OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

美奈子が歌えば、ゲイリーが泣く

2019-11-30 19:09:54 | 日本のロック
the Cross -愛の十字架 / 本田美奈子 (東芝)

歌の上手いアイドルと云えば、昭和60(1985)年にデビューした本田美奈子は絶対に外せない存在です。

当時は所謂1980年代アイドルの爛熟期と申しましょうか、その頃に注目された新人では南野陽子斉藤由貴、中山美穂、松本典子、浅香唯、そして今や賛否両論のおニャン子クラブのメンバー等々、なかなか強い印象を残している面々が揃っていたのですが、その中にあっての本田美奈子は華奢で愛くるしいルックスとは相反する歌唱力とリズム感があって、サイケおやじはちょいと驚かされましたですねぇ~~!?

しかし、それゆえの「あざとさ」というか、可愛さ余って憎さ百倍とまでは思いませんが、どこかしら感情移入し難いものがありました。

その歌唱やアクションに何かしら、上手いんだけど気持ちが入ってない様な感じを受けていたんですねぇ……。

特に翌年に大ブレイクしたヒット曲「1986年のマリリ」における「あられもない」キッチュな衣装やアクションには、彼女本来の歌唱力が無駄遣いに思えましたし、こんなんだったら、いっそ正統派歌謡曲や演歌をやったほうがマシっ!

とまで思っていたところに出たのが、本日掲載のシングル盤A面曲「the Cross -愛の十字架」でして、とにかくこれが、アッと驚くブリティッシュハード系の歌謡ロックバラードだったんですから、たまりません ♪♪~♪

しかも全篇に寄り添って泣きまくるギターが、一聴してゲイリー・ムーア!?

というファーストインプレッションが真実だったんですねぇ~~~♪

説明不要かとは思いますが、ゲイリー・ムーアは当時のロック界では人気も実力もトップクラスのギタリストで、十八番はハードロックの中で「泣き」のフレーズと音色を堪能させてくれるという、殊更日本のロック好きの琴線に触れる大スタアでありましたし、世界的にも超大物ロッカーが、まさか極東の女の子アイドルのバックを演じているなんて、それはサイケおやじの様な既にして頭が固くなり始めていた中年者のロック愛好者には、なにかトンデモな事態でしかありませんでした。

おまけに楽曲を提供したのが、これまた御本人!

そして肝心の本田美奈子の歌いっぷりが、哀愁滲む曲メロを完全に摑んでいたんですから、そ~した現実に接した以上、サイケおやじの足は自ずとレコード屋へ!

そんな愕然として狂喜した日が昭和61(1986)年9月、確かにありました。

で、早速ソングクレジットを確認してみると作詞作曲はゲイリー・ムーア、編曲はガイ・フレッチャー、そして訳詞が秋元康とあり、レコードに針を落とせば、イントロから心に響く刹那のギターは、やっぱりゲイリー・ムーアに相違ありません ♪♪~♪

もちろん、既に述べたとおり、全篇要所で泣きじゃくるギターのリックとフレーズはお約束以上ですよっ!

そして本田美奈子の歌唱が、それに全く負けていないのは驚くべき事で、このあたりはプロデュースの見事さもありますし、何よりも彼女の情熱とヤル気、そして実力の証明でありました。

ちなみに後に知った事ではありますが、本田美奈子は最初、例のテレビスカウト番組「スター誕生」で勝ち抜いていながら、演歌(?)をやりたがっていたらしく、それゆえにすんなりとデビュー出来なかったという経緯も伝えられていますが、同時に洋楽にも親しんでいなかったとすれば、この素晴らしい歌謡ロックの金字塔は奇跡というには、あまりにもリアルなっ!

