OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

パリ、テキサスは何処にある…

2012-08-19 15:47:17 | Ry Cooder

Paris, Texas / Ry Cooder (Warner Bros.)

サントラと言うよりも、映画の劇伴音楽としては、ライ・クーダーが担当した「パリ・テキサス」も最高に好きです。

ご存じのとおり、ヴィム・ヴェンダース監督による1984年の映画本篇は傑作として決定的な評価を得ていますが、もしもここにライ・クーダーの音楽が入っていなかったら……!?

なぁ~んていう想いは愚問です!

何故?

と問われれば、それは実際に映画本篇を鑑賞していただくのが最良の答えなんですが、美しい映像も、出演者の的確な演技も、そして監督以下撮影スタッフの意図をも暗黙の了解の如く纏め上げているのは、ライ・クーダーの音楽としか思えないんですよねぇ~♪

例えば劇中の映像演出で多用されるインサートシーンや曖昧な場面転換におけるライ・クーダーのギターの存在感は、もしもそれが無かったら、非常にギクシャクした映画になっていたようにも感じられるほどです。

物語は恣意的な行動として、互いに理解しあえない夫婦とその間のひとり子供が、最良の方策は何時までも結論を出さない事だと言わんばかりの存在を見せつけるのでしょうか、とにかく行き倒れの浮浪者=ハリー・ディーン・スタントンがなんとか弟に預けられていた息子=ハンター・カーソンと再会し、ふたりでハンター・カーソンの母親=ナスターシャ・キンスキーを探しに旅をするという展開です。

そして風俗店で働いている彼女を発見したハリー・ディーン・スタントンは……、というところから、なんともせつない物語のクライマックスが演出されますので、後はぜひともご覧いただきたい名作なんですが、ほとんど効果音的な使われ方をされるライ・クーダーのギター、あるいは付随するピアノやマンドリン等々が、ジワジワと心の中に染み込んでくる情動も、なかなか強い印象になると思います。

そこでサイケおやじは、基本的にライ・クーダーが好きではありますが、掲載したサントラアルバムをゲットする時でさえ、映画の中の様々な場面を回想する目的が一番でありました。

 A-1 Paris, Texas
 A-2 Borthers
 A-3 Nothing Out There
 A-4 Cancion Mixteca
 A-5 No Safety Zone
 A-6 Houston In Two Seconds
 B-1 She's Leaving The Bank
 B-2 On The Couch
 B-3 I Knew These People
 B-4 Dark Was The Night

さて、ライ・クーダーと言えば映画音楽の仕事も相当にやっていますが、この「パリ、テキサス」は基本的にライ・クーダー(g)、デイヴィッド・リンドレー(etc.)、ジム・ディッキンソン(key) の3人で演奏されているようです。

しかし、もちろんライ・クーダーのギターはフィンガービッキングもスライドも流麗にしてエグ味の効いた特有の音を聞かせてくれますし、例によってデイヴィッド・リンドレーはマンドリンやバイオリンみたいな不思議な音を出す楽器を操っているようでもあり、またジム・ディッキンソンはピアノをメインにしながら、おそらくはシンセ系の楽器も使っているのでしょうか、おそらくは多重録音も使いつつ、なかなか深みがあって、厚みのある演奏が出来上がっていると思います。

ところが同時に、それが非常にシンプルな響きに聞こえるところが、美麗な映画本篇の映像や刹那の物語演出を見事に彩っている秘密かもしれません。

実はこのLP裏ジャケットには上記メンバーの演奏風景を撮った写真が掲載されているのですが、ライ・クーダーは妙にボロッちいギターを使っていますし、デイヴィッド・リンドレーは見た事もないバンジョーと胡弓のハーフみたいな楽器を弾いていることに加えて、ジム・ディッキンソンはピアノの鍵盤にガムテープを張り付けている作業中!?

う~ん、だから、この劇伴トラックは奥行きの深~い音作りになっているんでしょうかねぇ~~~。

そこで肝心の演奏そのものなんですが、まず注目されるのはオーラスの「Dark Was The Night」で、これはサイケおやじが大好きなライ・クーダーの初リーダーアルバムのオーラスにも置かれていた古典ブルースのインスト演奏であり、他のトラックの大部分は、この曲の変奏というのが真相だと言われています。

しかし、それにしても、流石のバリエーションの多彩さはライ・クーダーならではの感性であって、例えばタイトルバックに流れたA面ド頭の「Paris, Texas」の不気味な予感、続く「Borthers」でのフィンガービッキングとスライドの巧みな交錯によるシミジミ感、そして「Nothing Out There」での、これまた悪い予感の満たされ方!?

何れもライ・クーダーの名人芸とも言うべきスライドギターの魔法が冴えまくりなんですが、さりげなくバックに入っている妙な鐘の音や意味不明のオドロなサウンドは、おそらくは他の2人によるものでしょうか、それが意外にも大きな存在感を示しているようです。

また「Houston In Two Seconds」や「She's Leaving The Bank」は、不安と希望が絶妙にミックスされた演奏とでも申しましょうか、この緩いテンポでの力強さや不思議な躍動感はクセになりそうな上手さですよねぇ~♪

それは父親と息子が互いに相手をどう思っていいのか、そんな深層心理に踏み込んでいるようでもあり、また客観的に登場人物を眺めて欲しいという監督の意図の代弁なのか……?

