80年代Cafe

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のんきな父さん(アスペクトコミックス)・アスキーほか&WAVE〜ウェーブ〜・秋田書店&Final Re:Quest ファイナルリクエスト(1)(シリウスKC)・講談社

2017-02-14 15:46:22 | 書籍・漫画

 今回は、レトロなパソコンやゲームの周辺を描いたちょっと変わった漫画作品を集めてみました。のんきな父さん(アスペクトコミックス)とおやじの惑星 愛蔵版は、どちらも漫画家、イラストレーターの桜玉吉氏の漫画。のんきな父さんはMSXマガジン、アスキーコミックスなどに80年代から90年代にかけて連載されていた四コマ漫画。おやじの惑星の方は、桜玉吉氏の初期短編集で2000年に再販された愛蔵版。


 MSXマガジンといえばべーしっ君、のんきな父さんを連想するほど、MSXマガジンを読んでいた読者層には有名な作品。桜玉吉氏の実父をモデルとしたらしい荒井注似のお父さんと、お父さんにおちょくられる息子の話。落ちの無いどちらかというとシュールな漫画で、ログインやMSXマガジンなどこの当時のアスキーが発行していた書籍には、このようなシュールな作風のものが多かった。


 おやじの惑星の方は、カラーあり、短編ありの雑多な内容。白夜書房の四コマ漫画誌などに掲載されていたものが集められている。こちらはシュールなんだけど、一般受けもしやすい可愛らしいキャラも登場している。


 のんきな父さんの初出一覧を見ていたら、MSXマガジンの1989年2月号よりとなっています。松下電器産業とソニーが本体・キーボード一体型の低価格機として、30,000円前後のFS-A1とHB-F1というMSX2の普及機を出してMSX規格が黄金期を迎えたのが86年ですから、結構連載開始時期が遅かったことになります。自分が熱心に読んでいた時期は、ザナドゥ、ハイドライドⅡが出た85年~86年頃。のんきな父さんが連載されていた時期には、実際にはもうあまり読んでいなかったのですが、なぜかMSXマガジンというとのんきな父さんを連想してしまうという、不思議なインパクトのあった作品でした。


 WAVE〜ウェーブ〜は、2007年よりヤングチャンピオン誌に連載された原作 藤村ZEN氏、監修 藤下真潮氏、漫画 THE SEIJI氏の作品。ホ○エモンをモデルにしたとおぼしきIT長者の回想録より物語が始まる。時代は、そこから現在より一気に飛んでパソコン文化の黎明期1980年代へ。そこで、黎明期のコンピュータ業界を舞台に、のし上がろうとする3人の若者を主人公に描く。


 この漫画の素晴らしいところは、80年代当時のコンピュータ業界の裏事情を描くとともに、実名で当時の実機が登場しているところ。PC-98、PC-88、ファミコン、ディスクシステムは当然ながら、カシオの最廉価MSXのPV-7やカシオのポケコンPB-100、富士通のFM-77AVなど、時代を彩った名機が登場している。


 PB-100が活躍する漫画は、世界広しと言えどもこれだけであろう。カシオのポケコンPB-100とは、カシオ計算機が1982年に発売した入門用のポケットコンピュータ。必要最小限の機能とメモリーしかなかったが、ベーシックが使えた。安価なので、ナイコン族の多くの人に愛用された。これにスポットがあたっていて、そういった意味では超貴重。


 作者のTHE SEIJI氏は、ゲーム会社でゲーム製作にも携わった経歴の持ち主の様。成年誌に掲載された作品なので、昔を回顧するほのぼの漫画という路線ではなく、IT版のナニワ金融道とかミナミの帝王とかああいったアダルトな乗り。監修の藤下真潮氏の解説がこちら


 ヤングチャンピオン誌から連載が移って、コミックスは2巻までで止まっているみたいです。アダルトな要素も含まれているので、万人にお勧めではないですが、FM-77AVとかカシオのPB-100とかというキーワードにビビっとくる方にはお勧め。


 Final Re:Quest ファイナルリクエストは、2014年より講談社月刊少年シリウス及びニコニコ静画で連載されている漫画作品。作者は、日下一郎氏と株式会社ヒューガということで、セガガガのゾルゲ市蔵氏の新作だと思います。


 新感覚の全編ドット絵漫画、すべての元勇者に捧ぐ、勇気と再出発の8ビットファンタジーと謳っています。


 この作品の凄いのは、新感覚の全編ドット絵漫画と謳ってあるとおり、全編がスーパーファミコンみたいなドット絵でしかもフルカラーで描かれていること。ユーゲー誌で長い間連載を続け、8ビット読者をくすぐる手を知り尽くした、実にゾルゲ氏らしい作り。


 書籍の冒頭は、取り扱い説明書の体裁を取っており、冒険の手引き、キャラクターの紹介、使用上の注意など、ゾルゲ節が炸裂している。


 物語は、ファイナルクエストという架空のRPGゲーム内での出来事。最終ボスを倒し大円団を迎えたゲーム内で、ある一人のキャラが目を覚まします。異変を感じたそのキャラ(主人公)は、他のキャラに話しかけ彼らが止まったまま動かないことを知る。


 異変の正体は、BUGによりゲーム内の世界が消え去ろうとしているということ・・・。ネバーエンディングストーリーですね。


 この異変を食い止められるのは、勇者様(かってのプレイヤー)しかいないということで、主人公の旅が始まります。途中で人間になりたいと願うモンスターを仲間に加えたり、悪のトルネコみたいな商人が仲間になったりと、どこかで見た事のあるような懐かしい展開が待っています。


 単なる色物っぽい漫画のようにも見えますが、まるで火の鳥未来編を読んでいるかのような重厚な読後感が広がったりもします。誰しも、経験してきたRPGの数だけカセット内にセーブされた(思い出と)キャラクターがいるはずで、何かどこかで忘れ物をしてきたような、そんなポイントを付いた作りになっています。連載中で、現在3巻までが刊行中…。果たして物語の顛末はどうなるのか、気になります。

参考:のんきな父さん(アスペクトコミックス)・アスキー、おやじの惑星 愛蔵版・白夜書房、WAVE〜ウェーブ〜・秋田書店、Final Re:Quest ファイナルリクエスト(1)(シリウスKC)・講談社、WAVEの時代もしくはWAVE補完計画/藤下真潮、ガジェット通信


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2 コメント

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WAVE (yasuho)
2017-02-14 21:56:10
私も2巻とも持ってます。続編を待っているのですが、連載は止まってるのですね…
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Unknown (80-cafe)
2017-02-15 15:00:05
8ビットパソコンやゲーム黎明期の時代の青春群像というと、ゾルゲ市蔵氏の8ビット年代記が有名ですが、これも題材としては非常に珍しい作品ですね。このような題材を生かした作品がもっと出てくることを期待したいところですね。
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