おそらく、ゲイリー・ムーアの大ファンを自任していたアン・ルイスは羨ましかったんじゃ~ないでしょうかねぇ~~、という失礼な妄想は別にして、楽曲そのものの素晴らしさからしても、これはもっとカバーバージョンが作られても不思議ではない仕上がりと思うばかりです。

あっ、そうでした、作者のゲイリー・ムーアが「Crying In The Shadow」としてセルフカバーしていましたですね♪♪~♪

ということで、以降の本田美奈子は続けてプリテンダーズの「Don't Get Me Wrong」をモロパクリしたオリジナル曲「Oneway Generation」を出し、ついにはクイーンのブライアン・メイから楽曲を提供されての歌謡ロック路線を突っ走り、最後にはガールロックバンド「Wild Cats」の結成まで行ってしまうんですが、それは追々ここで綴ってみたいと思います。

ご存知のとおり、彼女はロックバンドがちょいと不発気味だった所為か、今度はミュージカルの舞台で活躍し、同時進行的にクラシックの世界へも歩みを進めたのですが、やはり凄い才能を使い果たしたかの様に病に倒れ、早世してしまったのは悲しいです……。

あぁ……、きっと天国でもゲイリー・ムーアのギターと共演しているはず!

本当に、そう思っています。

最後になりましたが、この素晴らしいシングル盤にひとつだけ欠点があるとすれば、それはジャケ写スリーブで不粋に自己主張しているバーコードの存在でしょう。

うむ、神様の無慈悲は、どこから来るのかなぁ……。
 
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気楽にサンタナ

2019-11-29 19:22:29 | Rock
■Top 40  Santana (Sony Music = CD)

 ★CD-1
   01 Maria Maria (ft. the Product G&B)
   02 The Game of Love (ft. Michelle Branch) 
   03 Smooth (ft. Rob Thomas) 
   04 I Love You Much Too Much 
   05 The Healer (ft. John Lee Hooker) 
   06 Hold On 
   07 They All Went To Mexico (Ft. Willie Nelson) 
   08 Love is You 
   09 Say It Again 
   10 Winning 
   11 The Sensitive Kind 
   12 Aqua Marine 
   13 Stormy 
   14 One Chain (Don't Make No Prison) 
   15 Bella 
   16 Well All Right 
   17 Havana Moon 
   18 Carnaval 
   19 Full Moon 
 ★CD-2
   01 She's Not There 
   02 Evil Ways
   03 Jingo   
   04 Samba Pa Ti 
   05 I'll Be Waiting 
   06 Oye Como Va 
   07 Black Magic Woman 
   08 Everything is Coming Our Way 
   09 Europa
   10 Everybody's Everything 
   11 No One To Depend On 
   12 Song of the Wind
   13 Love, Devotion & Surrender 
   14 Mirage 
   15 Dance Sister Dance
   16 Flor D'luna (Moonflower)  
   17 Let the Children Play 
   18 Waiting 
   19 Soul Sacrifice 

ということで、先日ゴッサムシティへの道行に旅の慰み(?)として空港の売店でゲットしたサンタナの2枚組ベスト盤CDが、これです。

しかし……、記載されていてたサブタイトルが「His Ultimate Top 40 Collection」でありながら、収録されていたのは上記のとおりの38曲という煮え切らなさも、実はアメリカのヒットチャートにおける一般的解釈範囲内としてのヒット曲という観点からすれば、全く耳に馴染んだお馴染みの歌と演奏がテンコ盛り♪♪~♪

ところが、ここでサイケおやじをまたまた納得させなかったのが、ならばシングルバージョンが収録されているのかと思わせておいての裏切りで、実はステレオミックによるアルバム収録バージョンが基本になっています。

それでもサンタナの場合はアルバム収録曲が前後で繋がっているトラックが多いので、例えば「Let the Children Play」とか「Dance Sister Dance」が、きっちり分離して聴けるのは、それなりにありがたい事かもしれません。

ただし、サイケおやじとしては、このベスト盤における曲の流れがイマイチ不自然な感想でして、それは無理矢理にオリジナルのアルバムバージョンを切り出した所為もあるような……。

う~ん、やっぱりサンタナはオリジナル構成のアルバムで聴くか、あるいはライブギグやその音源や映像で楽しむのが最良なのかもしれませんねぇ……。

尤も、だからと言って、このアルバムが駄盤というわけではなく、デジパック仕様のジャケットが如何にも「らしい」ですし、値段が現地では8ドル位でしたから、文句タラタラはバチアタリでしょう。