このあたりは映画本篇を観ていると、それこそリスナーが十人十色の感性で聴けるんじゃ~ないでしょうか。

その意味で極めて効果音に近い演奏の「No Safety Zone」、あるいはライ・クーダーが独り舞台でスライドギターを響かせる「On The Couch」は両テイク共に短いながらも相当に印象的ですよ。

そしてもうひとつ、この音源集で素敵なのが、こよなく美しいワルツの「Cancion Mixteca」で、これはライ・クーダーが十八番とするメキシコの伝承歌を自己流にアレンジしたものらしいのですが、映画本篇の中では随所にチラチラと流れてきたりもして、これまた心に染み入りますよ♪♪~♪

おまけにこのトラックでは、途中から主演男優のハリー・ディーン・スタントンが泣き節のボーカルで歌ってくれるんですからねぇ~~♪ 思わず、うるっとしてしまうですよ♪♪~♪

実は些かネタバレになりますが、このアルバムのクライマックスは映画本篇と同じく、所謂「覗き部屋」で働いる妻のナスターシャ・キンスキーにハリー・ディーン・スタントンが鏡越しに、これまでの経緯を第三者的に物語る台詞がそのまんま入っていて、その途中から、この「Cancion Mixteca」の演奏パートがジンワリと流れてくるんですねぇ~~♪

いゃ~、この場面ではサイケおやじも映画館で本当に泣いてしまいそうになったんですが、レコードを買って、聴いているだけもそのシーンに浸りこんだ感じで、完全うるうる状態……。

全くお恥ずかしいかぎりではありますが、こうして迎えるラストシーンは「お約束」である母親と息子の再会であって、いよいよそこに流れる「Dark Was The Night」の潔さは絶品!

しかもそれに続く終わり方が最高の余韻なんですよっ!

とにかく全ての皆様にご覧いただきたいとお願いするに相応しい、これぞっ! 永遠不滅の名作映画にして、傑作劇伴音楽集なのは、そのラストの余韻の見事さがあればこそです。

ちなみにリアルタイムでは家庭用ビデオも普及し始めていましたし、今は懐かしのレザーディスクも登場した頃とあって、この「パリ、テキサス」の映像ソフトも人気がありました。

それは普通に鑑賞するのも良いんですが、所謂環境ビデオとして、お洒落なカフェバーとかブティック等々で雰囲気作りに使われていたんですよねぇ~♪ 結局、そこまで用いられてしまうほど、映像と音楽の融合完成度が高かったという証だと思われます。

ということで、本日の文章内容は映画「パリ、テキサス」をメインに書いてしまったので、「Movie」のジャンルが真っ当かもしれませんが、あえて「Ry Cooder」に入れてあるのは既に述べたとおり、ライ・クーダーの演奏が映画本篇を絶対的な存在に導いているからに他なりません。

まあ、それは例によってサイケおやじの独断と偏見ですから、このアルバムだけを聴けば、つまらないと感じられる皆様が圧倒的に大勢だと推察しております。

しかし、一度でも映画本篇を鑑賞すれば、この音源集がライ・クーダーの最高傑作と断言されるファンさえも存在する理由がご理解願えるかもしれませんよ。

それほど、「パリ、テキサス」は全てに秀逸な作品だと思うばかりです。

ちなみにサイケおやじは車の中でこれを流すことも度々で、もちろん孤独な運転時に限っているんですが、それで劇中のハリー・ディーン・スタントンのようにストイックな気分に浸るというジコマンは悪くありません。

まあ、そんなところがサイケおやじの本性であります。

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弾き語りも熱いぜっ! ライ・クーダー

2012-06-26 15:38:03 | Ry Cooder

Down At The Field / Ry Cooder (Leftfield Medio  = CD)

近年のミュージシャン側主導によるアーカイヴ音源商法は、何かと尤もな批判はありますが、しかしファンにとっては蔵出し大歓迎♪♪~♪

なにしろこれまでブートという違法行為でしか接する事の出来なかった「お宝」に堂々とお金を払っていただく以上、その品質の保証は当然ですし、自らの存在意義さえ問われかねないとあっては、中途半端は許されないでしょう。

しかし、その間に第三者的な発売元が関与すると、それはそれで幾分の誤解が発生してしまう問題が……。

例えば本日ご紹介のCDは、ライ・クーダーが1974年に出演したラジオショウ音源を復刻したもので、内容は昔っからブートの優良ネタになっていたものです。

そして今回の復刻盤ではジャケットにエレキを持ったライ・クーダーの写真が用いられていながら、中身はアコースティックな弾き語り!

結果として、そこに欺瞞を感じてしまう皆様も大勢いらっしゃる事は想像に易いわけです。

ところが、だからこそ、この音源に愛着を覚える事も確かと思うのは、サイケおやじだけでしょうか?

