Zapf 2004-2011

2000年代の暮らし。自転車・ゴルフ・Yセツ・城・リコーダー....
今に続くいろんなことが芽吹いた季節

海峡を渡るバイオリン

2004年11月29日 | TV
フジテレビ開局45周年企画・文化庁芸術祭参加作品

韓国に生まれ、14歳で単身日本に渡り、独学でバイオリン製作者として世界的に名声を得た陳昌鉉のドキュメント・ドラマ。

また泣いてしまった。ちょっと涙腺ゆるゆるすぎか。
韓国籍、バイオリン製作の師匠もなし、作ったバイオリンを売るあてもなし、もちろんお金もなし。と、なかなかに苦難の道のりです。苦難が厳しければ厳しいほど、それが報われた時には感動があるものですが、そういう意味では濃度の高い苦難でした。

ドラマは「北の国から」の杉田成道によるもの。自然の風景をインサートする描写が「北の国」そのもの。セットとロケのバランスもよく全体に重厚感があります。このドラマは成功作と思いますが、その大半は陳昌鉉の妻を演じた菅野美穂によるもの、と、おそらくこれを見た全員が思っているのでは。
細かい情感の動きから、炸裂する叫びまで、多種に渡る演技の引出しを持った女優です。こんなに達者な人でしたっけ。びっくりですね。菅野美穂が泣くシーンではすべて見ている私たちも一緒になって泣きました。喜びも悲しみも菅野美穂の思うがままに操られ。それもまた楽し。

主役の草なぎ君も、まあギリギリ及第点。田中裕子、田中邦衛、石坂浩二と周囲を固め、ちゃちい「ジャニーズのドラマ」になるのを食いとめました。ドラマに関しては満足して見終わりました。


さて、主人公の陳昌鉉さん。実は当時の新宿高校・管弦楽部の弦楽器奏者なら、おそらく全員が年に何回か調布市仙川の工房を訪ねて、楽器の調整や弓の張り替えでお世話になっているはずです。もちろん私もその一人。仙川都営住宅のはずれの雑木林に面したボロアパートの外階段を上がったところにある工房の風景は今でも容易に思い出せます。
有名バイオリニストとの記念写真の額を、狭い部屋中に飾った貧しそうな部屋で、私の弓の張り替えが終わった後も、「300年前の暖炉の木材で作った魂柱(楽器の部品です)の素晴らしさ」を語り、わたしの安物のスズキのチェロも「音が変わるよぉ」と語っているのを、「うさんくさいおっさんだなあ」と思いながら聞いていました。
そのおっさんが、こんな大層なドラマの主人公になるなんて。わからないもんですね。

以下後半、ざっくりカット(気付く人いないだろうけど)




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