OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

最後まで寛いで

2005-12-31 16:13:30 | Weblog

大晦日だというのに、公私共にゴタゴタが重なって……。

なんだか今年は終りが良くない……。と言って、他が良かったわけではありませんが。

ここは一丁、ビシッと締め括りたいと目論むも、選んだ本日の1枚は、究極のリラックス盤でした――

A Long Drink Of The Blues / Jackie McLean (Prestige)

ジャズの魅力は寛ぎにあります。実際、他の音楽に比べて、その本質が瞬間芸であるジャズは、寛ぎが自然体で醸し出される可能性が高いのです。

例えば、本日のこのアルバムは、A面全部を使ってその実態をドキュメントしたウラ名盤です。

録音は1957年8月30日、メンバーはウェブスター・ヤング(tp)、カーティス・フラー(tb)、ジャッキー・マクリーン(as,ts)、ギル・コギンス(p)、ポール・チェンバース(b)、ルイス・ヘイズ(ds) というハードバップ野郎達で、この面々が延々とブルースを演奏するのですが……。

これが全く纏まりません。なにしろ盤の針を落とすと、いきなりリハーサルだか雑談だか分からない場面が、ワイワイガヤガヤと続きます。一応、今回のセッション・リーダーはマクリーンになっているはずですが、まるっきり現場を仕切る者がいない状態なのです。

それでもなんとか2分18秒目頃から本番演奏がスタート、テーマも無いようなブルース進行で、ギル・コギンスのピアノがペースを設定した後、カーティス・フラーがハスキーな音色で出てくる辺りが、如何にもジャズ♪ そしてそのバックに自然なリフが付けられていくところは最高です。

しかも次に登場するマクリーンがテナーサックスを吹いているのですから、二度吃驚というか、ジャズ者の気を惹く演出がニクイ限りです。

気になるその出来は、スタイル的にアルトサックスと変わりないフレーズを披露しています。ただしアルトサックスと同様の泣きを期待してはいけません。あくまでも「味」の世界に終始しているのです。

演奏はこの後、マイルス・デイビスそっくりなウェブスター・ヤングのトランペット・ソロを経て、再びフラーが登場しますが、この人が出ると、ますます寛ぎ感覚が大きくなるのは不思議なところです。

そしてお待ちかね、ついにマクリーンの激情アルトが炸裂して演奏は佳境に入りるのでした。

ということで、全体にリラックスしすぎというか、本当にタイトルどおり「二日酔いのブル~ス」だったのかもしれません。このあたりは個人的な好みが分かれるところでしょうが、私はここに溢れる寛ぎが聴くたびに忘れられず、かなり愛聴しています。

しかしB面はそれと正反対というか、寛いでいるようで、実は緊張感に満たされた演奏が収められています。

録音は1957年2月15日、メンバーはジャッキー・マクリーン(as) 以下、マル・ウォルドロン(p)、アーサー・ハーパー(b)、アート・テイラー(ds) という、所謂ワンホーン・セッションです。

まず1曲目は、同じアルトサックスの天才プレイヤーだったチャーリー・パーカーの決定的名演が残されているスタンダード曲の「Embraceable You」ですが、マクリーンは臆することなく、最初からテーマを変奏しつつ、熱いエモーション全開で吹き綴っていきます。

続く「I Cover The Waterfront」も、同じくミディアム・テンポでの吹奏になっていますが、そのテンションは落ちません。

そして最後の「These Foolish Things」は、さらにじっくりと煮つめたようなマクリーン節が堪能出来ます。この泣き、この心情吐露に侵されると、本当にマクリーン中毒に罹りそうです。

ちなみにB面のセッションのピアニストであるマル・ウォルドロンとは、後年、あまりにも有名な「レフトアローン」という名演を生み出すのですが、ここではその陰鬱な雰囲気は出ておらず、むしろ素直なハードバップ・バラードの世界に耽溺してしまう魅力があります。

ということで、ほとんど無視されているこういうアルバムこそが、実はジャズの楽しみを秘めているという、そんなことに気がついて優越感に浸るのもジャズ者の性だと思います。

来年もよろしくお願い致します。

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何にもしないで聴きましょう

2005-12-30 18:42:43 | Weblog

いててて……、夕方から、昨日のスノーボードの後遺症である筋肉痛が出てきました。

こういう時には何もせずにリラックスした演奏を聴きたいということで、本日は――

The Jazz Giants '56 (Verve)

タイトルに偽り無しの名演集です。

メンバーはロイ・エルドリッジ(tp)、ヴィック・ディッケンソン(tb)、レスター・ヤング(ts)、テディ・ウイルソン(p)、フレディ・グリーン(g)、ジーン・ラミー(b)、ジョー・ジョーンズ(ds) という、スイング時代からジャズの歴史を作って来た大物ばかり♪ もちろんジャム・セッションの趣が強いわけですが、しかしここではメンバー間の意志の疎通が、言わずもがなのところでピタリとあっているので、アルバム全体がひとつの作品として完璧に纏まっています。