旅のお供にも、ドライブ時のBGMとしても使用頻度が高くなりそうなベスト盤であります。
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カラオケ難曲:その五

2019-11-28 19:22:31 | Singer Song Writer
想い出のスクリーン / 八神純子 (ディスコメイト)

本日は、いきなりの言い訳になりますが、最近ブログを綴るのに頼っているスマホが大不調……。

まずカメラの解像度が全く上がらないし、キーボードを繋いでの入力も特に文字変換の反応が鈍くて、ど~にもなりません。

それでも……、なんとか短めにご紹介させていただきますのは、八神純子が昭和54(1979)年にヒットさせた「想い出のスクリーン」で、これまたカラオケで歌うのは、なかなかに難しい楽曲と思います。

皆様ご存知のとおり、八神純子は曲作りは自分が担当しますが、作詞やアレンジは他のプロ作家との共同作業が多く、この「想い出のスクリーン」は作詞が三浦徳子、アレンジが大村雅朗とクレジットされておりますから、果たして曲メロが先にあったのか、あるいは歌詞が先に出来上がっていたのかは不明なれど、流石にヒット狙いのツボは外していません。

なにしろ曲調が当時流行っていた所謂サンタナ歌謡と申しましょうか、ラテンフュージョンのニューミュージック的展開の趣が強く、もちろんギターはサンタナ色がド真ん中! またパーカッションの使い方も、それに同調しているのですから、歌唱の節回しも自然にノセられてしまうアレンジと演奏になっています。

そして八神純子の声質というか、歌いっぷりも含めて、所謂Aメロは穏やかに粘っこく、それでいてサビは思いっきり裏声交じりの高音域へ持っていくのですから、こりゃ~~、やっぱりプロの仕事の自作自演という強みでしょうか、すなんりと出来る技ではないはずです。

それと八神純子は基本的にピアノの弾き語りスタイルでライブをやっているんですが、このスタジオバージンではアナログ盤シングルを聴く限り、ピアノよりはシンセ系キーボードやストリングスが目立ち、このあたりがステージギグでどのように演じられていたのか、ちょいと気になるところです。

ということで、カラオケでも八神純子のヒット曲は多数歌われているはずで、これまでにサイケおやじも宴席等々では聴かされる事が度々ありましたが、やっぱり彼女の持ちネタはハイトーンボイスの節回しを裏声交じりで演じるのが上手く聞かせるコツかもしれません。

最後になりましたが、冒頭に述べたとおり、やっぱりスマホの不調は大きな気がかり……。

大事に至って中のデータが壊れるのが怖いので、これからその保存作業に移行するつもりです。

上手く復調出来ますように!
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カラオケ難曲:其の四

2019-11-27 18:17:38 | 歌謡曲
■夏のヒロイン / 河合奈保子 (日本コロムビア)

所謂1980年代アイドルの中でも歌唱力というよりは、むしろアイドル的音楽性が飛び抜けていたのが河合奈保子だったと思います。

しかし、それにしても昭和57(1982)年夏に大ヒットした本日掲載のシングル盤A面曲「夏のヒロイン」の凝った作りは、これ如何にっ!?

その曲調はタイトルどおり、夏をイメージするならば絶対というラテンフュージョンがモロ出しのアップテンポの歌謡サンバで、さらに歌メロの基本進行が4パートで構成され、それでも皆で一緒に盛り上がって歌えるサビが用意されているんですから、これをリアルタイムではリズムに乗った振り付けで演じていた河合奈保子は、やはりナチュラルで凄いアイドルだったんですねぇ~~♪

当然ながら、ここまでのアクション歌謡となれば、ライブの現場では揺れ動く巨乳の存在も嬉しい想定内ってところでしょうが、それはそれとして、レコードで聴く限りのスタジオバージョンではパーカッションが終始メインで大活躍していますし、ブラスセクションやストリングス、そしてキーボード等々が豪勢に使われていながらスッキリした感触なのは、河合奈保子のボーカルをメインにする至極当たり前の制作方針でしょう。

それでも馬飼野康二の作曲には瞬時には採れないほどの難しいコードの「潜み」が感じられ、キーがシンプルなのはアイドルソングの「お約束」ではありますが、こんなに早い16ビートにアレンジした若草恵も思いっきりが凄いとしか言えませんよ、サイケおやじには。

ですから、河合奈保子の大らかな歌唱のノリは本当に驚異的だと思いますねぇ~~♪

聴くほどに難しいメロディラインと、そこに仕込まれている「タメ」の妙を自然に表現しているのですからっ!