☆1974年5月20日:コロラド州デンバーで録音
 01 Too Tight This Rag Of Mine
 02 You've Been Doing Something Wrong
 03 Blind Man Messed Up By Tear Gas
 04 Instrumental
 05 How Can A Poor Man Stand Such Time And Live
 06 Slow Consumption
 07 Forget That Folding Bridge
 08 Fool For A Cigarette / Feelin' Good
 09 Crazy 'Bout An Automobile
 10 Feelin' Like A Submarine
 11 Don't Take Everybody To Be A Friend
 既に述べたとおり、ラジオ放送用のレコーディングなんですが、あまり大きな会場ではないのでしょうか、なかなか雰囲気が所謂アットホーム♪♪~♪
 それだけライ・クーダーの弾き語り大会は心和む集会なんでしょうが、もちろん当時からライ・クーダーというミュージャンは決してメジャーではなく、レコードだって、ベストセラーなんてことはなかったでしょう。
 ただし評論家の先生方や同業者にはウケが最高に良く、そんなところから一度は聴いてみよう! と決意実行の後に熱烈なファンになってしまうリスナーの多くが、生ライプで尚更に憑依されるという、まさに素晴らしき円環が今に続いていると思われます。
 その意味で、この音源にはライ・クーダーの根源的な魅力に迫れる貴重な機会がぎっしり!
 しかも未だ正式契約レコード会社ではレコーディングが成されていない曲もあったりして、例えば「Don't Take Everybody To Be A Friend」は、近年のライ・クーダーが積極的にコラボしているバハマ諸島のミュージシャンの演目であり、それを1974年から既にやっていたというのは、なかなか興味深いところでしょう。
 また「Slow Consumption」も、おそらくはこれが初出?
 あと、「Crazy 'Bout An Automobile」はサイケおやじがお目当てだったシンコペイトしまくりのR&Bなんですが、ここでは肩すかし気味の別アレンジがかえって快感!?
 そんなこんなの積み重ねが、卓越したアコースティックのギターワークとマンドリンを駆使したセルフの伴奏で歌われていくのが、この音源の真相です。
 しかも呆れかえるほど上手いギターは、率直に言えば、ど~やって弾いているのか分析も理解も不能の世界で、おそらくはチューニングの変則性や独自の運指、あるいはピッキングの天才的コントロールがあっての事だけはなんとか分かるんですが、ほとんど神の領域でしょうねぇ~~♪
 そして今回、目からウロコだったのは、ライ・クーダーの歌の上手さ!
 というか、言葉は完全に分からなくとも、非常な説得力が感じられるんですよっ!
 この点はライ・クーダーを鑑賞する場合、今後は留意しなければならないと思うばかりです。

☆1974年5月16日:ニューヨークのボトムラインからの放送音源
 12 The Tattler
 13 One Meat Ball
 14 Preacher
 15 Vigilante Man
 さて、こちらは大都会のニューヨークとあって、リスナーもある意味で慣れ切った耳で楽しんでいるようなファンが多いようで、なんとなくコアなマニア性の熱気が感じられます。
 しかし、もちろんライ・クーダーは自然体なんでしょうねぇ~♪
 妙に気負うなんて雰囲気よりは、ライプの現場ならではの熱の入れようで、なかなか楽しい歌と演奏が披露されています。
 特に「Preacher」のギターは凄いですよっ!
 とても独演とは思えない、スライドと強靭なピッキングの複合技には悶絶させられますねぇ~~♪
 ちなみに「The Tattler」は初出と思っていたら、実はアレンジ違いで「パラダイス&ランチ」に収録されていると思いますが、う~ん……。

ということで、全体的に音質良好の素晴らしいライプ盤だと思います。

ただ、それでも部分的に左右への音揺れがあるのも確かですし、ギターの音色そのものにクリアさが失われているパートがあることも事実です。

そして演奏が弾き語りということで、これからライ・クーダーを聴いてみようと決意されている皆様には、決してオススメ出来るものではありません。

しかし、中身の充実度は圧巻で、ライ・クーダーが好きであればあるほど楽しめるはずですし、当然の如く様々な不平不満も噴出するはずですが、それもまた、ファンにとっては宿業的な喜びじゃ~ないか♪♪~♪

と思っています。

また、ちょっとアコギも練習してみようかなぁ~~、と決意を新たしたくなるかもしれませんよ。

少なくともサイケおやじは、そんなモードに入りそうです。

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幸せのライ・クーダー

2010-07-09 17:04:01 | Ry Cooder

Paradise And Lunch / Ry Cooder (Reprise)

今では常識となっているライ・クーダーの幅広い音楽性、その最初の結実が1974年春に発売された、通算4作目となる本日ご紹介のアルバムだと言われています。

 A-1 Tamp 'Em Up Solid
 A-2 Tattler / おしゃべり屋
 A-3 Married Man's A Fool / 結婚したらお終いさ
 A-4 Jesus On The Mainline
 A-5 It's All Over Now
 B-1 Medley:Fool For A Cigarette / Feelin' Good
 B-2 If Walls Could Talk
 B-3 Mexican Divorce / 恋するメキシカン
 B-4 Ditty Wah Ditty

演じているのはこれまでどおり、フォークブルースやゴスペル、伝承歌や埋もれたジャズソング等々をベースにしながらも、そこに今回はメキシコ音楽のスパイスをたっぷり加味したという、所謂サウス・オブ・ザ・ボーダー!