ちなみに録音は1956年1月12日ということで、時代はモダンジャズ全盛期でしたが、ここに集ったメンバーは時代やスタイルを超越した名手ばかりなので、全く不滅の演奏を聞かせてくれます。

特にレスター・ヤングは所謂レスター派というサックスの大派閥を作った大御所でしたが、1950年代には不調のどん底……。しかしここでは奇跡の復活というべき快演を披露しています。

それはA面1曲目の「I Guess I'll Have To Change My Plan」の出来からして決定的! テディ・ウイルソンの絶妙なイントロに導かれ、ふぅっ、と歌いだすレスター・ヤングのテナーサックスは自然体の神業です。ミディアム・テンポで奏でられる哀切のテーマだけで身も心も虜になってしまうはずです。もちろんアドリブ・パートも美メロの連続♪ フレディ・グリーンを核としたリズム隊のサポートも最高です。

そして続くヴィック・ディッケンソンやロイ・エルドリッチも、そのペースにノセられて刹那の名演ですし、テディ・ウイルソンには泣き濡れる他ありません。

あぁ、もう何も言いません。とにかく聴いて下さいの大名演になっています。

それにしてもヴァーブの製作方針は単純明快で、一番良い演奏がA面ド頭に収録されるのが常になっているようです。したがって、ここでの名演がアルバム全体の出来の良さを象徴しているわけで、収録全5曲、何気に鳴らしていても完璧に聴き入ってしまう名演揃いです。

モダンジャズ以前の古いスタイルの演奏ではありますが、ジャズの最高峰を極めた瞬間が記録された1枚として、ぜひとも聴いてみて下さい。

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こっちも良いよ♪

2005-12-29 18:41:30 | Weblog

久々に休みましたが、休養ということにはならず、スノーボードに挑戦してきました。なかなか難しいですね。手が使えないので、バランスをとるのが、この歳になるし至難のワザ……。やれやれです。きっと明日は、体中が痛いでしょう……、ははは……。

ということで、本日は王道の1枚を――

The Jazz Messengers At The Cafe Bohemia Vol.2 (Blue Note)


ハードバップとはビバップの進化形で、分り易さがミソですが、それ以上に強く訴えかけられているのが、黒人としての存在意識だと思います。その部分はファンキーという言葉で集約されておりますが、私はもっと原初的な力強さに大きな魅力を感じています。

そのあたりを徹頭徹尾追求していたのがアート・ブレイキーが率いるジャズ・メッセンジャーズで、そこに去来した歴代メンバーはジャズの歴史を作り上げたとして過言ではありません。

このアルバムは、そのバンド旗揚げ期の物で、メンバーはアート・ブレイキー(ds) をリーダーとして、ケニー・ドーハム(tp)、ハンク・モブレー(ts)、ホレス・シルバー(p)、ダグ・ワトキンス(b) という名手達、録音は1955年11月23日です。

もちろんこれは同時に録音・発売された「Vol.1」とともに、言わずとしれたモダンジャズ名盤の中の大名盤ですが、その内容は若干、「Vol.1」に軍配が上がるような気配があります。

しかし、こちらには強烈な切り札が入っています。

それがB面トップの「Avila And Tequila」で、いきなりアート・ブレイキーを中心としたドラムス&パーカッションの大嵐! もちろんメンバー全員がなんらかの打楽器を手にしての熱演ですし、ブレイキーはラテン~アフロ感覚濃厚なドラム・ソロをたっぷりと聞かせ、その後に魅惑のテーマが奏でられます。

というこの曲はハンク・モブレーのオリジナルで、実はこの録音以前に自身のリーダー盤で発表された名曲ですが、ここでは尚一層、アフロ色が強いアレンジ&演奏になっており、それはファンキーという言葉を超越して天まで昇る熱演になっています。

このあたりの雰囲気は実に黒っぽいというよりも、本当にアフリカ一色で、現在よりもはるかに人種差別が強かった当時、この演奏がどのように受け取られていたかは興味深いところです。まさに黒人としての存在意識というか、アメリカで不当な差別を受ける側の真っ当な自己主張、原点回帰の主張が込められたものと思います。

ジャズはもちろん流行の音楽ですが、モダンジャズ期の聴衆は白人中心であり、黒人が演奏していて初めて価値があるという受け取られ方があったことは、否めません。そしてそれを逆手にとって自己主張していたのが、当時の黒人ジャズメンだったと思います。

ですから、リアルタイムのハードバップに熱気があるのは当然で、それが思いっきり現れたのが、この演奏というわけです。ちなみに、ここでの全員打楽器という手法は、後のジャズ・メッセンジャーズでは「チェニジアの夜」の演奏に受け継がれていく十八番になります。

それにしても、ここでの「Avila And Tequila」は熱く、先発のハンク・モブレーは自作だけあってツボを外さないモブレー節を披露すれば、ケニー・ドーハムは日頃の冷静な仮面をかなぐり捨てて鬼神のソロを聴かせます。もちろんリズム隊は地鳴りせんばかりの躍動感です。

