OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

だからホリーズが好き♪♪~♪

2012-11-29 16:27:23 | Hollies

懐かしのガソリン・アレー c/w Dandelion Wine / The Hollies (Parlophone / 東芝)

ほとんど我国では流行らなかった中でも、個人的に忘れられないほど好きな洋楽ポップスが、本日掲載したホリーズのシングル盤A面曲「懐かしのガソリン・アレー / Gasoline Alley Bred」です。

もちろん本国イギリスで発売された1970年秋には、以前ホリーズに在籍していたリーダー格のグラハム・ナッシュが新グループのクロスビー・スティルス&ナッシュ、さらにはニール・ヤングまでもが加わったクロスビー・スティルス・ナッシュ&ヤングで既に大ブレイクしていましたから、その頃になっても保守的なスタイルを貫いていたホリーズサウンドは、些か時代遅れというイメージがあったのかもしれません。

しかしホリーズファンにとっては、それこそが黄金律であり、永遠に続いて欲しいものに他なりません!

不肖サイケおやじも全くそのひとりとして、ラジオで最初に聞いた瞬間から、購入する為の乏しい小遣いの算段に覚悟を決めたほどです。

ちなみに当時のホリーズはテリー・シルヴェスター(g,vo)、アラン・クラーク(vo,hmc)、トニー・ヒックス(vo,g,etc)、バーナード・カルバート(b,g,key)、ボビー・エリオット(ds,per) という顔ぶれでしたが、グループのウリだったハイトーンのコーラスワークと歯切れの良いギターサウンドは健在♪♪~♪

というよりも、グラハム・ナッシュが主導して、結果的にリアルタイムではそれほどの評価を得られなかったサイケデリック期から一転、本来の小型ビートルズ的な味わいと爽やかポップス中心主義の融合に立ち返った王道路線がグラハム・ナッシュ脱退後のホリーズであり、それを時代遅れとか言われるのは心外であり、ふ~ん、分かってないなぁ~~、と突き放すのも、ホリーズファンの醍醐味(?)かもしれませんねぇ、まあ、ちょいとイヤミではありますが。

ただし、それでも納得出来ないのであれば、この「懐かしのガソリン・アレー / Gasoline Alley Bred」のキャッチーな楽曲構成の秘密の一端として、作者のクレジットを確認すれば、そこには英国産ポップスの良心であったデヴィッド&ジョナサンの正体であるロジャー・クック&ロジャー・グリーナウェイ、そして同系のエジソン・ライトハウス等々をプロデュースし、優れた楽曲を提供し続けたトニー・マコウレイという黄金のトリオが名前を連ねているんですから、もう何も言いません。

虚心坦懐にメロディとハーモニーの魔法に身を任せれば、心地良いロックビートの爽やかな風に気分は良好♪♪~♪

あぁ~、これがホリーズの真髄なんですねぇ~~~♪

ちなみにここで気になるのが「ガソリン・アレー」という言葉であり、ちょうど同じ時期に世に出されたロッド・スチュアートの名盤アルバム「ガソリン・アレイ」でしょう。

ご存じのとおり、ロッド・スチュアートは件の自己リーダーLPのド頭にその「Gasoline Alley」を入れ、シングルカットでヒットさせていた真っ最中でしたから、このふたつの曲に共通するメロディの味わいは、これ如何に!?!

このあたりは実際に聴いていただき、感じていただく他はありませんが、所謂英国的哀愁みたな「モード」は確かにあると思います。

しかしロッド・スチュアートがそれで押し切ったところをホリーズは、一部で留めてのポップス性重視の個性を堪能させてくれますから、その意味でB面に収録されたトニー・ヒックス作の「Dandelion Wine」が、単なるホンワカムードのカントリーロックで終わっていない事も特筆物!

う~ん、短いながらも、このどっかで聞いたことのあるようなデジャヴな聴覚刺激が、たまりませんねぇ~~♪ もう、ずう~~っと浸っていたい心地良さがあります♪♪~♪

ということで、とにかく素晴らしいシングル盤であります。

しかも自分の好きなものには、きっちり理由がある事も証明されていて、それは既に述べたとおり、一発でシビれさせられたA面曲「懐かしのガソリン・アレー / Gasoline Alley Bred」の作者クレジットに顕著でした。

この三人の書いたものにも、サイケおやじは全てを奪われてしまうというわけです。

そしてホリーズがそれを演じてくれるという、殊更の幸せに万歳!