ちなみに竜真知子が綴った歌詞が、ど~しても当時トップを競っていた松田聖子っほくなっているのは微笑ましくもあり、同時に……、そこまで意識せずともっ!

なぁ~んていう不遜な気持ちが昔っから確かにあったんですが、でも……、河合奈保子以外の他のアイドルがやったら、ど~なっていたかは論を待たないところでしょうか。

それは制作側の狙いのひとつが、リアルタイムのアイドルの世界じゃ~普通に行われていた水着姿での歌唱シーンにもあったと思われるんですが、そんな映像が残っていたら、完全な「お宝」でしょうねぇ~~♪

最後になりましたが、この「夏のヒロイン」はサイケおやじよりも一回り下の世代ではカラオケの定番らしく、前世紀末の宴席では仕事場で一緒の女性連中が酒の勢いで歌って踊る(?)という、失礼ながら……、いささかの狂態で盛り上がていた事を付記しておきます。

う~ん、サンタナ&高中ちっくなギターソロも染みますねぇ~~♪
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カラオケ難曲:其の参

2019-11-26 17:22:28 | 歌謡曲
■霧のめぐり逢い / 岩崎宏美 (ビクター)

既にしてデビュー当時から歌唱力には定評があった岩崎宏美ですから、制作側もそれならって事だったんでしょうか、昭和51(1976)年夏に発売された「霧のめぐり逢い」は作詞:阿久悠&作編曲:筒美京平というヒットメーカーコンビから提供された、思いっきりハイブラウな楽曲でした。

それは特に凝ったアレンジとメロディラインの難しさに顕著で、曲調は当時の歌謡ポップスで流行りのソウル&ディスコ路線ですから、アップテンポでシンコペイトしまくった演奏パートは16ビートなのに歌メロがゆったりしているという、そのズレ(?)をグルーヴに変換する歌唱力がなければ、ヘタレは確実?

とまで思わされてしまうんですが、いかがなものでしょう。

また、ここで作られたカラオケがやっぱりトーシロには歌いこなせないというか、キーボードとストリングスとブラスセクションが混濁して重なっている感じですし、最初にコーラスパートが入っていたとしたら、それとのコンビネーション的掛け合いの妙も難しく……。

ですから、あくまでも個人的な方法になりますが、これまた上手いリズムギターを頼りに歌うのが最も無難な様な気がします。

ちなみにギターでは間奏のアドリブソロもアドリブを超越した美メロなんで、大好きです♪♪~♪

閑話休題。

肝心の岩崎宏美の歌いっぷりについては、流石に申し分ありません。

しかし、ちょいと気になったのが声質の変化で、明らかにデビュー当時とは違っているんじゃ~ないでしょうか。

それは年齢的なものが影響しているのかもしれませんが、サイケおやじとしてはデビュー当時の声質で、この「霧のめぐり逢い」を歌って欲しかった……、というのが偽りの無い本音です。

ということで、現代のカラオケ需要を鑑みれば、数多い岩崎宏美のヒット曲の中では、それほどではないと思います。何故ならば、繰り返しますが、トーシロには難し過ぎますからっ!

もちろん製作側は最初っからカラオケの需要なんか意識していなかったと思いますし、岩崎宏美にしても、まさに自分だけにしか歌いこなせない世界を目指していた結果が、このシングル曲だったのかもしれません。

最後になりましたが、これまで使っていたスキャナーが不調なので、最近はスマホで撮影してから修正ソフトを使う所為で、ど~にも画質が安定せず、モヤモヤした気分です。

このあたりも、今後の研究課題(?)かと (^^;

失礼致しました (__)
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カラオケ難曲:其の弐

2019-11-25 17:47:35 | 歌謡曲
トーキョー・バビロン / 由紀さおり (東芝)

だいたいカラオケで歌おうとする楽曲って、ヒットした事が前提になっていると思うんですが、つまりは自分だけが知っていても周囲にはウケないのがカラオケワールドの理だとしたら、わざわざ難曲に挑戦するなんてのは愚の骨頂!?