そのノリはアルバム全体に溢れており、A面1曲目の「Sportin' Clowd」はビバップではお約束のリフを流用したブルースですが、ホレス・シルバーのピアノに代表されるように、リズム隊のシンコペーションがビバップに比べて明らかに黒っぽく、つまり粘ってファンキーな感覚が横溢したものになっています。そしてそれに煽られてフロントのケニー・ドーハムとハンク・モブレーが熱血のブローを聴かせるのですから、もう最高です。

また「Like Someone In Love」や「Yesterdays」といったジャズ・スタンダード曲も、例えばマイルス・デイビスのバンドのようなスマートな解釈よりも、あえて泥臭く演奏していこうとするジャズ・メッセンジャーズの意図が感じられます。

それが結実しているのが最後のバラード・ナンバー「I Waited For You」で、このハードボイルドな雰囲気は最高です。そして鳴り止まない拍手の中、短くテーマ曲が演奏されて、このアルバムは幕を閉じるのですが、実際問題として、ジャズ喫茶ではあまり鳴ることの無い、この「Vol.2」に、最近、妙な愛着を感じている私です。

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正直言って

2005-12-28 16:39:45 | Weblog

疲れました。今年は、というよりも、今月は仕事が超多忙、大暴風雪等々……。

おまけに本日も忘年会の仕切り直しが……。

こういうときには暴虐的な音楽が欲しいということで、本日の1枚は――

Money Jungle / Duke Ellington (United Artists)

ジャズに快楽や和みだけを求めてはいけない!

このアルバムを聴くたびに、そう思います、否、思わざるをえません。

デューク・エリントンは、言わずとしれたアメリカの大作曲家にしてビックバンド界の大御所で、永遠に不滅なヒット曲・名曲を多数生み出した天才ですが、ピアニストとしても超個性派でした。

このアルバムは、そのピアニストとしてのデューク・エリントンの焦点をしぼった作品で、共演はチャールス・ミンガス(b) とマックス・ローチ(ds) というモダンジャズ界のコワモテ2人! 当然、怖ろしい内容になっています。

まずA面初っ端のタイトル曲「Money Jungle」からミンガスの怒りに満ちたベース、喧嘩を売っているようなローチのドラムスが炸裂し、そこへエリントンの打楽器ピアノが強引に割って入ります。いちおう形式はブルースのようですが、そんな生易しいものではありません。これはもう、喧嘩です。

2曲目はその反動というか、静謐な美しさに満ちた「アフリカの花」♪ しかしミンガスのベースは充分に挑発的なので、エリントンも怒りを爆発させる瞬間があり、最後まで緊張感に満ちています。

3曲目の「Very Special」は軽快なブルースを装っていますが、これも奥が深いというか、和みを排除した恐い演奏です。特にエリントンの大胆さがはっきりと現れており、そこにローチが激しく挑んでいくあたりが、たまりません。もちろんミンガスも健闘しています。

そしてA面最後の「Warm Valley」でようやく、和みが訪れます。ただしそれは、あくまでもご褒美としてのありがたさであって、ここまで聴き通して疲れ切った後でなければ、その真髄を味わうことが出来ないという仕掛けになっているのでした。ちなみにこの曲は、エリントン楽団ではスターのアルトサックス奏者であるジョニー・ホッジスの十八番になっていましたですね♪

しかしB面に入ると、またまた地獄が待っています。それはまず冒頭の「Wigwise」における、聴き手の心を鷲掴みに乱れさせるトリオの迫力演奏に顕著で、この3者の息の合い方というか、本当にモダンジャズを超越せんばかりの鬩ぎ合いは強烈です! 唐突な終わり方にもグッときます。

続くお馴染みの「Caravan」は、これまた最初っから喧嘩状態、特にエリントンの大爆発ぶりが仰天ですし、ローチの迫力シンバルワーク、地底怪獣の出現を思わせるミンガスのベースも圧倒的です。このあたりの展開は、よく言われるように、セシル・テイラー(p) 等々の前衛フリー派への影響も大きいところですが、それにしても、この演奏は最高にスカッとします。

そして最後は、これもエリントンの有名ヒット曲「Solitude」が、エリントンのソロ・ピアノで演じられます。当然、このハーモニー感覚は最高で、心底、幸せな気分にさせられますが、途中から入り込んでくるミンガスとローチの自己主張が強いくせに協調していくサポートも最高で、エリントンも安心して、存分に自分の我侭を押し通すところは感動的です。

ということで、これは聴いていて地獄、聴きとおして天国という、まあSMみたいなアルバムですが、一度虜になると抜け出せない世界が凝縮されています。しかも現行CDにはボーナス・トラックも満載ということで、覚悟をきめて、ぜひとも聴いていただきたい名盤というわけです。

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見かけによらず

2005-12-27 16:05:39 | Weblog

あぁ、本日も雪の嘆き節……。もう、沢山ダァ~!