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やっぱりホリーズは素晴らしい

2012-01-03 16:18:15 | Hollies

兄弟の誓い c/w 僕が好きだから / The Hollies (Parlophone / 東芝)

今日は朝っぱらから年始回りやってきましたが、失礼ながら、かなり危なくなっている某仕事関係先で意想外の美しい兄弟愛を見せられたりして、自分でも甘いなぁ~、とは思いつつも、正直に和みました。

そこで本日、思わず取り出してしまったのは、ホリーズが1969年に放った畢生の大ヒット「兄弟の誓い / He Ain't Heavy, He's My Brother」です。

 この道は、幾度も曲がりくねって、長くて険しい
 それは何処へとも分からず 果てしなく続く
 でも、僕は兄弟を背負って行く 僕は強いから
 背負ってる兄弟は重くはないよ だって、僕の兄弟なんだから

とにかく上記のような、所謂「無償の愛」を歌い込んだミディアムスローの曲展開が、なかなか何時の時代もウケるんだと思います。もちろんそれがナチュラルに美しい兄弟愛に仮託されていることは、言うまでもないでしょう。

ですから、ホリーズ以外にも秀逸なカバーバージョンがどっさり出ていて、例えばニール・ダイアモンドはホリーズに少しも劣らないヒットにしていますし、確かダニー・ハサウェイはニューソウル系ゴスペルバージョンに仕上げて、これが実に強い印象を残しています。

しかしホリーズのバージョンが永遠に不滅なのは、特段のヒネリを意図的に入れず、あくまでも楽曲そのものの魅力をストレートに伝えようとした事じゃないでしょうか。それゆえに1980年代末にはリバイバルヒットも記録していますし、各方面でCMやBGMに使われる事も多いのでしょう。

また、これは発表当時から話題になっていた事なんですが、ビートルズの「The Long And Winding Road」と歌詞に共通の視点があり、ポールが盗作? なぁ~んていう疑惑も!?

実は告白すると、サイケおやじが掲載したシングル盤をゲットしたのは、そんな逸話を確認したかったからで、確かに否定出来ないものはあると思いますが、そんなに拘る必要もないような……。

だって、そうだとしても、両曲共に所謂「良い歌」に違いはないんですから!

ちなみに「兄弟の誓い / He Ain't Heavy, He's My Brother」を書いたのは、ボビー・スコット&ボブ・ラッセルというアメリカ人の職業ソングライターでしたから、ホリーズと同時期には他に幾つかの競作バージョンがレコード化されていたと言われています。

あと、これは後に話題になった事ではありますが、このホリーズの演奏には、下積み時代のエルトン・ジョンがピアノで参加しているんですねぇ。

歴史的には、この頃のホリーズはリーダー格だったグラハム・ナッシュが脱退した事から、最先端追求路線の音楽性を従来のポップス優先主義に戻し、例の問題(?)アルバム「ボブ・ディランを歌う」をヒットさせて、その姿勢の正しさを証明しています。

そして新加入のテリー・シルヴェスター(g,vo) はもちろん、アラン・クラーク(vo,hmc)、トニー・ヒックス(vo,g,etc)、バーナード・カルバート(b,g,key)、ボビー・エリオット(ds,per) という顔ぶれになった新生ホリーズには、明らかにひとつの決意があったんじゃないでしょうか。

それはロックバンドよりは、ポップスグループである事!

サイケおやじは独断と偏見で、そんなふうに思い込んでいますが、ジャケ写だって、そうでしょう。

ですから、「兄弟の誓い / He Ain't Heavy, He's My Brother」の前にヒットさせた「ごめんねスザンヌ / Sorry Suzanne」が英国産バブルガムと紙一重の胸キュンポップスであることへの抵抗感も無く、また下手すりゃ~虫歯になりそうなほど甘い「兄弟の誓い / He Ain't Heavy, He's My Brother」が静謐なムードで仕上がっている結果にも、充分に満足出来るのです。

またB面に収録された「僕が好きだから / Cos You Like To Love Me」が、勿体無いほど楽しく明るい仕上がりで、まさにホリーズの真骨頂♪♪~♪ 全宇宙のポップス愛好者は必聴でしょうねぇ~~♪ 絶対にウキウキしますよっ!