しかも遠くカリブ海の潮の香りも漂って♪♪~♪

ですから参加メンバーもクリス・エスリッジ(b)、ラス・タイトルマン(b,vo)、ジム・ケルトナー(ds)、ミルト・ホランド(per) の常連組に加え、ジャズピアノの基本スタイルを確立させた巨匠アール・ハインズ(p)、同じくジャズ系のセッションミュージャンとして第一線のジョージ・ボハノン(tb)、プラス・ジョンソン(sax)、レッド・カレンダー(b)、ニューオリンズ系R&Bからはロニー・バロン(p,org)、さらにアルバム全体の色合いを強く印象付けたゴスペルコーラス隊としてボビー・キング(vo)、ジーン・マムフォード(vo) 等々が適材適所に配されていますから、ライ・クーダーのギターもアコースティック&エレキで十八番のスライドはもちろん、匠の技のフィンガービッキングやマンドリンも冴えまくり♪♪~♪ また、歌いっぷりから滲んでくる絶妙のオトボケフィーリングもニクイばかりですよ。

なにしろ「Tamp 'Em Up Solid」からして、これは伝承歌とクレジットされながら、ジャズっぽいビートと神業アコースティックギターのコンビネーションが最高のロックフィーリングを醸し出していますし、古いゴスペル曲をメキシコ風味に焼き直した「おしゃべり屋」では、さらりとしたストリングスと濃厚なゴスペルコーラスを従えたライ・クーダーの歌とギターが、なんとも言えない解放感と哀愁を聞かせてくれます。

ちなみに「おしゃべり屋」は、後にリンダ・ロンシュタットも歌うことになるんですが、そのベースになったのは、明らかにライ・クーダーのバージョンでしょう。

そして有名黒人ブルースマンのブラインド・ウィリー・マクテルが晩年に放ったヒット曲「結婚したらお終いさ」を十八番のエレキスライドとヘヴィなビートで演じ切り、さらにゴスペルコーラスを強い印象で使うという禁断(?)の裏ワザは、このアルバムが紛れもないロックであることの証明です。

その意味で、これも伝承歌という「Jesus On The Mainline」を真っ当なゴスペルフォークに仕立上げ、救世軍みたいなホーンまで付け加えたのは流石というべきで、多重録音によるアコースティックスライドのアドリブはライ・クーダーの真髄! 実はこの時期のライ・クーダーの実演映像はブートですが、かなり出回っていて、この「Jesus On The Mainline」を強靭なアコースティックギターの弾き語りで披露するという名場面が堪能出来るんですが、それはもう、恐ろしくなるほどの神業と感動の嵐ですから、機会があれば、ぜひともご覧くださいませ。

またボビー・ウォーマックというよりもストーンズやフェィセズのバージョンで有名なR&B「It's All Over Now」を、浮きあがったようなレゲエフィーリングでやってしまう稚気も、今となっては、あながち的外れではないでしょう。実は当時、少なくとも我国ではレゲエは今ほど一般的ではなく、「レガエ」とか「レゲ」とか呼ばれていたんですよ。まあ、それは発音の問題からくる表記の違いと言えば、そのとおりなんですが、流石はライ・クーダーというか、実はここでの演奏のキモはロニー・バロンの楽しくローリングしたニューオリンズスタイルのR&Bピアノであって、つまりはニューオリンズからカリブ海を経てジャマイカあたりへと辿りつく旅の終わりと始まりが、ここにあるんじゃないでしょうか?

いゃ~、本当に和みますねぇ~~♪

告白すれば、サイケおやじは決してレゲエは好きではないのですが、これは別格!

ですから、ここまで来るとB面の最初で演じられるフォークブルース系のメドレー「Fool For A Cigarette / Feelin' Good」が、どんなにシンコペイトしたリズムとビートで処理されていても、それが当然の気分に染まってしまい、逆にライ・クーダーのマンドリンやギターに集中して聴けるんですよ。以外に力んだボーカルも良い感じ♪♪~♪

そして、これまたブートの映像では決定的な名演が残されているゴスペル&ドゥワップ調の「If Walls Could Talk」が、その完璧なエレキスライドの弾き語り共々、たまらない世界です。黒人コーラスならではの軽い高揚感とライ・クーダーのギターワークが絶妙のコール&レスポンスをやってしまうという、まさに出来過ぎのトラックですが、これはぜひとも前述の映像を公式発売し、世界中の皆様に楽しんでいただく必要があるでしょうね。

さらにバート・バカラックの作曲でお馴染みの「恋するメキシカン」なんですが、これは巷間言われているほどの純正メキシコ風味ではなく、あくまでもライ・クーダー流儀というか、実はテキサスや南部カリフォルニアあたりのローカルポップス仕立になっています。

実はこれまでも度々書いてきたことなんですが、サイケおやじは幸運にも、このアルバムが発売された時期の1974年6~9月にかけて渡米が叶い、その時はメキシコ近くまで行けたんですが、道中には、このアルバムに収められている類の音楽を幾らでも聴くことが出来ました。もちろんそれはラジオや街中のBGMではありましたが、それまでメキシコ音楽といえば、ハリウッド映画のサントラかハープ・アルパートあたりの所謂アメリアッチと思い込んでいた自分の常識が、そこで完全に覆されたのです。

というよりも、そこに流れていたのは業界ではテックスメックスと称される、アメリカ風メキシコ音楽だったらしく、おそらくはライ・クーダーにしても、この時点で演じていたのは、テックスメックスを自己のスタイルで解釈したものだったのかもしれません。なによりも本場メキシコのミュージシャンが、ほとんどセッションに関与していないのですから!?!