しかし日曜日にいっしょにやって来た家族や親戚は大喜びで、本日も午前中からスキー場へ行ったようです。独り残された私は、もちろん仕事……。あぁ、虚し……。

でも、除雪要員がいるのは大助かりでござんすよ。

ということで、本日の1枚は――

Fantasia / Kenny Drew Trio (Baystate)

ケニー・ドリューはモダンジャズ創成期から活躍する黒人ピアニストで、おそらく我国ではビル・エバンスやキース・ジャレットと同格に有名な存在だと思います。

それはジャズがロックに対抗すべく、フュージョン化していった1970年代に、その反動として欧州を中心に繰り広げられたハードバップ・リバイバルの波で再評価されたことをきっかけに、リーダー盤を多数吹き込み、中でも日本のレコード会社によって製作された一連のアルバムは、その美味しい味付けで大ヒットし、人気を確立したのです。

そのミソは、本物のジャズでありながら、とても聴きやすいスタイルの演奏に徹していたことで、もちろん演目は有名スタンダート&人気ジャズ曲が中心でした。当然、演奏そのものもお約束のフレーズやミエミエのスタンドプレーが盛り込まれていたのです。

こういうところは、聴いていて確かに安心感と心地良さに満ちていましたが、硬派なジャズファンからは、ある種の軽蔑の対象になっていたのも、また事実でした。

ところがケニー・ドリューは、けっして演奏に手を抜いていたとか、安易な姿勢で臨んでいたとかいう部分は、それほど無かったと私は思います。もちろん録音当日のコンディションの問題はあったでしょうが、常に平均点以上の出来栄えの作品ばかりだと思います。

まあ、そのあたりが、ある程度聴きこんでいるファンには面白くないところなのですが、さて、このアルバムは、そうした作品群の中では特異とも思える硬派な内容になっています。

特にタイトル曲でもあるB面1曲目の「Fantasia」は、暗黙の了解でトリオ全員が疾走した、この時期では珍しいほどのモロ・ジャズです。メンバーはケニー・ドリュー(p)、ニールス・ペデルセン(b)、エド・シグペン(ds) という言わずもがなの名人トリオ、録音は1983年6月とされています。

で、私は当時、ジャズ喫茶でこの曲を初めて聴いた時、これが、あの、ケニー・ドリュー・トリオか……!? と驚愕した思い出が今も鮮烈に残っています。なにしろ出だしから不吉な雰囲気に満たされたペデルセンのベースに導かれ、ケニー・ドリューが儚くも淡い夢のようなテーマを弾き始めるのです。もちろんこの曲はケニー・ドリューのオリジナルで、一転してエド・シグペンの高速シンバル・ワークに煽られて、演奏は過熱したアドリブ・パートへ突入していきます。そこではペデルセンの混濁した心情吐露というようなピチカート・ソロが驚愕物で、続くケニー・ドリューのピアノも、媚びたフレーズを廃してハードにスイングしており、全く激情的です。そしてクライマックスでは、エド・シグペンの想像力豊かなドラム・ソロが展開されるのでした。

ということで、これは聴いていてかなり疲れる演奏ですが、それを癒すのが続く和みのスタンダート曲「Dream」です。このホッと一息の瞬間が、このアルバムのハイライトでしょう。実際、私はこの展開が大好きで、この2連発だけ聴いて満足するほどです。

う~ん、それにしても、この歌心溢れる演奏は流石です♪ 実はこういう部分はケニー・ドリューの最も魅力的なところですから、アルバム製作時には、そこばかりが狙われたレコードが出来てしまうわけです。ただし、そういう方向性だけでは物足りないもの、また確かで、それゆえにケニー・ドリューは軟弱! と決めつけられてしまうのです。

そのあたりのバランス感覚がこのアルバムでは絶妙で、例えばA面冒頭に収録された「Flight Of Fancy」では、いきなり思わせぶりなケニー・ドリューのピアノがあり、創造的なペデルセンのベースに繋げ、さらにトリオ3者のインタープレイを楽しめるというように、密度が濃いうえに聴きやすい演奏になっています。

またお約束で演奏している有名スタンダート曲の処理も、例えば「いつか王子様が」で聴かれるように、今回はかなりハードエッジな部分が目立ちます。それは当に意表を突かれる思いで、好例のソフトタッチのジャケットに騙されて軽んじてしまうのは勿体無い隠れ名盤だと思います。

ただし残念ながら現在は廃盤中のようですね。ジャズ喫茶でリクエストする時はB面がオススメです。

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原点回帰

2005-12-26 17:37:48 | Weblog

厳しい冬は始まったばかりですが、今年は仕事が異常に忙しいので、泣きが入りそうです。本日も物凄い風雪で、そういえば山形県では大きな列車事故がありましたですね。何時、何事が起きるか、一寸先は闇だと痛感しております。遭難された皆様には、こころからお見舞い申し上げます。