そこで最後に希望を述べさせていただければ、この名曲「兄弟の誓い / He Ain't Heavy, He's My Brother」はカーペンターズのカレンに歌って欲しいようなメロディラインが大いに魅力なんですが、おそらくやっていないでしょうねぇ。なにしろ歌詞がカーペンターズじゃ、あまりにもベタですから……。

ということで、昨日はパァ~ッと行こう! 等々と書いてしまったサイケおやじにしても、こういうソフトなポップスを愛でる気持は捨て去ることが出来ません。

いや、そういう心が無くなったら、自分自身が率先して殺伐とする気がするんですよねぇ。

そのあたりのバランス感覚は大切したいと思います。

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ホリーズ分岐点の傑作シングル

2011-09-29 15:24:15 | Hollies

Jennifer Eccles c/w 目をひらけ! / Hollies ((Parlophone / 東芝)

ホリーズと言えば、今でも我国ではCSN&Yのグラハム・ナッシュが以前に在籍していたバンドで、「Bus Stop」が永遠のヒット曲!

そういう認識が定着していると思います。

もちろん、それは間違いではありません。

しかし、それ以外にも素晴らしいのがホリーズの真実であって、人によっては小型ビートルズであり、またソフトロックの王者でもあり、時には英国におけるサイケデリックポップスやフォークロックの先駆者という位置付け等々、様々な評価を得ているグループですから、もっと日本でも人気があって良いはずなんですが……。

まあ、そのあたりの捕らえどころの無さが日和見主義だとか、基本的にやっている事が軟弱だとか、とにかくホリーズ独得の素敵なメロディ&コーラス優先主義が裏目に受け取られてしまう結果と言えば、贔屓の引き倒しでしょうか。

そこで本日のご紹介はホリーズが1968年春に出したシングル盤なんですが、収録曲は両面とも当時の慣例として、英国では同時期発表のオリジナルアルバムには入れられず、つまりはこれでしか聴けない名唱&名演♪♪~♪

しかもグラハム・ナッシュがホリーズを辞めてしまう直前のヒット曲ですから、結果的に後追いのファンには、そういう興味もあろうかと思います。

ちなみに当時のメンバーはグラハム・ナッシュ(vo,g)、アラン・クラーク(vo,hmc)、トニー・ヒックス(vo,g,etc)、バーナード・カルバート(b,g,key)、ボビー・エリオット(ds,per) とされていますが、実際のレコーディングには数名の助っ人が参加している事は確実でしょう。

ただし以前にブートのビデオで見た「Jennifer Eccles」のプロモーション映像では、グラハム・ナッシュも登場していましたから、なんとも言えませんが……。

で、肝心の楽曲は、まずA面の「Jennifer Eccles」がスティールドラムも入った、実にトロピカルなフォークロックで、その楽しさは絶品♪♪~♪ 当然ながら爽やかなハイトーンのコーラスに加え、微妙に翳りのあるメロディ展開が素晴らしい隠し味なんですよねぇ~~♪

太く蠢くエレキベースやウキウキさせられるアコースティックギターも良い感じ♪♪~♪

一方B面の「目を開け / Open Up Your Eyes」は、これまたホリーズならではの明るいビートロックで、ホリーズが十八番のアラン・クラーク~トニー・ヒックス~グラハム・ナッシュという順番で歌い回すボーカルパートに絡むハイトーンのコーラスワークが最高ですよっ!

しかも間奏では、カントリーロックなバンジョーが使われるという、なかなか上手いコントラストが素晴らし過ぎますねぇ~~♪

なによりもアップテンポで繰り広げられるメロディのポップなフィーリングは、「Jennifer Eccles」も同様なんですが、どこかしら「せつない泣き」が仕込まれていて、胸キュンなんですよ♪♪~♪

そういうところがホリーズの魅力のひとつであって、さらにこれ以前はサイケデリックにどっぷり浸かっていた方向性から良い意味で目覚めたというか、ホリーズ本来の持ち味に立ち返ったような姿勢は好ましいかぎりです。

実はこの背景にはサイケデリック路線がど真ん中で作られた前作アルバム「バタフライ」、及びシングル「キング・マイダス / King Midas In Reveres」のセールス伸び悩みというリアルタイムでの事情があったらしく、しかもそれを主導したグラハム・ナッシュの責任問題(?)もありましたから、必然的にグループ内部の不協和音やビジネス面のあれこれも影響していたんじゃないでしょうか。