まあ、そんなこんなを思案したところで、基本的には自分で歌っても恥をかかない楽曲を選ぶのが道理であり、ましてや自分の歌唱力を他人に押し付けるのは、もはや笑えないギャグでしょう。

さて、そこで本日のお題は由紀さおりが昭和53(1978)年秋に出した、これがフュージョン歌謡と申しましょうか、ちあき哲也が綴った歌詞は都会の夜の情景ながら、下世話さが不足し、極言すればシュールな感覚さえ滲み出たオシャレ優先主義であり、川口真の附したメロディが、これまたスティーリー・ダンの歌謡曲展開みたいな、ど~にもカッコイイけど突き放されたイメージ……。

さらにアレンジが完全にプログレフュージョン風味に満ちていて、もちろん川口真の狙いはそこにあったんでしょうが、楽曲の構成に使われているコードにしても、「メジャー7th」系の代理和音が多い感じですし、キーそのものが、おそらくは「Bフラットマイナー」でしょうか、ちょいと直ぐには探り出せないほどの難しさが確かにあります。

そして肝心の由紀さおりの歌唱にはファルセットがキメに用いられ、さらに地声(?)にも独特の揺れ(?)を隠し味にした様な、いやはやなんとも、極めて高度なテクニックが!?

ですから、スピーカーに対峙して聴いている時は迫って来るものを感じるんですが、普通では口ずさむ事も容易ではないという事からでしょう、リアルタイムでは決してヒットしたとは言えません。

というか、今となってはこの「トーキョー・バビロン」のカラオケがあるのか否かも、不確かな幻の楽曲かもしれないのです。

しかし、カラオケの現場では由紀さおりの演目を歌うのは、ひとつの歌自慢である事は確かでしょう。

全く自分の歌唱力に自身がなければ、なかなかやれないのが由紀さおりの世界と思っています。

ということで、プロの中でも殊更歌唱力に定評がありながら、案外と安易なメロディの楽曲を出している歌手も珍しくないのは、大衆にウケるヒット狙いと同時にカラオケでも多く歌って欲しいという制作側の思惑があろう事は推察に易いところです。

しかし、思い出してみれば、この「トーキョー・バビロン」が出た昭和53(1978)年当時は、まだまだカラオケが今ほど広まっておらず、その充実度も高いとは言えませんでしたから、そこまでの企画性も考慮する必要がなかったはずで、だからこそ、純粋にプロの歌唱力を披露するべくレコードが作られていたと思います。

どっちが良いのか、簡単に結論は出せませんが、聴く方に重きを置いているサイケおやじとしては、こ~ゆ~凝った歌謡曲には等しい愛着を覚えているのでした。
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バンド・オブ・ジプシーズの切実:其の拾弐

2019-11-24 17:12:03 | Jimi Hendrix
■2 Nights At The Fillmore 4th Show (conclusion)
                                               / Jimi Hendrix and The Band Of Gypsys (Voodoo Chile = CD)

  01 Voodoo Chile ◎
  02 We gotta Live Togeter ※◎
  03 Wild Thing ◎
  04 Hey Joe
  05 Purple Haze

      ※バンド・オブ・ジプシーズ
      ▲バンド・オブ・ジプシーズ 2
      ◎ライブ・アット・ザ・フィルモアイースト

う~ん、久々にバンド・オブ・ジプシーズのフィルモアイースト音源を聴き通し、あらためてジミヘンの凄さに震えているサイケおやじです。

それは本日ご紹介の箱物6枚目に至って、まさに頂点!