ということで、本日は原点回帰のこれを――

Cliff Craft / Cliff Jordan (Blue Note)

日頃目立たないけれど、実は良い仕事をしている人は、どんな業界・業種にも必ずいるものです。ジャズの世界ではクリフ・ジョーダン(ts) が、そういう中のひとりでしょう。

スタイル的にはR&B派でも、コルトレーン派でも無く、しいて言えばハンク・モブレー風の王道派ですが、黒人でありながら黒っぽさは控えめという、まあ、ある種のスマートさを持ったプレイヤーです。

しかし、その仕事ぶりは堅実で、あらゆるタイプのバンドに加わって録音を残していますし、そのどれもが一定のレベル以上の出来になっています。もちろん自己のリーダー盤でも、所謂ジャズの名盤と認定されるブツはありませんが、ジャズ喫茶の人気盤は沢山あり、このアルバムもそのひとつです。

メンバーはクリフ・ジョーダン(ts) 以下、アート・ファーマー(tp)、ソニー・クラーク(p)、ジョージ・タッカー(b)、ルイス・ヘイズ(ds) という、これも地味ながら間違いの無い仕事人ばかりというあたりが、マニア心を刺激します。

録音は1957年11月10日で、A面は全てがクリフ・ジョーダンのオリジナルで占められています。そしてまず初っ端がラテン系哀愁ナンバー「Laconia」、しかし、このホレス・シルバー調の素敵な曲がイマイチ消化不良……。う~ん、何故だ? ちなみにこのセッションの参加メンバーでは、クリフ・ジョーダン、アート・ファーマー、ルイス・ヘイズの3人が、当時のホレス・シルバー(p) のバンドメンバーだったのですから、ますます???です。

しかし次の「Soul-Lo Blues」はミディアム・テンポの快演で、ファンキーでカッコ良いリフのテーマとメンバー全員の充実したアドリブ・ソロが、まろやかで黒っぽい雰囲気を醸し出しています。中でも剛直に生ベースを弾くジョージ・タッカーが縁の下の力持ち! またソニー・クラークも何時ものクラーク節全開で最高です♪

そしてA面ラストの「Cliff Craft」は、これぞハードバップというアップテンポ曲で、アルバムタイトルに偽りなしの名演! クリフ・ジョーダンは地味~な出だしから徐々に印象的なフレーズを炸裂させて盛り上げて行きますし、アート・ファーマーも淀みない歌心を披露、そしてソニー・クラークはもちろんファンキーです。

ところがB面に入ると、初っ端の有名ビバップ曲「Confirmation」が脱力感……。なんか、ピリッとしません。

しかし続く「Sophisticated Lady」はムード満点、クリフ・ジョーダンは黒くてソフト、都会的な解釈で、この有名なエリントン・ナンバーをじっくりと聞かせてくれます。

そしてオーラスは、またまたビバップ定番曲の「Anthropology」が、今度は熱く演奏されるのです。その原動力はルイス・ヘイズの躍動的なドラムス! アート・ファーマーは完全に尻を叩かれていますし、このあたりの雰囲気は、今しもホレス・シルバーの団子弾きピアノが聞こえてきそうですが、実際はソニー・クラークの控えめな伴奏になっているのが勿体無い限り……。しかし、まあ、それは無いもの強請りですね。

そしてその物足りなさをぶっ飛ばすのが、クリフ・ジョーダンのツボを外さないテナー・ソロ♪ 音色は灰色、ハートは黒く、醸し出す雰囲気はモダンジャズの魅力そのものです。さらに続くソニー・クラークがピュアなビバップ魂を噴出させるのですから、たまりません。

ということで、やや仕上がりにバラつきが感じられる内容ですが、リーダーのクリフ・ジョーダンに限っていえば、今回も良い仕事でした。原盤ジャケット裏の解説でも、実際の現場では人望があったというクリフ・ジョーダンは、けっこう安心して仕事を任せられる人だったようです。

それ故にいろいろなバンドで長く活動し、リーダー盤も数多く出していますが、若干、企画に溺れたような作品があり、また、そっちばかりが取上げられるところが、クリフ・ジョーダンの不幸かもしれません。その意味でこのアルバムは基本に忠実というか、原点の1枚として好感が持てるのでした。

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今日はクリスマス

2005-12-25 18:21:07 | Weblog

今日はクリスマス、でも、クリスマスには、あまり良い思い出がありません。

まあ、私の場合は仏教徒ですから、12月25日といっても普通の1日と思えばいいんですが、そうもいかないのが、日本社会の不思議なところでして……。

遠い昔、若い頃にクリスマス・ケーキ配送のバイトをやったら、間違えた配送リストを渡されて大往生、お客さんには迷惑かけるし、深夜まで配送とお詫びでグッツリと絞られたことがありました。これは今でもツライ思い出のひとつです。

ということで、本日の1枚は――

Pearl / Janis Joplin (Sony)