ですから、グラハム・ナッシュが、このシングル盤両面の作曲に関わってはいますが、時代性とか社会性から目を背け、お気楽主義に戻ってしまうが如きホリーズに物足りなさを感じ、脱退してしまうのも無理からん話だったと思うのは、サイケおやじの妄想でしょうか……。

それは「Jennifer Eccles」がヒットしたにもかかわらず、かなり長い間、ベスト盤に収録されなかった事実とも符合するように思います。

今日の歴史からすれば、この後のホリーズはアルバム「ボブ・ディランを歌う」で一応は社会性を強調した姿勢を見せるのですが、皮肉にもそれが他力本願のように受け取られた評価もあり、さらにグラハム・ナッシュが元バーズのデイヴィッド・クロスピー、そして元バッファロー・スプリングフィールドのスティーヴン・スティルスの3人で組んだCS&Nが大成功した事から、ホリーズは何か時代遅れの象徴になってしまったのは、ファンとして残念至極です。

しかしホリーズは、あくまでもホリーズとしての魅力を失うなんて事は絶対にありません!

それが所謂過渡期に出された、この傑作シングル盤には殊更顕著に記録されていると断言して、サイケおやじは後悔しないのです。

そして願わくば、ホリーズの再評価を強く望んでいるのでした。

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ディランを歌ったホリーズの別れ道

2010-04-13 15:41:09 | Hollies

Hollies Sing Dylan (Parlophone)

リーダー格のグラハム・ナッシュが抜けてから初めて出されたホリーズのアルバムです。

内容はタイトルどおり、ボブ・ディラン作品集という企画物!?!

 A-1 When The Ship Comes In / 船が入ってくるとき
 A-2 I'll Be Your Baby Tonight
 A-3 I Want You
 A-4 Wheels On Fire / 火の車
 A-5 I Shall Be Released
 A-6 Blowin' In The Wind / 風に吹かれて
 B-1 Quit Your Low Down Ways
 B-2 Just Like A Woman / 女の如く
 B-3 The Time They Are  A'Changin' / 時代は変わる
 B-4 All I Really Want To Do
 B-5 My Back Pages
 B-6 Mighty Quinn

発売されたのは1969年ですが、ここへ至るには例えばアルバム「バタフライ」やシングル「キング・マイダス」等々、グラハム・ナッシュが主導していたサイケデリック路線の惨めな失敗が要因だったと言われています。確かに今日では、それらの諸作は再認識されていますが、明快なコーラスワークとメリハリの効いたギターサウンドをウリにしていた所謂ホリーズスタイルに馴染んでいたファンにとっては、違和感がたっぷりだったという推察は容易です。

リアルタイムのサイケおやじにしても、やっぱり「Bus Stop」を何時も求めてしまっていた気持を否定出来るものではありませんでした。

そして昭和43(1968)年の来日公演後から、グループ内のゴタゴタの末にグラハム・ナッシュは脱退というニュースが洋楽マスコミで伝えられ、それでも翌年春にはポップス王道路線の「ごめんねスザンヌ / Sorry Suzanne」という、まさに起死回生の傑作曲を出しながら、ホリーズは時代遅れに……。

で、そういう流れを決定的にしたのが、本日ご紹介のアルバムでした。

既に述べたようにサイケデリック路線の不発を反省したホリーズは、1968年秋に「ベストで行こう / Do The Best You Can」という素敵なフォークロックのシングル曲を出したのですが、本国イギリス以外では、ほとんど無視状態……。

しかし結局、この方向性に確信を抱いていたレコード会社とバンドは、次にボブ・ディランの楽曲をホリーズスタイルでカパーする企画を立案するのですが、これに断固反対していたのがグラハム・ナッシュだったというわけです。

なにしろ、そういうものは既にザ・バーズ等々がやりつくしたものでしたし、同じボブ・ディランのカパーなら、ザ・バンドのような力強くてファンキーなロックでやるのが当時の流行になっていましたから、企画そのもの云々よりも、ホリーズというグループの特性を勘案すれば、グラハム・ナッシュの危惧も……。