とにかく「Voodoo Chile」からして、これが出なけりゃ~収まらないという観衆の期待をしっかり受け止めての燃え上がる歌と演奏、殊更ギターの暴れっぷりはドラムスとベースがヘヴィなシンプルさを押し通している所為でしょうか、あらゆるリスナーを圧倒するものと思います。

しかもこの被虐の熱気がそのまんま激流となって「We gotta Live Togeter」へ溢れ出していくのですから、たまりません ♪♪~♪

するとここに収録の音源の音質が、ここから突如として臨場感満点となり、バディ・マイルスの煽りに呼応するかの様な客席からの手拍子や歓声が乾度良好!

その盛り上がりこそがリアルタイムのロックの炎ってやつなんでしょうねぇ~~♪

ジミヘンのギターもサイドプレイから掛け合い的フレーズの連射、さらには突っ込むようなファンキーなリズムの刻み等々、ちょい聞きには地味かもしれませんが、様々な表情を堪能させてくれますし、バンド全体としても黒人らしさと申しましょうか、白人主導のハードロックとは完全に一線を画したノリが痛快です。

そして演奏はまたまた奔流の如き勢いで「Wild Thing」へ繋がり、その場はすっかり、ど~にもとまらないっ! 狂うだけ狂った後の最後の挨拶の素っ気なさが、かえってエキサイティングというわけです。

するとアンコールなんでしょう、ちょいと間を置いて始まる十八番の「Hey Joe」が心地好いマンネリ感に包まれていようとも、次に「Purple Haze」が飛び出せば、そこには何時もの暴虐と心ニクイばかりのサービス精神旺盛なジミヘンが、確かに存在しているんですねぇ~~~~♪

うむ、もしもタイムマシンがあったなら、この日もまた訪れてみたい過去の栄光の日であります。

ということで、バンド・オブ・ジプシーズのフィルモアイーストにおける歴史的な4ステージを振り返ってみましたが、既に述べたとおり、それはハーフオフィシャルな音源によるものですから、音質のバラつきやミックスの不具合が散見されるものでした。

しかし、それでも凄いっ!

凄いと思わされて、何の疑問や疑念を抱く必要が無いのが、この当時のジミヘンです。

そしてこれまでは世評が決して高くなかったバンド・オブ・ジプシーズが、決して場当たり的なセッショングループではなかったという、ひとつの真相が垣間見える気さえします。

リマスターされた集成盤が世に出た現在、そのあたりの検証は益々の奥の細道でありましょう。

しかし、サイケおやじには、それは大いなる楽しみであり、今後もご紹介を継続させていただく所存です。

失礼致しました。
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バンド・オブ・ジプシーズの切実:其の拾壱

2019-11-23 17:23:31 | Jimi Hendrix

■2 Nights At The Fillmore 4th Show 9pm 1.1.1970
                                               / Jimi Hendrix and The Band Of Gypsys (Voodoo Chile = CD)

  01 Bill Graham Introduction / Stone Free ◎
  02 Changes 
  03 Power Of Soul ※
  04 Message To Love
  05 Earth Blues ◎
  06 Machine Gun ◎

      ※バンド・オブ・ジプシーズ
      ▲バンド・オブ・ジプシーズ 2
      ◎ライブ・アット・ザ・フィルモアイースト

今や伝説のフィルモアイースト越年ライブも、ついに最終ステージを迎えたバンド・オブ・ジプシーズの凄さは益々苛烈!

この箱物5枚目CDは、それが存分に堪能出来る優れもので、音質もザクザクした生々しさがあって、しかもステレオ&モノラル、あるいはモノラルに近いステレオのミックスがトラック毎に混在していながら、物凄い勢いで迫ってきますから、リマスターがひとつのウリだった新装版の2枚組CDが大人しく思えるのがサイケおやじの偽りの無い気持ちです。

実際、この最終ギグの演奏はオリジナル編集のアナログ盤LPや前述のCDにも使われたほど充実していたわけですが、この箱物の音源で聴くと、自分自身への気合の入り方さえ違ってくるほどです。

それはド頭の「Stone Free」から大迫力にして激烈なライブ感に満ちていて、情念と不条理が入り混じったかのようなジミヘンのアーミング奏法が物凄いですねぇ~~!

いゃ~~、サイケおやじの稚拙な文章じゃ~~、とても説明不可能な世界ですよっ!