ジャニスは必ずしも好きな歌手ではありません。お世辞にも美人とは言えないし、歌い方もシャウトばっかりだし……。

でも、このアルバムは違います。言わずと知れたジャニスの遺作でもありますが、短い活動期間中に紆余曲折あって、ようやく辿り着いた新境地というか、見事にコントロールされたボーカルが最高に心に染みるのです。

全体的にはゴスペル・ロックの一種なんですが、そういうジャンルを超えたものが感じられますし、なによりもバックの演奏を自在に引張るようなジャニスの存在感が素晴らしい♪

ド頭の「ジャニスの祈り」でのウネルようなノリ、ラス前の「Trust Me」の静謐な魂の呻き、「俺とボビー・マギー」の陽気で悲しいグルーヴ等々、まったく全篇飽きません。

1960年代ニューロックの完成形のひとつでもあり、それがここに極まったことで、ロックは次なる地平を目指して行ったような気がするほどです。

幸いにも今日、いろいろなオマケがついたCDが幾つか出回っておりますので、ぜひとも聴いていただきたい名盤ですが、まずはオリジナル盤の部分をじっくりとお楽しみ下さいませ。

ちなみに私は、本日、実家から赴任地へ戻る車中、家族に運転させてこのアルバムを聴いていました。ところが連日の激務から、何時の間にか眠りに落ち、気がついたらそこにはデジタルビートの音楽が流れていました。悪夢に落ちる前に目覚めたことを、私は神に感謝のクリスマスでした。

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密かな楽しみ盤

2005-12-24 18:29:20 | Weblog

昨日は残務整理、そして本日、ヘトヘトになって実家に戻り、いろいろいと野暮用をこなし、これから宴会とパーティの二本立てへ顔を出してきます。

全く自分の楽しみが無いというか、こういう時こそ、個人的に密かな楽しみに浸りたいということで、本日の1枚は――

Water Babies / Miles Davis (Sony)

1976年末に突如発売された、マイルス・デイビスの未発表曲集です。当時のマイルスは隠棲中でしたから、レコード会社としては窮余の一策という事情があったのですが、内容は素晴らしい部分を沢山含んでいます。

それは1960年代後半のマイルス・バンドの変化、ロックへの挑戦を含んだ流動的な実態が明らかにされる、その刹那の一瞬を楽しむという、いささかマニアックなものですが、しかし虚心坦懐に聴いても、なかなか良いアルバムだと思います。

まずA面は全てウェイン・ショーターのオリジナルで占められており、演奏メンバーはマイルス・デイビス(tp)、ウェイン・ショーター(ts)、ハービー・ハンコック(p)、ロン・カーター(b)、そしてトニー・ウィリアムス(ds) という、所謂黄金のクインテットです。
 
1曲目の「Water Babies」は、1967年6月7日の演奏とされており、これはリアルタイムで発売されたマイルスの傑作アルバム「ネフルティティ」のタイトル曲と同日の録音とあって、そのミステリアスな雰囲気やテンションの高さは遜色ありません。特にショーターは最高です♪

2曲目の「Capricorn」は同年6月13日の演奏で、このバンドだけの暗黙の了解的な4ビートが心地良いのですが、なにかひとつ、物足りない雰囲気が濃厚です。ただしロン・カーターとトニー・ウィリアムスのリズム・コンビーネーションはジャズの本質を突いています。

3曲目の「Sweet Pea」は同年6月22日の演奏とされていますが、これは諸説あるようです。肝心の演奏は、これもショーター十八番のミステリアス路線で、ミディアム・テンポを基調に各人がフリーのアプローチも披露しつつ、裏に表に絡みながら進行していくテンションの高さが快感です。

ちなみに以上3曲は、2年後の1969年夏にウェイン・ショーターが自己名義でリメイクし、ブルー・ノートから発売した傑作アルバム「Super Nova」に収録して極みつきの演奏を聴かせてくれますので、そのあたりを鑑みると、ここでのバージョンへの興味は尽きないものがあります。

そしてこのアルバムのハイライトは実はB面で、録音は1968年11月とされており、何と前述のメンバーにチック・コリア(key) とデイブ・ホランド(b) が加わっての擬似ロックビート・セッションになっています。もちろんチックとハービーはエレピを弾いていますし、ロン・カーターがエレキ・ベース、デイブ・ホランドが生ベースという変則体制が異様な緊張感を生んで行きます。

まず1曲目の「Two Faced」はトニー・ウィリアムスのラテンロック的なポリリズムのドラミングと絡み合うキーボード、自由に飛翔するベースのウネリが、後年の電化マイルスの礎をしっかりと聞かせているのが愕きです。

またそれに挑むがごときショーターのダークなアドリブ、全く負けていないリズム隊の強靭さが最高です。もちろん主役のマイルスも奮闘しますが、はっきり言って精彩がありません。というよりも、他のメンバーが凄すぎるというべきでしょうか……。所々に現れては消えていくキメのリフの心地良さは◎