また何よりも、自分達独自の主張を盛り込んだ歌をやりたかったのかもしれません。

こうしてグラハム・ナッシュはホリーズを辞め、渡米してスティーヴン・スティルスやデヴィッド・クロスビーとの交流からCS&Nを結成するわけですが、ご存じのとおり、デヴィッド・クロスビーはボブ・ディランの楽曲をフォークロックでカパーする元祖だったザ・バーズのメンバーでしたから、なんという因縁でしょう。

というか、既にそうしたスタイルが古くなっていた現実を誰よりも察知していたのが、件のふたりだったのかもしれません。

しかし、このアルバムはなかなか素敵な仕上がりなんですよねぇ~♪

録音は1968年の秋からスタートしたそうですが、既にグラハム・ナッシュは脱退を表明しながら、数曲では演奏&コーラスパートに参加しているという説もあります。しかし完成したアルバムのジャケットには当然ながらグラハム・ナッシュの姿と名前が消えており、代わりにテリー・シルヴェスター(g,vo) を加えての当時のメンバーはアラン・クラーク(vo,hmc)、トニー・ヒックス(vo,g,etc)、バーナード・カルバート(b,g,key)、ボビー・エリオット(ds,per) が新生ホリーズでした。

まずA面初っ端の「船が入ってくるとき」は、バンジョーを大きく前面に出した軽快なアレンジと十八番の爽やかコーラスがジャストミートの名演なんですねぇ~♪ それも決してカントリーロックではなく、明らかにホリーズだけのスタイルを守り貫いているのが本当に潔いです。

また些かベタなハーモニカが逆に心地良い「I'll Be Your Baby Tonight」や気抜けのビールみたいな「I Want You」でも、きっちりとやっています。しかし、それが裏目に出たとしか言えないのが、ザ・バンドの演奏で定番化している「火の車」や「I Shall Be Released」でしょう。

なんか、気恥ずかしくて……。

そうした二律背反は、しかしホリーズの特徴が、ここぞとばかりに発揮された証明でもあって、力強さとか、スワンプとか、そういう粘液質なものとは相容れないスマートさがホリーズだけの魅力なのです。

その意味でオーケストラをバックにした「風に吹かれて」は、完全に時代に逆行しているとしか言えませんが、当時の現実は決してロックがバリバリの流行ではなく、こうした中道ポップスも大いに売れていたのですから、あながち間違った方針ではなかったと思います。

ただし、それが後世まで名演名唱として残っていくかと言えば……。

ですからB面に収録された「All I Really Want To Do」や「My Back Pages」といった、既にザ・バーズの素晴らしいフォークロックで大ヒットした有名曲は、本音で苦しいです。どうしても、そのイメージで聴いてしまいますから……。

しかし強烈なR&Rビートとコーラスワークが冴えまくった「Quit Your Low Down Ways」は、本当にホリーズでなければ成しえなかった秀逸な仕上がり♪♪~♪ もしかしたらビートルズがディランをやったら、こうなる!? という感じさえするんですよねぇ~♪

そして「女の如く」が、これまた白人ゴスペル風味とモータウン系ポップスのアレンジが見事に融合した隠れ名演で、ストリングスやオーケストラの使い方もイヤミになっていません。

さらに中期キンクス風アレンジがニクイばかりの「時代は変わる」、英国トラッドとカントリーロックをゴッタ煮として、ブラスまでも導入した「Mighty Quinn」の娯楽感♪♪~♪

もう、このあたりを聴いていると、これは立派なポップスアルバムの秀作!

そうです、ホリーズはポップスグループの王者だと思います。

そして、その認識が目覚めた後のサイケおやじは、このアルバムが愛おしい♪♪~♪

ボブ・ディランのポップス的な解釈としては、モダンフォーク寄りのピーター・ポール&マリーを筆頭に、星の数ほどのカパーが残されてきましたが、ここまでブリティッシュビートに拘ったスタイルは、まさに温故知新でしょう。

ただし既に述べたように、ここらあたりを境にして、ホリーズはロックバンドからポップスグループへと定着していったように思います。一方。グラハム・ナッシュはCS&Nとして大ブレイクし、新しいロックを牽引していったのも、なかなか味わい深い別れ道なのでした。

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ホリーズにサイケデリックは似合っていたか?