もちろんビリー・コックスもバディ・マイルスも自己主張と協調の二律背反をきっちり演じ分けていますから、ソウルミュージックとハードロックの幸せな結婚という「Changes」から「Machine Gun」まで、とにかく全ての演奏に圧倒されてしまうのは必至!

あくまでも個人の感想ですが、この箱物セットの中では一番に充実しているのが、この5枚目です。

あぁ、もはや何も言う事はありません。

そんな事は絶対に無いとは思いますが、もしもこれを聴いて何も感じないとしたら、失礼ながらロックを聴く感性や能力に……。

ど~か、皆様にも、お楽しみいただきたいと願うばかりでございます。

……続く。
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バンド・オブ・ジプシーズの切実:其の拾

2019-11-22 15:54:38 | Jimi Hendrix
■2 Nights At The Fillmore 3rd Show 7.30pm 1.1.1970
                                               / Jimi Hendrix and The Band Of Gypsys (Voodoo Chile = CD)

  01 Bill Graham Introduction / Who Knows ※
  02 Machine Gun ※
  03 Changes
  04 Power Of Soul ◎
  05 Stepping Stone ◎
  06 Foxy Lady ▲
  07 Stop ▲◎
  08 Earth Blues
  09 Burning Desire ◎

      ※バンド・オブ・ジプシーズ
      ▲バンド・オブ・ジプシーズ 2
      ◎ライブ・アット・ザ・フィルモアイースト

さて、いよいよバンド・オブ・ジプシーズのお披露目ライブも2日目ともなれば、それなりに纏まり、リラックスしつつも相当に激した熱演が楽しめます。

それは初っ端の「Who Knows」から既に全開 ♪♪~♪

バンド紹介のMCに続いて始まる演奏からは何の気負い感じられず、それでいてジミヘンとバディ・マイスルのボーカルの掛け合いを追いかける様なギターソロが実に良い味出しまくり ♪♪~♪

しつこいようですが、本当にリラックスして弾きまくるジミヘンのギターソロから噴出するスリル、そして後半からはバディ・マイスルのスキャットボーカルがソウルジャズの領域に踏み込んだものならば、終始クールでシンプルなベースラインを提供し続けるビリー・コックスも潔く、最後の詰めへ突進するジミヘンのギターソロがちょい聴きには地味ですが、実は本当に「らしい」ジミヘン節で、このあたりがバンド・オブ・ジプシーズの狙いだったのかなぁ~~、と思いますが、いかがなものでしょう。

それは次の「Machine Gun」へも同じ雰囲気で継続され、いやぁ~~、それにしてもここでのギターソロは凄すぎますよっ!

バディ・マイルスのドラムスもリズムキープだけでなく、例のマシンガンの連射をイメージしたSEヒット(?)も冴えていますし、後半からの敲き語り(?)も熱く、さらにビリー・コックスの混濁した蠢きベースも土台作り以上の働きと思います。

あぁ~、この2曲が最初に出たアナログ盤LP「バンド・オブ・ジプシーズ」に採用されたのもムベなるかなっ!

ちなみに気になる音質はライン録りのモノラルミックスで、幾分厚みはありませんが、それゆえにエッジの効いた聴感はロックの基本姿勢として、なかなか聴き易いんじゃ~ないでしょうか。

ですから、ほとんどバディ・マイスルが独り舞台の「Changes」も快調で、当時の黒人ソウルショウの如きノリとハードロックの醍醐味が全開なんですが、ここで幾分引っ込んでいるジミヘンのギターは賛否両論? このあたりは近々発売予定のリマスター集成盤での扱いが楽しみでもあります。

そしてさらに盛り上がるのが新装版の2枚組CDにも入れられた「Power Of Soul」と「Stepping Stone」で、モノラルミックスではありますが、音に重量感と臨場感があり、素直にグッと惹きつけられますねぇ~~♪

バンドとしての纏まりもバッチリですよっ!