しかしそんなことに意気消沈するどころか、ライ・クーダーは全ての歌と演奏に自信を持っていたと思います。

なんとオーラスの「Ditty Wah Ditty」は、ジャズピアノでは歴史を作った巨匠のアール・ハインズと臆する事のない共演を果たし、絶句するほど素晴らしいギターを聞かせてくれるんですよっ!

いゃ~~、本当に感涙♪♪~♪

ということで、聴けば聴くほどに味わい深く、絶対に飽きのこない名盤だと思いますが、リアルタイムで発売された1974年の常識からすれば、これはロックやフォーク、あるいはウエストコーストサウンドからも激しく逸脱した異端のアルバムでした。

つまり内容は素晴らしいのに、決して一般大衆向けでないことが明らかですし、少なくとも日本では、どのように売っていいのか、レコード会社も困ったんじゃないでしょうか。なにしろシングルヒットしそうなキャッチーな曲もなく、いくらLPで音楽を楽しむのが普通になっていたとはいえ、極言すればシブイ!? または地味……。

残念ながらサイケおやじは、これが発売された当時の我国の状況や反応を知りません。理由は前述のとおり、渡米していたからなんですが、正直に言えば、ライ・クーダーの新譜が出たことさえ、知る由もありませんでした。つまり本国でもプロモーションなんて、ロクにやって貰えなかったんでしょうねぇ……。

しかし帰国して初めて聴いたこのアルバムに、サイケおやじが忽ち夢中になったことは言わずもがなでしょう。それは元来ライ・クーダーのファンであったことにもよりますが、アメリカで接することが出来たメキシコ風味の音楽と、ここでの歌と演奏が見事にリンクしていたという経験にも大きく関わっています。

あぁ、こんな素晴らしいアルバムに出会えた幸運に感謝するしかありませんねぇ。

自分はあまりにも運命論者かもしれませんが、世の中と人生には、決して避けて通れない幸不幸が絶対にありますよね。

もちろんそれは不幸の方が多いと思いますが、だからこそ数少ない幸せを大切な思い出にしなければなりません。

今日は最後に生意気な説教となり、申し訳ございませんが、サイケおやじはこのアルバムを聴く度に、そうした思いに駆られるのです。

そして爽やかな黄色いジャケットも含め、中身は完全に夏向きの1枚として、大推薦!

いよいよ世界へ旅立つライ・クーダーに追従するのも、また幸せじゃないでしょうか。

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最も地味なライ・クーダー

2010-04-25 15:59:37 | Ry Cooder

Boomer's Story / Ry Cooder (Reprise)

ライ・クーダーの諸作中、最も地味なアルバムでしょう。

発売されたのは1972年頃でしたが、前作「紫の峡谷」が我国でも評判となったわりには、この3作目はそんなに話題になることもなく、サイケおやじにしても翌年末に中古の輸入盤で入手したのが真相です。

それはシンプルなジャケットデザインと同じく、本当に素朴な内容が当時の流行とは無縁の世界だったからでしょうか。なにしろジャケット裏には参加ミュージシャン名はおろか、収録曲目のクレジットさえなかったのです。

しかし実際に盤に針を落として聴けば、これがなんとも燻銀の世界です。

 A-1 Boomer's Story
 A-2 Cherry Ball Blues
 A-3 Crow Black Chicken
 A-4 Ax Sweet Mama
 A-5 Maria Elena
 B-1 Dark End Of The Street
 B-2 Rally 'Round The Flag
 B-3 Comin' In On A Wing And A Prayer
 B-4 President Kennedy
 B-5 Goodmorning Mr. Railroad Man

例によって上記演目は全て古いブルースや伝承歌、そして南部や中南米の流行歌なんですが、私がゲットしたのは中古盤だった所為もあり、もしかしたら付属してたかもしれない歌詞カードや参加メンバーの詳細が分かるようなライナーがありません。

しかしそれでも前2作のリーダー盤に夢中となった経緯があり、また友人&先輩からの情報を得ながら聴く味わいは尚更に別格でした♪♪~♪

まずは冒頭、ずっしりと重いビートでシンプルに繰り広げられる「Boomer's Story」の素朴でエグイ歌と演奏に身も心も奪われることから始まり、カントリーブルースとアラブ音楽をコテコテに煮〆たようなインスト「Cherry Ball Blues」、ホノボノジャズフォークという感じの「Crow Black Chicken」、泥臭い味わいが逆にスマートに「Ax Sweet Mama」、さらに一転してのカリブ海リゾートの午後というノンビリムードが素敵なインスト「Maria Elena」と続く流れは何の違和感も無く、実に心地良いんですねぇ~♪