2010-02-13 15:17:22 | Hollies

キング・マイダスc/w君はサンシャイン / The Hollies (Parlophone / 東芝)

1970年代に入ってからのCSN&Yの大ブレイクは各方面に影響を与えましたが、サイケおやじにとって困ったのは、そのメンバーのひとりだったグラハム・ナッシュが在籍していたホリーズの中古盤が値上がりしてしまったことも、そのひとつでした。

そのホリーズと言えば、なんといっても「バス・ストップ」の大ヒット以降、日本でもそれなりの人気があったイギリスのビートグループでしたが、時代の要請もあって、そのサウンドは何時しかサイケデリック系フォークロックへと発展進化しています。

しかし同時に従来のポップス系のフィーリングに拘るファンの気持とズレが生じていたのは、否めないところじゃないでしょうか?

リアルタイムでは、とりあえず好きなバンドだったホリーズというサイケおやじにしても、経済的な問題から彼等のレコードはホイホイ買えるわけもなく、それゆえにラジオの洋楽番組を頼りに楽しんでいたわけですが、そこから新曲扱いで流れてくる歌と演奏が、少しずつでありますが、迷い道になっている感じを受けていました。

今となっては、ホリーズがグラハム・ナッシュの主導によって、ビートルズやアメリカのサイケデリックロックを意識した音楽性へと踏み込んでいった云々が理解されるのですが、少年時代のサイケおやじにすれば、「ホリーズ=バス・ストップ」という図式を何時までも望んでいたのです。

そして、そんなモヤモヤを結論づけてしまったのが、昭和42(1967)年に発売された、本日ご紹介のシングル曲「キング・マイダス / King Midas In Reverse」でした。

それはアコースティックギターをメインにした不穏なムードのイントロから、キャッチーでありながら、どこか煮え切らないメロディ展開、途中から入って来るエレキベースやドラムスの混濁した存在感が、ホリーズならではの素晴らしいコーラスワークを汚しているように思えましたし、クライマックスに向けて重ねられていくストリングスやオーケストラが、ほとんどビートルズの「Strawberry Fields Forever」と同系の怖いサイケデリックロックになっていたのです。

う~ん、「バス・ストップ」からは1年ちょっとで、この変貌!?!

もちろん以前にも書きましたが、当時のサイケおやじはビートルズのそうした方針には懐疑的というか、はっきり言えば理解出来ないことから不安を感じていたのが正直な気持でしたので、ホリーズに対しても拒否反応が出たのでしょう。

実は後に知ったところによれば、この曲はグラハム・ナッシュがプロデューサーや他のメンバーの反対を押し切ってレコーディングし、シングル発売した結果、英米でも期待外れのお情け小ヒットだったそうですし、これがきっかけとなって、グラハム・ナッシュはホリーズを脱退することになるのですが……。

そんなことは知る由もなかった翌昭和43(1968)年、ホリーズは初来日公演を行い、この時はテレビにも出演し、確か口パクで歌っていた記憶があるんですが、この時の所謂来日記念盤として発売されたのが、この「キング・マイダス」と同じ時期に作られていた、サイケデリックロックの定番アルバム「バタフライ」でした。

しかしサイケおやじは、リアルタイムで聴けるはずもなく、時が流れました。

その間、何時しかリーダー格だったグラハム・ナッシュがホリーズを脱退し、メンバーチェンジがあった報道が地味になされ、なんとなく私もホリーズへの興味を薄くしていったのです。

そして更に時にが流れ、ついにCS&NからCSN&Yの人気が沸騰した時、サイケおやじには再び、ホリーズへの熱い思いが復活し、後追いで集め始めた彼等のレコードで蒐集に苦労したのが、本日のシングル盤だったのです。

なにしろ前述したアルバム「バラフライ」には未収録でしたし、ロクにヒットもしていなかったシングル曲でしたからねぇ……。私の手元にやってきたのは昭和51(1976)年になっていましたが、前述したとおり、ドタマにくるほど値上がりしていましたよ。まあ、今日ほどの狂乱価格ではありませんが。

しかし内容は、その時だったからこその感動というか、はっきりとサイケデリックロックの醍醐味が分かりかけていた私にとっては、ストライクゾーンのど真ん中♪♪~♪

さらに嬉しかったのが、B面収録の「君はサンシャイン / Everything Is Sunshine」が、短いながらもグラハム・ナッシュ特有の優しいメロディと独り多重コーラスが冴えた名曲・名唱の決定版♪♪~♪ もうほとんどCS&Nの世界が出来上がっているといって、過言ではないと思うほどです。

