棺が 炉の中に入れられますと オイラと 住職、母ちゃん、銭婆は オイラの車で 一旦戻るような感じで
海岸に近い 割烹で おときを始めました。
父ちゃんのお通夜、葬式は ずっと この四人だけで進められてきましたので 普通の葬式と違いまして
やけに団結力が強くなった気がします。
もう、ここまで来ますと 住職とも馴染んで来て お互いに勝手な事を言ったりして わき合いあいになってきました。
オイラはもう 自動車の運転手なので 飲む事は出来ませんが 住職は ご機嫌でたくさん飲めて とても羨ましかったです。
住職はもう、しきりに母ちゃんを 「 土日でいいから! 」 と、スカウトしていました。
楽しい時間というのは あっという間に過ぎてしまいます。
くだらない事ばかり話して 気が付いた時には おときの時間も終了!
火葬場まで父ちゃんの骨を拾いに行く時間です。
母ちゃんは 住職に 「 僧侶は来んの? 」 とワガママ言ってましたが
先程 火葬場まで一緒についてきてくれただけでも有りがたい事だと思いますがね、
住職は割烹の人が 寺まで送って行ってくれて、 オイラ達は また火葬場まで戻ります。
火葬場に着きますと 担当の葬儀屋さんが すでに待っていて
「 こちらです 」 と言って 父ちゃんのお骨の場所で待っていてくれました。
オイラ達三人は 父ちゃんの骨の場所に行き 葬儀屋さんの説明に従い さい箸で骨を拾います。
するとすぐに 銭婆が 「 こんなので骨を拾ったら いくら時間があっても 足りないわよ! 」 と言って
父ちゃんの骨を手掴みで ワシャワシャと骨壷に入れるではありませんか\(◎o◎)/!
もう、ビックリしちゃいました! 子供のオイラでさえ 躊躇しちゃってたのに さすが銭婆さんです。
散々 葬式に出てきたスペシャリストといってもいいでしょう、
オイラと母ちゃんは 腰を抜かしそうになりましたよ! アッと云う間に骨を拾い終わり、
すぐに、ホウキで残りのカスを 骨壷の中に入れてしまいました!
もう、銭婆を尊敬してしまいましたね^^;
お骨を 全部 骨壷に入れると 後は葬儀屋さんが 骨壷を白い布で包んでくれて 母ちゃんに渡しました。
受け取った母ちゃんは 「 思いー! こりゃ凄い 重いでー! 」 と言ってビックリしました。
葬儀屋さんは 「 お骨自体はとても軽いのですが 骨壷自体が重いので こんなになってしまいました。 」
と、説明してくれました。
骨壷を持って車に入りますと ここで葬儀屋さんとはお別れです。
葬儀屋さんは オイラに請求書を渡してくれて 「 それでは、ご利用ありがとうございました。 」 と言われて 別れました。
喋り方や 態度がいい人で 特に何でも気を使ってくれる とてもいい人でした。
台風の影響で 朝からずっと雨が降っています。
ワイパーを動かしながら お寺に着きますと お骨を本堂に置いて オイラ達は着替えて 楽になり
住職からお茶をいただきました。
「 いやー、どうも お疲れ様でした。 」 住職の 言葉にオイラ達も 「 どうもありがとうございました。 」と答えます。
この後、またくだらない話をしたり 住職の 母ちゃんのスカウトの話などして いい時間になってきたので
ここで帰る事にしました。 父ちゃんのお骨は 四十九日の納骨まで 本堂で預かってもらいます。
帰り道、雨も止みそうになってます。
「 父ちゃんに 立派なお経をあげてもらって 本当に良かった 」 と、母ちゃんが言うと
オイラ達も ウンウン、とうなずきました。
母ちゃんの家に着くと 「 ありがとね、ありがとね、 」 と言ってくれて
オイラも「 母ちゃんも ありがとう 」 と、答えて別れてきました。
9月6日の朝、父ちゃんが亡くなり、その日に お通夜、 翌日葬式と、あっという間の二日間でしたが
自分の中では とても心の残る二日間でした。
最後まで読んでいただき 本当にありがとうございました。
【 お世話になった国上寺さんです。】

「 長ーい 影! アタイの何倍あるかしらん? 」

