゆる「乗り鉄」と違ってくるのは、ただ乗ることを目的とできないこと。そこまでぬたりは鉄度が高くないのだ。
要は、明確な目的地があって、そこに向かうルートを工夫する、という乗り方になるのね。この場合、思いつけばどんな下らない目的でも可能になるのがぬたりのアホなところ。
例えばぬたりは県内分は両毛線は完全乗車しているが、その時の目的は「足利で古印最中買おう」でしかなかった、同じように八高線についても「鉢形城を見に行こう」と言う目的。まあ、ツッコミはナシにしてくれ。書いてて今俺が一番ツッコミたいわ。なんだそのアホな理由は。
そんなわけで、用事が見つかんない限りはその場所へは出かけないんで、いまだ県内で乗っていない場所というのはそこそこあるんだけれども、そんな中、まるまる乗っていない鉄道会社がある。
上信電鉄
高崎を出発し下仁田まで延びる路線であるが、ぬたりの人生三十○年、一度も乗ったことがないし、乗る目的も見いだせてこなかった路線。東毛の東武鉄道すら乗ったことがあるのになあ(東京行くのに特急りょうもう号を使いました)
ま、観光路線というわけでもないし、基本的には地元の人の足。地元民でないぬたりがそうそう使う機会もない訳なんだけれどもね。
ところが先日、仕事で下仁田町を訪れた際(社用車でね)、昼飯を買いに寄ったコンビニに「下仁田カツ丼」なるもののポスターが貼ってあった。なんかいわゆるタレカツ丼みたいな感じね。
同行の同僚もほとんど情報を知らず、「こんなんあるんだなあ」という話をしていた。
まあ、ソースカツ丼なら前橋に、タレカツ丼なら高崎にそれぞれあるから、わざわざ下仁田まで行くこともないんだが、なんだったらこの機会に上信電鉄乗ってカツ丼でも食べに行こうかとふと思った。
はい、以上までが話の枕です(長いわ!)
本編はかいつまんでお話ししましょう。
上信電鉄は地元では「日本一値段が高い」と評判で、高崎→下仁田で」1,080円もする。うーん往復2,160円かあ、と思うと躊躇もするが、その辺は鉄道会社はぬかりない。お得な1日フリー切符が発売されている。よーしパパ、フリー切符でお得に下仁田まで往復しちゃうぞ。なんて思いながら値段を見てみた。
お値段なんと2,160円。
途中下車できるとは申せ、ただ全線往復しただけではビタ一文得しないという値段設定にちょいと驚愕。普通全線往復した金額から幾ばくかでも安い値段設定(※)にするもんじゃないのこういうの?
※
例を挙げれば、群馬県内他私鉄は上毛電鉄が20円安い1,300円。わたらせ渓谷鐵道が360円安い1,800円