ちなみに、これも後に知ったことではありますが、このシングルの両面とも、完全にグラハム・ナッシュのソロレコーディングに近い作りだったそうですから、さもありなんですよね。そしてグラハム・ナッシュが抜けた後のホリーズが、再びポップス系ロックバンドへと立ち返り、「ごめんねスザンヌ」のウルトラヒットを出したのも当然の帰結だったと思います。

ということで、サイケデリックロックなんていうものが、如何にリアルタイムの一般音楽ファンにとっては重荷だったか?!? そんな証明のひとつになりうる隠れ名曲シングル盤が、本日の1枚でした。

おそらく現在では両曲ともにCD化されていると思われますので、機会があればお楽しみいただきたいところですが、このシングル盤のジャケットに顕著なように、取繕ったサイケデリック風味こそが、当時の洋楽の気分だったことをご理解願いたいところです。

つまり雰囲気に酔って聴くのも、音楽の楽しみのひとつかもしれません。

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忘れられないホリーズの魅力

2009-12-11 11:05:45 | Hollies

I'm Alive c/w You Know He Did / The Hollies (Parlophone / 東芝)

誰もがビートルズを追っていた1960年代、その味わいの最も近いところで頑張ったのがホリーズだったと思います。

もちろん所属レコード会社が同じで、しかも当時のホリーズを担当していたプロデューサーがジョージ・マーティンとの関係も深いロン・リチャーズだったという事実もあるわけですが、そんなことを全く知らなかった少年時代のサイケおやじは、ラジオから流れてくるホリーズの歌と演奏に強くビートルズを感じていました。

ですから代表的なヒット曲「Bus Stop」以外にも、ホリーズのシングル盤をポチポチ買っていたのですが、本日ご紹介のシングル盤も、そのひとつとして大切にしている1枚です。

まずA面収録の「I'm Alive」は、クリント・パラード・ジュニアという職業作家が書いた、これぞ疑似ビートルズの決定版ともいうべき名曲で、サビのメロディ展開、それをジョン・レノン味で歌うアラン・クラークの節回しが、もう最高です。

またトニー・ヒックスのギターがジョージ・ハリスン風なのは言わずもがな、意図的に薄めにしたと思われるコーラスワークも憎めません。

しかしイントロからの力強いリズムアレンジとキャッチーなコーラスは、グッとグハム・ナッシュというか、ホリーズが独自の色合いが打ち出されているのですから、1965年初夏にはイギリスのチャートでは初めての首位を獲得した大ヒットになり、もちろん我国を含む世界中の洋楽ファンを狂喜させています。

そしてB面の「You Know He Did」が、これまた侮れず、まさにビートルズのビートバンドとしての本質を煮詰めたような荒っぽいスタイルを、ホリーズならではの洗練されたスマートな感覚で演じきった、ある意味ではパロディかもしれませんが、決して笑えない密度の濃さがあるのです。ちなみに、こちらはホリーズのメンバー共作によるオリジナルというのも、意味深でしょうか。

とにかく本国イギリスはもちろん、また世界中でも、ビートルズを一番自分達のものに転化していたのは、グラハム・ナッシュが在籍したいた頃のホリーズだったと、私は強く思っています。実際、イギリスのヒットチャートではストーンズよりも受け入れられていた事実を忘れてはならないでしょう。

ただしビートルズとストーンズは、完全に別物の魅力というのが当然ですから、一概に比較するのは愚の骨頂ですね。失礼しました。

ということで、ホリーズはやっぱり素敵♪♪~♪

もしかしたらフォークロックの元祖と言われるザ・バーズも、ホリーズを聴いてコピーすることから出発したのかもしれないとまで、私は妄想するほどですし、そのメンバーだったディヴィッド・クロスビーが後にグラハム・ナッシュと結託した事実もムベなるかな!?!