もちろんライ・クーダーの神業ギターはスライドとフィンガービッキングに冴えわたり、ほどよい緊張感を滲ませたボーカルも良い感じ♪♪~♪

ちなみに助演メンバーは私の完全なる推測ですが、前作同様にジム・ディッキンソン(p)、ミルト・ホランド(ds,per)、ジム・ケルトナー(ds,per)、ジョージ・ボハノン(tb) 等々が参加していると思われますが、このアルバムの中では一番に有名な曲であろうB面ド頭の「Dark End Of The Street」には作者のダン・ペン(p) が参加していると言われています。

しかしライ・クーダーが本当に凄いのは、この濃密な南部ソウルの名曲を全くの自然体で己のギター中心に歌わせたことでしょう。常套手段の力みを期待すると見事な肩すかしが、実に粋な風情とシミジミフィーリングを醸し出しているのです。

あぁ、このスライドの軋みには泣けてきますよ。

これぞ、本物のすすり泣き♪♪~♪

そして、その実に良いムードを引き継いで素朴に歌われる「Rally 'Round The Flag」では、寄り添うピアノがランディ・ニューマンらしいんですが、ギターとピアノと質素な歌声だけで、これだけの世界が描けてしまうという印象の強さが最高!

さらにフォークソング風でありながら、妙にシンコペイトしたビート処理が不思議な魅力を滲ませる「Comin' In On A Wing And A Prayer」も侮れません。

また続く「President Kennedy」は伝説のブルースマンとして再評価されていたスリーピー・ジョン・エステスとの夢の共演ながら、決してそれに流れされることのないライ・クーダーの矜持が見事です。もちろん当時は70歳近い老境に入っていたスリーピー・ジョン・エステスが自作のオリジナルを歌うという存在感は強烈なんですが、その偉人の歌とギターを見事にサポートするライ・クーダーのマンドリンには、単なるトリビュートを超えた敬意が感じられ、まさにこのアルバムのハイライトかもしれません。

ですからオーラスの「Goodmorning Mr. Railroad Man」が尚更に胸キュンというか、そこはかとない泣きのフィーリングがたまりませんねぇ~♪ 微妙に使われているアコーディオンやクラリネットがシブイです。

ということで、本当に地味~な演奏ばかりなんですが、心に染みる感度は良好♪♪~♪ その決して一般ウケはしないであろう作りが逆に魅力という、なんとも天の邪鬼な1枚だと思います。

そしてこれは全くの妄想ではありますが、もしかしたらデビュー以来のアウトテイクを加工したのかもしれないと思わせるほど、ディープでコアな仕上がりが賛否両論のポイントでしょう。

それゆえライ・クーダー入門用には適しませんが、末長く愛聴出来るアルバムじゃないでしょうか。私は好きです。

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愛聴40年近くのライ・クーダー

2010-03-12 16:48:58 | Ry Cooder

Into The Purple Valley / Ry Cooder (Reprise)


なんともハリウッドなジャケットデザインでお馴染みでしょう。これはライ・クーダーの2作目のリーダーアルバムで、既にストーンズの繋がりから初リーダー盤の前作を気に入っていた私は、最初っから相当に気合いを入れて愛聴した1枚です。

内容はアメリカの大衆伝承歌やフォーク、ブルース、そしてR&B等々をライ・クーダーならではのハイブリット感覚というか、好きなようにアレンジして歌い、演奏したものですが、そこには天才的なギターの腕前と偉大な先人達への敬意がしっかり記録されているように思います。

ちなみに「紫の峡谷」という、丸っきりディープ・パープル状態の邦題で発売された昭和47(1972)年と言えば、特に我国ではフォークブームの真っ只中! 極めて歌謡曲に接近した連中も登場し、また逆に歌謡曲のスタアがフォークスタイルのヒットを飛ばすという状況でしたが、そんな中でも所謂「四畳半」と称された地味な味わいを追求する、昔ながらのフォーク歌手も頑張っていました。

そしてそうした源流に大きな啓示とヒントを与えていたのが、このアルバムだったんじゃないでしょうか?

結論から言えば、私は初めて聴いた時、当時の我国で流行っていたフォークの元ネタに触れた気がしたものです。

 A-1 How Can You Keep On Moving
 A-2 Billy The Kid
 A-3 Money Honey
 A-4 F.D.R. In Trinidad
 A-5 Teardrops Will Fall
 A-6 Denomination Blues
 B-1 On A Mandy
 B-2 Hey Porter
 B-3 Great Dream From Heaven
 B-4 Taxes On The Farmer Feeds Us All
 B-5 Vigilante Man

セッションメンバーはライ・クーダー(vo,g,mandolin) 以下、クリス・エスリッジ(b)、ジム・ケルトナー(ds)、ジム・ディッキンソン(p)、ミルト・ホランド(per)、ヴァン・ダイク・パークス(key)、グロリア・ジョーンズ(vo)、クラウディア・リニアー(vo)、ジョージ・ボハノン(tb) 等々、前作から引き続いてのシブイ名人揃いゆえに、一筋縄ではいきません。

極言すればフォークでありながら、ロックがど真ん中の力強いビートと音作りは完璧!

