信州スロウライフ12ヵ月

野菜や草花と暮らす生活

最後の授業

2010年11月10日 21時53分28秒 | Weblog
今年の3月、九州大学を定年で退官した北山修さんが最後の授業と称してテレビで初めて
授業を公開した。

九州大学院 人間環境学研究院教授で精神科医であるが20年近く勤めた大学を退官した。
嘗てザ、フオーククルセイダーズとして時代の寵児だったが1年でグループを解散し
京都大学からイギリスに留学し精神分析を学び精神科医になった。
7,8年前に土曜日にラジオで永禄輔の番組にゲスト出演していたのを聞き、
何十年ぶりに聞いたのがとても嬉しかった。
テレビ出演はしないというのが印象に残りその話の内容がとても残った。
運が良くその後3回位ラジオで聞くチャンスがあった。

同世代であり、思いがけない転身に惹かれていた。
臨床心理士を目指している学生を相手に4回の公開授業で精神分析入門講座を行った。
テレビやカメラにモニタリングされるのが人間にどういった影響を及ぼすか、
体は画面では変えられても心は変えられないから精神科医師の役割はどうすべきか、
などから自分がテレビに出演してこなかった理由を説明している。

画面を通してあの帰ってきた酔っ払いで一斉風靡した若者がすっかり白髪の
上品な学者になっていた。
精神科の現場で患者と向き合い、患者のためにマスコミの前へ出ることを避け、
定年を迎え初めてであり、最後の授業風景を公開した。

ラストメッセージに、いなくなるから取り入れられる理論を残した。
母親も子供の前からいつか消えるから母親として子供の心に尊敬の形で残り、
いつまでも一緒にだらだらとくっついていれば子供のこころに残ることはないという。

教員も辞めることで生徒の心に残る。辞めるのも仕事のうちといって授業の
最後を締めくくった。
4回放送分はビデオに残して見ているが、心理学の分野は深い谷底まで
覗かねばならないし何度も見直しては納得することが出来ている。

60才を過ぎてから他人から素敵な老い方をしていると見られる人はそう多くはない。
職場でも仕事を通じて同世代の受診者と毎日向き合っているが、とても幅が広い
姿かたちをしている。生き方が姿を表わしている。

又自分も逆に周りから見られながら評価されているのであり、鏡に映った
素顔の本当の自分が段々恐くなってきている。
内外共にきれいに歳を取るのは本当に難しい。

庭のもみじの木が冷え込んできて急に真っ赤な葉っぱの色に紅葉した。
一枝失敬して家の中に飾った。
   
   





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