結局、ビートルズよりもザ・バーズが最初は好きになり、またホリーズも大好きだった自分の嗜好は、何かの共通的があるんですねぇ。

あらためて、それに気がついたというのが、本日の結論なのでした。

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バス・ストップで今日の誓い

2009-07-08 10:56:10 | Hollies

バス・ストップ / The Hollies (Parlophone / 東芝)

ホリーズと言えば、今ではクロスビー・スティルス&ナッシュ=CS&Nのメンバーというグラハム・ナッシュが在籍していたイギリスのコーラスグループ!? とだけしか認識されていないようですが、抜群のコーラスワークと安定した演奏技術が最高の魅力は、永遠に不滅だと思います。

尤もサイケおやじにしても、そこに魅了されたのは後年のことで、やはりリアルタイムでシビレたのはメロディ優先主義の楽曲と初期のビートルズから直系の音作りでした。

このあたりはホリーズがビートルズと同じレコード会社に所属していた事、さらにプロデューサーがビートルズ担当のジョージ・マーテインの弟子筋だったロン・リチャーズだった事、等々とは無縁ではありません。もちろんホリーズのメンバーはビートルズのファンであり、尊敬もしていたようです。

さて、本日ご紹介のシングル曲は、中でも特に日本で決定的な人気を得た哀愁のメロディ♪♪~♪ その胸キュンな雰囲気とハートウォームでカッコ良いコーラスワークは唯一無二でしょう。これが大ヒットしていた昭和41(1966)年からの前後2年間あたりが、ポップスバンドとしての全盛期だったと思います。

ちなみにホリーズのメンバーはデビュー当時から流動的で、この「バスストップ」録音時は、アラン・クラーク(vo)、クラハム・ナッシュ(vo,g)、トニー・ヒックス(g,vo)、バーニー・カルヴァート(b)、ボビー・エリオット(ds) の5人組だったと言われています。ただし、これには諸説があり、ベース奏者がジャック・ブルースだという噂するあるのですが、そうだとすれば、この日本盤シングルのジャケット写真は違っているような……。

まあ、それはそれとして、ホリーズはバンド名からも推察されるように、元祖シンガー・ソングライターで天才的なロックンローラーでもあったバディ・ホリーの影響が大きいとされますが、私は??? 個人的には兄弟バンドとして卓越したハーモニーワークとメロディ良優先主義を貫いたエヴァリー・ブラザースのビートルズ的解釈のバンドだと思っています。

このあたりはビートルズのジョンとポールが、やはりエヴァリーズに影響を受けていた事にも通じるんでしょうが、ホリーズの場合はメインのメロディを歌うアラン・クラーク、ハイトーンのハモリが上手いグラハム・ナッシュ、そして低音コーラスを受け持つトニー・ヒックスという三声のボーカルが実に最高です。

しかも演奏パートではトニー・ヒックスのギターが重要な働き! ギタリストとしては今日まで全く評価されていない人ですが、隠れ名人といって過言ではないと思います。

そのあたりはB面に収録された「I Can't Let Go」でのギターとペースの力感溢れる演奏にも顕著!

さて、こうして我が国でもブレイクしたホリーズは、しかしリアルタイムではこの後からサイケデリック街道へ踏み込んでいきます。それは当時の最先端でもありましたが、ご推察のようにホリーズは結果を残せませんでした。今日では、その時期の売れなかったアルバムが再評価されていますが、バンドとしての方向性は、やはり売れセン狙いが本命だったようです。

そして前衛路線を推進したグラハム・ナッシュはグループを抜け、前述したCS&Nを結成し、歴史的な名盤・名唱を残すわけですが、肝心のホリーズにしても昭和44(1969)年には「ごめんね、スザンヌ / Sorry Suzanne」というウルトラ級の素敵なメロディヒットを出すなど、以降もしぶとい活動を続けています。

ただし、それゆえに過小評価の度合いが高くなっていったのは皮肉でした。

正直、サイケおやじにしても、CS&NはCSN&Yになっても新作が楽しみだったのとは逆に、ホリーズは何時までたっても「バス・ストップ」の世界に留まっているのです。そして後追いで聴く初期のホリーズには、ビートルズっぽさが尚更に強く感じられ、せつないような嬉しさを噛みしめてしまいます。

ちなみに曲を書いたのは、後にビートルズ風味の凝り過ぎポップスバンドだった 10CC でブレイクを果たすグラハム・グールドマンなんですが、それにしても「バス・ストップ」を聞いていると、個人的にはビートルズの「今日の誓い / Things We Said Today」が聴きたくなるのでした。

あっ、ジャガーズの「マドモアゼル・ブルース」も、ねっ♪♪~♪

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