そしていよいよクライマックスのオーラスという「Dual Mr.Tillman Anthony」はゴスペル・ラテン・ロック・ジャズとでも申しましょうか、とにかく躍動的なビートのゴッタ煮状態が最高に楽しく、聴き手の血圧は上昇する一方でしょう。特に前半のリズム隊オンリーの部分は強烈です。

それに煽られて登場するマイルスも力強く、ちょっと何時とは別なフレーズも吹いていきますが、やや???でしょうか……。

しかしそれを救うのがショーターの異次元テナー・サックスです! このあたりは完全に後年のウェザー・リポートになっているのは、言わずもがな♪ リズム隊と共謀してのストップ・タイムの緊張感と暴虐的なアドリブの嵐は最高です。つまりこれではこの演奏がオクラ入りしてしまうの当たり前という快演になっているのです。続くハンコックのエレピ・ソロも痛快!

ということで、繰返しますが、主役のマイルスが冴えていません。しかし反面、子分達の奮闘が眩しく力強いという、これはとんでもない問題作で、発売された当時は賛否両論でした。もちろん名盤扱いにはなっていません。

しかしウェイン・ショーターのファンは大歓迎♪ そのひとりである私には、密かな愛聴盤となっている1枚なのでした。

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出来る時にはやっておけ!

2005-12-23 18:01:36 | Weblog

あ~ぁ、昨日は大停電があったとはいえ、ブログが途切れて残念無念でした。つまり出来る時にやっておけ、という教訓ですね。

ということで、本日の1枚は、まったくそのとおりのアルバムを――

Traneing In / John Coltrane with The Red Garland Trio (Prestige)

今日でも続々と発掘音源が登場するコルトレーンは、もちろんジャズの巨匠で、夥しい録音から多くのアルバムが残されていますが、これは公式には2ndリーダー盤です。

と言っても、実はタイトルどおり、既にプレスティッジ社の看板になっていたレッド・ガーランド・トリオとの共演盤というスタイルになっており、もちろんコルトレーンとガーランドは、この時点でマイルス・デイビスのバンドから注目された新星♪ という扱いになっているわけです。

録音は1957年8月23日、メンバーはジョン・コルトレーン(ts)、レッド・ガーランド(P)、ポール・チェンバース(b)、アート・テイラー(ds) という、モダンジャズではお馴染みの面々です。このあたりは、如何にも狭い超一流モダンジャズ・メンの世界の表れというか、ジャズの本場ニューヨークでの現実の厳しさを象徴していると思います。

肝心の演奏は、まずA面ド頭に収録されているタイトル曲「Traneing In」が、12・12・8・12という小節構成の変則ブルースで、イントロからそのまんま、ブルース感覚たっぷりの快調なガーランドのソロ・パートでスタートします。このあたりのレッド・ガーランド・トリオのグルーヴは、何時もながらのお約束ですが、それでも気持ちよくノセられてしまいます。

そして続くコルトレーンは、大量の音符を駆使してウネウネと果てしないフレーズが特徴の所謂「シーツ・オブ・サウンド」を完成させつつある姿を披露しています。ちなみにこの当時のコルトレーンは、セロニアス・モンク(p) のバンドに入って大いに注目されていたという、今では歴史のヒトコマの真っ只中! 実際、ここでもダークな音色で直向に吹きまくるところは魅力的です。またチェンバースのベース・ソロも「サンタが街にやってくる」の一節を盛り込んで、なかなか楽しく、迫力があります。アート・テイラーのバッキングの上手さも言わずもがな♪

2曲目は文字通りスローな「Slow Dance」で、いきなりアグレッシブなチェンバースのベースがイントロにあって驚かされますが、コルトレーンが素直な情感を込めて吹奏する哀愁のテーマに、グッときますし、アドリブ・パートでは、ガーランドが名人芸を披露しています。そしてコルトレーンはラストのテーマ吹奏で再び登場しますが、そこでは後年の名作「Naima」を想起させる部分までも聞かせてくれるのでした。

B面に入っては、いきなりの「Bass Blues」が快調なテンポで演奏されますが、コルトレーンはどこかしら迷いがあるらしく、そこを激しく突っ込むアート・テイラーのドラムスが流石! そしてソロ・パートが白熱していく様はハードバップの醍醐味そのものです。もちろんガーランドは余裕たっぷりで、このトリオのパートも、また別の意味で楽しさ満点♪

そのリラックスした部分は、次のスタンダード曲「You Leave Me Breathless」で満開です。まず何と言ってもガーランドの上手さが、イントロから巧みなバッキング、流麗なアドリブ・ソロで輝いています。また主役のコルトレーンは丁寧なテーマ吹奏に、コルトレーンだけが表現出来る哀愁を滲ませて、ファンを喜ばせます。チェンバースの意表を突いた絡みにも仰天!

