■燃えるブンブン / マギー・ミネンコ (キングレコード)
今も昔も、芸能界で使い勝手の良いのが所謂「変なガイジン」キャラでしょう。
特に西洋系のジンガイは出稼ぎ、日本育ち、ハーフ等々を超越して、それがトンデモ系であればあるほど、テレビのバラエティ番組では引く手数多なんですからねぇ~~。
結局それは「場の雰囲気」に馴染まない言葉使いや立ち振る舞いが、日本人では無い外見ゆえに許されるというか、「変なガイジン」だから、しょ~がねぇ~~!?
と、笑い飛ばせる許容的心情に則した存在であり、例えば本日ご紹介のマギー・ミネンコは昭和48(1973)年頃からの一時期、そのジャンルで暴れまくったひとりとして、懐かしさよりも印象の強さで忘れられない皆様も大勢いらっしゃるんじゃ~ないでしょうか。
特に日本テレビ系列で放送されていた「うわさのチャンネル」では和田アキ子、デストロイヤー、せんだみつお、湯原昌幸、そして当時は局アナだった徳光和夫等々、個性的な面々の中にあっても一際アクの強いキャラとして、傍若無人!
なにしろ十八番のギャグは「乳、揉め~~っ!」ですからねぇ~!?!?
もちろん本人が失礼ながら、決してグラマータイプではなく、むしろボーイッシュな悪ガキがそのまんま成長したようなルックスだった事も幸い(?)したのでしょう、忽ちお茶の間の人気者に!?
まあ、なにせ、激しかったですよ、そのイメージは!
そしてお決まりというか、人気が出れば、それに比例して敷かれるのが歌手デビューへの道であり、掲載したシングル盤は、その最初の1枚として、昭和49(1974)年に小ヒットしたロケンロールな歌謡曲です。
いゃ~、イントロからバイクの排気音がSEで使われ、ブラスとストリングが分厚く配されているんですが、強いリズムとピートに彩られたニューオリンズ系R&B風のメロディ展開とバイカー風情の歌詞がエグ味の効いた彼女の歌声で披露される時、そこには妙にスカッとした時間が訪れるんですねぇ~~♪
全くこれを聴くと、その時代がサイケおやじの心身に蘇ってきますよっ!
言うまでもなく、現在のおやじバンドでは練習課題になっているわけですが、ボーカルパートの随所でナチュラルに出てくるガイジン発音が、意外なほどのキメ技なんですから、油断は禁物!
実際、なかなか上手くキメられないのが悔しいわけですよ。
う~ん、マギー・ミネンコは、やっぱりタダモノでは無かった証なんでしょうか、そのあたりを見抜いていたプロデュースも含めて、橋本淳の作詞と鈴木邦彦の作曲は流石と思うばかりです。
ということで、マギー・ミネンコは、その名前からしてロシア系アメリカ人と思われますが、日本語はそれなりに達者だった事からして、おそらくは日本育ちだったのでしょう。
実はもう1枚、「涙の河」という素晴らしすぎる正統派歌謡パラードの傑作曲を彼女は残していますから、侮れません。
しかも暴れるだけ暴れたんでしょうか、実質的に芸能活動をやっていたのは3年に満たなかった記憶ですから、尚更に印象深いのかもしれません。
歌のタイトルどおり、ブンブンに燃えて、サッと消えたマギー・ミネンコの潔さは最高でした。