それは冒頭「How Can You Keep On Moving」での幾層にも重ねられたギターのラフで緻密な構成、しなやかなドラムスのビートと的確なペース、楽しげなピアノに支えられたフォークソングの黄金律とも言うべきメロディを歌うライ・クーダーのイナタイ雰囲気♪♪~♪ そして何よりも途中から滑り込んでくる生ギターのスライドと間奏のアドリブの素晴らしさっ!

正直、最初に聴いた時から今でも、全くどうやって弾いているのか、コピーすら出来ませんが、その快楽的なノリは最高の極みですよ♪♪~♪

実はライ・クーダーは正確無比なフィンガービッキングと様々な変則チューニングを多用していますから、実際のライプでは何本ものギターをステージ後方にずら~っと並べ、その中から適宜選んで演奏に使っているのですが、そういう幾つものスケールを頭と手の指で自然に覚えているというのは驚異だと思います。

もちろん運指の上手さ、絶妙のリズム感も天才の証明ですから、例えば黒人コーラスグループのドリフターズが1953年に放ったヒット曲のカパー「Money Honey」の粘っこグルーヴを、全く独自のフィーリングで演じてしまった痛快さも素晴らしい! どっしり重いドラムスと歪むエレキスライド、ラテン味のマンドリン、そして間奏のスライドアドリブのスリルとサスペンス! もう絶句して歓喜悶絶の世界です。バンド全員がシンコペイトしまくったノリも異常事態でしょうねぇ~♪

そうした絶妙のR&B味は「Teardrops Will Fall」でも表出されますが、ここでも絶妙な中南米グルーヴが特筆もので、決して派手ではないんですが、そこはかとない仕掛けの妙が胸キュン♪♪~♪

また気になるフォーク王道の響きとしては、生ギターやマンドリンを積極的に使うことによって更に味わい深く、もちろん多重録音が駆使されているんですが、全くイヤミがありません。むしろその用意周到なアレンジと完璧な演奏に圧倒されると思います。

それはハードエッジなマンドリンとエレキスライドが冴えまくりの「Billy The Kid」、上手すぎるフィンガービッキングに耳を奪われる「F.D.R. In Trinidad」、ゴスペルフォークをチェレスタで彩った「Denomination Blues」、シンプルで粗野なスライドが力強いロックへと変転する「On A Mandy」等々、本当に匠の技としか言えませんが、何れも参加したセッションメンバーの堅実な助演を抜きにしては語れません。

中でもジム・ケルトナーのドラムスが凄い存在感で、ローリングしたビートとでも申しましょうか、セカンドラインやラテンのリズムを盛り込みつつ、最高にロックしているのは流石!

ですからライ・クーダーも心置きなく自分の好きな世界を構築出来ているようです。それは特に「Taxes On The Farmer Feeds Us All」におけるゴッタ煮グルーヴに顕著だと思うんですが、とにかくジム・ケルトナーのスネア主体のドラミングは痛快無比! じっくり構えてエグ味全開というライ・クーダーのエレキスライドも最高ですし、アコーディオンの存在も無視出来ず、このあたりは後に更なる進展を披露する布石になったような気がしています。

その意味でシンプルなアンプラグド系の「Hey Porter」やギターソロのインスト「Great Dream From Heaven」、そしてオーラスの「Vigilante Man」はスライドギターで黒人ブルース風にやってくれますから、地味なんてとても言えない自己主張は最後まで押しが強いのです。

もちろん、このアルバムの収録曲は全てが他人の演目ですが、ここまで個性を出しきったライ・クーダーの力量は物凄く、さらに後でオリジナルバージョンの幾つかを聴いて仰天したのは、ライ・クーターが思いっきり原曲の味わいを崩している演奏が多かった!?! ということでした。

ですからこんな、一見すればシンプルな演目集に如何にもハリウッドっぽい「作り物」をデザインしたジャケットはミスマッチどころから、実に意味深じゃないでしょうか。つまりライ・クーダーは昔の楽曲を引っ張り出して聞かせるだけでなく、実に現代的にリメイクしていたのです。

それは録音のロックっぽさ、各楽器やボーカルのミックスが緻密に作り込まれていること等々、このアルバムを聴くほどに感動させられます。もちろん音楽そのものの魅力も最高ですよ。

出会ってから既に40年近く経っていますが、私にとって、おそらくは無人島へ持っていく候補の中の1枚です。

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好きです、ライ・クーダー♪

2008-01-13 16:30:42 | Ry Cooder

昨夜、某宴会のビンゴ大会で、電子レンジが当りました。

と、まあ、ここまでは良かったのですが、なんとその場で持ち帰りなんですねぇ。外箱みたら16キロもあるんですから、困った、困ったです。

仕方なく寒中に大汗かいて駐車場まで運び、車に積んで帰りましたが、私は酒を飲まないので、これでOKでも、電車とかで帰宅する人なら困惑したでしょうねぇ。

ということで、本日は――

Ry Cooder (Reprise)