そしてオーラスは、コルトレーンが本領発揮の超快速バージョンの「Soft Lights And Sweet Music」で、これには百戦錬磨のメンバーも必死の追走を演じる他はありません。ただしコルトレーンにしても、後年の凄みよりは縺れの方が目立ちますが、それでもこの激しさはジャズを聴く喜びだと思います。

ということで、これはかなりの充実盤で、録音も迫力があり、おそらくヴァン・ゲルダー・サウンドの典型になっていると思います。

またプレスティッジ・レーベルの製作方針は、まず初めに録音ありなので、一気にレコーディングした音源を小出しに組み合わせたアルバムを発売するのが常道なのですが、この作品は珍しくたった1日のレコーディングだけで構成されています。つまりそれだけこのセッションが素晴らしかったというわけです。

そしてコルトレーンはこのセッションの翌月、ジャズ史に残る名盤「Blue Train」をブルー・ノート・レーベルに吹き込み、ますます上昇機運に乗っていくのですが、その片鱗がこのアルバムの、特にタイトル曲に顕著だと思いますので、ぜひ、お楽しみ下さい。

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これで和もう

2005-12-21 17:18:27 | Weblog

仕事はようやく山を越えつつありますが、それにしても雑事が多いなぁ……。全然和めないです。連日、家へ帰っては寝るだけ状態が続いていますし、いろいろ仕入れたネタも楽しめないという、こういう地獄もあるんです。

ということで、和みを求めて本日の1枚は――

Stan Getz and The Oscar Peterson Trio (Verve)

ジャズはリズム音楽だと思いますので、良いドラマーに恵まれれば、それなりに良い演奏になるわけですが、この傾向はビバップ創成以降のモダンジャズ期では特に大きくなっているようです。

では、ドラムスが居なかったらスイング出来ないの? という問いについて、答えは否です。寧ろ演奏者の力量とか個性がモロ出しのリズム感が楽しめるので、スイングする、しないに拘れば、かえって面白く聴けてしまうのが、ジャズの怖ろしいところです。つまり演奏者が一流か、否かという答えが、はっきりと出てしまうと、私は思っています。

そこでこのアルバムですが、結論から言うと出来は極上です♪

演奏メンバーはタイトルどおり、スタン・ゲッツ(ts)、オスカー・ピーターソン(p)、レイ・ブラウン(b)、ハーブ・エリス(g) という面々で、録音は1957年10月10日になっており、当時は全員一緒のパッケージ・ツアー中だったことから、息の合った演奏が楽しめます。

まずA面初っ端の「I Want To Be Happy」から軽快に演じられます。この曲はスタンダード・ナンバーにしてジャズの定番曲ということで、幾多の名演が残されていますが、このバージョンもそのひとつでしょう。とにかく全員のノリが尋常ではありません。特にリズム隊はドラムレスであるにも係わらず、執拗にスタン・ゲッツを煽りたて、自分達のパートに入ってはオスカー・ピーターソンが鬼神のスイング! それを支えるギターとベースのウネリも凄いものがあります。そしてそれに刺激されて再び登場するスタン・ゲッツが、これも凄まじいアドリブを披露するという、明るく激しい演奏になっています。

2曲目は、これも有名スタンダードの「Pennies From Heaven」ということで、スイング感満点の演奏が楽しめますが、ここでは特にスタン・ゲッツが歌心を存分に披露しています。もちろんピーターソン以下のリズム隊も快調で、レイ・ブラウンのベースがその要になっています。

3曲目はメンバー各々が持ち味を競うバラード・メドレーで、これは当時のステージでは定番のメニューだったようです。

B面は1曲目の「I'm Glad There Is You」がしっとりとした名演で、スタン・ゲッツに寄添うハーブ・エリスのギターが素晴らしい限り♪

続く「Tour's End」はスタン・ゲッツのオリジナル曲で、これぞモダンジャズというダイナミックなノリが満喫出来ますが、演奏時間がやや足りないと感じるところが減点です。つまりもっと聴いていたいというところで終わってしまうので……。特にハーブ・エリスは◎ またスタン・ゲッツはリズム隊をブレイクさせて緊張感を生み出し、エキセントリックなフレーズも交えて盛り上げていくのですからねっ♪

そして「I Was Doing Allright」は和みの極致とでも申しますか、このリラックスした雰囲気は、凡百のミュージシャンには出せない味だと思います。何気ないようでいて、ちゃんと他のメンバーの出す音を聴きながら演奏しているこの4人は、流石です。

その部分はオーラスの「Bronx Blues」でもたっぷり発揮され、ミディアム・スローの黒っぽい展開の中でスマートにスイングするスタン・ゲッツ、ほどよい黒っぽさのオスカー・ピーターソン、粘っこいレイ・ブラウン、そして黒~いバッキングをつけるハーブ・エリスという対比が鮮やか! 個人的には黒く、黒く行こうとするスタン・ゲッツが憎めません。

ということで、これは和み系のジャズではありますが、そのスイング感を楽しむには絶対のアルバムです。仕事を終えて、独り自宅で酒でもチビリとやりながら聴いてみて下さい。和みます。

ちなみに現行輸入盤CDはボーナス4曲付きです。

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