また問題のフェイク盤「バンド・オブ・ジプシーズ 2」に入れられた「Foxy Lady」と「Stop」にしても、こ~して自然の流れのステージライブ音源として聴けば、それなりの必然性と申しましょうか、やっぱりジミヘンのギターから放出される暴虐と熱気に圧倒されるのは言わずもがな、ここでもシンプルなバンドとしての勢いが結果オーライでしょう。

特に「Stop」は流石に新装版の2枚組CDに入れられたのも納得の名演で、これがジミヘンの目指していた新しき方向性と思えば、この興業以降、実質的に自然消滅してしまったバンド・オブ・ジプシーズという「幻」の質量の大きさが眩しいばかりです。

ところが続く「Earth Blues」が演奏途中のギターソロからのフェードインというテイクで、それがあまりにも凄いもんですから、勿体ないの残念無念!
 
実は以前に出ていたアナログ盤のブートから知れていた情報なんですが、この「Earth Blues」の前には「Hear My Train A-Comin'」が演奏されていて、それもここでは入っていない事から、おそらくはネタ元から既にダメになっていたのかもしれません。

ですから、このテイクの完全バージョンが出るのなら、サイケおやじは思わず手を合わせ、神様に感謝するに違いないと自覚しております。

いゃ~~、本当に凄いんですよぉ~~~!

演奏終わりのMCからして、これがステージ最後の演目だった様ですが、だとすれば「Burning Desire」はアンコールでしょうか、既に述べたとおり、ここでもリラックスムードが良い方向へと作用した快演で、しかもステレオミックスになっていますから、ジミヘンのボーカルの定位が動いたりもするんですが、それはそれとして、要所でリズムとビートが黒人ソウルミュージック丸出しになっていたり、ジャズ&フュージョンっぽくなっていたりして、なかなか面白く聴けると思います。

ということで、個人的には大好きなライブ音源であり、世評とは逆にバンド・オブ・ジプシーズの凄さを痛感させられたのは、全くこのおかげであります。

う~ん、リアルタイムの観客が羨ましくなるばかりですっ!
 
……続く。
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カラオケ難曲:其の壱

2019-11-21 19:15:00 | 歌謡曲
■愛の嵐 / 山口百恵 (CBSソニー)

カラオケが普及して以来、素人でもプロと同じ演奏で歌える環境が整ったとはいえ、安易な気持ちで歌っては絶対に最後まで行着けない楽曲が確かにあります。

例えば山口百恵が昭和54(1979)年に出した本日の掲載のシングル盤A面曲「愛の嵐」は、作詞:阿木燿子&作曲:宇崎竜童が提供した所謂歌謡ロック路線でありながら、全篇の流れがドラマチックに展開するハード&プログレ風味の強い曲調で、これは萩田光雄のアレンジに拠るところが大きいと思うんですが、特筆すべきは山口百恵の歌い出しが、ふわぁ~っとしているところでしょう。

なにしろ既に述べたとおり、イントロが劇的なハードプログレ、そこでスローなイメージで歌い出される難しさは、なかなか素人には上手く表現出来ないはずで、さらにテンポアップしてからのタテノリ感と申しましょうか、普通に聞いていれば決して難しく思えないんですが、実際にカラオケで挑戦してみれば、これがなかなか歌いこなせない世界でありましょう。

しかも山口百恵はライブステージやテレビ出演時、きっちり振り付けも披露しながら歌っていたんですから、今更ながら凄い歌手だったと思い出すばかりです。

で、本日これをお題としたのは、早くも年末モードで宴会時のカラオケ芸をあれやこれやと考えている連中がサイケおやじの周囲に出没し、特に若手のパーティに寄付を願い出されての説明内容(?)に、なんとっ!

山口百恵のモノマネが十八番のセミプロ芸人が登場するとかで、その演目に「愛の嵐」が入っていたんですねぇ~~~!?!

う~ん、こりゃ~~、ちょいと楽しみですよ、実際。

ということで、宴会については様々な思惑や下心が必ず存在するわけですが、それにしてもサイケおやじがその気になって若手のパーティに顔を出したって、煙たがれるのは必定!

楽しみは楽しみとして、後で動画でも見せてもらえる事を願うのが正解と自嘲しているのでした。
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