凄腕ギタリストという範疇に留まらず、現在では所謂ワールドミュージックの大御所でもあるライ・クーダーは、しかし私の前にはストーンズ関連のサイドメンとして現れました。

それは1971年に発売された「スティッキー・フィンガーズ」に収められていた「シスター・モーフィン」という曲で、打ち震えるようなスライドギターを聞かせてくれたのが、決定的な出会いとなりました。

この曲は原題が「Sister Morphine」とされているように、明らかにモルヒネの禁断症状を歌っているとされますが、う~ん、確かに幻覚的中毒症状を感じさせるような曲調に、ライ・クーダーのスライドギターは欠かせません。

しかしストーンズとライ・クーダーの邂逅は、このアルバムが始めてではなく、既に「レット・イット・ブリード」に収められた「むなしき愛」でマンドリンを弾いていると、クレジットされていたのです。

しかも、この「シスター・モーフィン」は、その時のセッションと同時期に録音されていたものですから、個人的にはブライアン・ジョーンズの代わりを務めたのか!? という思いを禁じえません。

さらに後年、ライ・クーダー自らが語るところによれば、ストーンズとのセッションでは、自分のアイディアやフレーズが盗まれたという話ですから、穏やかではありません。実際、「ホンキー・トンク・ウィメン」における変則オープンチューニングによるリフとか、ノリそのものは、ライ・クーダーが作り出していたと言われても反論出来ないものが、後々、明るみに出てくるのです。

ちなみにストーンズとライ・クーダーの腐れ縁は、ミック・ジャガーの主演映画「青春の罠」のサントラ作りで渡英したジャック・ニッチェが当時、スタジオ・ミュージシャンとして重宝していたライ・クーダーを伴っていた事から始ったそうです。前述した「レット・イット・ブリード」のセッションも、その横流れで行われていたのですから、結果は押して知るべし……。

さて、このアルバムは、その「スティッキー・ファンガーズ」と同年に発売されたライ・クーダーの初リーダー盤で、我国でのタイトルは「ライ・クーダー登場」でした!

そして「シスター・モーフィン」でのスライドギターにシビレていた私は、当然、リアルタイムで買ってしまったというわけです。

ところが、中身が???の連続でした、正直なところ……。まあ、確かにストーンズ色の演奏もあったのですが――

A-1 Alimony
A-2 France Chance
A-3 One Meat Ball
A-4 Do Re Mi
A-5 Old Kentucky Home
A-6 Hou Can A Poor Man Stand Such Times And Live ?
B-1 Available Space
B-2 Big Meat
B-3 Police Dog Blues
B-4 Goin' To Brownsville
B-5 Dark Is The Night

――ちなみにプロデュースはヴァン・ダイク・パークス、録音されたのは1969~1970年頃と言われており、メンバーはライ・クーダー(g,vo,b)、ヴァン・ダイク・パークス(p)、ロイ・エストラダ(b)、クリス・エスリッジ(b)、マックス・ベネット(b)、リッチー・ヘイワード(ds)、ミルト・ホランド(per) 等々が参加しています。

冒頭「Alimony」はR&B歌手のトミー・タッカーが1965年にヒットさせた名曲のカバーですが、重いビートに変則的なノリのスライドギター、とぼけたボーカル、おまけに妖しい熱気の女性コーラスが混濁した名演♪ しかしリアルタイムの私には全く???でしたねぇ……。なんとも長閑な雰囲気としか言いようがなかったです。

それでも「France Chance」や「Do Re Mi」になると、ストーンズの名盤「ベガーズ・バンケット」風の演奏になっているので、馴染めました。ただしここにも混濁したストリングが入ったり、肩透かしのホーンとか意図的にズレたようなビートがありますから、遊び感覚なのか? なんて当時は思ったものです。

まあ、このあたりは実際に聴いて感じるしかないのですが、実はザ・バンドとかトラフィックあたりの全方位音楽のポリリズムがあったんですねぇ。

う~ん、これで良いのか!?

このあたりは有名曲の「Old Kentucky Home」やゴスペル味が濃厚な「Hou Can A Poor Man Stand Such Times And Live ?」でのストレートな味わいも深いものがあります。

肝心のギタリストとしての腕前は「Available Space」でのシンプルで力強いスライドとか、「Police Dog Blues」での素晴らしい生ギターのピッキングが圧巻!

そしてオーラスの「Dark Is The Night」での雰囲気ギターインスト♪ 生ギター&スライドの妙技が最高で、後年の名画サントラ「パリ・テキサス」の世界が既に堪能出来るのです。これを聴いた時は、本当にブッ飛びましたですねぇ~♪

ですから私はCDが出た時、迷わず買って、この「Dark Is The Night」を1曲目にセットし、続けて冒頭の「Alimony」から順に聴くという技を使っています。

もう、こうすると天国なんですよっ!

というよりも、実はこのアルバムが日本発売された当時、ラジオでDJの福田一郎がライ・クーダーについて解説していて、こういう鑑賞がベストと推奨していたのです。

そして私は、それからライ・クーダーが理解出来たというのが真相なのでした。もちろん今は生活に無くてはならない1枚になっています。

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